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ウルトラマン(1) [初代マン・ドラマ1]

《第18話 遊星から来た兄弟》

監修;円谷英二
脚本;南川 龍・金城哲夫
音楽;宮内国郎
特殊技術;高野宏一
美術;成田 亨
監督;野長瀬三摩地

【ニセ・ウルトラマン(池田文男)】   
    【ザラブ星人(青野 武)】登場


▼ある夜、東京の街に上空から霧が降ってきて、その霧を浴びた通行人達がバタバタと倒れていくという事件が起きた。パトロールするよう、科特隊に出動命令が出された。この霧からは致死量の放射能が検出されたため、「放射能防御バリア」のスイッチを押してパトロールするようキャップから指示が出された。

隊員服姿が凛々しいホシノ少年もやる気満々だったが、放射能が検出されている以上は危険なので、残念ながら留守番を命じられるのだった。ハヤタはホシノ少年をなだめる。
『キャップの命令だよ、ホシノ君!』

パトロール中のアラシとイデの両隊員が、フードを被って街中を歩く怪しい男を発見。イデが注意をすると、フードの中からみにくい顔をみせる人物。二人がその怪しい人物を追っていくと、それは宇宙人に姿を変えて、高層ビルの側壁にへばり付きながら登って逃げようとした。

宇宙人はアラシからの報告の無線を乗っ取り、自らを第八銀河系のザラブ星人と名乗って地球人と仲良くなりたいと提案してきた。ビートル機で上空をパトロールしていたハヤタ隊員は、1か月前に出発したはずの土星探検ロケットを大気圏内で発見したと報告をする。

ハヤタの報告から間もなくして、ザラブ星人が突如科特隊本部に姿を現した。びっくりする科特隊員たちと森田博士。迷子になっていた土星ロケットを、地球まで誘導してきたと話すザラブ星人。ザラブ星は地球より優れた科学文明を持っていると主張する星人。

そこでムラマツキャップは、地球と仲良くしたいならば、この放射能の霧を消してみせるよう提案した。霧を消したザラブ星人は、科特隊の客人として保護されることになった。

翌日、宇宙局でこのザラブ星人の処遇について、会議が行われた。携帯用電子頭脳を作ったり土星ロケットを誘導したりと、科学の発達は地球よりもはるかに高度だが、一方で何を考えているか解らない側面もあるザラブ星人に、ムラマツキャップのこの不安は的中してしまう。

ハヤタは、ザラブ星人について詳しく調査する役目をムラマツキャップに申し出た。アラシとフジが見張っていると、宇宙局の屋上から空へ飛び上がっていくザラブ星人。連絡を受けたハヤタは、ビートル機でザラブの後を追う。

ザラブは土星ロケットに乗り込むと、船内の乗組員たちを催眠で自由に操っていた。宇宙遊泳でロケットに近づき外からその様子を見たハヤタは、ザラブ星人の真の目的を知る。

だが、ハヤタに一部始終を見られてしまったザラブ星人はハヤタを拉致し、ビートル機は墜落させられてしまう。しかも、ハヤタがウルトラマンであることを知っているザラブ星人は、ウルトラマンを追い詰めるために工作をする。

突如ウルトラマンが夜の街に現れ、ビルを破壊しているという連絡が科特隊に入った。ウルトラマンが消えると同時にザラブ星人が宇宙局に現れ、局員たちの前で次のように発言した。

『ウルトラマンは地球侵略を狙う宇宙人で、科特隊はその味方なのではないでしょうか?』

ザラブ星人は宇宙局の一室にハヤタを連れてくると、内ポケットを探ってベーターカプセルを奪おうとする。だが、彼が持って無いことを知ると、変身出来ない彼を金属ロープで縛り上げて放っておくのだった。

そこへ、窓からホシノ少年がロープ伝いに下りて来た。ハヤタは身体を縛っている金属ロープを切るようにホシノ少年に頼む。ホシノ少年は、ペンチやドライバーなど七つ道具箱と一緒にベーターカプセルも持っていた。忘れて出動したハヤタに届けようと、持ってきたのだった。

『さぁ早く、このロープを切ってくれ!』

ペンチを使い必死に切断しようと試みるホシノ少年だが、まったく切れない。焦るホシノ少年。ロープはだんだん身体に食い込んできて、苦しそうな表情のハヤタ。懸命にロープを切ろうとするが、出来ない自分が情けなくなり、涙がこぼれてロープに落ちた時、プツンと切れるロープ。

ハヤタは礼を言うと、すぐに脱出するようホシノ少年に指示して、ウルトラマンに変身した。一方、ウルトラマンが、今度は宇宙局付近に現れたとの連絡が科特隊に入る。断腸の思いで出動する科特隊。

『たとえウルトラマンでも、地球の平和を乱す奴とは戦わなければならない!』

宇宙局の窓から、ロープで脱出しようとするホシノ少年を捕まえるウルトラマン。切れ長のオレンジ色の目をしたニセウルトラマンの前に姿を現した、もう一人のウルトラマン。手首をつかんでホシノ少年を奪い返すと、組み合うふたり。ニセウルトラマンの顔面に、ウルトラマンのチョップが入る。

ひるんで空へ逃げようとジャンプしたニセウルトラマンにスペシウム光線を浴びせると、落下して正体を現すザラブ星人。
『やっぱりヤツの仕業だったのか!』

ザラブ星人の陰謀を確認する科特隊員たち。空中戦に持ち込んで、もみ合うウルトラマンとザラブ。上になり下になりしながら、地面に激突したザラブとウルトラマン。とどめの一撃スペシウム光線を放つと、燃えて大爆発するザラブ星人であった。

飛び去るウルトラマンを見送りながら、ホシノ少年はつぶやいた。
『やっぱりウルトラマンは、正義の味方だったんだ!』   (終わり)


★★★★★★★★★★★★
有名なシーンがある。ニセウルトラマンの顔面にチョップが入ると、「痛てて!」という表情で手を振り払うウルトラマン。本当に痛かったからだそうであるが、NGにならずにそのまま採用されたということだ。

ホシノ君がどうして窓からハヤタのもとへ入ってくるのか?それにベーターカプセルを忘れるハヤタというのも考えづらいけどね!

脚本の南川竜は、本編の監督である野長瀬氏のペンネームである。
宇宙局の会議シーンには、セリフは無いが、金城哲夫氏も顔を見せている。
このザラブ星人は初代マン二人目の宇宙人ということで、筆者は好きな星人である。ザラブ星人のスーツアクターが青野武となっており、あの「真田技師長」の青野氏だと思われる。ザラブの声は青野氏だと判るが、中身も演じているのは若かったからだろうか、スゴイことだと思う!
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ウルトラマン(2) [初代マン・ドラマ1]

《第19話 悪魔はふたたび》を取りあげます。

監修;円谷英二
脚本;山田正弘・南川 龍
音楽;宮内国郎
特殊技術;高野宏一
美術;成田 亨
監督;野長瀬三摩地

 【赤色火炎怪獣バニラ(田尻康博)】
【青色発砲怪獣アボラス(中村晴吉)】登場


▼東京都内のビル工事現場で、不思議な銀色のカプセルが発掘された。警察からの通報を受け、科特隊と宇宙考古学の権威・福山博士が現場に到着。放射能測定をおこなった結果、危険が無い事が判りひと安心する一行。長さが2メートル程、直径が0.5メートル程の大きさで、未知の金属で出来ているようだった。

カプセルには3億5千年ほど前の化石が付着しており、古代人類が残したタイムカプセルではないかと推測された。フタを開けてみると、中には青い液体らしきモノが入った1メートルほどの小型カプセルと、銀板が1枚入っていた。

銀板には裏表とも文字や絵らしきものは書かれておらず、それは福山博士が持ち帰って調査をすることになった。青い液体のカプセルは同行していた石岡博士が持ち帰り、分析することになった。工事は再開され、静かだった工事現場は、再び重機の騒音がこだまする世界に戻った。

『まだ、出てくるんじゃないか?』
『何言ってるの!3億年前から何度も地殻は変動しているんだもの。あったとしても、今頃は海の底か地底で眠ってるわよ・・・』

イデ隊員の意見にフジ隊員が反論していたが、イデの勘は当たっていたのである。少し離れた場所で、工事を再開したショベルカーが、もうひとつのカプセルを土砂と一緒にすくいあげていた。そのカプセルは誰の目にも触れることなくダンプカーに積まれ、工事現場を後にした。

ダンプカーにしばらく揺られていたカプセルは別の工事現場へ到着すると、荷台を傾斜させたダンプカーから土砂と一緒に崖下へ転がり落ちていった。ゴロンゴロンと斜面を転がり落ちたカプセルには、赤い液体らしきモノが入っていた。

【3億5千年前に埋められたこのカプセルは、一体誰が、どんな目的で埋めたのだろうか・・・】

科特隊基地へ戻った隊員達は、カプセルについて意見を交わしていた。
『3億5千年前といえば、恐竜やマンモスが地球上を支配していた時代だ。人類はサルと同じだった。その人類がだな、タイムカプセルなんてものを・・・』

『ちょっと、アラシ隊員。恐竜やマンモスが歩き回っていたのは、1億5千年前です。人類はまだいなかった!3億・・・』

『3億5千年前と言えば、氷河期以前。つまり我々よりもっと進んだ文明を持つ人類がいたと言われる、謎の時代なのよ!』

アキコ隊員が正しく解説していた時、部屋に入ってきたムラマツキャップは、こう言った。
『カプセルの中身が何かの方が、我々にとって問題なのだ』

文明の進んだ人類が作ったものなら、あの青い液体は水爆以上に強力な爆薬かもしれないとアラシが言う。いや、タイムカプセルという以上は、後世に残したい素晴らしい遺産にちがいないとイデ。こうしてこの二人は、いつも意見がぶつかるのだ。

そんな時、福山博士から連絡が入り、カプセルに入っていた銀板はカプセルの内容を書いた書類らしいことが判明する。ハヤタとイデに福山博士のもとへ行くよう、キャップの指示が飛んだ。

福山博士の研究所へ行った二人は、博士から説明を受けている時に、うっかりイデが手を滑らせて銀板を床に落としてしまう。
『しまった!』

急いで拾おうとしたイデに、ハヤタが声をかけた。
『待てイデ。博士、あれを!』

ハヤタが見つけたのは、床に落ちた銀板が太陽光線を反射させて、壁に映し出した文字だった。
『そうか、反射させればよかったのか!』

銀板の中を読み取ろうとレントゲンや超短波を当ててみても、何も分からない。途方に暮れていた矢先のことだっただけに、博士の喜びはたいへん大きかった!
『あの文字は、沈んだ大陸ミュー帝国の文字によく似ている。必ず解読してみせますよ!』

福山博士と研究所員は、先程の文字を写真に撮ると、研究室に閉じこもった。長い時間が経った。見たことも無い文字を、辞書も無く解読しようとするわけだから、大変根気がいる作業である。

その頃、青い液体の入ったカプセルを持ち帰った石岡博士の研究所では、カプセルを開ける方法を試行錯誤していた。火炎や電気ノコギリなどいろいろ試してみるが、失敗していた。カプセルの中身は、あの銀板に書かれた文字を解読すれば判明すると、ハヤタも博士も考えていた。

東京北部に雷雨が発生し、ダンプカーに揺られて捨てられたもう一つの赤い液体のカプセルに、偶然落雷した。その瞬間、カプセルが破壊され、巨大な赤い怪獣が出現した。赤い怪獣は口から火炎を吐きながら、進んでいく。

科特隊本部に怪獣出現の一報が入り、ビートル2号機でアラシが出動した。あとからビートル1号機でムラマツキャップとイデが出動したが、赤い怪獣は手強い。ビートルは2機とも、積んでいるロケット弾が底をついてしまった。

なかなかカプセルを破壊するきっかけがつかめない石岡博士のチームは、雷撃装置を使うことにした。5万ボルトから始めて、徐々に電圧を上げていく。福山博士が血相を変えて、研究室から飛び出してきた。

『ハヤタ君、君の心配が当たった。この銀板には恐ろしいことが書いてあった!』
『恐ろしいこと?』

『我々はやっと、悪魔の怪獣、赤いバニラと青いアボラスを捕らえ、液体に変えて地中深く埋めた。決して開けてはならない。再びこの怪獣に生を与えたならば、人類は滅亡するであろう・・・』

文字を解読した福山研究所の所員が急いで石岡博士のチームに電話をかけたが、電話が通じない。人類は、開けてはならない玉手箱を自らの手で開けてしまったのだった。カプセルに10万ボルトの電圧をかけていた石岡博士の研究所の屋根を突き破って、巨大な青い怪獣が出現していた。

青い怪獣は口から白煙を吐くと、それを浴びたビルがブクブクと泡の様に溶けてしまうのだった。青い怪獣はビルや高速道路を破壊しながら、前進していく。ビートルに積んでいたロケット弾が無くなって本部へ戻ってきたキャップたちは、2匹の怪獣の弱点について、銀板に何か書かれてなかったかを福山博士に尋ねた。

だが、それらしいことは、何も書かれていなかった。カプセルの破壊に取り組むのは、銀板に書かれた文字を解読してからにするべきだったと、福山博士は自分の軽率さを詫びた。だが、今はそんなことよりも、どうやって怪獣を退治することか考える方が先だ。福山博士は、いちるの望みを両者相討ちに賭けている。

『野獣の闘争本能で、2匹が戦い合ってくれることを祈っています・・・』
赤いバニラと青いアボラスは、互いに引きあうように進んでいく。

やがて両者は、国立競技場で激突した。福山博士も責任を感じて同行することを望み、再び科特隊は出動した。アボラスの吐く白煙とバニラの吐く火炎が空中でぶつかり、激しく破裂した。組み合う2匹の怪獣達によって、国立競技場は瓦礫の山になりつつあった。

新兵器原子弾をつかおうとするアラシに、福山博士が目を狙うようにアドバイスした。スーパーガンの先にカートリッジを取り付け、バニラの左目にそれは命中した。倒れたまま苦しむバニラにアボラスの口から吐いた白煙がかかり、バニラの全身は真っ白な泡に覆われて溶けてしまった。

科特隊の持つスーパーガンもマルス133も、エネルギーが無くなり攻撃できなくなってしまった。イデと組んで戦っていたハヤタは、イデをキャップと合流するように追い立てると、ベーターカプセルのボタンを押した!

空からウルトラマンがドスンと降りてきて、アボラスの前に立ちふさがった。ドロップキックを見舞うウルトラマンだが、アボラスは倒れない。アボラスの突進力は凄まじく、倒れたウルトラマンに馬乗りになって攻撃してくる。

アボラスとの間を開けて、スペシウム光線を放つ態勢のウルトラマンを、アボラスの白煙が襲った。一瞬静けさが広がり、泡まみれになって動かなくなるウルトラマン。
『あっ、ウルトラマンが・・・』

泡を吹き飛ばしたウルトラマンだが、カラータイマーは赤く点滅を始めた。もう時間が無い。倒れたアボラスにスペシウム光線を見舞ったが、一発では倒れない。白煙を吐いて応戦するタフなアボラス。素早く身をかわし、もう一発スペシウム光線を発射!再度白煙を吐いて応戦するアボラス。

もう一度かわしたウルトラマンは三発目のスペシウム光線を撃ち、遂にアボラスは粉砕されるのだった。 (終わり)        


★★★★★★★★★★★★
30分で描くには、内容が満載すぎる回である。ちなみに準備稿では、アボラスだけが出てくる展開だった。もう一つのカプセルには、アボラスを捕らえた時代の人類が入っていて・・・、という展開であったそうだ。

ところで、当初イデ隊員役には、俳優の石川進氏が採用されていた。キューピーちゃんというニックネームで人気者の石川氏は結果的にウルトラマンを降りたわけだが、

幸いにもこのことが、二瓶正也氏演じる科特隊のギャグメーカー・イデ隊員を生むことになった。石川イデ隊員だったら、全く違った雰囲気の科学特捜隊になったであろうことは想像に難くない。

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ウルトラマン(3) [初代マン・ドラマ1]

《第12話 ミイラの叫び》を取りあげます。

監修;円谷英二
脚本;藤川桂介
音楽;宮内国郎
特殊技術;高野宏一
美術;成田 亨
監督;円谷 一

    【ミイラ人間(満月英世)】
【ドドンゴ(新垣輝雄・清野幸弘)】登場

▼鬼ノ台丘陵の洞窟で発掘されたミイラが、研究員たちの手によって担架で運ばれていく。保存状態が良く、原形をほぼ保ったまま発掘されたミイラ。運ばれていくそれにかぶせた布をめくって顏をみたアラシが一瞬息を呑むほど、ミイラの顏は不気味であった。

調査団に同行している宮本博士によれば、洞窟内の壁画から推定して七千年は経っていると思われるという。許可を得てアラシとハヤタが洞窟内の壁画を見に行くと、それはあまりに巨大なので、何が描かれているのかよく分からなかった。

その夜、ミイラは科学センターの一室に安置されることとなった。七千年の謎を秘めたミイラの顔は、見れば見るほど不気味であった。
『これが七千年も前の人間の姿か・・・』

胸から下をきれいに包帯で巻かれベッドの上に横たわっているミイラを見て、アラシはそうつぶやいた。口は耳まで裂け、耳は先が尖っている。鼻はペシャンコだが、目つきが鋭い。まさかこの夜、このミイラをめぐって奇怪な事件が起ころうなどとは、誰一人予想だにしていなかったのである。

守衛室では、二人の守衛が将棋を指していた。巡回パトロールの時間になったため、A守衛が真っ暗な館内を懐中電灯の灯りを頼りに見回りに出かけた。コツコツと靴音が響く中、2階の奥の部屋で何か音がすることに気付いたA守衛は、急いでその部屋の鍵を開けて中に入ってみた。

すると、中ではバリバリと音を立てて、何かの装置が動いている様子であった。電気装置を使ったまま帰ってしまったのか、主電源レバーがオンのままであった。

『なんだ、仕様がねぇなぁ、まったく!』

A守衛が電源を切ってふと後ろを振り向くと、目の前には甦ったミイラが立っていた。
『あぁ、だ、だれか・・・』

恐怖におののくA守衛の首を、ミイラはものすごい力で絞めあげた。ミイラは部屋を出て、階段のある方向へゆっくりと歩いていく。悲鳴を聞いたB守衛が急いで階段を駈け上がって行くと、階段の踊り場でミイラと鉢合わせしてしまった。

驚きのあまり、階段を後ろ向きのまま滑り落ちたB守衛は、壁の警報器に必死に手を伸ばしてベルを鳴らした。だがそのとき、ミイラの目から怪光線が発射され、B守衛は即死してしまうのだった。死んでいると思われたミイラは超能力を使って電源を入れると、自分の身体に電流を流して甦るために必要な力を蓄えたのだ。

身体が動かせるようになったミイラは、守衛二人を殺害して逃走した。その情報は、すぐに科学特捜隊にもたらされた。

『キャップ!ミイラが姿を消してしまったそうです』
『おいイデ、報告は正確に。この場合はだな、何者かの手によってミイラは盗まれたと、訂正すべきところじゃないのか?』

『それが訂正しなくてもいいんですよ、アラシ君。殺された二人は、明らかにミイラと格闘した形跡を残しているんです。ミイラは何かのショックで息を吹き返し、警備員二人を殺して逃げたということになるんだ・・・』

逃げ出したミイラは、近くの下水処理場に侵入したらしいことが判明。ミイラが通ったと思われる通路にあった鉄の扉が、ものすごい力で破壊されていた。下水処理場に到着した科特隊は、宮本博士に死んだミイラがなぜ生き返ったのか尋ねた。

『結論から言うと、あのミイラは生きていたんだよ』
『博士は、死後少なくとも七千年は経過していると、発表したはずです』(ムラマツ)
『それじゃあ、死にながら生きていたと訂正しようか。一種の冬眠状態にあった訳だ』

下水処理場にミイラを追い詰めたという連絡が、警官隊から科特隊に告げられた。宮本博士は、科特隊の隊員たちに大声で依頼した。

『できるだけミイラを生け捕るように頼む。君達の新兵器で攻撃されたら、ミイラはひとたまりもない。生け捕れば、七千年の生命を保ち続けた謎も解ける』

宮本博士の依頼を実行すべく、科特隊は下水処理場へと向かった。警官隊50名ほどが待機しているところへ合流した科特隊が目にしたのは、暗い下水処理場の奥から両目が異様に光輝いて猛獣のような叫び声をあげるミイラだった。

警棒を持った警官隊が一斉にミイラを捕まえようとするのだが、ものすごい力で弾き飛ばされてしまう。そのうち一人の警官が恐怖のあまり、ミイラに向け発砲した。銃弾は右肩に当たり、右肩を押さえながらミイラは発砲した警官をにらみつけると、その目から怪光線が発射された。

他の数名の警官にも怪光線を浴びせながら、ミイラは空に向かって猛獣のような声で吠えていた。それは見ようによっては、助けを求めているようにも見えた。警官隊に犠牲者が出て、ミイラの生け捕りをあきらめるムラマツキャップ。

キャップの命令で、アラシはスパイダーショットでミイラの腹部を攻撃した。しばらくは持ちこたえていたミイラだが、とうとう力尽きてバタリと倒れてしまった。
『お前を発掘しなければ、まだまだ眠りについていられたのに・・・』

ムラマツキャップは、生け捕りに出来なかったことよりも発掘してしまったことを、ミイラに詫びるかのようにつぶやくのだった。ミイラが拳銃で撃たれ、空に向かって吠え声をだしていた頃、鬼ノ台丘陵の発掘現場では突如地震が発生していた。そのため、発掘調査委員のメンバーたちは緊急避難をした。

洞窟内は岩壁が崩れ落ち、洞窟の壁面に描かれた絵から抜け出たような四つ足の巨大怪獣が出現した。下水処理場でミイラ人間にとどめを刺したムラマツキャップのもとに、本部のフジ隊員から緊急連絡が入った。

『キャップ、大変です。鬼ノ台丘陵のミイラ発掘現場から、今度は怪獣が現れたそうです!』

現場へ向かうビートル機内で、「怪獣はミイラの呼ぶ声で姿を現した」というフジ隊員の説は、あながち間違いではないかもしれない。中国神話に出てくる霊獣、麒麟(きりん)に似た姿の怪獣ドドンゴは、高速道路を破壊して石灰採掘工場を襲おうとしていた。採掘工場のタンクを破壊した怪光線は、ミイラのモノと同じだ。

『怪光線を出す目をやっつけるしかない!』

アラシはそう言うと、イデに依頼していた新兵器を催促した。ビートルは着陸すると、新兵器バリアマシーンを装着したアラシが、ドドンゴの目を狙うために怪獣の近くまで寄って行く。ドドンゴの怪光線がアラシに命中しても、アラシの身体を包むように覆うバリアが怪光線を弾いてしまうのだ。

アラシはスパイダーショットで、ドドンゴの右目を潰すことに成功した。だが、アラシが隠れている岩に怪光線が当たり、岩と一緒に吹き飛ばされたアラシは意識を失ってしまった。それをみたイデが、アラシのスパイダーを引き継いで左目も潰し、ドドンゴは両目が見えなくなった。

方向感覚を失い、あちらこちらに動いて暴れ回るドドンゴ。背後から攻撃するよう指示を受けたハヤタは、岩陰に隠れてウルトラマンに変身した!

背後から飛び乗り、馬乗りになってドドンゴの尻を叩くウルトラマン。目が見えないドドンゴは、思い切り暴れ回ってウルトラマンを振り落としてしまう。振り落とされた横向きの態勢から、両手を十字にかまえたウルトラマンは、照準をドドンゴに合わせた!

スペシウム光線を浴びたドドンゴは前足を折ってガックリと倒れ、四本の足をばたつかせながら遂に息絶えた。その戦いの様子を見ていた宮本博士は、ぽつりとつぶやいた。
『ムラマツ君。遂に怪獣も死んでしまったね・・・』

生かしておけば被害が出るばかりなので退治するしかなかったと、ムラマツキャップは宮本博士に謝るのだった。七千年の生命の秘密を解けなかった無念さが残る宮本博士。ミイラと怪獣の不思議な関係にも、宮本博士はメスを入れたかったにちがいない。

『こんなことになると、初めからわかっていればね・・・』
発掘などしなかったのだがと、怪獣の屍骸を見ながら、心の中でそう思う宮本博士だった。
(終わり)


★★★★★★★★★★★★
今回初めて、ウルトラマンがハヤタの姿に戻るシーンが明かされる。飛行しながら両手の先からリングを出して、そのリングが適当な場所でハヤタの姿に変わるわけだ。

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ウルトラマン(4) [初代マン・ドラマ1]

《第2話 侵略者を撃て》を取りあげます。

監修;円谷英二
脚本;千束北男
特殊技術;的場 徹
美術;成田 亨
音楽;宮内国郎
監督;飯島敏宏

【宇宙忍者バルタン星人(佐藤武志)】登場


▼イデ隊員の右目の周りに出来た紫色のアザに、フジ隊員はすれ違うたびに笑いをこらえるのに必死だ。このアザの原因がバルタン星人の事件と関係があると言ったら、読者諸氏は笑うかもしれない。でも本当の話なのだ。

気温、湿度とも申し分のない平和な夜は、誰もが楽しい夢を見ながら寝ているものだが、ここに一人だけ、夢を見ることが出来ない不幸な男がいた。科特隊隊員・イデであった。
『12517匹の羊、12518匹の羊、12519匹の羊、・・・』

科特隊本部の仮眠室にある二段ベッドの上段に寝ていたイデは、下段のアラシのイビキがすごくてとても眠れたものではなかった。
『・・・12520匹の羊、12521匹の羊、チクショウ!』

と、そのとき集合ベルが鳴った。アラシは飛び起きると着ていた隊員服を整え、ベルトを着用してから寝ているイデを起こした。
『おいイデ、起きろ!何を寝ぼけてるんだ、集合だ!』

イデはというと、かけ布団を被ったまま、まだ羊の数を数えていたのであった。アラシに言われてすぐに隊員服を整えたイデはブーツを履き、仮眠室と作戦室を繋いでいる鉄棒につかまると、アラシの後から滑り降りて行った。

すでにフジ隊員は集合していた。ムラマツキャップの話では、東京上空に強烈な電波を発する物体が飛来したが、突然消えてしまったという連絡が防衛基地からあったという。定時パトロール中のハヤタ隊員が防衛基地へ急行して、詳しい情報を仕入れていた。

ハヤタからの連絡によれば、電波が止まった場所は科学センターがある御殿山だ。キャップに名を呼ばれ、出動命令だと思ったアラシ隊員は、背筋を伸ばしてキャップの正面に立った。

『アラシ君。君は優秀な科学特捜隊隊員だ・・・』
『ボクも、そう思っております!』

『ただし、足元を見たまえ』
『し、しまったぁ・・・』
『冷静に、常に冷静に。これが我々のモットーだ。よし、行きたまえ』

アラシが履いていたのは戦闘用ブーツではなく、青いスリッパだった。恥ずかしくなり、急いでスリッパを脱いで後ろ手で隠すアラシ。それを見たイデは、エラそうに大笑いするのだった。アラシの大イビキで寝られなかったことへの仕返しを、この大笑いに込めたイデ。

『冷静に、冷静にだよ、うん・・・イヒヒヒヒ』

アラシの肩を叩いてキャップのマネをするイデに、怒ったアラシはイデの左のつま先を思いっきり踏んでやった。イデは左足をかかえて、熱いものでも冷ますかのように「ふーふー」と口で吹いていた。

科特隊専用車で御殿山の科学センターへ急ぐアラシ。運転席の後ろから、ホシノ君の声がした。科特隊のマスコット的存在のホシノ少年が、ちゃっかり乗っていたのだ。アラシは仕方なく、科学センターへ連れていくことにした。

科学センターに着いたアラシは、車内にいてホシノ少年に本部との連絡役を云いつけると、科学センターへ入っていった。少ししてハヤタが到着し、武装した防衛隊員と共に科学センターへ入っていた。

2人一組で廊下を歩いていく防衛隊員は廊下の突き当りでふた手に分かれた。すると、何も無い柱から一匹のバルタンが現れ、それが二匹に分身してそれぞれの防衛隊員に向けて大きなハサミから赤色光線を発射した。

瞬間的に足を上げたまま動かなくなった隊員、もうひとりは振り向いて口をあいてまま動かない。二匹に別れていたバルタン星人は柱の前まで戻ってくると、左右からくっ付く様にして合体し一匹のバルタンになった。

ハヤタは2階の踊り場で、固まったまま動かないアラシを発見した。館内には、他にも動かないままじっとしている人達が十数名いた。アラシを助けようとしたハヤタの隊員服のランプが、警戒音を発して点滅した。何か危険が迫っていることを感知したのだ。

階段を上った先に、不気味な姿のバルタン星人がいた。ハヤタは、腰のスーパーガンを素早く構えて撃った。だが手応えが無い。撃たれたバルタンはスーッと消えてしまった。どうやら、囮(おとり)だったようだ。

背後にバルタンの気配を感じたハヤタは、素早く転がって相手の攻撃をかわし、スーパーガンを撃った。

『フォフォフォフォ・・・』

笑い声のような響きを残して、バルタン星人は消えた。ハヤタは一旦科学センターから退却する判断をすると、外で待つホシノ少年にそう連絡した。

防衛会議が招集され、防衛官僚たちとムラマツ隊長が参加していた。宇宙人らしきモノの正体、および彼等への攻撃方法が論議のマトになったが、宇宙船の所在がつかめないのでは攻撃のしようも無く、結論はでなかった。

『ムラマツ君。科特隊として、何か策はあるのかね?』
『今のところはありません。が・・・』

『考えていることがあるのなら、いいたまえ』
『彼等と話し合ってみたらどうかと、考えています』

それを聞いた防衛官僚たちは、バカにしたようにムラマツ隊長を笑った。宇宙船の位置さえ判明すれば、直ちに核ミサイル・ハゲタカを撃ち込むという官僚に、ムラマツ隊長は訊ねた。

『ハゲタカで破壊できるという確信がおありですか?もし最新兵器のハゲタカが通用しなかったら、その時はどうするつもりですか?』

未知の相手に対して、何の根拠もなくハゲタカは大丈夫だ(効果がある)と言う官僚もいた。できるだけ交戦を避けたいムラマツ隊長は、まず相手の欲しいモノを知り、それが与えられるものであれば与えて、帰ってもらうという意見を述べた。

会議は夕刻まで続いたが、決定打は出なかったため、ムラマツ隊長の意見が採用されることになった。バルタン星人と会話をする役目は、イデに任された。イデ隊員は宇宙語のエキスパート(専門家)でもあるのだ。

だが、本当の宇宙人と話したことが無いイデは、科学センターに着くとガチガチに緊張してしまう。もしもの時に使う攻撃兵器スパイダーを持たされたイデは、ハヤタと一緒に科学センターのドアを開けようとしていた。

『あのー、スパイダーのエネルギーは大丈夫でしょうね?』
『大丈夫。満タンに入れてある!』

安心したイデはドアを開けようとして、また立ち止まった。
『あのー、最初に出てくるのは囮で、二人目が本物だからそれを相手にする。そうでしたね?』
『そう!』

入口ドアとハヤタの間を3往復して、中に入ることを躊躇するイデ。ハヤタはイデの気持ちを察して、2階の踊り場まで一緒に付いて行くことにした。ハヤタと別れ、とうとう一人になったイデは、震える足で階段をゆっくり上がりながら、凍ったように動かない人達を横目で見ながら通り過ぎると、宇宙語で話かけてみた。

『キ、キエテ・ホシ・キレキレテ』

イデの宇宙語に応えるように、ひとりのバルタン星人が現れた。だが、一人目が囮で二人目と話をしようとしたイデは、振り返った時に現れた二人目のバルタンが分身してたくさんいることに驚愕してしまう。イデの頭の中はパニックになり、テンパってしまっていた。

すると、イデの背中を、大きなハサミで押して進むように促すバルタン。二人は屋上へ出ると、バルタンがスーッと消えていなくなってしまった。カツカツと、向こうから誰かが歩いて来る音が聞こえてくる。見るとそれはアラシ隊員で、イデの前で立ち止まった。

『君ノ 宇宙語ハ ワカリニクイ ダカラ我々ハ コノ男ノ脳髄ヲ借リテ 君タチノ言葉ヲ 使ウ・・・』

それはアラシの姿をしてはいるが、中身はバルタン星人であった。イデが混乱しているところにハヤタが現れ、バルタンと会話を始めた。それによると、発狂したバルタン星の科学者がおこした核実験でバルタン星は爆発し、宇宙旅行をしていた20億程のバルタン星人は棲みかを無くした。

自分達が棲める星を探して宇宙を彷徨っているうちに、地球の近くまでやって来たというのである。そこで宇宙船の重力バランスが崩れ、その修理をするために地球に立ち寄ったというのだ。彼等にとって地球は生存に適していることが判り、棲みかに決めたとハヤタに言うバルタン星人。

それを聞き、地球の風俗・習慣に馴染み、人間と上手くやっていけるならば、それも不可能ではないと前向きな発言をするハヤタ。ここでハヤタが火星を勧めると、火星にはバルタンの嫌いな物質があり、それが何かは言えないと言うと、アラシはその場にバッタリと倒れてしまうのだった。

『我々は、地球をもらう・・・』

そう言い残してアラシの身体から抜け出たバルタン星人は、巨大化してハヤタとイデの前に出現した。ハヤタは、その巨大なハサミで弾き飛ばされてしまう。万一の為に準備された核ミサイル・ハゲタカが防衛基地から発射され、二発三発とバルタンに命中した。一度は倒れたバルタンだが、昆虫が脱皮するように抜け殻を残して新しいバルタンに生まれ変わると、攻撃を開始した。

一方、ハヤタは弾き飛ばされたはずみで、ベーターカプセルをビルの下の階の軒(のき)に落としてしまう。必死に手を伸ばしても、ベーターカプセルまで手が届かない。ウルトラマンに変身するためには、ハヤタは屋上から飛び降りてベーターカプセルをつかむ方法を選んだ。

『ダァーッ!』

意を決し大声を出して飛び降りたハヤタは、落下しながらベーターカプセルをつかむとスイッチを押した。巨大なウルトラマンが姿を現して、空へと飛び上がって行く。夜空を飛行しながらミサイル攻撃してくるバルタンを空中で捕まえると、左手のハサミを折ってしまう。

ウルトラマンは地上へ着地すると、両手を十字に組んで白熱光線を発射。スペシウムが嫌いなバルタンは、燃えて落下していくのであった。そして、見えないバルタン円盤を見つけたウルトラマンは、それを遠く宇宙の彼方で爆発させてしまう。22億のバルタンの最期であった。

事件は終わり、イデは物凄いイビキをかいてベッドで爆睡していた。今度は、そのイビキで眠れないのがアラシ。羊の数を15803匹まで数えていた。すると、寝がえりを打ったときに、ベッドから床に転落して顔を強打したイデ。枕がそのあとから落ちてきて、頭を直撃する。

『アイタタタタタ・・・』
顔を見せると、右目の周りには紫色のアザができていた。
『・・・と言うわけ。ネ!(笑)』 (終わり)


★★★★★★★★★★★★
今年はウルトラマン生誕50年。ウルトラ怪獣の中でも、人気ナンバーワンなのがバルタン星人。いわゆる、最初に撮られたウルトラマンのドラマである。放映は第二話。いつまでも衰えない人気はウルトラマンだけじゃなく、バルタン星人もだ。でも先日のテレビ特番では、ゴモラの人気に負けたっけ。

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ウルトラマン(5) [初代マン・ドラマ1]

《第21話 噴煙突破せよ》を取りあげます。

監修;円谷英二
脚本;海堂太郎
音楽;宮内国郎
特殊技術;高野宏一
美術;成田 亨
監督;樋口祐三

【毒ガス怪獣ケムラー(鈴木邦夫)】登場


▼大武市にある大武山(おおむやま)は、今は活動をしていない死火山である。だが、この大武山付近で、最近不可思議な現象が多発しているという情報が科特隊に入ってきた。大武山の麓を散歩していた中学生は、鳥の屍骸がたくさん落ちていると学校へ届けた。

また、大武山へハイキングに来た女性4人がお弁当を食べていると、急にガスが流れてきて、その中に巨大な目玉を見たという証言をした。川に魚の死体が浮いたり、一晩で木の色が変化したりということも・・・。

アラシはあまり気乗りがしないこの事件を、思わず女・子供の仕事だと言ってしまう。そこで科特隊の紅一点・フジ隊員は、自分がこの事件の調査に行くと告げるのだった。ムラマツ隊長は危険が無いモノと判断して、小型ビートルで出かけるようフジ隊員に命令した。

フジ隊員を乗せた小型ビートルが出発してしばらくすると、隠れていたホシノ少年が姿を現した。ホシノ少年は、かつて事件解決に貢献した功績を称えられ、科特隊準隊員として認められていた。今小型ビートルの助手席に乗っているホシノ少年は、科特隊のユニフォームを着た準隊員なのである。

大武山の麓へ小型ビートル機を着陸させたフジ隊員とホシノ準隊員に、大武山レストハウスの支配人がやって来て苦情を言うのだった。

ここ最近の大武山のウワサが元で、観光客が激減しているという。科特隊が調査に来たと言う話になれば、増々何かあるのではないかと疑われ、観光客が寄り付かなくなってしまうのが困るというのだ。

話をしている最中に、小さな地震が起きた。
『この辺は、地震が多いんですか?』
『最近、少し多いようですがね』

大武市には地震研究所があった。二人はそこへ調査に行ってみる。
『少し奇妙なのは、ここ一か月くらいの間、人体に感じないような微妙な揺れが、観測され続けていることです』

大武市の地震研究所でも異変の兆候を捕えていたことを、フジ隊員は確認した。報告を無線で聞いたムラマツ隊長は、総合的に判断して今後の事を決めると言って、帰投命令を出した。

『フジ隊員は、ホシノ君と直ちに帰還せよ』
『了解!』

この時、大武山の方からフラッシュのようなまぶしい光が光ったかと思うと、もうもうとした煙が小型ビートルに迫って来て、あっという間に視界がゼロになった。機内に入ってきた煙を吸った二人は、気を失ってしまうのだった。

小型ビートルとの連絡が取れなくなった本部では、ムラマツキャップから出動命令が出た。ビートル機で大武山上空へ来たものの、ガスで視界がゼロの状況だ。しかも、ビートル機の危険表示メーターが急激に上がり出した。

それはビートル機を取り巻いているガスが、危険物であることを示していた。ムラマツキャップは全員に防毒マスクを着けるよう指示して着陸した。大武山の火口へむかう一行の目の前に、火口から顔を出した巨大な怪獣ケムラー。

4人は一斉にスーパーガンを発射したが、あまり効果が無い。すると怪獣ケムラーは大きく口を開け、口の中が3回光ったかと思うと、濃い灰色の毒ガスを吐き出した。キャップは、一旦退却の命令を出した。

四つ足で這うように歩くケムラーは、大武山の火口から這い出ると町のある方角へ進み出した。ケムラーが前進していくその先には、小型ビートルがある。ホシノ準隊員が先に目を覚ましたが、周囲は毒ガスが充満していて視界はゼロだ。

フジ隊員を揺すって起こそうとしたが起きず、本部へ連絡を入れたが応答が無い。無線が壊れたと思ったホシノは、その時前方にかすかに見える巨大な影の存在に気が付いた。それはだんだんと近づいてくる。
『怪獣だ!』

ホシノは小型ビートルを飛ばそうと操作したが、ジェット噴射が出ているのにスロットルレバーを引いても推進力が出ない。刻一刻と怪獣は迫っていた。

その頃、ビートルに戻ってきたキャップたち4人は、一旦本部へ引き上げるために発進しようとしていた。だが、イデが発進に待ったをかけた。

『どうした、イデ?』
『あの音・・・』
『小型ビートルの音だ!』

『フジ隊員、こちらムラマツだ。無事だったか!』
『キャップ、ホシノです!フジ隊員も一緒です』

怪獣がすぐ近くまで迫っていることを伝えると、ムラマツキャップは指示通りやればできるからと言って、ホシノに操縦の仕方を指示した。

『まず酸素ボンベを開け・・・』
『操縦席に座ったら、スタンバイ①を押せ・・・』
『サイドレバーをあげろ・・・』

『よく音を聞け。音が変わったらジェットスイッチを入れろ・・・』
『続いてレバー②を入れろ・・・』
『スロットルレバー全開・・・』
『操縦かんを引け、発進!』

ゴーという音がして、小型ビートルは発進した。発進音が聞こえて成功したことが分かり、喜ぶイデやアラシ、ハヤタ達。

今まで小型ビートルがいた場所には、ケムラーの尻尾の先から発射された破壊光線が当り、爆発したのだった。狙われていた小型ビートル。間一髪、小型ビートルはホシノの行動力とムラマツキャップの適切な指示のおかげで、難を逃れた。

自動操縦に切り替えて本部へ向かう小型ビートルの操縦席で、ホシノは手袋をしたまま、手で額の汗を拭って笑顔になった。キャップたちのビートル機も、一先ず本部へ引き上げることにした。

防衛隊の攻撃で町への侵入を阻止する間に、ケムラー対策を立てる科特隊。イデは毒ガス中和剤の開発に取り組んでいた。研究室へやって来たホシノは、怪獣の弱点を攻める方法を考えろという。

『どんな怪獣にだって泣き所があるでしょ。そこを一撃でやっつけるんだよ!』
『うーん。泣き所をただの一発でね・・・』

『あの怪獣の背中を狙うんだ!』
『うーん、背中ね・・・』

大武山付近の町は、ケムラーの吐く毒ガスによって、死傷者が大勢出ていた。人口5万人の大武市へ入れては大惨事になる。防衛隊の戦車隊が攻撃を開始した。だがケムラーの前進を止めることが出来ない防衛隊。

ムラマツ隊長は、ビートル機でナパーム弾をケムラーの頭に直接落とす作戦をハヤタに命令した。地上からは、アラシがスパイダーで応戦する。

ナパーム弾を投下するが、効き目がない。尻尾の先から出す破壊光線が、ビートル機に迫る。ケムラーの背中に付いている二枚の甲羅が、ナパーム弾を寄せ付けないのだ。

ビートルがケムラーの背後から攻撃しようと迫った時、低い姿勢でジッとしていたケムラーの背中の甲羅が羽根を開くようにパッと開き、ビートルはそれに激突してしまうのだった。

ハヤタは一瞬早く脱出して、地面に向かって落下していく途中で、ベーターカプセルを焚いた。ウルトラマン登場。ケムラーのあごを右足で蹴り上げると、裏返しになったケムラー。

すぐに姿勢を戻すと、口中が光って毒ガスを吐くケムラー。少しひるんだウルトラマンは、態勢を立て直してスペシウム光線を発射した。だが、ケムラーには効き目がなかった。

ホシノのアイデアを活かして、イデが開発したマッドバズーカが完成した。弾丸は一発しかないので、効果を上げるためにもケムラーにできるだけ接近して撃つしかない。ケムラーの背中にあるコブのような部分を狙うのだ。

アラシの右肩にバズーカの頭部を乗せて後ろでイデが狙いを定めて撃つのだが、激しい動きの両者のため、狙いが定まらない。
『ウルトラマーン!頼むよぉ。ケムラーを撃ちたいんだ!』

ホシノ少年の声が届き、ウルトラマンは四つん這いのケムラーの頭をつかんで持ち上げると相撲のように組み合い、その背中をこちらへ見せるようにして動きを止めた。

バズーカ砲から爆音がして、急所に弾丸が命中!ドサッと倒れるケムラー。虫の息のケムラーは、最後の力を振り絞って大武山の火口へ身を投じて死んだ。

ガス中毒で入院しているフジ隊員を見舞うムラマツキャップ以下4名は、アラシ、イデ、そしてハヤタではなくホシノであった。ケムラーとの戦いでハヤタのビートルは撃墜され、行方知れずであった。ハヤタはパリ本部へ行っていて見舞いには来られないことにして、口裏を合わせる4人。

病室へ入った4人は、フジ隊員の快復した姿よりもハヤタがいたことに驚く。
『ハヤタ、やっぱり無事だったのか!』

皆、フジ隊員のお見舞いのことなど、すっかり忘れてしまったかのような騒ぎとなった。
『女・子供は、結局相手にされないもんね!』

ホシノ少年はそう言って、キャップたち男を失笑させるのだった。 (終わり)


★★★★★★★★★★★★
今回は、ホシノ少年の活躍が大きい。ブルトンの回で事件解決に功績があったため、科特隊のユニフォームをキャップからプレゼントされたホシノ少年は、それ以来準隊員として活躍するのだ。

追伸:脚本の海堂太郎は、樋口祐三監督のペンネームであります。
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