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マグマ大使(7-1) [マグマ大使・ドラマ3]

今回は、第41話『まぼろし怪獣バルザスの猛襲』を取りあげます。 

 原作:手塚治虫 
 音楽;山本直純
 脚本;内山順一朗
 特殊造型;開米栄三   
 監督;船床定男
 特技監督;小嶋伸介

〖まぼろし怪獣バルザス〗登場


◆ゴアが嫌うもの、それは平和である。地球人が平和に暮らしていることが、ゴアには気に入らない。ゴアは人類から平和を奪い、容赦なく徹底的に破壊するよう、部下の人間モドキたちに命令していた。

人間モドキの一人が指令室に入るなり、ゴアに話かけた。
『ゴア様、怪獣バルザスの準備ができました』

子供たちでにぎわう遊園地に突如出現した、全身が緑色のウロコ状の皮膚に覆われた怪獣バルザス。なんの前触れもなく、突然姿を現したのだ。観覧車を破壊し、乗用汽車を踏みつぶす一つ目怪獣バルザス。遊びに来ていた子供も大人も、みんな笑顔で逃げて行く。

国際緊急出動隊(スクランブル隊)が遊園地に到着した。すると、なぜかバルザスは逃げて行く。ゴアが円盤に乗って現れ、スクランブル隊の海老名隊長や村上・木田の前で妙なことを言うのだ。
『追ってもバルザスは捕まらん。幻の怪獣だからな。今度こそ、この地上の平和を残らず破壊してやる。ガハハハは』

バルザスは、今度は奥多摩の発電所に現れた。東京の遊園地かと思えば、奥多摩の山奥に出現するバルザス。どうやって移動しているのだろうか、スクランブル隊の裏をかく様に出現するのだ。アースでも、バルザスの正体がつかめない。マモルに呼ばれたガムは、早速ふたりで偵察に出かけるのだった。

バルザスが出現した付近を低空飛行して、よく観察してみるガムとマモル。二人は地上に続いている巨大な足跡を発見する。それを追跡してみると、その足跡は途中で消えてしまっていた。足跡が消えた付近で地上に降りて方々を探してみるが、手がかりは見つからなかった。

そんな時、二人の前方の地面が急に凹んで、足跡だけが右、左と付いていく様子をふたりは見る。草陰に隠れたマモルは、急ぎ笛を吹いてマグマ大使を呼んだ。
『マグマ大使!ピロピロピー、ピロピロピー、ピロピロピー』

マモルに呼ばれ現地へ到着したマグマ大使だが、バルザスの姿が無い。すると、マグマの前方にスーッと姿を現すバルザス。大きな一つ目がキョロキョロと左右に動く。目の前に現れたので、つかみかかろうとするマグマ。だが、スーッといなくなってしまう。

もう一度出現した時、マグマはツノから熱線砲を発射した。だが、バルザスの身体をすり抜けて、うしろの崖を破壊してしまうのだった。ダッシュしてつかみかかろうとしたマグマだが、バルザスはまたしても姿を消していなくなってしまうのだった。すると上空にゴアが円盤に乗って現れた。

『マグマ、どうだ俺様の怪獣は!姿を消されては、手も足も出まい。ガハハハは』
『ゴア、強がりはよせ。姿を消して荒らし回ることを、地球ではコソ泥という。落ちぶれたものだな、ゴア。地球欲しさにコソ泥にまで成り下がったか!』

マグマ対ゴアの口論は、どうやらマグマに軍配が上がったようだ。マグマの言葉に腹を立てたゴアは、マグマに破壊光線を一発見舞うが、素早く避けたマグマはすぐに腹部からミサイル数発を発射して、ゴアの円盤近くの空域で爆発した。反転して、ゴアの円盤は去っていった。

マモルとガムは、父の勤めるNPI東京支局へ行き、今見てきたことをすべて村上と木田に話した。バルザスは、自分の姿を自在に消すことが出来るが、その足跡は残る。今までスクランブル隊の警戒網をくぐり抜けてバルザスが出現できたのは、このためだ。もしバルザス攻略の糸口があるとするなら、この足跡がポイントになるだろう。

東京支局に電話が入り、バルザスが上野動物園で暴れ始めているという。木田はスクランブル隊に連絡を取り、マモルとガムが持って来たバルザスに関する情報を、海老名隊長に伝えた。上野動物園でバルザスが暴れれば、猛獣が逃げ出す恐れがあるので、何としてでも食い止めなければならない。

動物園に到着したスクランブル隊と木田、マモル、ガム。だが、バルザスの姿はどこにも見えない。どこかに姿を隠しているのだ。咆哮(ほうこう;獣の吠える声)はするが姿が見えない。バルザスに翻弄される、スクランブル隊とマモル達。

その頃、火山島基地では、ようやくアースがバルザスの正体に迫っていた。
『解ったぞ、マグマ。バルザスは植物怪獣じゃ。動物と植物との間に生まれた怪獣じゃ。普段は動物の姿をしておるが、養分を土の中から取るため、その時は植物に姿を変えるのじゃ』

栄養を取る時は植物に姿を変えるというバルザス。時には大木に、時には可憐な花に姿を変える。バルザスの姿を見失ったのは、見失った場所の付近で花か大木に姿を変えていたために、気づかなかったのだ。

ガムとマモルは、破壊された遊園地に偵察の為に訪れていた。バルザスは繁華街や遊園地、動物園など、人々が楽しむ場所を急襲している。ゴアは、人間が平和で楽しむ姿を憎んでいる。そのためにこのような娯楽場所を襲うのだ。

突然、足跡だけが地面を左、右と進んでいく。すると、途中で足跡の進行が止まり、きれいな一輪の花が咲いているのをガムは見つける。ガムは、アースの話を思い出していた。
(時には大木に、時には可憐な花に変わる・・・)
『マモル、バルザスを見つけたぞ!』

ガムは、一輪の花に向けてツノから熱線砲を発射した。すると花は、あっという間に巨大なバルザスに変化した。すぐにマグマ大使を呼ぶマモル。「カシーン、カシーン」ロケットから人間型へ変身して、怪獣バルザスと対峙するマグマ大使。マグマ大使のチョップが、バルザスの頭部に突き刺さる。だが・・・。 (つづく)


★★★★★★★★★★★★
今回と次回の2回分では、ガム役の二宮秀樹氏が出演はしているものの、声は代役を立てて野沢雅子氏が行なっている。理由は特撮用火薬で同級生に怪我を負わせて、アフレコに参加できなかったためとされる。なんだか風大左衛門に似てるなと思ったよ(笑)

ゴアを演じられていた大平 透氏が、今年(2016)4月12日に亡くなられました(享年86)。
改めまして、ご冥福をお祈りいたします。(合掌)

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マグマ大使(7-2) [マグマ大使・ドラマ3]

今回は、第42話『マグマ大使とバルザスの激闘』を取りあげます。 

 原作:手塚治虫 
 音楽;山本直純
 脚本;内山順一朗
 特殊造型;開米栄三   
 監督;船床定男
 特技監督;小嶋伸介

〖まぼろし怪獣バルザス〗登場

【前回までの話は…
ゴアが送り込んできた怪獣バルザスは、姿を自在に消すことが出来る怪獣であった。空を飛んで来るわけでも、地底を掘り進んでくるわけでもなく、その姿をいきなり現すバルザスに、スクランブル隊は翻弄されていた。だが、アースによってバルザスの消えるカラクリが突き止められ、対策はバルザスが消えた付近に咲く植物を探すことだと知る。バルザスの足跡に咲いた可憐な植物を見つけたガムは、熱線砲で攻撃した・・・】

◆ガムの熱線砲に、たまらずその巨大な姿を現すバルザス。マモルの笛に呼ばれたマグマ大使は、遊園地でバルザスとふたたび対決する。

バルザスの素早い動きに、マグマ大使は苦戦する。だが、マグマのチョップがバルザスの頭部をとらえ、台地に倒れたところにミサイルを撃ち込んだマグマ大使。するとバルザスは、3方向に生えた頭部のラッパ形の器官から、白い煙のようなものを吐き出しながら姿を消してしまった。

すると、突然ゴアの円盤が出現し、嘲り笑うようにマグマに話しかけるのだった。
『マグマ、その白いのは煙ではないぞ!バルザスの身体から舞い上がった花粉だ。それも恐るべき有刺花粉(ゆうしかふん)だ。人間をひと刺しで殺す針を持った花粉だ!』

マグマ大使は、漂う白い煙のようなモノを手ですくってみた。
『ああ、これは・・・』
それは羽毛布団の羽毛のように小さく白い羽根の形をしているが、先端には鋭い針が付いている。それが風に乗って、どんどん舞い上がって飛んで行くのだ。

『マグマのミサイル砲が、その花粉を舞い上げたのだ。お前のおかげで、何人もの人間が死んでいくのだ、ガハハハ』
『卑怯だぞ、ゴア!』
『卑怯?俺に言わせれば、お前と俺との知恵の差だ!ガハハハ』

町中でバタバタと倒れる人が続出した。渋谷の街で、東京タワーで、悲鳴を上げて倒れていく人々。上空に停滞した円盤からその様子を見ていたゴアは、ご満悦であった。都内全域に外出禁止令が出され、マモルの家でも雨戸を閉め切って静かにしていた。

火山島に帰ったマグマ大使は、この失敗を悔やんでいた。だが、大事なことは失敗を悔やむことではなく、次の対策を立てることだと、アースに諭される。アースはバルザス対策として何か考えがあるようだが、姿を消しているので探し出すのが厄介だ。バルザスを早く見つけ出すよう、アースはガムに指示をした。ガムはマモルを連れて、飛び出していった。

遊園地にバルザスが現れ、有刺花粉をまいていた。現場に到着したスクランブル隊は、花粉に刺されてバタバタと倒れていく。仕方なく、残りのスクランブル隊も、マモルや村上、木田も、車の中に退避するしかなかった。

姿を消したバルザスを追って、ガムはひとりでバルザスの足跡を追って行く。ロケット人間のガムには、有刺花粉は効かない。だが、ガムもバルザスを見失ってしまう。

遂にゴアは、最後通告をしてきた。1時間以内に降伏しなければ、バルザスを爆破するつもりでいた。風に乗り海を渡った有刺花粉は地球全体に広がって行き、やがて人類は死に絶えるかもしれない。

あと1時間以内に対策を打たなければ、大変なことになる。スクランブル隊本部にいるマモルや村上達は、だが打つ手が無かった。1時間では時間が足りないのだ。ふと村上が、つぶやく。
『あの遊園地一帯に、催涙弾を撃ち込んでみては。もしバルザスがいれば、苦しくなって姿を見せるんじゃないですか?』

やってみる価値はある作戦だ。防毒マスクと手袋で完全武装したスクランブル隊が、遊園地一帯に催涙弾を撃ち込んだ。案の定、隠れていたバルザスは、苦しくなって姿を現した。だが通告時間まで、あと20分しかない。マグマ大使を呼ぶマモル。

火山島基地では、呼び出しの笛を聞いたマグマが出撃しようとしていた。だが、ガムには不安があった。ミサイルは使えない。熱線砲も効かないバルザスと、どう戦うというのか?
『ガムよ。敵に向かう時には、勝ち負けだけを考えていくものではない。自分が起こす行動が、何のために、どのような結果になるかをわきまえていれば、それでいいのだ』

そう言って出かけていくマグマ。マグマが出かけたすぐ後に、アースが新兵器・メタン銃を作って持って来た。どんな植物をも即座に枯らすメタンガスが入ったメタン銃。すぐにマグマの元へこれを持っていくよう、アースはガムに云いつけた。

遊園地で、マグマとバルザスの死闘が繰り広げられていた。ガムが到着してアースが作ったメタン銃をバルザスに撃ち込むと、次第に動きが鈍くなり、全身から白い泡のような汗をかいて崩れ出すバルザス。

バルザスの動きが完全に止まり、マグマはミサイル攻撃でバルザスにとどめを刺した。ドサッと崩れて、バルザスの首が転げ落ちた。上空で見ていたゴアに向かって、叫ぶマグマ大使。
『ゴア、お前のバルザスは死んだ!人類も有刺花粉の恐怖から救われたぞ!』

ゴアは最後の手段として、バルザスの首に仕掛けておいた時限爆弾を爆発させて、マグマを破壊するつもりでいる。ガムが転がり落ちた首の近くへ行き、首から音が聞こえることをマグマに知らせた。
『この首は、お前に返すぞ!』

マグマは、バルザスの首をゴアの円盤に投げつけた。一つ目のバルザスの首が、ゴアの円盤めがけてスゴイ勢いで飛んで行き、激突・大爆発した。振動と轟音が円盤を襲ったが、かすり傷一つ、ゴアの円盤には付かない。

『ゴアよ去れ! 地球から手を引け!』
だが、ゴアは地球征服をあきらめない。次の新怪獣を宇宙の彼方から連れてきて、また地球を攻めるつもりでいる。円盤は、静かに上空へと消えていった。 (終わり)


★★★★★★★★★★★★
前回までは4話完結だったが、放送中に長すぎるという指摘があったそうで、2話完結に変更になったという。確かに4話では長すぎるなぁ。せいぜい3話だろう。
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マグマ大使(8-1) [マグマ大使・ドラマ3]

今回は、第43話『マグネット怪獣ジギラ現わる!』を取りあげます。 

 原作:手塚治虫 
 音楽;山本直純
 脚本;内山順一朗
 特撮演出;堺 武夫
 特撮美術;入江義夫
 特殊造形;開米栄三
 監督;船床定男

〖マグネット怪獣ジギラ〗登場


◆植物怪獣バルザスを倒されたゴアは、今円盤に乗って地球からどんどん遠ざかっていくのだった。だが、決して地球征服をあきらめたわけではない。新たな宇宙怪獣たちに号令をかけるため、本拠地ゴアラ遊星を目指していた。

スクランブル隊本部でも、ゴアの円盤が地球から遠ざかって行く様子をレーダーが捉えていた。スクランブル隊は、ゴアの円盤に反射鏡を定着させることに成功していた。

そこで電波をゴアの円盤に当ててその反射を測定することで、その位置を特定することが出来るようになったのだ。レーダーでそれを追跡していくことで、ゴアの行き先が解る仕組みであった。

だが、ゴアが地球にいない間、地球に何も起きないわけでは無かった。ゴアはガベルという名の時限爆弾を仕掛けていったのである。ガベルは、手下の人間モドキのひとりである。

ゴアはこのガベルを使って、美術館にゴアの作品を陳列したのであった。美術館に警報ベルが鳴り、警備員からの連絡を受けた村上たちは、館内に「ゴア」と書かれた白い天使の形をした彫刻像を見つけるのであった。

村上、木田、マモルにガムが見ている前で、その彫刻に貼られた「ゴア」の張り紙が剝がれ、「マグネット怪獣ジギラ」に変わった。すると彫刻の口から白い霧が吐き出された。危険を感じた4人は美術館の外へ脱出する。しばらくすると、美術館から巨大な怪獣ジギラが出現した。

典型的な二足歩行恐竜型怪獣ジギラは、頭部に3本のツノを持つ。鼻の頭に1本、そして後頭部から前方に向かい湾曲した大きな2本のツノである。美術館を徹底的に破壊したジギラに、ガムは熱線砲を発射して対抗した。だが小さな身体のガムが発射する熱線砲では、ジギラには効き目があまりなかった。

今度はジギラがガムに向かって、目に見えない何かを放射した。するとガムは、自分の身体がジギラに引き寄せられていくのが分かった。必死に踏ん張ってみるのだが、ガムの身体は重力に逆らうように引っ張れられて、あっという間にジギラの右側のツノの先端に吸い付いてしまった。

ロケット人間の身体は、金属で出来ている。マグネット怪獣ジギラの磁力線によって、磁石が鉄を引きつけるように吸い寄せられてしまったガム。マモルは、驚いて笛でマグマ大使を呼んだ。飛んできたマグマは、ジギラの回りを旋回しながら、ツノの先端にくっついているガムを見て驚く。

『おとうさーん!』
『あ、ガム!』

突然、ジギラは磁力線を出すのを止めたため、吸い付いていたツノから真っ逆さまに落ちて、地面に激突するガム。人間型に変化したマグマは地面に落ちたガムを見て、腹部からロケット砲を発射した。

マグマの腹部を飛び出したロケット弾は、弾道を変えてジギラのツノに吸い付いてしまう。金属製のロケット弾は、ジギラの強力な磁力の前には無力であった。

張り付いたロケット弾を付けたまま、ジギラはどこかへ去って行く。マグマは深追いしなかった。ガムのことが心配であった。
『ガム、この仇はきっとワタシがとってやるぞ!』

火山島へ戻ったマグマとガム。ガムはアースの身体検査をうけたが、異常は認められなかった。その頃ゴアの円盤は、地球から遠く離れた宇宙の果てにあるゴアの本拠地・ゴアラ遊星に到着していた。アースでさえ探すことができないゴアラ遊星。

地球へ置いてきたガベルが、ゴアへ連絡をしてきた。
『ゴア様、マモルが吹いたマグマの笛を、コッソリ録音いたしました』
『でかしたぞ。よし、これは面白いことになるぞ!』

地球では、ジギラが水力発電所を破壊していた。咆哮をあげて発電所を破壊するジギラ。
『ピロピロピー、ピロピロピー、ピロピロピー』

『あれ?お母さん、マモルがまたお父さんを呼んでいるよ?』
『ホント、変ね』

ガムはモルに、疑問を投げかけた。アースがやって来た。
『どうしたのじゃ?』
『笛が、またお父さんを呼んでいるんです』
『おかしいな。マグマはさっき呼ばれて行ったはずじゃが・・・』

マグマへの2回目の笛に対し、ガムが出撃した。2回目の笛は、マモルの家から聞こえてくる。
『なんだ、ガムか・・・』

『お父さん、君の所へ来なかった?』
『来ないから待っているんだよ。ジギラが暴れ出したんだ』
『やっぱり、お父さんに何かあったんだ!』

その頃マグマ大使は、伊豆大島付近を右往左往していた。
『なぜマモル君が、こんな所にいるのだろう?』

マグマが降り立った海岸の岩場の上にはテープレコーダが置いてあり、テープが回って笛の音を出していた。別の方向からも、笛の音が聞こえてくる。ロケットに変身して、急いで笛の鳴る方角へ飛んで行くマグマ。今度は墓地のどこかから聞こえてくる。

『マモル君!』
またしてもテープレコーダが置いてあり、その近くには「マグマ大使の墓」と描かれた墓石が立っていた。すべてガベルのしわざであった。

『またしても、謀られたか!』
ニセの笛に翻弄され、怒りに燃えるマグマ大使。マグマ大使が行方不明になっているため、発電所を襲ったジギラに対し、スクランブル隊の総攻撃が始まった。

だが、ジギラが出す磁力線によって、スクランブル隊の銃がすべて吸い上げられてしまう。武器が無くては、ジギラを攻撃できない。スクランブル隊はなす術が無かった。

火山島へ戻ったマグマは、今までの経緯をアースに報告した。するとアースは、マグマに訊ねた。
『それでお前は、腹を立てたのか?』
『アース様。怒らない方が、どうかしているでしょう』

『それはいかん。お前は冷静さを欠いて、本物と偽物を聞き分けることが出来なかったのじゃ。そんなことで、人類を救えると思うのか?』
『アース様。ついカーッとなってしまって。反省します』
若さゆえの短気さを指摘するアースは、最後に「短気は失っても若さは失うな」と、笑っていた。

スクランブル隊によって、ゴアの円盤をレーダーで追跡できたため、ゴアの居所がゴアラ遊星であることが突き止められた。電波写真技術によって、ゴアラ遊星にいるゴアの円盤を撮影することに成功した海老名隊長は、その技術を誇る。

だが、ゴアラ遊星を攻撃する手段が無い。スクランブル隊には密かに開発したコバルト爆弾があるのだが、ゴアラ遊星まで運ぶロケットが開発されていないのだ。

だが、マモルと村上は顔を合わせて笑い合う。コバルト爆弾をゴアラ遊星まで運ぶ手段がある!と。マモルはマグマ大使を呼ぶために、笛を3回吹いた。マグマは一瞬考え込むが、冷静なマグマには、それがマモルの吹く正義の笛であることが分かり、ガムを連れて火山島を出撃していくのだった。 (つづく)


★★★★★★★★★★★★
マグネット怪獣ジギラは、ちょうど3本ヅノのアーストロンという雰囲気のカッコイイ怪獣だ。後頭部から2本の大きなツノ、鼻の上に小さなツノが1本。なかなかのデザインである。

特撮美術の入江義夫氏の作品。日本の特撮映画専門の美術デザイナーで造形家。マグマ大使第2話の怪獣「モグネス」から、入江氏が怪獣デザインを手がけている。残念なことに、2013年にお亡くなりになられた。
ご冥福をお祈りいたします(合掌)

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マグマ大使(8-2) [マグマ大使・ドラマ3]

今回は第44話『マグマの使命』を取りあげます。 

 原作:手塚治虫 
 音楽;山本直純
 脚本;内山順一朗
 監督;船床定男
 特撮演出;堺 武夫
 特撮美術;入江義夫
 特殊造形;開米栄三

〖マグネット怪獣ジギラ〗登場

【前回までの話は・・・
本拠地ゴアラ遊星に戻ったゴアは、新たな宇宙怪獣たちに号令をかけて地球粉砕の準備を進めていた。遠隔の地にいても、部下のガベルと怪獣ジギラを地球に残し、ゴアの地球攻撃は止まるところを知らない】


◆一方、スクランブル隊にも対ゴア用に開発したコバルト爆弾の準備が整っていた。だが海老名隊長は、それをゴアラ遊星まで運ぶ手段が無いことを嘆いた。

だが、マモルの気転で、ロケットになったマグマ大使にコバルト爆弾を積んで、ゴアラ遊星を攻撃すると言う秘策を思いつく。今、コバルト爆弾を積んだロケット・マグマが、スクランブル隊が突き止めたゴアラ遊星へ向かって、飛行していた。

ガベルは、このスクランブル隊の行動を察知し、ゴアに報告するのであった。
『ゴア様大変です。マグマがたった今、コバルト爆弾を積んで、ゴアラ遊星目がけて飛び立ちました』
『ばかな!人間たちになぜここが分かったのだ!』

そこまでの情報をつかんでいないガベルに、大至急調査を命令するゴア。姿を消すことができるガベルは、うまくスクランブル隊本部に潜入した。廊下を歩く隊員を一人殺して乗り移ろうとしたその時、ガムとマモルに発見されてしまう。

3人は格闘になり、ガムの熱線砲がガベルの顔面に命中、マモルとガムによってガベルは捕虜にされてしまう。
『パパ、マグマ大使のことが、ゴアに感づかれたよ!』
『ゴアの手下らしいんです』

マモルが血相変えて、本部長室にいる村上達に報告した。あとからガムが、衰弱しているガベルの腕をねじ上げて連れてきた。だがガベルは勘弁したのか、急にガムの手を振り払うと、自分の顔をのっぺらぼうに戻してから、自害してしまうのだった。

ガベルからの報告で警戒していたゴアは、飛んで来るマグマを発見すると、隕石の雨を降らせるよう人間モドキに指令をした。燃えながら飛んで来る隕石群がロケット・マグマを襲い、まるで隕石の川を泳いでいるかのように、マグマの身体は熱で燃え上がったようになってしまう。

だが、隕石群から抜けだしたマグマは、高速回転しながら飛ぶ、捨て身のジェット気流でこのピンチを切り抜けると、ゴアラ遊星目がけて2個のコバルト爆弾を撃ち込んで去って行った。

ゴアラ遊星は大爆発して火だるまにり、宇宙の果てへ飛んで行くようにみえた。歓声が上がるスクランブル隊の本部長室。レーダーがその様子を捉えていて、ゴアラ遊星が火だるまになって漂流していく様子が刻々と伝わってくる。

一同はジュースで乾杯をした。
『勝利の味は、格別ですね!』
ガムが思わず口にした言葉でみんなが笑い、ゴアを倒した喜びを噛みしめていた。

使命を終えて地球に戻ってきたマグマ大使の目の前に、倒したはずのゴアが円盤に乗って現れた。
『マグマ!』
『ゴア、生きていたのか!!』

ゴアは死んだはずなのに、怪獣ジギラが突然姿を現して暴れ出し、空を見上げながら吠えていた。ジギラは、ただ吠えているわけではない。強力な磁力線を空に向かって放っているのだった。

スクランブル隊本部のレーダースクリーンを監視していた係官が、突如異常を発見した。
『ゴアラ遊星の軌道が変わっています。このままでは、地球に衝突する可能性があります』

怪獣ジギラの出す磁力が、巨大な燃える火球となったゴアラ遊星を引きつけているのだ。このままでは、遠からず地球はゴアラ遊星と激突してしまう。火山島では、アースとマグマ親子が協議をしていた。

『マグマ。ゴアラ遊星が地球の軌道に入る前に、あのジギラを始末せねばならぬ』
『でもアース様。熱線砲で撃てば稲妻で遮られるし、ミサイル砲はマグネットに吸いつけられちゃうし・・・どう戦ったらいいんでしょうか?』

ジギラには、今あるマグマの武器が通用しないのだ。
『あるにはある。超高圧電流を用いて、ジギラの磁力源を破壊することじゃ。ジギラの心臓が磁力源じゃが、問題は超高圧電力じゃ。4千万ボルトは必要じゃ』

『アース様。私の身体には5千万ボルトの電力があります。私がジギラの身体に吸い付いて、その電力を出せば・・・』
アースは、マグマがそれをすれば、自身が感電する恐れがあるため危険だと言って許さない。

だが、マグマはアースに訴えるのだった。
『地球の崩壊を目前にして、こちらの都合だけ言っていて、いいのでしょうか!』

マグマ大使は、ゴアラ遊星の軌道が地球に入る前にジギラを倒すという、最後の作戦に命を賭ける。あと7分で地球の軌道に入るゴアラ遊星。東山付近にいるジギラに近づいていくマグマ大使。ジギラがツノの先から稲妻を発射した。

身体をひねってそれを避けると、マグマは一歩一歩ジギラに近づいていく。ジギラの頭部にある2本のツノ攻撃に気を付けながらジギラと組み合った瞬間、マグマの身体が放電して黄金色に輝いた。

ジギラは身体がしびれて、バタンと地響きを立てて倒れてしまう。そのまま死んだふりをしていたジギラ。マグマが背を向けた時にふたたび立ち上がり、2本のツノから稲妻を放電するジギラ。

だが、マグマも熱線砲で応戦し、空(くう)で火花を散らす二つの光線は、力の勝ったマグマの熱線砲がジギラのツノを破壊してしまう。破壊された時の風圧で吹き飛び倒れたジギラにすかさずミサイル砲を数発撃ち込み、マグマはとどめを刺した。

使命を果たすためには自分の死をもいとわないというマグマ大使の使命感が、地球を救ったのであった。ジギラの磁力に引きつけられ地球に向かって飛んでいたゴアラ遊星は、ジギラの死によって推進力を失い、大宇宙へと遠ざかって行くのだった。 (終わり)


★★★★★★★★★★★★

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マグマ大使(9-1) [マグマ大使・ドラマ3]

今回は、第45話『日光に現れた海坊主の謎』を取りあげます。 

 原作:手塚治虫 
 音楽;山本直純
 脚本;石堂淑朗
 特撮演出;堺 武夫
 特撮美術;入江義夫
 特殊造形;照井 栄
 監督;船床定男・菊地 奛

〖怨霊怪獣 海坊主〗登場


◆日光の杉並木道路を軽快に飛ばして行く、真っ赤なスポーツカー。屋根の無いオープンカーなので、風を切って走る音に負けない様に、カーラジオから流れてくるエレキギターの軽快なサウンドのボリュームを大きくして、運転する若い男。

隣に乗っている若い女も体でリズムを取りながら、ご機嫌な様子だ。
『もうすぐ日光ね!』
笑顔でそうささやく女に、笑顔で応える男。
『一丁、飛ばしていこうか!』

真っ直ぐにつづく杉並木道路の前方に人影が見えたので、かなりスピードを出しているこのスポーツカーの運転手は、クラクションを鳴らした。すると、その人影は突然巨大化して、周りの杉並木と同じかそれ以上の高さになってしまった。

急ブレーキをかけて車を止めた若い男も女も、急いで車から降りると、男は女の手を引っ張りながら、今来た道を逃げて行くのだった。どの位歩いてきたのか、ふたりは交番を見つけると、目の前で起きた出来事を2人の巡査に告げた。

恋人達でさえ見たことが信じられない出来事を、この2人の巡査たちはあっさり受け入れた。
『真っ白なのっぺらぼうの海坊主が、突然ヌーッと大きくなって、車の前に立ちふさがったんですよ!ホントですよ!』
『ホントですわ。まるで人間のお化けみたいなのが・・・恐い!』

海坊主のような怪物は、ふたりが逃げた後に残った真っ赤なスポーツカーをむんずとつかむと、杉並木に向かって投げ捨てた。車は大破、炎上してしまう。だが、海坊主はそのあと煙のように姿を消して、いなくなってしまうのだった。

『その海坊主みたいなヤツを見たのは、実は君達だけではないんだよ・・・』
警察では、複数の目撃者がいるこの現象について、極秘に調べているという。しばらくは、この件を他言無用にしてほしいと言う巡査の言葉に従う若い男女。

NPI東京支局の村上達も、この極秘情報について把握はしていた。今回で13件目の発生になるこの現象を、部屋に入ってきた村上が木田に知らせた。
『13番目の事件が起こったよ・・・』

『例のウミボ・・・。やっぱりゴアの新手ですかね?』
『かもしれん。そうでないかもしれん。今度のは、怪獣っていうよりお化けみたいで変だよ』

『事件の当事者だけに見えて、よくある第三者の目撃というヤツが、全くないですからね』
『それに13番目ともなれば、ゴアがなんらかの形で姿を現さないのはおかしい・・・』

国際緊急出動隊(スクランブル隊)でも、それは同じだった。ゴアが送り込んだ宇宙怪獣なのか、それともお化けなのか、単なる錯覚かもしれない。海老名隊長も判断しかねていたのである。この怪現象について情報を収集していたスクランブル隊では、ある共通点を見つけていた。

・普通の大人ほどの大きさから、奈良の大仏ほどに大きくなること
・事件の直後にはすぐに姿を消してしまうこと
・被害者は若者ばかりであること。

海老名隊長が、今度のゴアの狙いを村上に訊ねると、村上は逆に問い返した。
『今度の一連の事件は、果たしてゴアのしわざでしょうか?ゴアのしわざにしては、少し単純すぎるような気がします。それに、もう13度目なのに、ゴアからの挑戦の言葉一つありません』

いつもと違い、ゴアは沈黙を守っている。ゴアのやり方とは明らかに違うのだ。木田は、村上が考えていることを代わりに発言した。ゴアではない、新たなる侵略者の出現である。

同じことは、実はゴアの側でも起こっていた。怪物・海坊主の正体をつかみきれず、海坊主が先に、地球を侵略してしまうかもしれないとあせるゴア。ゴアにとって、地球人に侵略を諦めたと思われることは、ゴアのプライドが許さないのだ。

そこでゴアは、謎の怪物・海坊主がゴアの手先であると地球人に思わせる作戦に出た。東京のド真ん中にゴアの円盤が出現して、高速道路を襲い5重衝突事故を起こしたという情報が、スクランブル隊に入ってきた。

海老名隊長は、一連の事件はやはりゴアのしわざかと思うのだった。しかし本当の海坊主は、同じ頃、日光付近で別のダンプカーを襲撃していたのである。

『た、太郎!』
日光二荒山神社(にっこうふたらさんじんじゃ)の宮司・原田伍助が、袴姿のままフラフラと夢遊病者のように歩いて神社に戻ってきた。

それに気付いた巫女たちが、宮司を奥の間へと連れて行った。妻との間に子がいなかった伍助は、引き取った孤児の太郎を大事に育て、慈しんでいた。

だがある日、太郎は小学校帰りに交通事故に遭い、二度と伍助のもとに帰らぬ人になってしまったのである。ショックのあまり伍助は、太郎の名を叫びながら、時々神社を出て徘徊するようになってしまったのである。

宇宙の果てで異変が起きていた。「かに星雲」の中で超電磁波が異常増殖していることを、部下の人間モドキに知らされたゴア。かに星雲の異変と謎の怪物・海坊主。ゴアにも分からぬ事態が、ゴアを不安にさせた。

ゴアと海坊主は無関係だと考える村上は、木田と次長に次のように話した。
『海坊主の事件は、いずれも日光と東京とを結ぶ道路でおきているのに、ゴアの円盤が現れた場所は東京のド真ん中だ。この辺に謎を解くヒントがあるのでは・・・』

村上はスクランブル隊へ、木田は日光へと、それぞれ向かっていく。日光へ到着した木田は、日光駅前でマモルとガムに会う。ガムが日光へ来た目的は、アースの指示によるものだった。海坊主とゴアとは、アースも無関係だと考えていた。

人間を傷つける海坊主が、どうしてゴアの手先ではないのかと、モルが反論した。明快に答えられないアースだが、それよりも今アースが気にかかるのは、かに星雲だった。かに星雲内で、異常な超電磁波が増殖している。とにかく、ガムの目で怪物・海坊主を見てくるよう、アースはガムに指示をした。

二荒山神社の原田宮司は居眠りから覚めると、部屋に入ってきた妻のヒデに、ゆっくりとした口ぶりで妙なことを言った。
『今日は杉並木で、スポーツカーの若い連中を脅かしてやった。次はいろは坂で、ダンプカーを脅かしてやったんじゃ、ハハハハ』

『あら、ニュースをお聞きになったんですか?大きな海坊主の化け物が、また出たそうですよ・・・』
『人間など、みんな死んでしまえばいい。この地球も、滅びてしまえばいいんじゃ!』

机上に飾った太郎の写真を見ながら、そう言う伍助。太郎が死んでしまって以来、すっかり人が変わってしまった主人を心配する妻のヒデ。

ゴアは、かに星雲の超電磁波が地球のある場所に充満していることに気付いていた。それは、二荒山神社付近であった。日光に着いた木田達は、タクシーでいろは坂にさしかかろうとした時、いろは坂で暴れている海坊主を目撃する。

ガムが熱線砲を発射するが、海坊主に効果が無い。マモルはマグマ大使を呼んだ。マグマ大使がやって来て、いろは坂で海坊主と対峙する。マグマの熱線砲を浴びた海坊主は、どこかへ消えてしまった。

マグマに助けてもらった木田やマモルはお礼を言いながら、質問した。
『あの海坊主は、一体何物ですか?』
『ゴアの送った怪物ではないらしい。あの怪物は、あなた方人類の心と関係があるのです』

マグマが言った「人類の心と関係がある」とは、一体どういうことか?また、海坊主がゴアの手先で無いとするならば、その正体は一体何者なのか? (つづく)


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当ブログには写真の掲載が無いので残念だが、今回登場の海坊主の姿を、ぜひ見て欲しい。お金がほとんどかかっていない着ぐるみだ(笑)。さすがはピープロである。それはまるで、七輪の上で焼かれてプーっとふくらんだおもちに手足が生えた怪獣のようである。
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