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50人のウルトラマン(1) [ウルトラマンこぼれ話1]

ウルトラマンを支えたスタッフたち。当時ウルトラマンを製作するときに手本になるものが無かったため、毎日手探りで懸命に仕事をしたことが、今日でもウルトラシリーズが世代を超えて愛される理由であることは、間違いない。

(第1回)中島春雄(俳優・スーツアクター)
インタビュー;
「ウルトラマン役の彼が立ち回りやったことないからね。だからホントは僕がやられちゃうんだけど、向こうが勝つ芝居を全部僕が殺陣師(たてし)の代わりに教えてあげないとできないんですもん。

ボクがゴジラをやってるときは勝つ身だからいいけど、円谷へいけばウルトラマンに必ずやられちゃうんですからね。だからいかにうまく死ぬかってことをね。見せ場だからね、これが。

震えながら死んでいくのとか、バタバタもがき苦しみながら最後に手足をバタンとね、そういうアクションが無いとね」

ウルトラ怪獣スーツ履歴
ネロンガ;東宝怪獣バラゴンパゴスに改造 ネロンガへ
ガボラ ;ネロンガマグラに改造ガボラへ       
ジラース;言わずと知れたゴジラからの改造
ケムール人2代目;頭部はゼットン星人、胴体はキュラソー星人へ流用

キーラ ;殺し屋のキラーから命名
ユートム;命名はユートピアから。プレートを差替えて3体いるようにみせた

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50人のウルトラマン(2) [ウルトラマンこぼれ話1]

(第2回)実相寺昭雄(監督・故人)と佐々木守(脚本家・故人)

この二人がコンビを組んで作った作品は、ウルトラマンの中でも異彩を放っている。
作品の怪獣たち; シーボーズ・テレスドン・ジャミラ・ガマクジラ・ガバドン

<シーボーズ>
◆意表を突く設定とカメラアングル、それにストップモーションの使い方は、実相寺監督の鬼才が発揮された作品だ。

実相寺監督インタビュー;
「どうも直球の回は担当しなかったから。全部変化球だったからね。飯島さん(監督)の直球の回をどこかで中継ぎする役割かな、ボクは」

佐々木氏インタビュー;
「ボクの考えたものよりもはるかによく作ってくれましたね。特に怪獣の造形なんかは。ボクの脚本は、ト書きを読むと実にいい加減なことしか書いてないんですよ。ガマクジラはガマとクジラの合いの子のような怪獣とかね。宇宙に帰りたいシーボーズとか。ボクのいい加減なト書きをね、実に豊かに怪獣を作り上げてくれてましてね。そういう意味では、当時の円谷プロのスタッフはすごかったですね」


<スカイドン>
◆あまりにも有名なスプーンを握って変身しようとするシーンや、魚眼レンズで撮るフジ隊員の顔のアップは、実相寺演出の極めつけ。

佐々木氏インタビュー;
ボクがウルトラマンやってるっていうんで、石川県の親戚連中がみんな観てるんですよね。僕自身が怠け者でいつも寝てますからね、怪獣を書いても動かない怪獣が多くてね。だからスカイドンを見た親戚たちは、みんな言いますよ。ああ、今回は寝てばかりいるから、あれは守だって(笑)」

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50人のウルトラマン(3) [ウルトラマンこぼれ話1]

ウルトラマンシリーズは1年間製作して50話ほどあるのが普通であるが、初代ウルトラマンは全39話しかない。それにはある理由があった!

(第3回)飯島敏宏(監督)・満田穧(監督)・栫井巍(かこいたかし TBSプロデューサー)


★飯島監督インタビュー★
「ちょっと恐ろしかったな、ウルトラマンは何物にも負けない強いということでやってきたから。ウルトラマンよりも強いという、これは悪ですからね。一番強いものよりも強いものに対して捧げる言葉が悪だとしたら、そういうものの存在っていうのは怖いし、そういうものは無いと思って作ってましたからね」


★満田監督インタビュー★
「放送局のプロデューサーが、この調子で言ったら放送に間に合うかねって言ったから、間に合いませんって答えちゃったもんで、じゃあ止めようということになって。普通だったら前後編とか使って最終回をやるんだけど、突如一本だけで止めてるわけですよね。

だけど一旦帰っていくんだから最後ではないなと思っていたし、また間に合うようなことになれば、帰ってこさせればいいんだなと思っていたしね」


★栫井プロデューサーインタビュー★
「もうギリギリでとても制作能力が追い付かないと。もう放送寸前で持ち込みというような状況になってきたんで、これはもうあきらめざるを得ないと。こっちは何とかして続けられないかと何度も申し入れたんですけど。

円谷側の制作体制が整わず、間に合わない、しばらく休みたいとかいうことなので、それならいつできるかわからないので、それなりにどこかへ消えるとか居なくなるとか、カッコイイ最終回を作ってくれと申し入れたんです」

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50人のウルトラマン(4) [ウルトラマンこぼれ話1]

★市川森一(脚本家・故人)

ウルトラセブンからシリーズに参加し、ウルトラマンAではメインライターとして数々の名作を手掛けた。しかしながら1クール消化した時点で降板してしまう。市川が企画段階で提示した要素が全て排除されてしまい、ウルトラシリーズに対する情熱を急速に失ってしまったからと述懐している。

しかしメインライターの責任として最終回を書くようにプロデューサーから言われ途中復帰、第48話と最終話の2本を書いている。

《ウルトラマンA脚本》
第1話(ベロクロン)・第4話(ガラン)・第7・8話共作(ドラゴリー他)・第9話(ガマス)・第14話(バラバ他)・第48話(ベロクロン2世)・最終話(ジャンボキング他)

(インタビュー)
市川氏;
「みんな二十代でしたしお金が無くて貧乏だったし、どうなりたいっていうことはないんですよ。とにかくもう夢がいっぱいで、その夢を形にできるっていうだけでみんなワクワクしてたし。円谷プロというのはその頃はまだ木造のね、汚いところだったんですよ。

そこに行って朝から晩までセブンの話をして、仕事が終わってもみんな別れづらくてね、東京の成城学園から祖師ヶ谷大蔵の道を皆で歩いて、そうすると必ず行きつけのお店が何軒かあって。そこでまた話す話は結局セブンの話しかないんですよね。そういう日々でしたよ。

ちょうどテレビが普及しましてね。その前ボクは円谷プロで快獣ブースカを書いていました。ブースカはまだそのころ白黒です。ボクも白黒からカラーのテレビが買いたくて買いたくてね。そうするとね、ボクはウルトラセブンの台本を5本書けば買えるかなとかね、安いギャラだったんですかね(笑)。

それともテレビが相当高かったということもありますね。そういう新しいメディアが出てきた時にボク達がこういうSFをやるっていうね、そのメディアに乗ってやるっていうね、そういう意気込みが今とはちょっと違うかもしれませんね」
(つづく)

タグ:市川森一
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50人のウルトラマン(5) [ウルトラマンこぼれ話1]

★市川森一(脚本家・故人)

(前回から続き)
聞き手;
「今の若者と比べて、当時は正義感というか自分の力でまだ世の中に何かをアピールしていこうという気持ちが強かったと思うのですが・・・」

市川氏;
「正義感は強くありましたね。また時代が丁度ベトナム戦争が起きましたし学生運動がずいぶん活発になっている時期でしょ。金城哲夫・上原正三などは沖縄の出身者ですから、沖縄返還がなるかならないかというときですよ。そういうものが作品に反映しないわけがないですよ。

金城哲夫の《ノンマルトの使者》なんかはね、侵略者は宇宙人でウルトラセブンが正義の味方のはずなのに、人間こそがほんとは侵略者ではないのか、そういうとこにまで思いが行きつくんですよ」

聞き手;
「市川さんがセブンやウルトラ兄弟を通して、最も訴えたかったことは何ですか?」

市川氏;
「目に見えないものですね。物質文明とは一体どういう文明なのかということを、テーマとして考えなくてはならない時でしたね。高度成長時代ですから、物があれば幸せなんだという考えがはびこってる時代でしょ。いやそうではないんじゃないかと。

我々は目に見えるものだけじゃなくて、目に見えないものにも目を向けたらどうなんだと。目に見えないものこそが、永遠に続いていくんじゃないかと。そういう想像力でですね、無意識に物質文明批判みたいなものをして、言葉で言ってしまえば心とか愛とかいうものを見直そうという思いをね、二十代だったから・・・」

聞き手;
「二十代でそういう思いを持っていらしたことは、見事ですね。それをこういう形で実現できるということが、あの時代のすばらしさだったですね。」

市川氏;
「時代のすばらしさと同時に、円谷プロのそこがすばらしさですよ。こういうものを書きなさい、こういうテーマで書きなさいということを企画室長の金城哲夫以下、だれもそれは言わない。ですから5人作家がいれば、五つのウルトラシリーズがあるんですよ」

(おわり)
タグ:市川森一
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