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ウルトラセブンを創った男たち・前編 [ウルトラセブンこぼれ話]

◆上原正三(脚本家)◆
沖縄県出身。ウルトラQの第21話「宇宙指令M774」でウルトラシリーズ脚本家デビュー。ウルトラセブンでは、メインライターの金城哲夫が途中からマイティジャックに注力していった為、上原正三と市川森一に多くの脚本が割り当てられた。帰ってきたウルトラマンではメインライターを務め、第二期ウルトラシリーズの基礎を築いた。

【インタビュー】
だんだん、だんだんウルトラマンよりはセブンの方が、政治的というかテーマが重くなってきていますね。それはみんなが余裕じゃないけれども、なんか自分のもっと書きたいテーマがあるんじゃないかと。セブンではそういうものを作品にしていったということはあると思うんですよね。

だからウルトラマンとはまた違っているんですよ。どちらかといえばウルトラマンの方が、非常にエンターテインメントになっているような気がしますね。



◆中野 稔◆(視覚効果・光学撮影)
大学在学中に円谷英二氏に弟子入りしようと円谷邸を訪ねあっさり受け入れられたが、卒業まではアルバイトで東宝の映画現場に出入りしながら、円谷英二に師事する。『監修 円谷英二』と入る作品には、恥ずかしいものは絶対に残せないという思いが強い。

そういう思いでウルトラセブンでは、合成を施すカットはウルQ・マン以上に撮影現場に立ち会って、緻密で完成度の高い映像作りを目指したという。

【インタビュー】
ウルトラセブンはね、僕が印象にあるのは金城(哲夫)に初めて台本を見せられた時は、ウルトラアイっていう題名だったんで、メガネを印象付けると。それで合成やっていてもね、いわゆる待ちカットって言って、光線が出るために光線を出す前方を開けておくっていうのがあまり好きじゃないから、

そうすると高野さん(特撮監督・高野宏一)大変だったと思うんだけど、やはりアップを撮っておいて、それからパッと引いたときに光線が出るみたいなことをずいぶんやってもらって。始めっから引いておいて光線が出ますよっていう構図は、イヤだったからね。ウルトラアイの目の部分に火花が出たい。

そうすると高野さんがネズミ花火をクギにひっかけてね、撮影してもらったものをリフレイン(繰り返すこと)して使うとか、そんな工夫でね。だけどはじめは良いんだけど、連続もので続いて出てくるとなるとね、どうもまどろっこしくなっちゃうんでね。

あとは監督によっては、メガネをかけたウルトラセブンが出なくても、子供の中にはその印象が残るほど強かったから、そういう使い方をして。実際には見えなくても、子供たちはそれを頭の中で見てくれたからね。そういう印象がある変身シーンができたのは、ボクは幸せだったと思う。

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ウルトラセブンを創った男たち・後編 [ウルトラセブンこぼれ話]

ボクはね、人間じゃないんだよ。M78星雲から来たウルトラセブンなんだ! びっくりしただろう?」
「ううん。人間だろうと、宇宙人だろうと、ダンはダンに変わりないじゃないの。たとえウルトラセブンでも・・・」
それまでに描いてきたダンとアンヌの淡い恋心が相手を思いやる心として描かれ、それが最終回で見事に花開いて、しっかりした人間ドラマになっている。


◆高野宏一(特技監督・故人)◆
【インタビュー】
「ウルトラマンでやらなかったこと、それから出てこなかったことをまたセブンでやるわけだから、やっぱり作ってる方も楽しいわけですよ。ね、次から次へと新しいアイデアが出てくるわけだから、皆さんね。こんなことやったらどう?あんなことやったらどうって。

こんなことやってみたいんだけどって言われれば、できるんならやってみろよってやらせてみて。それが生かせれば、それいただきみたいなもんで。ある程度やってみて出来なければ、じゃあ次にしようとかね。そういう風にしてスタッフ全体で作ってくってことが、特撮映画ではものすごく大切だしね」



◆満田 穧(監督)◆
【インタビュー】
「これで終わりだと思ったからね、本当に。あの頃のイメージだと、怪獣ものとかヒーローものっていうシリーズは、もうテレビに登場しないなっていう風に感じられたんで。本当の意味で、俺たちの仕事の中でも最終回だろうなと思ったから。

で、すでにその時には片方のチームでは、怪奇大作戦という次なる放送に向けてスタートしてたし。怪奇大作戦っていうのは、ヒーローもいなければ怪獣もいないというシリーズなんで。自分たちにとっての最終回でもあったわけ」



◆市川森一(脚本家・故人)◆
【インタビュー】
「なれ合いにはお互い、決してなってなかったですね。ウルトラセブンはいろんなセクションがありますね。本編グループ、特撮グループ、現場グループとこっちの企画シナリオグループ。でね、それは作品の上では交わるんですけれど、プライベートな所ではね、実はあんまり交わってなかったんですね。

これはみんな共通して言うことですけれど、ウルトラセブンの共通の恋人はひし美ゆり子さん・アンヌ隊員なんですね。みんなアンヌを慕ってる。で、ボクもアンヌで書きたくて仕様がないんだけど、それはもう、金城哲夫とか上原正三が取ってしまって、ボクにはソガ隊員とかフルハシ隊員しか来ない(笑)

ひし美ゆり子さんでは無いんですよね、アンヌ隊員に恋をしているんですよね。で、僕がウルトラセブンをやってる間は、ひし美ゆり子に実際に会うことは一度も無かったですね。ウルトラセブンもあんまり赤字が出ると、上原正三あたりが、『市川さん、今度悪いけどね、宇宙人作るお金がどうも無いらしいんで、宇宙人無しでセブン一本書いてくれないかな』って。

セブンは誰と戦えばいいんだみたいな(笑)それでもね、ある種の使命感で四苦八苦考えているうちに、じゃあ、セブンの予備のぬいぐるみが一つあると。じゃ、あれ使おうみたいなことで。偽ウルトラセブンと本物のウルトラセブンが戦ってみたいなね。あれも宇宙人も怪獣も出せないっていうんでね。そういうハンディを逆にプラス思考して、楽しんで創っていくというね」

「僕はその後いろんなドラマを書き続けていくときに、ウルトラセブンの後遺症というのはね、その後深い時間帯を書くようになってからでも随分残りましたね。ひとつはね、ハッピーエンドが書けないライターになってしまったってことですね。ウルトラセブンっていうのはね、一本だってハッピーエンドは無いんですよ、ホントは。誰かが苦悩する、誰かが挫折する、そういう青春ドラマなんですよね、最終回に至るまで」



★★★★★★★★★★★★
各証言からもわかる通り、制作費が赤字だった関係や当時のテレビ環境が怪獣ものの衰退を見せ始めてきており、円谷プロのスタッフがウルトラシリーズの集大成作品として総力を結集したものが、ウルトラセブンであった。

すぐれた作品に仕上がった背景には、監督の自由にスタッフにやらせてみる大らかさや、自由闊達にライター達に書かせた円谷プロ企画部・金城哲夫以下の懐の深さがあったればこそであろう。
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ウルトラセブン(1) ~ウルトラセブンを作った男たち [ウルトラセブンこぼれ話]

円谷作品の初期三部作といえば、ウルトラQ、ウルトラマンそしてウルトラセブンである。いずれも円谷英二監修というお墨付きだったこと、また金城哲夫氏をはじめとするシナリオライター達が、過去に無いシリーズを作るという難作業であるのにしっかりと構成された脚本を書き上げて、いずれも素晴らしい作品であった。

中でも前作、前々作を土台にして、よりよい作品を作ろうとスタッフが頑張っただけあって、ウルトラセブンは集大成的な作品となった。今回はモロボシダン役森次晃嗣氏、満田穗監督、高野宏一特技監督(故人)の三人の座談会をお送りします。


森次氏;
「ウルトラセブンは、ウルトラマンが終わってから企画があったわけですか?」

満田監督;
「続ウルトラマンでも良かったわけだけど、模様替えしようってことになって。(ウルトラマンを)40パーセント超えてる時に止めてるわけだから、このまま終わらせるのはもったいないということで・・・。結果としてウルトラセブンになったわけだけど」

森次氏;
「最初からウルトラアイをかけるということで、企画にあったんですか?」

満田監督;
「企画の段階であった。最初はね、『ウルトラセブン』っていう名前じゃ無かったわけ。『ウルトラアイ』だったの。メガネをかけて、目元から変身していくっていうことで、企画室の連中が『ウルトラアイ』っていうタイトルを考えて、ヒーローの名前も『ウルトラアイ』にしてた」

森次氏;
「あ、それで(頭を指して)ここがアイスラッガーっていうんだね!なんでアイスラッガーなのかなって思ってた(笑)」

満田監督;
「普通ならね、セブンキックとか・・・」

森次氏;
「(アイスラッガーを投げる真似をして)セブンラッガーとかね、言うはずなんだよね(笑)、それなのに・・・」

満田監督;
「なんか、そこだけ残っちゃった・・・(笑)」

森次氏;
「アイを残して、アイスラッガーになっちゃったんだ~」

満田監督;
「それで祖師谷の円谷プロの2階でね、説明会があって。企画室からウルトラセブンの内容の説明があって、その時は『モロボシダンのサクセスドラマ』だったわけ。ポインター号のドライバーに採用されて、コツコツ上がって行って、正隊員になるまでの話だったわけ。これを縦線にしましょうということだったの。

そしたら、主人公の森次晃嗣さんが免許持って無いっていうわけ(笑)。それで『クランクインまでに取ります』なんて言ってたけど(笑)・・・」

森次氏;
「間に合う訳ないよね~、始まったら毎日(撮影)だからね(笑)」

高野監督;
「変身シーンは当時大変だったんだよ。森次ちゃんの顔にマスクを少しずつずらして付けていく作業は、何回もやらなきゃならないから大変だったみたいよ」

森次氏;
「あのシーンはサンゴー(35ミリ)で撮ってるんだよね」

高野監督;
「合成に関してはすべて35ミリで撮らなきゃダメだって。オプチカル(オプチカルプリンター)は16ミリ無いもん」

森次氏;
「『零下140度の対決』っていうタイトルではほとんど雪の中の撮影で、これが全部セットなんだけど」

満田監督;
「撮影に入る前にシナリオの段階から、『ウルトラセブンは寒さに弱いんだ』っていうことをやろうよって希望がシナリオライターからあったもんですから、それも面白くていいねっていうことで。雪の話なんだよっていうことでロケ地を探すことになって、まだ初春だったんだけど、その年に限ってどこへ行っても雪がなくて。

仕様がないんで、ステージの中に雪山を組みましょうということになって。それで発泡スチロールの雪、食塩の雪、検査に落ちたベビーパウダーの雪、そんなのを集めて雪山のセットを作って芝居をしてもらったわけです」

森次氏;
「(凍り付く警備隊基地の廊下を見て)寒い感じが出てますよね。あ、これ金城さん(金城哲夫氏)ですね、金城さんこの回に出てたんだ!」(寒さの為に凍死する隊員役で出演)

高野監督;
「アイスラッガーってさ、最初はビス止めしてあったのよ、(頭部に)作り付けじゃなくて。それでさ、それ飛ばしたら面白かんべってことで投げさせたんだよ。で、投げるところまでは本物で、そのあとはアニメーションで描いてあんの。あんまり光線技ばっかりじゃつまんないからさ、何かないかなって(笑)」

森次氏;
「あれ高野さんが考えたの?(頭から)はずれるから。あと刀みたいな使い方もしたりしたもんね。時代劇っぽいよね(笑)」

満田監督;
「光線はね、当時お金がかかるから制約受けてたんだよね。10カットまでとか」

森次氏;
「光線は、焼き付けて・・」

高野監督;
「あれはアニメーション。言ってみれば、手書きなんだよね。オーバーにいえば、1コマ1コマ」

森次氏;
「ああ、大変なんだ」
「カプセル怪獣は、誰が考えたんですか?」

満田監督;
「あれは企画の段階からあった。ウルトラセブンってものが宇宙からの侵略をテーマにしていたから、怪獣の出番が少ないだろうと考えたわけ。怪獣がいないのも寂しいから、じゃあ、モロボシダンに怪獣を持たせて活躍させればいいじゃないかと、考えたらしいんだよね」

高野監督;
「最初に出たのは、何だっけ?」

森次氏;
「ミクラス。そうそう、エレキングとやるヤツ。カプセルはいくつあるの?」

満田監督;
「結局ね、三匹出てるわけですよ。ところがカプセルはもうひとつあるっていうわけね、ベルトのケースにもう1個あるわけ。あのもう1個は何だ?ってわけね(笑)」

森次氏;
「あれ、よく聞かれるのよ。あれ4つ入ってるって。1個使ってないんだね(笑)」
(つづく)


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
ウルトラセブンには光学撮影が欠かせない。光線技や変身シーンなど、中野稔氏が担当している。いろいろとアイデアを出して素晴らしい映像を作って下さった。以前書いたと思うが、中野氏と光学撮影スタッフ無くしてはウルトラセブンの魅力は半減してしまう。

筆者の好きなSFXはこれ、バドー星人の回。
鏡の中へ手を入れて、鏡の中へ入っていくセブン、それを後から追うアンヌ。セブンが鏡に入っていく後を、アンヌのうしろ姿と正面姿が同時に現れて、いかにもセブンだけ鏡の中に入ったように見せるカット。秀逸!
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ウルトラセブン(2) ~ウルトラセブンを作った男たち [ウルトラセブンこぼれ話]

(前回からのつづき)
今回も引き続き森次晃嗣氏、満田穗監督、高野宏一特技監督(故人)の三人の座談会をお送りします。


森次氏;
「最終回の火山の爆発、あれはすごかったね!あれ、火薬全部使っちゃったの?」

高野監督;
「全部ってわけじゃないけど、派手にいこうっていうんでね」

森次氏;
「ダンとアンヌのとこさ、あれはロケでやろうって言ったんだよね」

満田監督;
「あれはね最初からセットで、銀紙バックであの数カットだけを撮ろうと思ってたの。その前後は夜間ロケで。だからよく言われるのは、ロケでよくあんな処理ができたな、合成ですか?って。合成でも何でもない、パネルに銀紙貼って後ろから叩いて前からライトを当ててるだけ(笑)。

少し望遠ぽいレンズで撮ってもらって、(ふたりの)バックがボケるようにしてるだけなんだよね。ホントに一番お金かかってないんだよね。良い合成ですね、なんて言われるけど(笑)」

森次氏;
「あれ場所はどこだったんですか?」

満田監督;
「ロケはね、操車場かな。JR(ジェイアール)の稲城長沼の貨物の駅があったような気がするの。その近辺だったと思う。資材とか土管なんかもあったりしたね。で、アンヌに白状する場面は、美セン(現・東宝ビルト)で撮ったわけ。銀紙はそこね」

森次氏;
「作戦室さ、あれ可笑しかったよね。監督によってね、決まってないんだよね・・・」

満田監督;
「初期の頃、監督によって解釈が様々で、換気扇かなって思ったら、別の監督はスピーカーに使ってて、そこから宇宙人の声が聞こえてくるんだよね、『地球人に告ぐ!』なんてね(笑)。ええ~って。俺は換気扇のつもりで撮ってたのにって(笑)。

入口の自動ドアの両開きが、最初は助監督ふたりでやってたんだよね、『あけろ!閉めろ!』って。ふたりだから合わなくて、自動ドアの中心がズレるんだもの(笑)。スピードも違ったりとかね(笑) 。そのうち美術が、ひとりで開けられるように直したけど」

森次氏;
「あの、みっちゃん(満田監督)が『フォースゲートオープン、フォースゲートオープン』って言ってる基地の(笑)、あれスゴイよね!」

満田監督;
「あれはクランクイン前で、全体撮影に入る前に、先に撮っちゃうんだよね。二子山がスライドして、中からホーク1号が出てくるシーンとかね」

森次氏;
「ホーク1号が分離するよね。あれは最初からあったわけ?」

満田監督;
「そう、3つに分離するっていうのは、企画の段階からあった」

高野監督;
「今と違ってさ、昔はたいへんだった。3つともバラバラに吊ってあってさ、こっちを引っ張ると上に滑車があってさ、すうーっと上がるようになってて」

森次氏;
「あれ、うまくいってるよねぇ、特撮!分離して、また元のさやに納まるみたいにね、あれ全部ピアノ線でしょ?考えられないよねぇ(笑)」

高野監督;
「ホーク2号あったでしょ、滝から出てくるヤツ」

満田監督;
「えーとね、ホーク3号!」

高野監督;
「そうそう、ホーク3号だ。あれの時だってさ、最初、水でやってダメだろ。当然ダメだよナ。砂でやってダメ、かんすい(中華そばを作る時に小麦粉に混ぜるもの)とかメリケン粉落として粉だらけになったりとか、いろいろやってみた。

それで、寒水砕石(かんすいさいせき)っていうのがあって、それをもっと細かくして落としてやってるの。だからよく見てると、滝の下をくぐる時にガクッと下がるでしょ。あれがリアルだっていうわけ。考えてみれば、そうだよな(笑)」

森次氏;
「そうだよね!」

高野監督;
「まぁ確かに、スタッフがウルトラマンから続いてきていたから気心も知れてたし、こういう物の撮り方をよくわかってたからね。セブンが最初だったら、ああはいかなかっただろうね。もっとギクシャクしてただろうね。(ウルトラマンで)39本ずーっとやってきてるから、お互いに呼吸が合うっていうのは当然あるよね」

満田監督;
「ポインター号のウィングは車検では外して、あと移動する時は外して後ろのシートに乗っけて。で、撮影所でまた付けて撮影してた。あれね、用賀(世田谷区)の辺りの自動車を廃棄する工場があってね、廃棄寸前のやつを買ってきたの。

成田(亨)さんがデザインしたっていうか、周りに部品を付けるんだけど、角ばった感じの方が曲線よりも安いんで、ゴツゴツした感じの部品を外にくっつけたわけ。もう捨てられる車だったから・・・」

森次氏;
「だからロケ行ったらエンストしてね、みんなで坂を押してるんだもの(笑)。だらしがないよね」

満田監督;
「下りはエンジン無しのニュートラルで下りて来るし。それで音楽だけは、カッコイイの入れてるからね(笑)」

高野監督;
「ウルトラマンでは胸の通信機だけだったから、それで今度は絵を入れてみようということでね、ビデオシーバーはね」

満田監督;
「ウルトラセブンは1967年からスタートしたけど、それの25年後の話だからね、電話はダイヤル式でジージーってやってたけど(笑)、ビデオシーバーは時代の先取りをしてたね」



【おまけとして、光学撮影の第一人者、中野 稔氏の話をどうぞ】

「当時は光学撮影と言って、オプチカル・マシンを使う合成撮影技術のことで、例えば基地の地下駐車場にポインター号がたくさん止まっているというシーンで、実際には1台しかないポインター号を、場所を変えて何通りも撮影して、合成した時には数台が並んで止まっているように見せたり(ゴドラ星人の回)、

病院でセブンが小さくなって人間の体内に入っていくというシーンでは、台本段階で撮影アングルをしっかり打ち合わせして、人間の芝居の方も、小さくなって飛んでいくセブンを見せるためのカット割りになっている(ダリーの回)とか、

あと面白い合成シーンエピソードとしては、セブンが小さくなってフルハシ隊員のバズーカ砲(エレクトロHガン)の中から撃ち出されるシーン(クレージーゴンの回)で、飛んでくるカットだけリテイク(録り直し)してるので、バックの景色が前後で比べるとまったく違うんですが、撃ち出されるセブンのインパクトの強さのおかげで、誰も気づかないなんてこともありましたね(笑)。

セブン暗殺計画では、十字架にセブンが閉じ込められるシーンでは、セブンは実写だから奥行あるけど十字架は平面だから奥行が無い。そこで構図的にパーツを付けて奥行きをだすというような工夫をしました。当時は脚本で書かれてあるシーンのことを監督が事前に相談しに来てくれたので、現場に入る前にいろいろアイデアを考えておいて監督にフィードバックするという時間が、非常に大事でしたね」


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
ウルトラセブンの魅力のひとつは、緻密なデザインと特撮技術で見せるウルトラ警備隊の超兵器発進シーンである。筆者はウルトラ警備隊の歌(カラオケ)が大好きで、2コーラスですぐに終わってしまうのがまことに惜しい。これがバックにかかってウルトラホークが発進・活躍するシーンは、何回観てもワクワクする。
スタッフがウルトラマンで出来なかったことをウルトラセブンでやり、さらに新しいことにも挑戦したりと、円谷スタッフみんなのファイトが結集したものがウルトラセブンであり、結果としてこのシリーズの集大成的なものとなった。当時子供だった僕らにとって、この作品に出会えたことは幸せだったと思う。

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ウルトラセブン(3) ~まだあったよ!ダンとアンヌの話 [ウルトラセブンこぼれ話]

昭和42(1967)年10月1日(日)から放送を開始した『ウルトラセブン』。 キリヤマ隊長(1998年12月没)とソガ隊員(2007年5月没)は、すでに宇宙の星となってしまいとても残念ではあるが、ダンとアンヌはいまだ健在!それにアマギ、フルハシ両隊員もお元気でウルトラな活動をしている。今回はダン(森次晃司氏)とアンヌ(ひし美ゆり子氏)の話が新たに見つかったので、お送りします。


【モロボシ・ダン隊員(森次晃司氏)の話】

聞き手;
「セブンのスタッフはどんな思いで作っていましたか?」

森次氏;
「子供番組という作り方をしていないのよ。ドラマを作ってる、特撮ドラマを。みんなそうでしたよ。僕らもそう。僕らも子供番組をやっているという感覚では無かったな」

聞き手;
「セブンで、特に好きな回は?」

森次氏;
「第一話はとっても好きだし、最終回も好きなの。何故かというとね、僕は北海道から上京してきて、結構風来坊的なところがあったから。良い登場の仕方だな、ナップザックなんか持って、オレが北海道から出てきた時と同じような神経かなぁと思って。

結構好きだったですよ、ジーパン履いて黄色いジャンパー着て。お前は誰だって聞かれて、『モロボシ・ダン』とでもしておこうか、なんてとこがちょっとオレ的かなと思って」

聞き手;
「モロボシ・ダンという役は、難しかった?」

森次氏;
「ボク人間じゃないから。宇宙人の役なんか、やったことある?無いでしょう!俺、それが初めだからね。考えましたよ、えっ、人間じゃないのか?宇宙人の役なんだっ!。そんな演じた俳優、いますか?いないと思いますよ(笑)宇宙人の役ですよ?」

聞き手;
「最初の段階では、宇宙人ぽい動きをするとかの演技をしましたか?」

森次氏;
「いや、まったくないですね。宇宙人の動きとかは、考えたことは無いです。だって、おかしいでしょ(と言って、身体をプルプル震わせる仕草をして)、こんな芝居したら (笑)」

聞き手;
「当時の撮影スケジュールは?」

森次氏;
「作戦室関係のシーン(スタジオセット)は週に1回で2本持ちで、土曜日なら土曜日。あとはぜ~んぶロケ。休みは無いですよ。休みはあったためしが無いね。僕はここ藤沢に住んでたから、たいへんですよ。帰ってきて寝て、またすぐ起きて行くわけですから。

毎朝江ノ電の始発に乗って、小田急の始発に乗って行ってたんだもの。だから今だったら、たいへんヨ。死ぬ。それにね、40度近く熱出しても行ってたもん、みんなに迷惑かけるだろうと思って。熱冷まし飲んで。モウロウとした中で、弾着に驚いたこともあったね」

「あの~、ダンと役的にお別れできてないからね。24歳でやった役を、今67歳(当時)にしていまだに演じているわけでしょ。俺自身が、『モロボシ・ダン』ていう部分があるのよ。ここまでやってきたんだから、死ぬまでやりたいよね。死ぬまでやりたい、変身を」



【つづいて、友里アンヌ隊員(ひし美ゆり子氏)の話】

聞き手;
「セブンに出演するきっかけは?」

ひし美氏;
「東宝の先輩女優が映画に出るんで、衣装合わせして隊員服まで作ったのに急きょ降板しちゃったので、私が呼ばれて、『明日、円谷特技プロへ行ってくれ』って電話が入ったんですね。で、『どこですか?』って聞いたら、『すぐそこのモミジ屋っていうおそばやさんを入るとすぐだよ』って言われて。それで次の日に訪ねて行ったんです。

そしたら今度は、『これに着替えてください』って言われたのがグレーの(先輩女優が着るはずだった)隊員服だったんですけど、小さくてピチピチで・・・、とても恥ずかしかったですね、あんまりピチッとしてて(笑)。その時にいろいろ写真を撮られて。ポインターの前とかで、写真を撮って。写真というと、ほとんどそれしかないんですよ(笑)」

聞き手;
「隊員服を自分で改良したそうですが?」

ひし美氏;
「撮影に入ってから、脇の下の黒い蛇腹を立てる部分に入っていた太いゴムを、キツイからハサミで切っちゃったんです(笑)」

聞き手;
「当時のひし美さんは、どんな女優でしたか?」

ひし美氏;
「あんまりセリフも覚えてなかったし、撮影より、終わってお疲れって言って、みんなで飲みに行く方がいつも頭にあった(笑)。だから、アンヌは私にとって、ライバルというよりも手の届かぬ人。同じ女性として素晴らしいし、頭が良くて優しくて、オールマイティじゃないですか。

優しいとこは私にもありますけども・・・、やっぱり、遊び好きなアンヌでしたね!(笑)」


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
ダンもアンヌも、今は役者業の傍ら、お店の経営もされていることは、かなり有名な話である。ダンは神奈川県鵠沼でライブカフェ『ジョリーシャポー』というお店を、アンヌは東京都調布市でアジア料理の店『アジアンタイペイ』を、それぞれ経営している。筆者は4年程前に、弟と一緒に『ジョリーシャポー』へ行ってきた。

ところが、ダン本人は舞台のため名古屋へ行っていて不在だった。本人には会えず残念だったが、セブンワールドは堪能出来た。ハヤシライスを食べたり、Tシャツやウルトラアイなどのお土産を複数購入したら、奥様がサイン入り色紙をサービスに付けて下さった。大事な宝物である。

今度訪問する時は、ダン隊員がいることを確認の上、行こうと思う。またアンヌ隊員のアジアンタイペイのお店へも、是非行ってみたいものである。
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