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戦え!ぼくらのミラーマン(1) [ミラーマン・ドラマ1]

円谷プロが1971年12月から放送した新ヒーロー、『ミラーマン』。 そのデザインは人間と2次元世界人との混血児らしく、スマートでカッコイイの一言に尽きる。しかしその世界観は、過去のウルトラシリーズと比べると、著しく暗い感じがする。

暗いというよりも、ドラマの恐怖感の度合いが増したという言い方が、適当かもしれない。ウルトラシリーズとの差別化のための方針ではあるが、かなり冷たさのようなものを感じる。

そもそも本作の企画は、退職した金城哲夫氏が円谷プロへの置き土産として執筆した原案を基に、田口成光氏や満田かずほ氏が手を加えて、本格的な番組企画書としてまとめたのが発端であるという。筆者は小学館の学年雑誌の連載で、ミラーマンを読んでいた記憶がある。

ただし雑誌のミラーマンは、実写版とはデザインにおいて大きく異なっていた。ちょうど、近年上映された映画『ウルトラマンゼロ ザ・ムービー』に出ていた『ミラーナイト』に、近い感じだった気がする。顔のつくりがゴーグルをしたような目に鼻と口ではなく、四角形を何枚かつないで構成したような顔面であったように思う。

いま『ミラーマン』をふたたびCS放送で見ることが出来るので、2次元から来たヒーローのドラマについて、大人の目からみた感想など書いてみたいと思う。

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
第7話《打倒!人体侵略作戦》

物語は、男が湖でモーターボートを操縦している場面から始まる。突如UFOがボートの上空に現れて、男の母親と恋人の見ている前で、男に怪光線を照射する。男はボートの操縦を誤り湖岸に激突して頭を打つが、何でも無いと言い張る。

男は『秘密兵器ソルガン』を開発中の研究員、岡山であった。大倉博士が中心になって開発中のソルガンが、インベーダーにとって脅威となるのであった。

今回のゲスト出演者に、菱見百合子(現・ひし美ゆり子)氏がいる。岡山の恋人・冴子を演じている。ウルトラセブン終了から4年程経っているだろうか、美しい大人の女性という感じがする。

あの事故以来、人が変わってしまったことを鏡京太郎に相談する恋人・冴子。京太郎も友人・岡山の異様な行動を何度か目撃して、御手洗博士に相談する。そして岡山の身体をインベーダーが乗っ取っていること、ソルガン研究阻止が目的であることに、思いいたる。

御手洗博士は『岡山君は生きている、身体を乗っ取られているだけだ』という。岡山とインベーダーの頭部レントゲン写真を比較する御手洗博士。岡山の頭のレントゲン写真に異常はない。

インベーダーの頭の中は、脳みその代わりに星マークが4つあるだけだからだ(笑)。 『★4つですぅ!』 星マーク4つだけしかない頭で地球侵略を考えつくインベーダーを、ほめたいと思う(笑)

岡山が段々と険しい顔つきに変貌していき、ついに大倉博士を手にかけようする。SGMのメンバーと京太郎は襲い掛かる岡山を必死に制止するが、インベーダーはついに、岡山に怪光線を浴びせてゴールドサタンへと変身させた。ゴールドサタンのお顔が、どこぞのこけし人形みたいでマヌケだ。変貌した岡山の顔の方が、よほどこわい。

京太郎は、ミラーマンに変身しながら考えていた。御手洗博士の言う『岡山君は生きている、身体を乗っ取られているだけだ』という言葉を。どのようにして彼を救えばよいのかを。とどめの一撃を撃とうとした時、岡山の母の声がした。ミラーマンは、岡山の身体に衝撃を与えずにゴールドサタンを倒せる技(ミラーハレーション)を繰り出した。

様子をうかがっていたUFOが、急いで逃げていく。すかさずミラーアイビームを浴びせて、一撃で破壊した。やがて岡山は元の姿に戻り、母と冴子のふたりに支えられて、穏やかな顔が目を覚ました。

ところで、今回のテーマは愛だ。恋人・冴子が岡山を思う愛、それに岡山の母がわが子を思う愛である。わが子が変貌してしまっても、なんとか元に治そうと必死に努力する母の愛の力。恋人と母の愛が岡山を救ったのだと、京太郎は思った。  (終)
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戦え!ぼくらのミラーマン(2) [ミラーマン・ドラマ1]

 第8話《鋼鉄竜アイアンの大逆襲》
監修;円谷一 
脚本;山浦弘靖 
特殊技術;高野宏一 
監督;満田かずほ


ミラーマンを取り上げる第2回目は、京太郎の出自をめぐる心の葛藤をインベーダーに突かれてしまう話である。ミラーマンである鏡京太郎は、母が地球人、父が2次元人である。京太郎は母・鏡ゆうこの夢を見てうなされているところを、起こしにきた御手洗朝子に見られてしまう。

事情を知らない朝子に、その幼さを揶揄されて御手洗博士の前で笑われてしまう京太郎。それでも京太郎は、母のことが気がかりでならない。御手洗博士の前で、『普通の人間では無くミラーマンとして自分を生んだ母を、憎んでいる』と言い切る京太郎。

そういいながらも、インベーダーに追われる母の身の上を心底から心配していることを知り、地球を守る超人である前に一人の青年である京太郎に、御手洗博士は何も言えない。インベーダーはそんな京太郎の心の隙間を突いて、ミラーマンをワナに掛けようと謀る。

誰でも母や父を憎む時期が、一度はある。反抗期というヤツがそれだ。それが思春期の中にはあって、それを通り越して大人になるのだ。自分一人で大きくなったわけでは無いことを、その時期を通り越して知るのである。そしてそれを知った時、両親に感謝するようになる。

鋼鉄竜アイアンに宇宙ミサイル基地を攻撃させようと画策するインベーダーは、邪魔なミラーマンを光の届かない地下室へ閉じ込めておく作戦を企てる。京太郎の部屋の写し鏡の中に、母・ゆうこの幻影を見せるインベーダー。

母の面影を使ったこの作戦に、京太郎はまんまとおびき出されて、廃屋の地下室に突き落とされてしまう。インベーダーの声は、納谷悟朗氏。あの独特の声は、ショッカー首領の声でお馴染みだ。ワナに落ちた京太郎をあざ笑うその声は、ベストマッチ!である。

京太郎は自分の心の弱さのために、まんまとワナにかかってしまった自分を恥じた。『先生、すみません』 だが、悔いてももう遅い。『処刑だ!』突然現れてナイフで襲い掛ってくるサングラスの男。どうにか退けたものの、光の届かない暗い地下室の中では、ミラーマンになれない。

サングラスの男が落としていったナイフが1本、落ちていた。女々しく泣いていた京太郎の後悔の涙が、ナイフに1滴落ちてキラリと光った。
『俺の涙が・・・』

その瞬間、京太郎はミラーマンに変身! 航空自衛隊の爆撃もアイアンには通用しない。そのとき、ミラーマンが出現。アイアンの怪光線の攻撃をディフェンスミラーで退け、ミラーナイフでとどめを刺した。

ナレーションが語る。地球を侵略者から守るという大事な使命が終わるまでは、京太郎に母はいない。このナレーションは、何かを超えた、吹っ切れたということを意味しているのだろう。御手洗朝子は、京太郎に言う。
『私の母はこの世にもういない。でもあなたのお母さんは、まだ探せる。だから幸せね』

朝子の方が、よほど大人だ。だが、京太郎の言い分も分かる。超人ミラーマンとして生まれるより普通の人間として生まれて、恋もしたい、遊びたいと言う京太郎。新マンが、郷秀樹=ウルトラマンの成長ドラマであったように、ミラーマンも京太郎の人間としての成長ドラマであるのかもしれない。


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戦え!ぼくらのミラーマン(3) [ミラーマン・ドラマ1]

《第17話 罠に落ちたミラーマン》
監修;円谷一 
脚本;山浦弘靖 
特殊技術;矢島信男 
監督;志村 広

◆毎朝新聞社の記者でもある鏡京太郎は、女性ジャズシンガーの取材をするため、とあるマンションを訪れていた。取材相手の女性シンガーの部屋へ入ろうとチャイムを鳴らすが、返事が無い。ドアが開いているので中に入ってみる京太郎。しばらくすると、電話が鳴った。

取材相手が現れないので、京太郎が代わりに電話を取ると、電話の相手はなんとインベーダーだった。京太郎にささやく様に話すインベーダー。
『午後三時ちょうどに、透明怪獣が東京湾に停泊中の原子力船マリーナ号を襲う。この船が爆発したらどうなるかな?』

だがインベーダーは、京太郎がこの怪獣を倒すことは出来ないと断言する。京太郎が守ろうとしている地球人によって、京太郎が捕まってしまうからだという。京太郎はバスルームで死んでいる女性シンガーを発見するが、その時に警察官がやってきて現行犯逮捕されてしまう。

その頃SGMは謎の物体を追って、レーダー監視を続けていた。鏡京太郎が殺人の罪で警察に追われていることを知った御手洗朝子は、父の御手洗博士に掛け合ってくれるよう懇願するが、謎の物体の正体を監視しなければならないことを理由に、京太郎のことは後回しにされてしまう。

『京太郎さんは、私たちにとって家族同然なのよ!』 
朝子は冷たくあしらう御手洗博士を見限って、自分で何とかしようと決心した。御手洗博士は、心の中で叫ぶ。インベーダーの罠から、なんとか一人で切り抜けてくれと。

警察に手錠をかけられて、パトカーに乗せられようとしている鏡京太郎。発車直前にパトカーから逃げ出した京太郎は、両手に手錠をかけられたままの状態で逃走を図る。
『怪獣を倒せるのは、ボクだけだ』

京太郎は割れた鏡を見つけるとミラーマンに変身しようとするが、両手が手錠の為に左右に開かず、ミラーアクションが出来ない。ミラーアクションが出来なくては、ミラーマンに変身出来ないのだ。

自動車の廃工場跡地に隠れている京太郎は、そこで一人の少女に出会う。両手が自由になるためには、鎖をヤスリで切るしかない。京太郎はその少女と友達になると、ヤスリを探してくるように頼む。少女は約束のしるしとして髪飾りのバッジを京太郎に渡す。

バッジにはスマイル(笑顔)マークが付いていた。少女は約束通りヤスリを持ってくるが、鎖を切っているところを警察官に見つかり、ついに逮捕されてしまう。留置場に入れられた京太郎は、失意のどん底にいた。怪獣が原子力船マリーナ号を襲うまで、あと15分しか無い。

京太郎は取り調べで、怪獣のこと、インベーダーのこと、無実であることを訴えるが、刑事たちは全然信用しようとしない。一方東京湾に突然怪獣が出現して、暴れ始めた。SGMに怪獣出現の連絡が入るが、急に姿を消してしまった。出現しては消える、怪獣は透明怪獣だったのだ。

どうする、SGM!留置場内の京太郎は焦っていた。『畜生!もうだめだ』そんな時、胸ポケットの中に入っていたバッジが、床に落ちて転がった。あの時少女がヤスリを持ってくる約束として京太郎にくれた、あのバッジだった。留置場の中では、手錠はかかってない。

京太郎はバッジの反射光目がけて、ミラーアクションをした。
『ミラー スパーク!』

ミラーマンとの戦いの中で、怪獣は透明化して姿を消す。ミラーマンは怪獣目がけて石油タンクを投げつけて、重油を身体に塗った。透明化しても重油が付いた部分だけ見える怪獣に、ミラーマンはミラーナイフを放ってとどめを刺した。

『御手洗博士から、インベーダーの恐ろしさを聞きました』 
そう言われて、警察を無罪放免になった鏡京太郎。SGMの隊員や朝子と一緒に、あの時の少女も京太郎を迎えに来ていた。京太郎は少女にバッジを返して髪飾りとして付けてあげ、感謝するのだった。(おわり)


★★★★★★★★★★★★
今回は、ミラーマンの思いもよらぬ、大きな弱点が露呈した。光る物が無いと変身出来ないだけではなく、「ミラーアクション」が出来ない状態でも、やはり変身出来ないということだ。『両手を左右に広げて、それから頭の上に持っていき、身体の前で両手を付ける』のが、ミラーアクション。

変身道具が無いと変身出来ない初代マンやセブン。危機に直面する必要がある新マン(のちに自分の意志で変身できるようになるが)。変身に関して、ミラーマンには二つの条件をクリアする必要があったのだ。

新マンの坂田兄妹と郷秀樹のように、御手洗家と鏡京太郎は家族同然の間柄という設定。京太郎は朝子の恋人ではないようだが、朝子の方は京太郎のことを慕っているのがよくわかる。

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戦え!ぼくらのミラーマン(4) [ミラーマン・ドラマ1]

第12話《出たっ!シルバークロス》
監修;円谷一 
脚本;安藤豊弘
特殊技術;高野宏一
監督;黒田義之

◆銀座や新宿の宝石店で、昼下がりに客の目の前でダイヤモンドだけを強奪する事件が頻発した。店員の証言から、犯人は黒いサングラスに黒いドレスを着た女性で、警察はモンタージュ写真を作って警戒した。

犯人の女は店内で小さな機械をバッグから取り出すと、その機械から強力な光が出て、一瞬のうちにダイヤを奪い取るという。ところが新宿ローズと通称されるその女は、鏡京太郎の新聞社の調査で、3か月前に事故で死亡していたことが判った。

京太郎は、女の正体がインベーダーではないかと推測した。女がインベーダーなら、ダイヤを奪う目的は何か?御手洗博士は現場に残された機械の破片を見て、最近「スーパー光学」社が開発した集光器に似ていると言う。

「スーパー光学」社はその部品をみて自社製品であることを認めるが、それは「ミラクル電子工業」の吉川技師長からの依頼だという。ところがミラクル電子工業では、会社としての発注はしていないという。また吉川は女の事件発生直後から行方不明であった。

吉川技師長個人の発注なのか?そんな中、また事件が起きる。御手洗博士は今まで判っている事柄から、女が使う装置は「物体移送マシン」ではないかと推測する。

一方SGMは、ここ1か月の間に吉川技師長宅上空に、未確認飛行物体が頻繁に現れていることを突き止める。さっそくSGMと京太郎は吉川技師長宅へ出向くと、吉川の奥さんから吉川の書斎で壁の中へ消える女の姿を見たとの証言を得る。

そんな折、新宿ローズ姿の女が吉川家へ現れて息子・勇を誘拐しようとする。京太郎は間一髪子供を救い、女は消えた。消えた女の後に、イヤリングが落ちていた。

このイヤリングと宝石店にあった機械の残骸から、御手洗博士はすべてを把握した。宝石店に女が持ち込んだのは物体移送マシンであり、イヤリングは女に指令するための受信装置だった。物体送信装置を宝石店に持ち込んでダイヤを奪い、インベーダーのアジトにある物体受信装置でそのダイヤを受け取るのだ。

受信装置を逆探知して、京太郎は女から未使用の物体移送マシンを奪うことに成功する。京太郎は考えた。ミラーマンとなって、移送送信マシンからインベーダーのアジトに侵入するつもりだと。御手洗博士の制止を振り切って、吉川とその息子のために、京太郎はミラーマンに変身した。

移送マシンの受信装置からミラーマンが飛び出してきた場所は、インベーダーのアジトなのか、そこは異次元の世界だった。ゴールドサタンが、そこに待っていた。迷路のような異次元に隠れながら、ゴールドサタンは攻撃を仕掛けてくる。

敵地にいては、ミラーマンは思うように攻撃出来ない。スライサーHを放って胴を切断しても、元通りに再生するゴールドサタン。ミラーナイフが効かない。追い詰められるミラーマンは、切り札シルバークロスを使った。ミラーマンの両手が上下にクロスすると、光の矢がゴールドサタンに突き刺さった。

口から緑色の血を流して倒れるゴールドサタン。このシルバークロスは、エネルギーの消耗が著しく激しい技だ。早く鏡の世界へ戻れ、ミラーマン。

捕えられていた吉川を救いだし、無事に戻ってきた京太郎。インベーダーは地球侵略基地を造るために多量のダイヤを必要としていたことを、SGMの調査は突き止めていた。一方吉川の家では、息子・勇の誕生パーティが家族三人で静かに始まっていた。 (終わり)


★★★★★★★★★★★★
ミラーマンは、1話完結のようで全体の流れは継続している。すなわち、インベーダーの地球侵略というのが大テーマだ。つまりセブンとエースをたして二で割ったような感じだ。ひとつの悪がいて、地球侵略の為に様々な事件を起こすという設定だ。

今回は筆者の知っている顔が、たくさん出演している。まず、宝石強奪事件を知らせるニュースのアナウンサーが、故・逸見正孝氏。とても若かった。本名の逸見政孝で、ニュースを読んでいる姿が登場する。そういえば、ミラーマンはフジテレビだったな(笑)

京太郎の新聞社デスクに、村上不二夫氏。結構有名な俳優さんだったな。ワイドショーの事件レポーターなどもしていたけど、新マンのミステラー星人・善玉の人間体を演じた人といえば、お分かりになる方もいらっしゃるはず。

それに、吉川技師の奥さん役に、嘉手納清美氏。ダン対セブンの決闘のサロメ星人・女性といえば、お分かりでしょう。なお女優を引退されて、現在は新宿で沖縄料理店・南風を開いていらっしゃるとの情報があります。

最後にこの回の怪獣(怪人?かな)はゴールドサタンだが、名称がザイラスとなっている。スーツアクターは梅田信一氏、ミラーマンは西条満氏である。

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戦え!ぼくらのミラーマン(5) [ミラーマン・ドラマ1]

第10話《時計が止まった街》
監修;円谷一 
脚本;若槻文三 
特殊技術;高野宏一 
監督;鈴木俊継

◆ある日、ナミオカ市の中心部に巨大な物体が出現した。ウニのようなトゲを6本持ち触手のような腕を伸ばした鋼鉄製のその物体はビルを破壊して出現すると、緑色の光を出し始めた。その光は空間のように街を包んで、どんどん周辺へ広がっていった。

その頃、ナミオカ市の上空を通過中の旅客機グリーンバード918便が、突如消息を絶った。SGMがレーダーでそれを監視していたが、旅客機は空中で静止している状態だという。ナミオカ市へ呼びかけても応答がない。人口100万の大都市ナミオカ市は、完全に沈黙してしまっていた。

その頃SGMに、日野という人物から電話が入った。日野は元SGMメンバーだった男で、電話の内容は脅迫であった。御手洗博士に日野は言う。
『今ナミオカ市は、時間の止まる壁に包まれている。俺の理論と連中の科学力とが、あの町の重力をコントロールしているんだ。アハハハハ!』

勝ち誇ったように笑う日野。町を包んだ緑色の泡のように見える空間は、少しずつ周囲へ広がっている。SGM専用車でナミオカ市へ急行する途中警報音が鳴り、SGMと鏡京太郎は前方に止まっている車が、静止したまま動かないでいるのを目撃する。
『チーフ、時計の針が少し遅くなっています』

前方にみえる緑色の空間の影響が、車の直前に迫っていた。車を降りた京太郎は、村上チーフの制止を振り切ってその緑の空間の近くへ行ってみると、そこには日野とインベーダーがいた。

京太郎は顔見知りの日野に言う。
『インベーダーに、魂を売ったのか!』
日野は反論した。
『俺の才能を認めない御手洗を、俺は見返してやったんだ!』

その頃、巨大な宇宙船が地球を目指して飛んでくることを、SGMはキャッチしていた。インベーダーは、ナミオカ市を地球侵略基地にするつもりなのか。ナミオカ市を包んでいる緑色の壁は広がり続け、あと2時間後には東京もその範囲に入ってしまうことが計算で判った。
『先生、あの緑色の壁を突破する方法は無いんですか?』

『あの壁を突破するにも脱出するにも、光以上のスピードが必要なんだ』
御手洗博士のこの発言に、この危機を救えるのは自分しかいないことを、京太郎は悟る。ミラーマンとなって光速で突破すれば、あの中へ入れるだろう。

だが死ぬかもしれない。しかし・・・僕はやる。京太郎は決意する。するとインベーダーが京太郎を狙ってきた。逆襲してインベーダーをアジトに追い詰めると、そこに日野も潜伏していた。インベーダーは計画通りに事が進むと、用済みになった日野の首に薬を打って殺しにかかった。

京太郎が日野のもとへ駆け寄った時、すでに日野は意識がもうろうとしていた。日野は懺悔した。
『奴らの科学力で、俺は重力マシンを、造りたかった、んだ。あそこへ行けるのは、インベーダーと、光だけだ・・・』

『光・・・』
もう時間が無い。京太郎は覚悟してミラーマンに変身した。ナミオカ市を包む緑色の壁を光速で突破すると、重力マシンにミラーナイフ、スライサーVと撃つが、跳ね返されてしまう。

中から破壊するしかない。光速で重力マシンの中へ突入すると、そこには3人の、初めて見るインベーダーの実体がいた。人間や怪獣に変身して地球を狙うインベーダーの実体は、全身が黒い胴体で、頭にはヒレが付き、顔には鼻も口も無く、ゴーグルのような形の目玉無き目をもった不気味な姿であった。

三人に囲まれて攻撃を受け、窮地に陥るミラーマン。この空間に長くとどまるのは危険だ、ミラーマン。早く脱出するのだ。三人攻撃を一人ずつに分断し、ミラーナイフとスライサーV、スライサーHでとどめを刺した。

ミラーナイフを重力マシンの内側から撃ち込んでミラーマンは脱出すると、重力マシンは大爆発を起した。緑色の壁は消え、巨大宇宙船は諦めたように進行方向を変えた。ここに地球の危機は去った。  (終わり)


★★★★★★★★★★★★
今回は直接ストーリーに関わりが無いので省いたが、SGMの元隊員・日野と女性隊員・野村とのロマンスが織り込まれている。一年前にSGMを辞めて消息不明だった日野は、野村隊員と恋仲であったという設定。御手洗博士に認めてもらえなかった才能をインベーダーに認められて、悪用されることを薄々知りながらも、恋人よりも自分の夢の実現を優先した。

結果、利用されて殺害されてしまうという話だ。ウルトラセブン第29話『ひとりぼっちの地球人』を思い出す。ソガ隊員とそのフィアンセが発端となって展開する話で、城南大学の天才科学者・一之宮が、丹羽教授に化けたプロテ星人に、優秀な才能を悪用されてしまうという話に似ている。

信頼できる、良い宇宙人だと思いこんでいた(騙されていたわけだ)が、悪用されたことを知り、地球を守るために教授と共に命を絶つ一之宮と違い、悪事に利用されることは解っていながらも自分の欲望を優先した日野は、人間的には許せない人物だ。あわれなその男を想っているような野村隊員の悲しそうな横顔のアップで、番組は終わる。
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