SSブログ

ウルトラマン(11) [初代マン・ドラマ2]

《第26話 怪獣殿下・前篇》を取りあげます。

監修;円谷英二
脚本;金城哲夫・若槻文三
音楽;宮内国郎
怪獣デザイン;成田 亨
特殊技術;高野宏一
監督;円谷 一

【古代怪獣 ゴモラ(鈴木邦夫)】登場


▼大阪の団地に住むオサム少年は、仲間内では怪獣殿下とあだ名されるほど、怪獣の知識が豊富な小学生だ。学校で先生から五重丸をもらったことを母親に自慢するのだが、国語や算数では無くて怪獣の絵であったことを知ると、母親はまたかと嘆いてしまうのだった。

大阪万国博覧会の古代館に出展する大昔の化石などを採収するため、南太平洋のジョンスン島に渡った中谷教授を中心とする学術調査隊。この一行には、一つの目的があった。島に実在したとされるある生物の化石を手に入れることである。

科特隊のアラシ隊員が、特に射撃の腕を見込まれて、この調査隊に同行していた。この未開の島に、今から1億5千万年前にゴモラザウルスという恐竜が生息していた記録が残っている。

この島のジャングルの奥地で、ゴモラザウルスの化石が見つかるかもしれないことを、中谷教授は密かに期待を寄せていた。ジャングル滞在4日目の夜を迎え、テントの中でアラシ隊員はゴモラザウルスの資料を眺めていた。

その時、中谷教授とアラシ隊員は、何か巨大な生物の咆哮する声を耳にしたのであった。翌日、調査隊一行がさらにジャングルの奥地へと進んでいくと、切り立った断崖の斜面を崩して、巨大な生物が姿を現すのを一行は見た。

のっそりとした仕草のそれは、昨夜アラシ隊員が見ていた文献の想像図にそっくりであった。崖に現れたゴモラザウルスと思われる生物の写真を撮影した調査隊一行は、全長40~50メートルはあろうかと思われるその大きさに驚く。

ゴモラザウルスの化石を持ち帰る予定でいた中谷教授は、この瞬間、生きたままのゴモラザウルスを持ち帰れないものかと考えていた。仕事柄、アラシは怪獣を見ると握りしめていたスパイダーショットをゴモラに向けて撃とうとした。

だが、中谷教授は貴重な生態だから生け捕りにしたいと言って、アラシを制したのである。
『アラシ君、生きたままゴモラを日本へ持って帰ろう』

翌朝、各新聞の一面には「古代怪獣ゴモラは生きていた」という見出しが、写真付きで大々的に報じられた。大阪万国博覧会に展示するためという理由で、ゴモラを生きたまま空輸するという使命を引き受けることになった科特隊本部。

ムラマツキャップは、ゴモラ生け捕り作戦を実行するにあたり、麻酔薬で眠らせて空輸するという作戦を行うことに決めた。そのために、ワシントン大学のスミス博士の発明したUNG麻酔弾を調達する準備が進められていた。

この麻酔弾の効果は6時間しかない。その6時間以内にどのように大阪まで空輸するかが、科特隊に課せられた使命であった。科特隊本部から3機のビートルが、ジョンスン島へ向けて出発した。

科特隊ニューヨーク支部からは、スミス博士のUNG麻酔弾を乗せたジェット戦闘機が、ジョンスン島上空で麻酔弾の入ったケースをパラシュートで降下させていった。

ジョンスン島でアラシと合流したムラマツキャップは、木にひっかかっていたUNG麻酔弾のケースを手に入れると、次にゴモラをある地点まで誘導することを始めた。その地点には、ゴモラ空輸用の捕獲網が地面に隠して敷いてあるのだ。

アラシのスパイダーショットから発射されるリング光線で、ゴモラはゆっくりゆっくりその地点まで誘導されていくのだった。捕獲網を隠した地点までゴモラを誘導すると、アラシは2発のUNG麻酔弾をゴモラの左右の肩付近に撃ち込んだ。

効力はてき面、ゴモラは力なく大地に倒れて、眠り始めるのだった。イデ、ハヤタ、アラシの3名が乗った3機のジェットビートルが、上昇を開始した。各ビートル機とゴモラ捕獲網とは、4点のロープで結ばれている。

先頭を行くアラシ・ムラマツ機はゴモラの上半身付近を包む2点を担当し、後ろのハヤタ機は左足付近、イデ機は右足付近をそれぞれ1点ずつロープで繋いで、大阪・六甲研究所まで空輸していくのだ。

大阪の六甲山一帯には、万一に備えて非常線が張られ、人っ子ひとりいない状態にしてあった。怪獣殿下のオサム少年は、友達3人を連れて非常線の張ってある地域に入ろうとしていた。それを阻止する自衛隊員たち。

『見るだけだよぉ』
『ダメダメ。万国博まで待ちなさい!』

そこにフジ隊員が科特隊専用車で到着し、予定ではあと10分で到着することになっていた。自衛隊員とフジ隊員が話をしているスキを突いて、オサムと友人達は非常線をかいくぐって侵入してしまう。

六甲山の研究所まであと10分で到着という時に、ゴモラは突然目を覚まし動き出した。ジョンスン島を出発してから、まだ5時間しか経過していない。

『博士、これは一体どういうことです(怒)?』
『おそらくUNG麻酔薬の効力が弱かったことと、気温の変化で目が覚めたんでしょう・・・』

ゴモラを捕獲網で締め付けている分、ゴモラの少しの動きでも伝わる振動は大きく、3機のビートルの安定は保つのが難しくなってきた。だが、やるだけはやってみる覚悟のムラマツキャップは、指示を出す。

『ハヤタ、イデ、全速力で飛べば六甲まで5分だ。急げ!』
だが、ゴモラは完全に目を覚まし、激しく暴れ出してしまう。もうこれ以上はビートルの安定を保つのが困難と判断したムラマツは、止むを得ずゴモラを切り離す決定を下す。

非常線内に人がいないことを地上のフジ隊員に確認すると、ハヤタとイデへ示し合わせて、ロープを切り離した。
『いいか。ゴモラを切り離す。スリー、ツー、ワン、ゼロ!』

3機一斉にロープが切られ、ゴモラはかなりの高さから地上目がけて落下していった。物凄い地響きと土煙があがり、ゴモラは地上へ激突してしまった。

『あっゴモラの奴、木っ端みじんだ!』
『死なないよ!ゴモラは大怪獣だぞ、絶対に死ぬもんか!』

非常線をくぐり抜けた怪獣殿下とその友人は、ゴモラが落下してくる様子を岩場に隠れて見ていた。怪獣殿下のオサムが思った通り、地上に激突したゴモラは最初じっとしていたが、しばらくすると捕獲網を破ってムックリと起き上がり、一声咆哮をあげるのだった。

『2000メートルの上空から落下しても死なないなんて・・・いったいこれは・・・ボクにはとても考えられん』
驚き、あきれる中谷教授に、ムラマツキャップはゴモラの処分について確認した。

大都市大阪の市民に不安を与えぬためにも、ここでゴモラを処分してしまわなくてはならない。
『万国博は、はく製でがまんする。お任せします』

ハヤタ、アラシ、イデを三方向に散らして自衛隊と共に攻撃を開始する科特隊員たち。そこでハヤタは、岩場に隠れていた怪獣殿下と友達を見つける。危ないからすぐに帰るように促すハヤタ。
『やっつけるまで、ここで見せてヨ!』

ゴモラに恐怖を感じないオサムはハヤタに食い下がるが、ふたりともパトカーに乗せられて自宅へと返されてしまう。そして団地へ帰ってきたオサムは、ゴモラを間近で見たことを母に得意げに自慢するのだった。

六甲山付近の原野で、自衛隊火器部隊がゴモラに集中砲火を浴びせたが、ゴモラは地中へ潜って姿を消してしまうのだった。ゴモラが次にどこへ出現するかわからない大阪市は、まるでゴーストタウンのように静まり返っていた。

中谷教授と科特隊は、見晴らしのよい大阪タワーに設置した自衛隊のゴモラ対策本部に集結した。2000メートル上空から落下しても死ななかったゴモラをどのように倒すのか、対策を考えなくてはならない。

団地近くの工事現場で遊んでいたオサムの前に、噴水のように地中から土砂が吹きあがり、ゴモラが出現した。ある程度ゴモラから距離を置いて下がったオサムは、工事現場にできた1メートル程の溝に身体を隠して、そこからゴモラの様子を見ていた。

そして、近くに落ちていた木の棒を右手で高く掲げ、空を見上げながら「ウルトラマーン!」と叫んでみた。すると、彼方からウルトラマンが飛んで来て、ゴモラに立ち向かっていくのだった。

だがゴモラは強く、頭のツノでウルトラマンの身体を突きあげて地面に叩き落とし、太い尻尾でウルトラマンを引っ叩いて、何度も転倒させられてしまう。その時、オサムの目の前に懐中電灯のような物が飛んで来て、転がった。

オサムにはそれが何だかわからないが、ウルトラマンが戦っている時に飛んで来たものだから、ウルトラマンにとって大切なものであろうことは、オサムにも理解できたのである。

赤く点滅したカラータイマーのウルトラマンの背中を踏みつけて、ゴモラは近くの地面を掘り始めた。ウルトラマンのダメージはかなり大きく、ゴモラを逃がすまいとスペシウム光線を放とうとするのだが、ゴモラの姿があるうちに立ち上がることが出来ず、ゴモラは再び地中にその姿を隠してしまうのだった。 (つづく)


★★★★★★★★★★★★
初代マン全39話中で、唯一の前後編で綴るゴモラは、強くて人気がある。ゴモラのツノは、戦国武将黒田長政の鎧兜からのデザインと聞く。素晴らしい!



スポンサーリンク



nice!(12)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:テレビ

nice! 12

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

トラックバックの受付は締め切りました