SSブログ
初代マン・ドラマ2 ブログトップ
前の5件 | -

ウルトラマン(8) [初代マン・ドラマ2]

《第20話 恐怖のルート87》を取りあげます。

監修;円谷英二
脚本;金城哲夫
音楽;宮内国郎
怪獣デザイン;成田 亨
特殊技術;高野宏一
監督;樋口祐三

【高原竜 ヒドラ(荒垣輝雄)】登場


▼伊豆の大室山公園(おおむろやまこうえん)は、大室山の麓(ふもと)にある動植物園である。夜間の見回りをしている警備員が、ここ最近、夜になると動物たちが泣き叫ぶ様子を目撃していた。以前には、こんなことは一度も無かったのである。

日中でも、飼育員に怪我をさせるような暴れ方をする動物が最近多くなったという。ある晩、警備員が巡回をしていると、大室山の山頂が緑色にピカッと数回光った。目撃した警備員はただ事ではないと思い、科特隊に急報したのであった。

ビートル機で出動した科特隊は、その晩は山頂が光らなかったため、明るくなってからリフトに乗って山腹を調査することにした。実は半年前頃から、大室山の山腹の木が枯れ始めるという異変が起きていた。学者に調査を依頼したものの、原因は不明であった。

作戦室で一人作業をしていたフジ隊員のところに、少年が一人突然入ってきて、妙なことを言うのであった。

『大室山公園の高原竜ヒドラが、暴れるよ』
『・・・なにが暴れるって?』

『高原竜ヒドラ・・・早くしないと、大変なことになるよ!』
『待って、坊やの名前は?』

少年はそれだけ言うと、質問には答えずに部屋を出て行ってしまった。最初はホシノ君の友達かと思ったフジ隊員だが、それにしても一人で入ってくるのはおかしい。

少年が出ていくのと入れ違いにイデ隊員が入ってきたので、出て行った少年の事を話すと、イデは誰にも会わなかったというのだ。イデは守衛室に確認をするが、猫の子一匹たりとも入れてないと逆に怒られてしまうのだった。

少年のことが気になるフジ隊員は、このことを伊豆大室山公園にいるムラマツキャップへ報告した。
『キャップ、大室山公園の高原竜ヒドラが暴れ出すと言ってきた少年がいます。念のため、調査願います』

この大室山公園には、巨大な高原竜の石像がある。恐竜と鳥を合わせたような姿をした怪獣で、この公園が開園する時に全国からデザインを募集して作った架空の怪獣であった。デザインが採用されたのは東京に住む小学生で、当時小学3年生のムトウアキラという少年だった。

詳細な情報を警備員から聞いたムラマツキャップは、それをフジ隊員へ連絡すると、イデと共に調査をするよう命令した。

ムトウ少年のいるあけぼの少年ホームに調査に出かけたフジとイデの両名は、ムトウ少年が半年ほど前に死亡していることを知る。山鳥が好きなムトウ少年は、夏休みに一人で山へ行き、国道87号線でトラックにはねられて死亡してしまったのである。

ひき逃げ事故なので、犯人はまだ捕まっていないという。ムトウ少年は怪獣が好きで、壁には自分が考えた怪獣の絵がたくさん貼られていた。数十枚ある怪獣の絵の中で、ひときわ目立つヒドラの絵。「ヒドラは本当にいるんだよ!」といつも言っていたことを、先生は思い出していた。

ヒドラの絵が当選して石像が完成した時の喜ぶ顔が、今でも忘れられないと先生は言う。たくさんの怪獣の絵の横にあるムトウ少年の遺影を見たフジ隊員は驚いた。
『あっ、この子だわ。本部に現れたのはこの子なのよ!』

その晩、キャップ、ハヤタ、アラシの3名が大室山を見回っていると、突如暗闇を突いて緑色に光った山頂が三つに割れ、その割れ目から怪獣が出現した。その姿は、ムトウ少年が言っていた高原竜ヒドラそのものだった。

斜面を崩した土砂が大室山に登るリフトを破壊し、被害は麓の動植物公園にも及んでしまった。スパイダーショットとスーパーガンでヒドラを攻撃する三人に、大空へ舞い上がったヒドラは口から火炎を吐いて三人を威嚇すると、そのまま夜の闇へと消えてしまうのだった。

『ヒドラは一体どこへ行ったんだろう?』
『一時は逃げたとしても、帰巣本能があるから必ず舞い戻ってくるはずだ』

ハヤタの言う通り、ヒドラは再び舞い戻ってきた。そして国道87号線(ルート87)を走る自動車だけを攻撃の対象としていた。少年が轢かれたルート87で、少年の仇を討とうとでもしているようなヒドラ。

出撃命令でビートル2号機に搭乗したハヤタもアラシも、ヒドラが車を襲う理由をひき逃げされた少年の魂がそうさせているのではないかという意見で一致していた。

だが、科特隊の使命は人間に害を与える者を排除することである。どんな怪獣であっても人間の敵となるからには始末しなければならないのだ。ビートル1号機のキャップは、イデとフジにそう告げて攻撃を開始した。

2機のビートル対ヒドラの空中戦になっていく。2号機のロケット弾はヒドラに命中するが、びくともしないヒドラは2号機と空中で接触し、2号機は不時着を余儀なくされてしまう。アラシは打撲程度で済んだが、ハヤタは左腕を負傷して意識を失っていた。

ハヤタが近くの救護所で手当てを受けている頃、アラシは次の作戦としてタンクローリーを運転していた。タンクローリーをヒドラに襲わせ、襲われる直前に運転席を脱出したアラシが、ヒドラのつかんだタンクローリーをスパイダーショットで撃ち爆発させる作戦だ。

作戦は上手く運び、ヒドラの胸に大怪我を負わせることができた。だが、怒ったヒドラはアラシに迫っていく。スパイダーショットのエネルギーが無くなり、アラシはピンチに立たされてしまう。

救護所で手当てを受け左手を包帯で吊っているハヤタは、救護所を抜け出すとウルトラマンに変身した。ウルトラマンはヒドラから口ばし攻撃を受け、顔をつつかれて気を失ってしまう。

しばらくして気が付くと、再び顔をくちばしで攻撃してくるヒドラにウルトラマンはスペシウム光線を発射するが、空へと逃げられてしまう。ヒドラを目で追いながらスペシウム光線を再び発射しようとして、ウルトラマンは思い止まるのだった・・・

ビートル1号機に乗っているフジ隊員には、ヒドラの背に乗っているムトウ少年の姿が見えていた。
『ウルトラマン、ヒドラを殺してはいけないわ!』

ムトウ少年の姿は、ウルトラマンにも見えていたのだろう。ヒドラをしばらく目で追っていたウルトラマンは、フジ隊員の声を聞いて十字に組んだ腕を解いたのだった。

『あれ、ウルトラマンの奴、わざとヒドラを逃がしたぞ?なぜスペシウム光線を発射しなかったんだろう・・・』

イデが不思議そうにそう言うと、イデの向こうに見えるウルトラマンに向かって、フジは言った。
『ウルトラマンには解かってたんだわ・・・ウルトラマン、ありがとう!』

ヒドラは、そのままどこかへ飛んで行ってしまった。そしてウルトラマンも・・・
『シュワッキュ!』

大室山公園の高原竜ヒドラ像の前に立つ科特隊のメンバー。
『このヒドラは、自動車事故で不幸な死を遂げた多くの少年達の化身なのかもしれない・・・』

この事件がきっかけで、ムトウ少年をひき逃げした犯人は警察に自首したと言う。
『これでアキラ君も天国へ行けるわね、良かった!』

それにしても、フジ隊員の目にだけムトウ少年の姿が見えていたのは何故なのだろう?科特隊男性隊員全員の疑問が残る。

『結局、純真な心の持ち主には、普通の人には見えないものが見えるっていうことじゃないかしら・・・ねぇキャップ?』
『一本やられたな。ハハハハハ・・・・』 (終わり)


★★★★★★★★★★★★
古谷敏氏が金城氏に、ウルトラマンはドラマではいつも怪獣を退治するけど、たまには助けることは無いの?という会話がヒントになって、このシナリオは作られたという。ちょっぴり感動する内容だよね。

感動とはまったく反対の位置にある話を。ビートル2号機に乗り込みヒドラを攻撃するハヤタとアラシの座席の位置が、カットが変わると入れ替わっているのはどうしたわけ?(笑)

戦後の国道整理で、87号線は欠番となっているそうである。

nice!(9)  コメント(2)  トラックバック(0) 
共通テーマ:テレビ

ウルトラマン(9) [初代マン・ドラマ2]

《第25話 怪彗星ツイフォン》を取りあげます。

監修;円谷英二
脚本;若槻文三
音楽;宮内国郎
怪獣デザイン;成田 亨
特殊技術;高野宏一
監督;飯島敏宏

【ギガス(南 明)】
【ドラコ(池田文夫)】
【レッドキング(鈴木邦夫)】登場


▼宇宙のはるか彼方から赤い尾を引いてやって来る新彗星は、ツイフォンと名付けられた。岩本博士が、電子計算機を使って軌道計算をしたところ、地球はツイフォンと衝突するという結果が出たのである。それを聞いたイデ隊員は卒倒してしまう。

もう少し詳しく計算したところ、83パーセントの確率で衝突するという結果が出た。岩本博士は、さらに詳しくツイフォン彗星の軌道を計算し直したところ、ほんのわずかな差で衝突を免れることが判明した。

だがその差は、5万5860キロメートルという宇宙規模で言えば紙一重の差であった。すれ違う時に、彗星の引力によって大気が大移動したり海水が満潮になったり、どのような影響が出るのかは想像がつかない。

それほどの微妙な距離だということである。地球がツイフォンとすれ違うのは、明後日の午前3時20分15秒。今から37時間余りのちに迫っていた。いろいろなデータを元にツイフォンが地球に及ぼす影響を計算した結果、大きな被害は受けないだろうという答えが出たのであった。

科特隊の隊員達は、少しずつ落ち着きを取り戻していた。笑顔を取り戻したフジ隊員がコーヒーを入れてみんなに振る舞ったところ、みんなの顔が一斉に渋くなった。砂糖と間違えて塩を入れてしまっていたのだ。一番動揺していたのは、やはりフジ隊員だったのである。

宇宙線観測所から科特隊へ連絡が入る。ツイフォン彗星から降り注ぐ特殊な宇宙線を観測したとの情報であった。また、科特隊パリ本部から緊急に入った情報によれば、ツイフォン彗星から降り注ぐ宇宙線の作用で、水素爆弾が自然爆発する可能性があるという。

地球防衛委員会は、水爆を持つ国々に対してその安全を図るように指示を出した。イデが突然、思い出したように語り出した。

『依然オホーツク海で、廃棄処分になった旧型の水爆が、6個紛失したといううわさがありましたね、キャップ・・・』

海底200メートルの所にある鉛の倉庫が破壊されて、6個の水爆が紛失したといううわさがあったことを、ハヤタも思い出したのである。

もしも、その6個がツイフォンの宇宙線の影響でいっぺんに爆発すれば、地球上は猛烈な放射能汚染のために、すべての生物は死滅してしまうだろう。

『デマだよ、あの話は!』
『デマならデマで、確認しておく必要がある!』

アラシはデマだから放っておけと言うが、イデの意見はもっともなことである。パリ本部へ問い合わせする必要を感じたムラマツキャップは、フジ隊員へ指示を出した。

夜が更けて、人々に対し地下室や地下道への避難命令が出された。大した影響はないと言われていただけに、この命令は人々を不安にした。紛失した6個の水爆のうわさは、人々の間にも広がっていた。破壊された鉛の倉庫には、大きな爪あとが残っていたという話をする者もいた。

ムラマツキャップは、一つの話を持ち出した。オホーツク海の紛失事件のあと、日本アルプスで強烈な放射能が検出されたことがあったのだ。直ちに調査を始めたところ、放射能反応はピタリと止んでしまったという一件であった。

『水爆を飲み込んだ怪獣が、日本アルプス付近で姿を消した可能性があるということか・・・』
アラシがそう言うと、イデが新兵器を持ちだしてきた。
『そんなこともあろうかと、水爆探知機を作っておきました』

すぐに日本アルプスへ向かったハヤタ、アラシ、イデの3名。ビートルには水爆探知機が装備され、イデが操作している。だが、半径20キロ以内のモノに反応するという性能であるため、未だに反応が無いのだ。

『この分だと、仮に水爆を飲み込んだ怪獣がこの日本アルプスにいても、かなり深い地点に潜んでいることになるな・・・』
『それなら、まぁ安心ってところだな・・・』

地中20キロ以上深く潜っていれば、ツイフォンの影響は受けないだろうと予測するハヤタとアラシ。午前3時を回り、ツイフォン彗星の影響が起き始める時刻になったため、ビートル機は日本アルプスの適当な場所に着陸することにした。

明け方の空に、赤い尾を引いた彗星が人々の頭上を通過していく。大きな影響もなく、地下道に隠れていた人々は安心し、喜び勇んで輪になって踊り出していた。

ツイフォン彗星が通過した直後、謎の飛行物体が地球に飛来したことをレーダー基地が観測した。科特隊にもその情報は入っていたが、ビートル機との連絡がツイフォンの影響で取れていないのだ。

一方、着陸したビートル機から見える稜線に巨大怪獣が顔を出しているのを見た3人は、直ちにビートル機に乗り込んだ。水爆探知機が、この怪獣に反応していないことを確認したイデ。この怒り肩の怪獣は、ギガスである。

肩から上が雪で固まったように真っ白で、下は雪焼けしたように茶色い身体をしている。
『あれはなんだ!』

どんどんビートル機に近づいてくる飛行物体がある。近づくにつれて、それは生物であることが判った。飛行物体の正体は怪獣ドラコである。レーダー基地が観測した、ツイフォン彗星から地球に向かって飛来する飛行物体とは、このドラコのことであった。

ドラコは、ギガスにぶつかる様に飛びかかった。ドラコは宇宙怪獣、ギガスは地球怪獣ということになろう。二匹は戦いあった。雪合戦のように、雪を掘ってドラコにかけるギガス。

水爆探知機が破裂するほどの強烈な放射能反応を示す怪獣が、地面の下をうごめいていた。それはやがて崖を崩して、姿を見せた。怪獣王レッドキングであった。筋肉モリモリの怪獣である。レッドキングこそが、6個の水爆を飲み込んだ張本人であった。

地球怪獣のレッドキングはギガスとドラコの戦いをしばらく見ていたが、弱いギガスに頭にきてしまった。お前は退いていろと言わんばかりにギガスを突き飛ばすと、ドラコに襲いかかっていった。

飛行できるドラコの羽根をむしり取り、ドラコを海老ぞりにしたあと、殴って叩きのめしてしまった。3大怪獣が戦い合っていて、うち一匹が水爆を飲んだ怪獣であることをイデからの無線で知ったムラマツキャップは、水爆を飲み込んだ怪獣をなんとか引き離すよう、ハヤタ達に要請した。

ハヤタは、自分が囮になってレッドキングを引き離すと言い出す。レッドキングに近くまで接近して、崖の上からハヤタはスーパーガンを撃ったが、レッドキングにはたき落とされてしまう。ハヤタは転落しながらもフラッシュビームを焚いて、ウルトラマンに変身した。

ビートル機に乗ったイデとアラシはウルトラマンが出現したことを知ると、ビートル機を離陸させてギガスのとどめを刺しに向かった。レッドキングとの戦いで疲労しているギガスの頭上から、新兵器・強力乾燥ミサイルを落下させた。カチカチに凍り付いたギガスは大爆発してしまうのだった。

一方のウルトラマンは、レッドキングを首投げにしたあと両腕を胸の前でクロスさせると、レッドキングが宙に浮きだした。指先から出す光線でレッドキングをシビレさせると、八つ裂き光輪で首・胴・足の3つに切り裂いてしまった。

水爆を飲み込んだ首だけを持ってウルトラマンは宇宙へ行き、爆破してしまうのだった。地上で手を振るハヤタを拾って帰るビートル機から事件解決の連絡を受けたキャップは、地球から85億キロも遠ざかったツイフォン彗星のことをフジ隊員の報告で知り、安心する。

ところが、3026年7月2日午前8時5分というメモを宮本博士からもらう。同じ軌道を通ったツイフォン彗星が今度地球と衝突する日時だと、岩本博士から説明を受けるのだった。その時はきっと、人類の英知が彗星軌道を変えるだろうと話すムラマツキャップであった。 (終わり)


★★★★★★★★★★★★
子供の時には気付かなかったが、ビートルや怪獣が空を飛んで一回転するシーンは、ビートルと一緒に空も一回転していることが、大きな画面で見るとよくわかる。追っているカメラが一回転しているだけなんだね。(笑)
nice!(12)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:テレビ

ウルトラマン(11) [初代マン・ドラマ2]

《第26話 怪獣殿下・前篇》を取りあげます。

監修;円谷英二
脚本;金城哲夫・若槻文三
音楽;宮内国郎
怪獣デザイン;成田 亨
特殊技術;高野宏一
監督;円谷 一

【古代怪獣 ゴモラ(鈴木邦夫)】登場


▼大阪の団地に住むオサム少年は、仲間内では怪獣殿下とあだ名されるほど、怪獣の知識が豊富な小学生だ。学校で先生から五重丸をもらったことを母親に自慢するのだが、国語や算数では無くて怪獣の絵であったことを知ると、母親はまたかと嘆いてしまうのだった。

大阪万国博覧会の古代館に出展する大昔の化石などを採収するため、南太平洋のジョンスン島に渡った中谷教授を中心とする学術調査隊。この一行には、一つの目的があった。島に実在したとされるある生物の化石を手に入れることである。

科特隊のアラシ隊員が、特に射撃の腕を見込まれて、この調査隊に同行していた。この未開の島に、今から1億5千万年前にゴモラザウルスという恐竜が生息していた記録が残っている。

この島のジャングルの奥地で、ゴモラザウルスの化石が見つかるかもしれないことを、中谷教授は密かに期待を寄せていた。ジャングル滞在4日目の夜を迎え、テントの中でアラシ隊員はゴモラザウルスの資料を眺めていた。

その時、中谷教授とアラシ隊員は、何か巨大な生物の咆哮する声を耳にしたのであった。翌日、調査隊一行がさらにジャングルの奥地へと進んでいくと、切り立った断崖の斜面を崩して、巨大な生物が姿を現すのを一行は見た。

のっそりとした仕草のそれは、昨夜アラシ隊員が見ていた文献の想像図にそっくりであった。崖に現れたゴモラザウルスと思われる生物の写真を撮影した調査隊一行は、全長40~50メートルはあろうかと思われるその大きさに驚く。

ゴモラザウルスの化石を持ち帰る予定でいた中谷教授は、この瞬間、生きたままのゴモラザウルスを持ち帰れないものかと考えていた。仕事柄、アラシは怪獣を見ると握りしめていたスパイダーショットをゴモラに向けて撃とうとした。

だが、中谷教授は貴重な生態だから生け捕りにしたいと言って、アラシを制したのである。
『アラシ君、生きたままゴモラを日本へ持って帰ろう』

翌朝、各新聞の一面には「古代怪獣ゴモラは生きていた」という見出しが、写真付きで大々的に報じられた。大阪万国博覧会に展示するためという理由で、ゴモラを生きたまま空輸するという使命を引き受けることになった科特隊本部。

ムラマツキャップは、ゴモラ生け捕り作戦を実行するにあたり、麻酔薬で眠らせて空輸するという作戦を行うことに決めた。そのために、ワシントン大学のスミス博士の発明したUNG麻酔弾を調達する準備が進められていた。

この麻酔弾の効果は6時間しかない。その6時間以内にどのように大阪まで空輸するかが、科特隊に課せられた使命であった。科特隊本部から3機のビートルが、ジョンスン島へ向けて出発した。

科特隊ニューヨーク支部からは、スミス博士のUNG麻酔弾を乗せたジェット戦闘機が、ジョンスン島上空で麻酔弾の入ったケースをパラシュートで降下させていった。

ジョンスン島でアラシと合流したムラマツキャップは、木にひっかかっていたUNG麻酔弾のケースを手に入れると、次にゴモラをある地点まで誘導することを始めた。その地点には、ゴモラ空輸用の捕獲網が地面に隠して敷いてあるのだ。

アラシのスパイダーショットから発射されるリング光線で、ゴモラはゆっくりゆっくりその地点まで誘導されていくのだった。捕獲網を隠した地点までゴモラを誘導すると、アラシは2発のUNG麻酔弾をゴモラの左右の肩付近に撃ち込んだ。

効力はてき面、ゴモラは力なく大地に倒れて、眠り始めるのだった。イデ、ハヤタ、アラシの3名が乗った3機のジェットビートルが、上昇を開始した。各ビートル機とゴモラ捕獲網とは、4点のロープで結ばれている。

先頭を行くアラシ・ムラマツ機はゴモラの上半身付近を包む2点を担当し、後ろのハヤタ機は左足付近、イデ機は右足付近をそれぞれ1点ずつロープで繋いで、大阪・六甲研究所まで空輸していくのだ。

大阪の六甲山一帯には、万一に備えて非常線が張られ、人っ子ひとりいない状態にしてあった。怪獣殿下のオサム少年は、友達3人を連れて非常線の張ってある地域に入ろうとしていた。それを阻止する自衛隊員たち。

『見るだけだよぉ』
『ダメダメ。万国博まで待ちなさい!』

そこにフジ隊員が科特隊専用車で到着し、予定ではあと10分で到着することになっていた。自衛隊員とフジ隊員が話をしているスキを突いて、オサムと友人達は非常線をかいくぐって侵入してしまう。

六甲山の研究所まであと10分で到着という時に、ゴモラは突然目を覚まし動き出した。ジョンスン島を出発してから、まだ5時間しか経過していない。

『博士、これは一体どういうことです(怒)?』
『おそらくUNG麻酔薬の効力が弱かったことと、気温の変化で目が覚めたんでしょう・・・』

ゴモラを捕獲網で締め付けている分、ゴモラの少しの動きでも伝わる振動は大きく、3機のビートルの安定は保つのが難しくなってきた。だが、やるだけはやってみる覚悟のムラマツキャップは、指示を出す。

『ハヤタ、イデ、全速力で飛べば六甲まで5分だ。急げ!』
だが、ゴモラは完全に目を覚まし、激しく暴れ出してしまう。もうこれ以上はビートルの安定を保つのが困難と判断したムラマツは、止むを得ずゴモラを切り離す決定を下す。

非常線内に人がいないことを地上のフジ隊員に確認すると、ハヤタとイデへ示し合わせて、ロープを切り離した。
『いいか。ゴモラを切り離す。スリー、ツー、ワン、ゼロ!』

3機一斉にロープが切られ、ゴモラはかなりの高さから地上目がけて落下していった。物凄い地響きと土煙があがり、ゴモラは地上へ激突してしまった。

『あっゴモラの奴、木っ端みじんだ!』
『死なないよ!ゴモラは大怪獣だぞ、絶対に死ぬもんか!』

非常線をくぐり抜けた怪獣殿下とその友人は、ゴモラが落下してくる様子を岩場に隠れて見ていた。怪獣殿下のオサムが思った通り、地上に激突したゴモラは最初じっとしていたが、しばらくすると捕獲網を破ってムックリと起き上がり、一声咆哮をあげるのだった。

『2000メートルの上空から落下しても死なないなんて・・・いったいこれは・・・ボクにはとても考えられん』
驚き、あきれる中谷教授に、ムラマツキャップはゴモラの処分について確認した。

大都市大阪の市民に不安を与えぬためにも、ここでゴモラを処分してしまわなくてはならない。
『万国博は、はく製でがまんする。お任せします』

ハヤタ、アラシ、イデを三方向に散らして自衛隊と共に攻撃を開始する科特隊員たち。そこでハヤタは、岩場に隠れていた怪獣殿下と友達を見つける。危ないからすぐに帰るように促すハヤタ。
『やっつけるまで、ここで見せてヨ!』

ゴモラに恐怖を感じないオサムはハヤタに食い下がるが、ふたりともパトカーに乗せられて自宅へと返されてしまう。そして団地へ帰ってきたオサムは、ゴモラを間近で見たことを母に得意げに自慢するのだった。

六甲山付近の原野で、自衛隊火器部隊がゴモラに集中砲火を浴びせたが、ゴモラは地中へ潜って姿を消してしまうのだった。ゴモラが次にどこへ出現するかわからない大阪市は、まるでゴーストタウンのように静まり返っていた。

中谷教授と科特隊は、見晴らしのよい大阪タワーに設置した自衛隊のゴモラ対策本部に集結した。2000メートル上空から落下しても死ななかったゴモラをどのように倒すのか、対策を考えなくてはならない。

団地近くの工事現場で遊んでいたオサムの前に、噴水のように地中から土砂が吹きあがり、ゴモラが出現した。ある程度ゴモラから距離を置いて下がったオサムは、工事現場にできた1メートル程の溝に身体を隠して、そこからゴモラの様子を見ていた。

そして、近くに落ちていた木の棒を右手で高く掲げ、空を見上げながら「ウルトラマーン!」と叫んでみた。すると、彼方からウルトラマンが飛んで来て、ゴモラに立ち向かっていくのだった。

だがゴモラは強く、頭のツノでウルトラマンの身体を突きあげて地面に叩き落とし、太い尻尾でウルトラマンを引っ叩いて、何度も転倒させられてしまう。その時、オサムの目の前に懐中電灯のような物が飛んで来て、転がった。

オサムにはそれが何だかわからないが、ウルトラマンが戦っている時に飛んで来たものだから、ウルトラマンにとって大切なものであろうことは、オサムにも理解できたのである。

赤く点滅したカラータイマーのウルトラマンの背中を踏みつけて、ゴモラは近くの地面を掘り始めた。ウルトラマンのダメージはかなり大きく、ゴモラを逃がすまいとスペシウム光線を放とうとするのだが、ゴモラの姿があるうちに立ち上がることが出来ず、ゴモラは再び地中にその姿を隠してしまうのだった。 (つづく)


★★★★★★★★★★★★
初代マン全39話中で、唯一の前後編で綴るゴモラは、強くて人気がある。ゴモラのツノは、戦国武将黒田長政の鎧兜からのデザインと聞く。素晴らしい!

nice!(12)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:テレビ

ウルトラマン(12) [初代マン・ドラマ2]

《第27話 怪獣殿下・後篇》を取りあげます。

監修;円谷英二
脚本;金城哲夫・若槻文三
音楽;宮内国郎
怪獣デザイン;成田 亨
特殊技術;高野宏一
監督;円谷 一

【古代怪獣 ゴモラ(鈴木邦夫)】登場

【前回までの話は・・・
南太平洋のジョンスン島へ行った中谷教授一行は生きたゴモラザウルスを発見、生け捕りにして日本へ持ち帰ることになった。ゴモラ空輸を引き受けた科特隊は、睡眠薬で眠らせて輸送する手段を取るが、あと少しというところでゴモラは目覚めてしまい、空輸をあきらめてロープを切ってしまう。しかし2千メートル上空からの落下に耐えたゴモラは凶暴になり、ウルトラマンも歯が立たなかった・・・】


▼ゴモラはウルトラマンに打ち勝つと、再び地中に潜ってしまった。いつどこに出現するか分からないゴモラのために、大阪の町は再び恐怖におびえることになった。

中谷教授の提案で、UNG麻酔弾を使ってゴモラを眠らせて攻撃するという作戦を取ることにしたムラマツキャップ。科特隊ニューヨーク支部と連絡を取り、ワシントン大学のスミス教授のもとにあるUNG麻酔弾を大至急運んでもらえるように、ムラマツはフジ隊員に指示をだした。

ゴモラ対策として、科特隊本部へ行ってマルス133と小型発信器を取ってくることをハヤタへ、イデにはビーコンを作るように指示をだした。本部から持って来た小型発信器をゴモラに撃ち込み、地底へ逃げてもゴモラの位置が分かるようにするためであった。

大阪市民に緊急避難命令が出されていた。怪獣殿下のオサムの家では、母親が荷物をまとめて逃げる用意をしていた。だが父親とオサムには、なぜか余裕がある。

『どこへ出るか分からないものを、どこへ逃げたって無駄でしょ・・・。それにさ、一度出たところには出ないものさ。もしもゴモラが出たところで、オサムが言っていたナントカマンがサッと現れて、今度こそやっつけてくれるよ』

母親が必死に逃げる準備をしているのに、父親は趣味の釣り竿いじりをしていた。オサムはというと、手作りの怪獣のお面を被って、ベランダから怪獣が出そうな方角を眺めているのだった。

ゴモラが地中へ逃げてから4時間が経過していたが、ゴモラ出現の情報はまだ得られていない。ハヤタは本部から戻ってきていて、兵器の準備は整った。

イデのビーコンがようやく完成した。大阪市街地の地図が描かれたこの機械は、本部から持ってきた小型発信器に連動して、居場所を知らせることが出来るのである。

キャップが小型発信器のスイッチを入れると、地図上の中心、つまり大阪タワーに赤ランプが点滅した。
『よくやった。ご苦労!』

この小型発信器をゴモラに撃ち込めば、たとえゴモラが地底に潜っていても、現在地を特定することが出来るのである。マルス133という強力な兵器もあり、ゴモラ対策は万全となった。

その頃、ゴモラ発見の報が大阪タワーに入った。ハヤタはマルスを持ち、アラシはスパイダーショットを持って、現場へ出撃していく。淀川べりを歩いていくゴモラに、自衛隊火器部隊の一斉射撃が始まった。

ゴモラはビルを軽々と壊しながら進撃していく。マルス133を持っているハヤタへ、アラシが指示をする。
『ヤツの武器は尻尾だ。尻尾を狙え!』

アラシはハヤタの目の前に立つと、ハヤタはアラシの左肩にマルス133を乗せて固定すると、マルスの照準器に目を当てて、ゴモラの尻尾の付け根を狙って発射した。ドカーンと大きな音がして、ゴモラの尻尾は火災になった。

尻尾が切れて尻尾の断面が燃え上がり、ゴモラのお尻は火災になっていた。必死で火を消そうとビルにお尻をこすり付けるゴモラ。
『あっ、やったぁ!』

イデは、持っていた小型発信器をスーパーガンにセットしていると、それを見てアラシが言った。
『イデ、発信機は一つしかないんだ。そういうことは、俺に任せろ!』

ゴモラは地面を掘り始めている。アラシはできるだけ近づいて、ゴモラの尻尾の断面を狙って発信器を撃ち込んだ。ゴモラは地底に潜ってしまったが、ビーコンはゴモラの位置を点滅する光で刻一刻と知らせてくる。

ゴモラはいなくなったが、切れた尻尾が激しく暴れていた。自衛隊の戦車隊がゴモラの尻尾をめがけて集中砲火を浴びせていた。ハヤタはひとり地下道に入ると、胸ポケットに手を入れた。するとフラッシュビームが無い事に気付くのだった。

アラシとイデは、暴れる尻尾をめがけて必死に攻撃を加えていた。一方、ゴモラは地底を大阪城方面へ向かっていることがビーコンの動きから分ったため、ハヤタ、アラシ、イデを大阪城へ急がせた。自衛隊火器部隊も大阪城へ向かって、進撃を開始していた。

科特隊ニューヨーク支部から、国際電話が入った。ムラマツキャップが電話口に出ると、顔が曇ってしまう。スミス博士の元には、もうUNG麻酔弾の在庫が無いという連絡だった。それを聞いて、落胆する中谷教授。もはやゴモラをおとなしくさせることは、できなくなってしまった。

オサムは、先のウルトラマンとゴモラとの戦闘の際に拾ったフラッシュビームを勉強机の引き出しに入れていたが、ふと取り出すと考えた。
『そうだ、これをウルトラマンに届けなくちゃ!』

家を抜け出したオサムは、自転車で非常線が引かれている場所まで行くと、警察官に話をした。
『科学特捜隊の人に、これを届けたいんだ。おじさんには解からないけど、とても大事なモノなんだ!』

『坊主。これを届けるために、わざわざ来たのか?』
『そうだよ。だから、早く通してくれよ!』

真剣な表情のオサムの様子を見て、吉村警官は何か気になるからとオサムをパトカーに乗せて、科特隊のいる大阪城まで連れて行くのだった。

ビーコンで表示したゴモラの動きが、大阪城付近で止まった。すでに自衛隊火器部隊は大阪城付近にいて、戦闘準備は整っている。科特隊の三人が大阪城に着いた頃、地中からゴモラが姿を現した。ゴモラに対し一斉射撃を行う自衛隊火器部隊。

だが、鋼鉄のヨロイのような体をしているゴモラはびくともせず、戦車隊に襲いかかっていくのだった。科特隊の三人に、キャップから通信で指令が届く。

『ムラマツだ。三度目の正直、今度こそゴモラを叩きつぶすんだ。ゴモラを運んだのは我々だ。科特隊の名誉挽回のためにも、大阪城を守ってくれ!』

ハヤタは、アラシ、イデと別れてゴモラの横から攻撃をしていた。ゴモラはとうとう、大阪城を破壊し始めた。バリバリ、バーンと500年の遺産が崩れていく。ゴモラはツノや爪を使って、大阪城を完全に破壊してしまうのだった。

パトカーで大阪城に連れてきてもらったオサムは、吉村警官の制止も聞かずに戦闘が続いている現場へ走って向かうのだった。ハヤタを見つけて後ろから声をかけたオサムは、振り向いたハヤタに制止される。

『危ない、ここは危険だ。ここに来ちゃいかん!』
『ちぇッ。せっかくこれを持ってきてあげたのに・・・』

そう言って、フラッシュビームをハヤタに向かって差し出すオサム。それをみて、驚くハヤタ。
『あっ、それは・・・』

『ボク、怪獣殿下だよ。だから、何でも知ってるんだ。これ、ウルトラマンの大事なものなんだよ。だって、ウルトラマンとゴモラが戦っている時に拾ったんだもん!』

ハヤタはオサムの所へ駆け寄ると、オサムをゴモラからかばうようにして、フラッシュビームをオサムから受け取った。

『ありがとう、怪獣殿下。ウルトラマンも、きっと喜ぶよ。さぁ、ここは危険だから、向こうへ行ってなさい』

ハヤタに促され、オサムは走ってもと来た方へと返っていく。ハヤタは、迷わずウルトラマンに変身した。ゴモラは尻尾を振ってウルトラマンに攻撃しようとするが、その尻尾はもうない。ちぎれた尻尾の跡をウルトラマンに蹴りつけられ、ゴモラは大阪城のガレキに顔をうずめてしまう。

首投げが決まり、パンチを一発決めたウルトラマンは、三日月型のツノの左部分を、ヒザを使って叩き折ってしまう。ツノを折られた途端に、地面を掘る力も無くなったゴモラに、ウルトラマンはとどめのスペシウム光線を発射した。

『君のおかげで、ウルトラマンもゴモラを倒すことができたよ』
『すると、僕はウルトラマンの役に立ったんだね!』

ハヤタは皆には秘密だよと言って、お礼に流星バッジをオサムの胸に付けてあげるのだった。夕陽を受けて本部へ帰投する3機のビートルのハヤタ機から、オサムに通信が入る。

『ハヤタより殿下へ・・』
『ハイハイ。こちら怪獣殿下です・・』

『あまり怪獣にばかり夢中にならずに、しっかり勉強もするんだよ・・・』
『了解、了解。ハヤタさんも元気でね』
ハヤタと通信を交わしながら、オサムは、ゴモラと戦うウルトラマンの絵を仕上げていた。 (終わり)


★★★★★★★★★★★
もしゴモラを活かしたまま万国博覧会に出展するなら、どうやって展示するのだろうか?


nice!(16)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:テレビ

ウルトラマン(13) [初代マン・ドラマ2]

《第5話 ミロガンダの秘密》を取りあげます。

監修;円谷英二
脚本;藤川桂介
音楽;宮内国郎
怪獣デザイン;成田 亨
特殊技術;的場 徹
監督;飯島敏宏

【怪奇植物 グリーンモンス(中村晴吉)】登場

▼ある日のこと。新聞社の小林記者が、鉄道のガード下で車から降りたあと、何者かに襲われて死亡しているのが見つかった。その同じ日、地質学者の松尾博士が研究室で襲われ、死んでいるのが発見された。

どちらも死亡原因がただの窒息死ではないことが判り、この両事件は科学特捜隊へ調査が引き継がれることになった。両事件の起こるさらに三日前には、植物学者の山田博士が変死していたことが判明した。

山田博士の死因がこの二人の窒息死と似ていることから、アラシとイデの両隊員に大室山にある山田博士の研究所へ向かうよう、キャップから指示が出た。山田博士は、将来人口増加で食料不足になった時の為にと、巨大野菜の栽培研究などを手掛けている人物であった。ふたりは、博士の助手に質問した。

『博士は、最近何の研究をなさってましたか?』
『先日、調査団長として行ってまいりましたオイリス島から持って帰って来たきれいな花を、品種改良するんだと申しておりました』

『その珍しい綺麗な花は、どこに・・・』
『あら?そう言えばどうしたんでしょ・・・』

山田博士変死事件の直後から、オイリス島から博士が持ち帰った花が行方不明になっていることが判明する。一方、ムラマツキャップとハヤタは、小林記者が襲われた現場へ到着していた。

警察が行なっている現場検証の横で、ハヤタは車のスリップ跡に付いている緑色に光る物質を発見する。山田博士の研究室でもその物質は発見されており、岩本博士に分析を依頼したところ、その物質にはクロロフィルとムチンが含まれていることが判明した。

植物の特徴であるクロロフィル、ムチンはカタツムリなどが通った後に付くキラキラ光る粘液質の成分で、動物の持つ特徴であった。

動物学の坂井博士が襲われたという知らせが入る。直ちに現場へ急行するキャップとハヤタ。アラシが、山田博士の研究室から消えたというオイリス島の花の写真を岩本博士に見せたところ、それは岩本博士も以前に見たことがある「ミロガンダ」という花であった。

小林記者と坂井博士もオイリス島調査団員であったことが判り、どうやら犯人は、オイリス島調査団員を狙っているらしいことが判明してきた。5名の調査団員でまだ襲われていないのは、カメラマンの浜口節子だけである。

科特隊は浜口カメラマン宅へ出かけて行き、島での活動や変わったことが無かったどうか、いろいろ話を聞いてみた。すると、当時調査団は島で道に迷い、水を求めてさまよい歩くうちに、ミロガンダの咲く地帯へ足を踏み入れていたことが分かった。

そして、美しいミロガンダの花は、綺麗な川の流れに沿って生えていたことを証言する浜口カメラマン。そして、その川の流れに沿って緑色の食虫植物も一緒に生えていて、浜口カメラマンはその食虫植物に足を噛まれて、襲われそうになっていたことも判明した。

持ち帰ったミロガンダに変死した山田博士がガンマ線を当てたため、放射能の影響でミロガンダの花が幼年時代の醜い緑色の食虫植物に還ってしまったのではないか。そして山田博士は、その食虫植物ミロガンダに襲われてしまったのではないだろうか。

博士の部屋に緑色に光る物質が残っていたのは、その怪物に襲われた証拠であろうとハヤタは推理した。その怪物は残る浜口カメラマンも襲いに来ると予測した科特隊は、浜口カメラマンのボディガードとして残った。だが、その晩は、何も異常は起きなかった。

翌朝、アラシが付近をパトロール中に、謎の怪物に襲いかかられて身体がしびれる粉のようなものを浴びせられてしまう。本部のフジ隊員からアラシ隊員と連絡が付かないことを聞いた他の隊員たちは、アラシの捜索中に、2メートルほどの緑色の怪植物がアラシを襲っているところに出くわした。

イデ、ハヤタがスーパーガンで応戦すると、緑色の植物は公園にある池に落ちて、姿を消してしまうのだった。岩本博士はその話を聞き、スーパーガンのエネルギーを吸って、巨大になっている可能性を指摘するのだった。

その晩、岩本博士の危惧したとおり、丸の内に巨大になったあの怪植物が出現した。身長が40メートルほどにも大きくなっており、責任を感じたアラシはスパイダーショットのダイヤルを火炎放射に切り替えて、果敢に向かって行くのだった。

だが、スパイダーショットでは歯が立たず、逆に巨大な植物怪獣に成長したグリーンモンスの吐く霧状のシビレ花粉で、アラシの身体は麻痺してしまう。ハヤタは援護を頼みながらアラシを救出に行き、気を失っているアラシを安全なビル陰に隠すと、フラッシュビームを焚いた。

ウルトラマン登場。飛行して来たウルトラマンは、足裏からドロップキックで蹴り上げると、グリーモンスはビルを破壊してドサリと倒れてしまう。グリーンモンスは、霧状のシビレ花粉を吐き出して、ウルトラマンにも浴びせるのであった。

「ウゥワッ」と、せき込むウルトラマン。倒れ込んでしまったウルトラマンのカラータイマーは、赤色に点滅していた。体力をかなり消耗しながらも、ウルトラマンは両手を十字に組んで必殺のスペシウム光線を発射!それを浴びたグリーンモンスは、勢いよく燃えあがっていくのだった。

やがてすべてが燃え尽き、炎が収まると、グリーンモンスの残骸は風に乗ってヒラヒラと飛んで行き、科特隊や自衛隊の目の前で紙屑のように散らばって無くなってしまった。

夜の空を、ウルトラマンが飛んで去っていく。その姿を見て、イデはハヤタがいないことに気付くのだが、それを意に介してないアラシ。何やら、ウルトラマンとハヤタは関係がありそうな気がしてならないと思う、イデ隊員であった。 (終わり)


★★★★★★★★★★★
シリーズの当初から、ウルトラマンとハヤタは関係があるようなニオイを嗅ぎ分けているイデ隊員。それは別の件でも、発揮している。例えば、テレスドンの回のアンヌ隊員のこと、ケロニアの回のムトウ隊員のこと、いずれもクサいことを感じ取っている。

nice!(20)  コメント(4)  トラックバック(0) 
共通テーマ:テレビ
前の5件 | - 初代マン・ドラマ2 ブログトップ