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バロムクロス!で、ル・ロロロロロロロ~ [バロム1こぼれ話]

超人バロム・1(ワン)という番組が、かつて放送されていた。原作はゴルゴ13のさいとうたかを氏。原画の方は顔が人そのもので、ヒーローと呼ぶにはすこしイメージが違う感じがあるが、テレビ放映の方はヒーローっぽいというか仮面ライダー的で、筆者のお気に入りだ。

全宇宙の正義のエージェントと悪のエージェントとの戦いが、地球で行われたという設定だった。エージェントとは、代理人のこと。正義の力であるコプーの代理人がバロム1であり、悪の力のドルゲにはその分身であるドルゲ魔人がいた。

ふたりの少年が腕を組んで「バロム・クロス!」と叫ぶと、超人バロム1に変身するという変わり種。ボップという武器やマッハロッド号に乗って、ドルゲ魔人と戦うのだ。

主題歌を歌うのは我らが兄貴、水木一郎氏だ。この歌の特徴は、「♬マッハロッドで、ブロロロロ、ブロロロロ、ブロロロロ~」と三つめのブロロロロは音をはずして歌う。音譜どおりにうたうと下がりぎみなのだが、外して上がりぎみに叫ぶようにうたうことで、豪快さが出るのだ。

初めてこのような歌い方をしたのがバロム1だったと、ある番組で兄貴が話していた。このバロム1、番組を見ていた頃は小学生だったのでまったく知らなかったのだが、ある理由で番組は終了せざるを得なくなったのであった。

特撮ファンなら誰もが知る所となったウルトラセブン第12話欠番の理由だが、バロム1の問題点はより深刻だった。物語の設定そのものが問題の対象であった。いや、対象になってしまったのだ。偶然おなじ名前のドルゲ少年が、いじめの対象になってしまったのだ。

正義の超人と同じならともかく、悪の権化と同じ名前では少年があまりにも気の毒だ。結局放送を終了させることで、この件は幕引きとされたそうである。

番組の最後に「ドラマがフィクションである」ことを断る習慣ができたのは、このバロム1から始まったという話もある。ずいぶん後になってイジメが原因でこの番組が終了したことを知ったとき、何ともやるせない気持ちになったものだ。

バロム1は好きなヒーローだった。当時流行りの「変身サイボーグ1号」という人形の着せ替えにバロム1を買ったほど、大好きだった。バローム!という戦闘ポーズを、君は知っているかい?あの陸上競技世界NO.1のウサイン・ボルト氏はバロム1が大好きなんだ、きっと(笑)。
タグ:バロム1
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超人バロム・1 スペシャル対談(1) [バロム1こぼれ話]

この番組のプロデューサーは、ご存じ東映の平山亨氏。田口勝彦氏は、バロムワン全35話中、25本も監督を務めている。特撮番組では二本持ちと言って、一度に2話を同時進行で撮影することがよくある。だが、田口氏は、悪魔シリーズと銘打った人体魔人で、クチビルゲから5話持ち、折田監督を1本挟んで、そのあとキバゲルゲから最終話まで9話持ちという驚異的な撮影スケジュールをこなしていた。その辺も含めて、思い出話で花を咲かせたおふたりであった。(平山亨氏は2013年没、享年85)


★★★★★★★★★★★★
平山亨+田口勝彦スペシャル対談(1)
平山氏;
「このバロムワンをプロデュースした、元プロデューサーの平山です」

田口氏;
「監督を担当しました田口勝彦です。このシリーズは35話あったんですけど、そのうち25本を演出させてもらいました。一話は脚本まで書かせてもらいました(第8話毒液魔人ナマコルゲ)。よろしくどうぞ」

田口氏;
「平山Pが一番知恵を使われた所は何かというと、仮面ライダーの怪人とは違った魔人というモノを登場させるために、エライ苦労があったんですね。仮面ライダーの路線を引っ張ってますとね、作る方はそれに安住しちゃうんですね。

魔人というモノが、視聴者にとって、何が恐怖なんだろう、敵としてずるいんだろう、イジメ役になるんだろうというところでね、魔人を発想されたプロシューサーの功績は大きいんじゃないでしょうか」

平山氏;
「ずーっと、ライダーとは違うものにしたいと思ってはいたんだけど、知恵が出てこないから、だから仮面ライダー路線で、オコゼルゲからはじまったんだけど、どうもちがうんだよね。バロムワンはバロムワンの何かをやりたいんだけど、最初は知恵が出なかったんだよね。

だから最初はスタッフ達の知恵を借りて始まって、やっと人体魔人にたどり着いて、それが始まると、これだよって感じだよね。もっと早くやりたかったけどね」

田口氏;
「長いこと路線が続いていますとね、我々作る方もマンネリ化しちゃうんですよ。これでいいだろうと。それで視聴率が高いと、視聴者の方達はこれで満足してくれているだろうと、作り手は勘違いしてしまいがちなんですね。

そう言う時にね、新しいモノを発信しようとしたら、やっぱり汗かきますよ。何故(人体魔人シリーズが)成功したかと言えば、一番人間にとって恐怖なのは、人間の体が罪悪感を持つってことなんですね。

これから出てくるけど、クチビルゲっていうの。食ったものが悪魔になる・・・物凄い恐怖でしょう。ウデゲルゲとか、ノウゲルゲ・・・これが新しい路線の開発にものすごく影響されていくんですね。新しい魔人の殺陣を考えなくちゃならんですよ。

ウデゲルゲは5本指なんですよ。これ、5人の敵なんですね。しかも短い時間で盛り上げなくちゃならないでしょ。演出上でも苦労したけど、面白い発想でしたね。乗ってやっていましたね」

平山氏;
「アクションは高橋イッシュン(一俊)だったかな。彼はライダーからね、八面六臂なんだね・・・。今見ると、ライダーともキカイダーとも違うし、独特の世界ができているね、おかげさまで・・・」

田口氏;
「その辺が、超人バロムワンの大きな魅力になっていて、そこを見てもらいたいですね」

平山氏;
「子供と子供が友情で結ばれるとバロムワンになるんだという、さいとうたかをさんの独特の世界だしね・・・」

田口氏;
「画面構図として、撮影がたいへんなんですよ、これ。相手が大きくなってしまうと・・・」

平山氏;
「仮面ライダーの怪人っていうのはね、アクションが出来るようにできているけど、これの場合は、アクションのことは抜きにしてるからね。あの縫いぐるみでアクションさせるのは、大変だったろうね」

田口氏;
「ウデゲルゲの場合はね、たいへんなんですよ。中に入っている人がバンザイして入っているんですよ。バンザイで立ってるだけで疲れますよ。で、荷重がものすごく重いんですよ」

平山氏;
「形的には面白いものができたなと思ってるんだけど、演る方はたいへんなんだ(笑)」

田口氏;
「ちょっと体力が無い人は無理で、大野剣友会で人選して、力のある人が中に入ってるんですよ。撮影現場では、そういう目に見えない大きな苦労がありましたね。あれね、一度転ぶと一人で立ち上がれないんですよ。3人位で起こさなくちゃならなくてね・・・」

田口氏;
「バロムワンはね、地方ロケが多いんですよ」

平山氏;
「仮面ライダーなんか、最初の頃は知られてないから、なかなかタイアップが取れなかったですね。これの頃は、行けたのかな」

田口氏;
「メリットがあってね。生田スタジオで爆発やるなら三栄土木。多摩のバックグランドが同じ景色になっちゃう。ロケ地が多いと、うちの近くの場所にも、九州にも北海道にも、魔人が出るぞという感じが出るわけですよ。

日本のあらゆる所にドルゲがいるぞという感じが出て、大きなメリットになったですね。もう一つはね、当時は番組がロケに来てくれることを喜んでくれましてね。スタッフは美味しい物やお酒が飲めるんですよ。ただし、条件があって、限られた日数でやらなくちゃならない。

何故かというと、相手方は我々3日間の食事の経費を、全部持たなければならないんですよ。絶対に四日間にはならない。ところが、雨になったりすることがあるわけですよ。雨じゃ撮影が出来ない。それでどうするかというとね、その場に適応するような脚本に、直さねばならないんですよ。

地方ロケが多いと、こういう苦労があるんですよ。例えば海で撮影しようとしても、雨では海で撮れないと。それで旅館で撮ることにしようと。そうすると、今度は照明用のライトが無いと・・・。選択肢が限られてくるわけですよ。

テレビって、毎週一回放映するでしょう。連続で9本も演っていますとね、もう次の台本が来てますよ。次の話の段取りしなくちゃならないですよ。天気に左右されるという苦労をしましたよ」   (つづく)

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超人バロム・1 スペシャル対談(2) [バロム1こぼれ話]

平山亨+田口勝彦スペシャル対談(2)
(前回から続き)

田口氏;
「二人が合体してね、一つのパワーを生むってことは、硬い言葉で言えば連帯するってことですね。連帯するってことはね、どんなことかって言うと、弱い部分と弱い部分をプラスすると何倍・何百倍もの力を発揮するという、つまりコミュニケーションという大事なところなんですよね。

演出が一番難しかったのはね、ある意味でこれは映像の形にならないですよね。友情のバロメーターをね、尺度で測れって言われてもね、これは難しいなぁって一番に考えてね・・・。プロデューサーは一体何考えてるんだって、頭にきたんですよね、あれは(笑)」

平山氏;
「ウヘヘヘヘヘ・・・」

田口氏;
「ボップって、おもちゃ屋が発想したんですか?それとも原作にあったんでしたっけ?」

平山氏;
「あれは、もともと(さいとう)先生のマンガの中にあったんだよ。確かに友情が濃かったり薄かったりして、薄いと合体できないし、友情が高まってくると出来るようになるっていうのはね、メーターになるようなもんじゃないことを強引に友情メーターにしたって、

監督が笑って言ってくれたけれどもね。観念を映像化するっていうのは、難しいんだよね。もともとはさいとう先生の発案でね、さいとう先生は友情というものをとても大事にされる方でね、劇画を描いていられてもね、そういうところをいつも芯においておられる先生だからね。

(先生の作品で)子供向けの作品は、あれ一つだけだからね。後にも先にもね、無いんだって。そういう意味で、先生はご自分でも面白がって描いていらしたけど、人間の友情っていうものがエネルギーとしてね、どれだけのものを成し遂げるのかっていう意味だったんだね」

田口氏;
「活動の限界がね、友情のバロメーターがだんだん落ちてきてね、時間設定は無理かもしれないけれど、そういうツールとしてボップを考えていたわけなんだけど。

じゃあ、敵にとってはそれを奪えばいいということで考えていたんだけど、話を聞くとそうじゃないっていうんですよ。ボップはね、ふたりの精神の高揚の度合いだっていうんですよ。これをどうやって絵にしていくかって悩んだですよ」

平山氏;
「先生は劇画の中で、丸い吹き出しは健太郎、四角い吹き出しは猛で、そこに健太郎と猛のセリフをあってもめているわけ。紙の劇画の上ではそれで成立していたわけだけど、実写では物凄く表現しづらいわけ。

それで(大きいバロムワンの顏を作って)バロムワンの目の中に健太郎と猛に入ってもらって、中でもめるわけ。監督には苦労かけちゃったけど、難しかったね」

田口氏;
「考え方はね、合体しても一つのヒーローとして完成されてはいないんだと。(健太郎と猛はバロムワンの中で)いろいろ相対立するとか、もめるとか、選択肢を悩むとかする。でも、どちらかに決まれば、エネルギーは100パーセントにいくんだと。

次のカットでは、100パーセントバロムワンの力が発揮されるわけ。それで割り切れと。一致したんだから、過程はどうあろうと、最大のパワーを発揮しましょうと。そういう割り切り方をしたんですよ。もしそこで悩んだら、もう・・・戦い方が変わっちゃいますよ(笑)」

平山氏;
「こうしろョ!とか、駄目だ!とか、一人のバロムワンの中で言い合っているのが、不思議だったんだけど。メーターが一杯になれば、バロムワンそのものになっちゃうからね、それでいいんだ!

だからね、監督って辛いなぁと思うんだけどね。とにかく何か与えられたら、どうにか処理して、最後にメデタシめでたしに持っていかなければいけないからね。ごめんね、ホントに(大笑)」

田口氏;
「(笑)今そう言われても・・・(笑)でも、案外見ている人達が抵抗感じなかったようだから、僕は胸をなでおろしていたんですけれどね。こんな無茶苦茶なことやって、なんでいいんだろうって思ったんですけどね」

平山氏;
「(視聴者に)こんなのバカバカしいやって言われたら、おしまいだからね。後がつづかないからね・・・面白く出来上がったのは、監督のおかげでね。エネルギーが最高に盛り上がったら、ふたりじゃ無くてひとりなんだって・・・」

田口氏;
「だからね、盛り上がってしまえばね、それは一つのパワーであってね。心臓になったって、僕は思ってるんですよ。だからBGMも、盛り上がったところから入れてるんですよ」

平山氏;
「そうか、そうか。そう言えば、バロムワンの走りのシーンに、ダンダンダンっていう汽車の音?入れてくれたじゃない!物凄く力強い突撃の音。ああいうのが全部積み重なって、バロムワンの魅力になってくるわけでね。

監督ってね、二十数分の中でね、最後は敵をやっつけてめでたしメデタシにならないと、監督の職務を果たせないわけだからね。バカなプロデューサーがアホなことを言ってもね、それなりに処理しちゃうっていう(田口)監督だから、僕らは信頼してね、任せていたわけなんだけどね・・・」

田口氏;
「(バロムワンの)70パーセントを(僕が)演出やったわけでしょう。撮影の裏話するとね、こんなこと、人生で初めてだったんですよ。なんで俺が、こんなにやらなきゃならないんだって、思ったんですよ。撮影の現場ではね、撮影が終わるとね、次のホン(脚本)が来るでしょ。

映像はサイレントで撮っているから音が無いでしょ。だからアフレコしないといけないでしょ。その前に編集しなきゃならんでしょ。オールラッシュ(*1)しないといけませんわね。ミキシング(*2)しなけりゃいけませんわね。これら全部にどうやって立ち会いますか?

(9本も連続撮りしていて)やれるわけないじゃありませんか!それでね、編集の人にご迷惑かけたと思うんですけど、素材は提供しますから編集をしてみてくださいと。オールラッシュは(自分に)見せてくださいと。

後のアフレコ、ミキシングは太田さん(*3)に任せますよ。そうじゃないと、連投して9本も撮影できる時間があるわけないじゃありませんか。僕、死んじゃいますよ」

(*1)荒編集したものを試写すること
(*2)音声と映像を混合して効果的にすること
(*3)録音担当の太田克己氏

平山氏;
「現場では、田口ちゃんじゃなきゃダメだと思ってたんだろうね。俺がそう思ったような気がするんだよね・・・まぁ名誉だと思ってください(大笑)」

田口氏;
「今考えれば、有り難い話だけどね(笑)まぁ、それだけ評価してくれたのだから、有り難いけどね」 
  
平山氏;
「田口ちゃんに任せておけば大丈夫だと思ったからさ。だからね、田口ちゃん以外は考えなかったと思うんだよ(笑)そんなこと言われちゃ、困るって?本当にプロデューサーってズルいんだよ、自分でもそう思うわ(笑)」  (完)


★★★★★★★★★★★★
田口監督は、当時を思い出して本当に怒っていた(笑) 平山さんが、最後に滅茶苦茶言ってるけど、あのお顔で言われたら、憎めないでしょう。当時も今も(笑)

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