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ウルトラセブン(4) [ウルトラセブン・ドラマ1]

「読む特撮」の第一回目は、ウルトラセブンの第23話『明日を捜せ』を取り上げます。セブンの49話のエピソード中で、筆者はこの回が一番好きである。

面倒見がよく責任感の強い隊長、キリヤマの人柄がよく出ている佳作だと思う。ちなみにベスト3を挙げると、2位は前作で隊長役だったあの方が宇宙人に拉致される『あなたはだぁれ?』、3位がフクシン君と宇宙人の交流?を描いた『円盤がきた』である。

この回の主人公はキリヤマ隊長である。人間の持つ予知能力とか透視能力といったものが、科学万能の世の中にあってどういう位置づけにあるのかを問いかけているドラマだ。科学的裏付けによって行動するU警備隊にとって、何の根拠もない(と思われる)意見が、予言とか予知だ。

だが予知する方にすればこれから起こる出来事を先取りして発言しているだけで、根拠が無いのではなく証明できないだけである。未来の出来事を、いま証明できるわけがないのである。

監督は野長瀬三摩地、脚本は南川龍と上原正三である。野長瀬監督は占いに造詣が深かったとのことで、南川龍は野長瀬監督のペンネームである。ふたりがタッグを組んで出来上がった佳作が、『明日を捜せ』だ。


★★★★★★★★★★★★
占い師の安井は、黒いダンプカーに毎日追われ続けていた。ある日パトロール中のキリヤマの目前で、安井がダンプカーに狙われた。安井を防衛軍基地にかくまったキリヤマは、予知能力で宇宙人の襲来を告げる安井に何かを感じるが、フルハシ他の隊員らは馬鹿にして相手にしない。

マルサン倉庫が爆発してキリヤマがその時に怪我を負うという安井の予言に、キリヤマは何か不安を覚えて警備を強化するが、何も見つからず何も起こらない。このことで、かくまってくれと懇願する安井は、基地を追い出されてしまう。

キリヤマの個人的感情では、このまま安井をかくまってあげたい所だろう。だがマナベ参謀からも苦言を呈されて、どうにもならなくなった。部下に任せずに、自分の足で《明日=真実を捜す》しかないと思ったのだ。キリヤマは休暇を願い出て、安井を探しに行く。

その頃安井は、夜の街を逃げ回っていた。アパートの暗がりで、女性が泣いている。声をかけると、醜い宇宙人の顔をしていた。ガソリンスタンドへ逃げ込む安井。『助けてくれ!』ふりむくと、店員は宇宙人だった。
タクシーを探して乗り込む安井。

「どうしました?お客さん』

『宇宙人に追われてるんだ!』

『そりゃあ、たいへんだ』

『・・・』バックミラーに映る運転手の顔を見て、気を失う安井。

タクシーが黒いダンプカーに変わって、夜の街に消えていく。この場面のやりとりが、何度見てもいい、お気に入りの場面だ。

ダンはマルサン倉庫周辺でキリヤマを見つける。だが安井の予言は的中し、マルサン倉庫は爆破されてしまう。基地に帰って手当てを受けるキリヤマに、『隊長のことを笑っていた』とフルハシらは謝罪する。キリヤマは言う。責任者として自分の判断が甘かったと。

この時に言うセリフ、《窮鳥(きゅうちょう)を懐(ふところ)に入れば猟師も殺さず》ということわざを、この時に覚えた。逃げ場を失った人が助けを求めてくれば、どんな場合でも見殺しにはできないという意味だ。

フルハシを基地に残し、とらわれた安井を探しに富士見が原へ出かけるキリヤマたち。ダンとアマギは敵基地内に侵入するが、円盤の上昇とともに基地は崩れて、ふたりとも埋もれてしまう。ダンは力を振り絞ってセブンに変身、シャドー星人に戦いを挑む。

ここで突っ込み所がひとつ。シャドー星人の円盤がセブンの一撃を受けて煙を吐きながら不時着する。降伏すると見せかけ、爆発して怪獣ガブラが出現。ガブラを倒して、『今度は降伏する。安井を返す』と言っている先程爆発したはずの円盤! なんでやねん?

シャドー星人は鼻にあたる部分が凹んだ顔をした宇宙人で、全身赤色のコスチュームで肩から胸付近と両腕の手首付近は黒色というお洒落な色使いだ。成田亨氏の感性がひかる!ロボット怪獣ガブラはこのドラマでは、おまけにすぎない。安井を拷問して痛めつけるシャドー星人のシーンがなかなかいい。そしてこのことが、最後のシーンの伏線になっている。

安井を奪還したセブンだが、ガブラに左肩を噛まれて毒が身体を回り始めて静かに消えていく。ダンとアマギがキリヤマたちによって救出され、事件は一件落着。

基地に戻った安井にフルハシは占ってもらおうとするが、安井は出来ないと言う。何度やっても、水晶玉には何も映らない。『これでもう、逃げないで済むんだ!わー』 星人から拷問を受けた影響で、予知能力が消えて大喜びする安井であった。


★★★★★★★★★★★★
霊感とか第六感といわれるものは子供の頃は備わっているものの、大人になるに従い無くなってしまう力だとも言われている。霊能者という存在は、その能力が大人になっても残ったままの人のことだと思う。幽霊にしても未来にしても、見えないものが見えるということは恐ろしいことだと筆者は思う。人は、事前に知らないほうが良い事もある。知らないからこそ毎日を必死に生きて、一日が無事に終わったことを感謝して寝床に入れるのである。
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ウルトラセブン(5) ~われわれの邪魔をするな、ウルトラセブン。北川町に近よるな! [ウルトラセブン・ドラマ1]

今回は、第8話『狙われた街』を取り上げます。

セブンのエピソード中でも、金城哲夫・実相寺昭雄のゴールデンコンビで送る有名なエピソードである。ここでいう「駅前」の駅は、小田急線の向ヶ丘遊園駅を使っている。世田谷体育館を使って、メディカルセンターを撮影している。実相寺監督お得意の、シルエット撮影が効果的に見える。

今では放送禁止用語となっている「〇〇〇イ」が連発されるが、それでこのドラマが放送禁止になることは無いだろう。実相寺監督の回には、野球の実況中継の映像や音声がよく出てくる。プロ野球中継がテレビの主役だった、昭和を感じるなぁ。それと夕景。沈みゆく赤い太陽と夕焼け空の背景で戦いが繰り広げられる。絵になるなぁ。メトロン星人の声って誰が担当してるのかな、イイ声だなぁ。☞(仮面ライダーのナレーションで超有名な、中江真司さんだそうです)

★★★★★★★★★★★★
監修;円谷英二 
脚本;金城哲夫 
監督;実相寺昭雄 
特殊技術;大木 淳

◆サイレンを鳴らしてタクシーを追うパトカー。狂ったように走るタクシー。後部座席の女性客が、窓を開けて助けを求めている。女性客に殴りかかっている運転手を、追いついた警察官が取り押さえる。すると男は失神してしまった。

資材置き場の丸太の上で一部始終を見ていた小学生たちのもとへ、ウルトラ警備隊のポインターでやってきたアンヌ隊員。
『ヒロシちゃん、お父様が大変なの・・・』

民間航空会社の中でも名だたるパイロットだったアンヌの叔父が操縦する旅客機が、墜落事故を起こした。アンヌの叔父の葬儀場で、すれ違う参列者の声がダンの耳に入ってくる。
『なにか大きな事故があると、必ずこの町の住人が主役なんですから・・・』

それを聞いて何かを思うダン。フルハシとソガは第3ハイウェイをパトロール中、駅前の自動販売機でタバコを買って一服しようとしていた。その矢先に銃声がする。逃げ惑う人々。警官隊が犯人を取り囲んで応戦している。

フルハシとソガは現場に急行し、ソガのレーザーガンが犯人のライフル銃に命中、警官隊が暴れる犯人を取り押さえようとした途端、犯人は失神してしまう。メディカルセンターでフルハシの傷の手当をしている横で、ライフル魔事件の様子を話すソガ隊員とキリヤマ隊長たち。

ただならぬ気配を感じたダンは、ライフル魔の取り調べに立ち会ってみようと思った。その帰り道に、不審なダンプカーに襲われる。ポインターの前方で、走行しながら砂利をばらまくダンプカー。ダンプカーを空き地へ追いこんで犯人を見極めようとするダンだが、運転席には誰もいない。

宇宙人の存在を察知したダンに、警告の声が響く。
『ウルトラセブン、我々の邪魔をするな!これは命令だ。今すぐに手を引け!北川町に近寄るな!』

負傷したフルハシが一服するために、作戦室へ戻ってきた。ライフル魔事件の直前に買ったタバコの封を開けて、火をつける。するとフルハシの目が虚ろになり、いきなり暴れ出した。近くにいたダンに一撃を食らわせると、机の上の資料を散らかして他の隊員に襲い掛かった。

その場にいた全員でフルハシを取り押さえると、失神してしまった。
『フルハシを、メディカルセンターへ連れて行け!』

メディカルセンターから戻ってきたソガが、同じタバコに火をつけた。ダンがソガの様子がおかしいことに、いち早く気付いた。射撃の名手ソガの右手が、スーパーガンに手をかける。

その瞬間にヘルメットでスーパーガンをはたいて事なきを得ると、暴れるソガを全員で押えこむ。ソガもフルハシ同様、失神してこん睡状態に陥ってしまった。訳が分からないこの光景に、キリヤマ隊長は動揺する。

ダンは二人の共通点を素早く察知した。タバコを折って、その中に赤い結晶体が仕込んであることに気付く。化学班に分析を依頼した結果、とんでもないことが判明する。
『Y星探検の時に持ち帰った宇宙ケシの実に似ています。これに侵されると、他人がすべて敵に見えてくる効力があるようです』

北川町の住人が絡んだ事故は、この赤い結晶体の入ったタバコを吸った人間が、殺人鬼と化して起こした事故だったのだ。アンヌの叔父の未亡人宅に行き、フライト当日に、叔父がタバコを買った場所が『駅前の自動販売機』であったことを突き止めたダンとアンヌは、駅前の喫茶店で犯人を張り込んでいた。

駅前の自動販売機を撤去するよう本部に連絡して、商品を入れに来た犯人の後を、タクシーで追跡するダンとアンヌ。とあるアパートの前で止まった犯人の車を見て、ダンはひとりでアパートへ潜入する。メトロン星人の策略で、ダンはこのアパートへおびき寄せられたのだった。

ちゃぶ台をはさんで宇宙人同士が話し合う。
『君たちの計画はすべて暴露された。おとなしく降伏しろ!』
『赤い結晶体で、人間同士の信頼感を無くすればいい。そうすれば人類は自滅していく』

アジトはメトロン星人の宇宙船になっていた。メトロン星人の宇宙船はダンを乗せたまま上昇を開始、アパートが二つに割れて中から宇宙船が出現するのを見たアンヌは、本部へ連絡した。
『アパートから宇宙船が出現、中にはダンがいます』

空中で二つに分かれた宇宙船の片方が、迎え撃つウルトラホーク1号に撃墜されてしまう。撃墜された側に乗っていたダンは、ウルトラアイを着眼してウルトラセブンに変身。夕焼けの街に、二人の宇宙人が対峙する。

メトロン星人は勝てないと思ったのか、逃げようと空へ向かって飛んだ。それをアイスラッガーで切断し、エメリウム光線で撃破するセブン。ホーク1号が残りの宇宙船を撃墜し、メトロン星人の地球侵略計画はここに終わった。

このお話は遠い遠い未来の物語です。え、なぜって?我々人類はいま、宇宙人に狙われるほど、お互いを信頼してはいませんから・・・(おわり)
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ウルトラセブン(6)改 ~午前零時の時報と共に、アンドロイドゼロ指令が発令されます。あとしばらくお待ちください・・・。 [ウルトラセブン・ドラマ1]

今回は、第9話『アンドロイド0指令』を取り上げます。
監修;円谷英二 
脚本;上原正三 
監督;満田かずほ  
特殊技術;的場 徹

【金色のドレスを着た金髪の美女が、モロボシ・ダンを狙う目的はいったい何か?】


◆ある風の強い夜のこと。シークレットハイウェイを使ってパトロールにでるポインター号には、フルハシとソガが乗っていた。ポインターの前をいきなり若い女が飛び出してきた。女の容姿は、金色の髪に金色のドレスを着た美少女だった。

少女;『あのう、モロボシ・ダン隊員では?』
古橋;『そう、モロボシ・ダン』
少女;『お会いしたかったんです!』

美少女は握手を要求し、フルハシは求めに応じて手袋をはずし、握手をした。その瞬間すさまじい電流がフルハシに流れ、全身が麻痺して動けなくなった。ソガはその女を追おうとしたが、逃げ足が速い。フルハシの手当てのため、本部へ帰って事件を報告した。

本部で手当てを受けながら、キリヤマ隊長に事情を聞かれるフルハシ隊員とソガ隊員。相手はどうしてモロボシ・ダンを狙ったのか?それにフルハシが握手をしたときに握らされたブローチの中に描かれた文字の意味は何か?ちょうどその時、アマギ隊員がブローチの文字を解読した。

『アンドロイドゼロシレイ』と解読されたその文字。謎の美少女の正体と「アンドロイドゼロシレイ」の内容を探るよう、キリヤマ隊長はソガとダンに命令を出した。ある団地に着いたポインター号。青空の下、おもちゃで元気に遊んでいる子供たち。子供たちが持っている機関銃を見たダンはつぶやく。
『どれもみな本物だ。おもちゃには見えない』

これらのおもちゃは、全部「おもちゃじいさん」から買ったものだという。それに子供達の服の襟についているワッペンは、フルハシが握らされたブローチに描いてあったものと同じだ。ワッペンは、おもちゃを買うと付けてくれるという。

ソガとダンの数メートル前で、屋台を使っておもちゃ屋をやっている老人がいた。おもちゃじいさんと呼ばれるその老人は、ソガとダンが近づいてくるのを見て、店じまいをするのだった。あとを追うソガとダン。貨物操車場のあばら家に居を構えているこの老人は、愛想よく主婦にあいさつすると、あばら家の中へ消えていった。

1年程前から住み着いているという聞き込みを得たが、いぜん謎の多い老人。ビデオシーバーに入ったアマギ隊員からの報告では、例のブローチは宇宙金属で出来ているということだった。子供達、おもちゃ、ワッペン、宇宙金属、ゼロシレイ。

敵がやろうとしていることに、全く見当が付かないキリヤマ隊長たち。先程の現場で拾ったワッペンも宇宙金属製で、しかも特殊な電波を受信する受信器になっていることが、アマギの分析で判明する。
一方、ウルトラ警備隊に嗅ぎ付けられたことを知り、謎の老人は「アンドロイド0指令」を発令する決意をする。

準備はすべてできている。あとはモロボシ・ダンの動きを封じればよい。謎の老人は隠していたマネキン人形を出してくると、それをアンドロイド・ゼロワンに変身させた。美少女ゼロワンに再びモロボシ・ダンを狙わせて、今度こそ抹殺を指示する謎の老人。

M地点のデパートへ誘い出すため、故意に姿をさらしてデパートへ逃げる美少女ゼロワン。ソガとダンはその動きに誘われて、まんまとM地点(デパート)へと誘い込まれてしまう。暗い場内にアナウンスが響き渡る。

『お客様にお知らせします。午前0時の時報と共に、アンドロイド0指令が発令されます。あとしばらくお待ちください』

「アンドロイドゼロシレイ」とは何だ!すると、おもちゃじいさんと謎の美少女がスポットライトを浴びて姿を現す。アンドロイド0指令とは、おもちゃに見せかけた本物の武器を子供たちに持たせ、催眠周波を与えて自由に操ることであった。子供に武器を向けない大人たちは手の施しようもなく、世界征服は簡単にできてしまうという作戦だ。

おもちゃ売り場に誘い込まれて、「本物のおもちゃ」に攻撃を受けるソガとダン。空からは戦闘機によるミサイル攻撃、地上からは戦車隊の砲撃が二人に迫る。倉庫へ隠れて、ダンとソガは、アンドロイド0指令の内容を本部へ伝える。

だが、謎の老人と美少女ゼロワンがすぐそこまで迫り、二人の命は風前の灯火だ。ソガが老人たちに殴りかかろうとした瞬間に、ダンはソガを失神させると、すばやくウルトラアイを着眼した。形勢逆転して、屋上へ逃げる老人と美少女。

『あのときにモロボシ・ダンを殺しておけば・・・』

美少女ゼロワンの失敗をなじる老人は、チブル星人に変身してウルトラセブンに迫る。美少女ゼロワンにエメリューム光線を浴びせて破壊すると、チブル星人もセブンの敵では無かった。エメリューム光線を受けたチブル星人は、みるみる溶けていった。
『プッ、プッ、プッ、ポーン・・・』

午前0時の時報が鳴っても、街は何もなかったかのように平和に眠っていた。   (終わり)


★★★★★★★★★★★★
この脚本は好きな一本である。まず、「アンドロイド0指令」という題名が面白い。字面からでは内容が推理できない面白さと、おもちゃを使った侵略という奇想天外さ。催眠術をかけた子供達を戦闘員に仕立てて、「本物のおもちゃ」を使って地球侵略を考えるというあたりの奇抜さがいい。

しかも子供たちにやらせて、自らは手を下さないところは抜け目がない。だが今までの侵略者に比べて、下調べがしていないところは間が抜けている。モロボシ・ダンの正体が判っていながら、顔を知らないというゼロワン少女。

ピット星人もゴドラ星人も、ダンがどこにウルトラアイを持っているかまで知っていた様子がある。スケベ心の無い(笑)モロボシ・ダンなら握手をしない可能性が高いことから、ダン抹殺作戦のミスが失敗の主原因であることは間違いないと思う。
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ウルトラセブン(7)改 ~足跡の間隔は平均1メートルです。その点から推測して、相手の身長は約2メートル位だと思われます。 [ウルトラセブン・ドラマ1]

今回は、第22話『人間牧場』を取り上げます。
監修;円谷英二
脚本;山浦弘靖
監督;鈴木俊継
特殊技術;大木 淳

【アンヌの親友るり子の腕に付いていた胞子は、ブラコ星人の食糧であった!このままでは地球上の女性すべてが、ブラコ星人の食糧にされてしまう・・・】


◆今夜はアンヌの親友、るり子の誕生パーティが開かれていた。大勢の友人達が集まって、るり子をお祝いしていた。すると、外で愛犬ジョンが激しく吠える声がする。近所の猫でも見つけたのよと、気に留めないるり子。今度は鳴き声がおかしい。アンヌとるり子は、手分けしてジョンを探すことにした。

暗い中、大量の血が流れているのを発見したるり子は次の瞬間、大きな目玉の宇宙人に襲われてしまう。るり子の叫び声を聞きつけて、急いで声のする方へ向かうアンヌ。海岸に落ちているブローチを見つけるアンヌ。
『るり子のだわ!』

基地へ連絡を入れ、応援を要請するアンヌ。ポインター号で伊豆の入田浜へ向かう隊員たち。アンヌは円盤のようなものを見たと証言し、現地調査をした一行は、犬が怪力で絞殺されていること、砂浜から海に向かって続く妙な形の足跡を発見する。

それは歩幅から推測して、身長2メートルはある巨大生物の物であると思われた。ポインター号をホバークラフトのように浮かせて海上捜索を行ったが、異常は発見できなかった。翌朝、行方不明のるり子が浜辺で発見された。

様子がおかしいるり子を防衛軍基地に収容すると、右腕に謎の付着物を発見、切り取って培養を急ぐ。病症が不明で原因も解らないが、体内の染色体が急激に減少しているという。謎の付着物の培養を急いで、その結果で対策を講じるよりほかにないと言う北村博士。

メディカルセンターで休んでいるるり子がうめき声をあげると、全身が緑色に変色してしまっていた。るり子の異常を報告しようとしたアンヌを、メディカルセンターへ侵入してきたブラコ星人が襲う。叫び声を聞きつけてメディカルセンターへ入ったダンは、とっさにブラコ星人と素手で戦う。

が、怪力のブラコ星人はダンの首を絞めようとしていた。一瞬早く、キリヤマ隊長のレーザーガンが、ブラコ星人のとどめを刺した。しかし意識を失って倒れているアンヌも、るり子同様、全身が緑色に変色してしまっていた。

すぐにブラコ星人の死体を解剖した結果、るり子に付着していた赤い胞子が、ブラコ星人の食糧であることが判った。しかもその胞子を増やすのに、女性の身体は都合が良いのだ。女性の身体は、ブラコ星人の食糧である胞子を増やすための絶好の牧場というわけだ。
『このままでは、地球上のすべての女性が、人間牧場にされる恐れがある』

るり子とアンヌを至急隔離して、他の女性に空気伝染するのを防ぐ措置が取られた。ダンが隔離室で、北村博士に聞く。
『あの二人が助かる方法は無いのですか?』

『放射線アルファー73、これを患者の体に当ててれば、恐らく・・・』

『どこにあります?どうすればいいんです?』

土星の鉱石にしか含まれない、放射線アルファー73。ホーク2号で飛ぼうとするダン。決断するキリヤマ隊長だったが・・・。
『ホーク2号でどんなに急いでも、3日はかかります。患者の生命は、あと15時間もつかどうかです』

北村博士の言葉に、うつむくダンとキリヤマ。パトロール中のホーク1号から、円盤群と遭遇し交戦中との緊急連絡が入る。ホーク3号で緊急出動したダン。急がないと、時間が無い。セブンに変身するために無茶な戦闘を仕掛けるダンは、円盤群に突っ込んでいく。
『ダン、気でも狂ったのか!』

円盤群の攻撃を受け、大爆発するホーク3号の中から、ウルトラセブンが飛び立った。土星へ向かうセブンを、円盤群が交戦して邪魔をする。網状の光線で包囲されてしまったセブンを、ホーク1号がきりもみしながらレーザー光線を放って、セブンを包囲していた網状光線を破壊した。

ホーク1号に敬礼したセブンは、そのまま土星へ向けてスピードを上げた。セブンが取ってきた土星の鉱石を使って、放射線アルファー73をるり子とアンヌに放射する防衛軍の北村博士たち。ふたりとも身体が回復し、意識が戻って笑顔を見せる。

ホーク3号墜落現場にダンを探しにいったソガとアマギが戻ってきたが、ダンが見つからないことを報告する。心配な表情をしながらも、隊員たちを励ますキリヤマ隊長。
『ダンのことだ、きっとどこかで生きているさ・・・』

その頃、別室でゆったり余裕を見せながら土星の絵を描いているモロボシ・ダンの姿があった。   (終わり)


★★★★★★★★★★★★
冒頭、るり子の叫び声を聞いたアンヌが海に向かって撃つ照明弾は、白いブーツから取り出すのだが、台本では胸ポケットから万年筆を取り出し、キャップを抜いてボタンを押すと照明弾が打ち出されると書かれている。

るり子行方不明の知らせを受けて警備隊員が駆けつけ、ホバークラフトのようにポインター号で海上捜索をする時に運転しているのはフルハシだが、台本ではダンが運転している。

誘拐されたるり子がブラコ星人の円盤内に連れて来られて、意識不明のまま座った状態でいる場面。台本では実験室のベッドに寝かされた状態で機械を使ってるり子のデータを取り、そのデータの結果をみた星人は、機械を操作してるり子の腕に黄色い液体を注射する様子が書かれている。

最も違う点。台本では、ダンがホーク3号で無茶をしてセブンに変身した後、警備隊本部に現れて隔離されたアンヌとるり子が入ったカプセルを脇に抱えると、そのまま土星へ行こうとする場面がある。ブラコ円盤群が出すカプセルのように包まれる光線に捕まり、行く手を阻まれているところをホーク1号が3つに分かれて攻撃し、セブンを助けてそのまま土星へ行かせる。
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ウルトラセブン(8)  ~セブンは身長50メートルの巨人にも、豆粒ほどにも、ちいさくなれる [ウルトラセブン・ドラマ1]

今回は、第39話『セブン暗殺計画(前篇)』を取り上げます。
監修;円谷英二  
脚本;藤川桂介
監督;飯島敏宏  
特殊技術;高野宏一

◆警報が鳴ってフルハシやアマギが出動しても何も異常がないのに、ダンが出動したときにだけ、怪獣アロンに襲われることが何度か続いた。ガッツ星人は、地球を侵略するには地球人の心の拠り所を無くしてしまえば、簡単に降伏すると考え、それには地球人の目の前で、ウルトラセブンを処刑してしまえばよいと考えた。

怪獣アロンはウルトラセブンの超能力を探るための囮(おとり)であり、セブンはまんまとこのワナにはまって能力を探られ分析されてしまう。第三地区に警報が出て、ダンとアンヌが出動した。ポインター号で第三地区へ向かったところ無人の自動車に囲まれて、身動きが取れない状態に追い込まれてしまう。

ガッツ星人が現れて、ダンに挑戦してきた。アンヌがいるため変身出来ないダンは、カプセル怪獣ウィンダムを使ってガッツ星人と闘わせるが、電子頭脳を破壊されてしまう。ガッツ星人は巨大化してダンをセブンに変身させようと誘うが、本部に連絡を取って迎えに来たホーク1号により、ダンとアンヌはその場からの脱出に成功する。

ウルトラ警備隊では、ガッツ星人の目的をつかみかねていた。一方で、泉ヶ丘の上空に未確認飛行物体があることをレーダーがとらえていたが、肉眼では確認できない。ホーク3号で出動したアマギとアンヌの目の前にガッツ星人の宇宙船が姿を現し、ホーク3号は撃墜されてしまう。

ポインター号で泉ヶ丘に向かったソガとダンだったが、ソガはガッツ星人の捕獲円盤に襲われて捕らえられてしまう。本部にソガの救出を依頼したダンは、ポインター号で移動中に鉄橋を爆破され、セブンに変身せざるを得なくなる。

泉ヶ丘の崖の上で、ガッツ星人とセブンの戦いが始まった。アイスラッガーやエメリューム光線などの超兵器を使ってガッツ星人と闘うセブンだったが、怪獣アロンを使って徹底的に分析されたセブンの能力は、もはやガッツ星人には通用しなかった。

光線技によってエネルギーが消耗し、セブンの額のビームランプが点滅をはじめた。もう立っていることができないほど疲労しているセブン。エネルギーが足りず反撃できないセブンは、ついにガッツ星人によって十字架にかけられてしまう。

泉ヶ丘に急行したキリヤマ隊長たちは傷ついたソガを発見するが、ダンを見つけることは出来なかった。
『ダーン!ダーン!』

フルハシの声が、泉ヶ丘にこだまする。防衛軍はミサイルや高射砲でガッツ星人の宇宙船を攻撃するが、強力なバリアーに阻まれて宇宙船は無傷であり、逆に防衛軍側に犠牲が出てしまう。
『このまま戦闘を続ければ、君達は全滅するだけだ。地球防衛の切り札ウルトラセブンは、我々の手中にあるのだ!』

夕方の泉ヶ丘で必死にダンを探すアンヌの目前に、磔にされたウルトラセブンが出現する。ガッツ星人は「夜明けとともにセブンを処刑する」と通告してきた。明朝の日の出は5時21分と判明した。セブンの処刑まで、あと12時間足らずしかない。

そのときまでにセブンを救出できなければ、処刑されたセブンを見た人類は反撃する力を無くして、ガッツ星人の奴隷となってしまうにちがいない。どうしたら、セブンを助けることができるのか?
『何しろ、相手は宇宙人だからな・・・』

そんなとき、宇宙ステーションの回路を使っておかしな発信音がキャッチされた。直ちに録音して分析するよう指示するキリヤマ隊長。新たな侵略の前触れか、それとも・・・。明日は人類破滅の夜明けになってしまうのだろうか。  (つづく)


★★★★★★★★★★★★
ダンがアンヌと第3地区に出動してガッツの無人自動車に囲まれた時、投げるカプセル怪獣が台本ではミクラスになっている。ミクラスも本編のウィンダム同様ガッツの敵ではなく、ダンが回収する前に焼殺されてしまう点は同じである。また台本ではガッツ星人は4体でてくるのだが、それはセブンの超兵器分析での会話に出てくるだけなので、2体で十分であるという判断が出たものと思われる。本編の作戦室で指揮を取っているのはタケナカ参謀だが、台本ではマナベ参謀になっている。

飯島監督は、ウルトラセブンでは3本しか監督していない。「勇気ある戦い」と、この「セブン暗殺計画」前・後篇である。しかもこの3本はいずれも力作であり、特に「セブン暗殺計画」は最後まで目が離せないストーリー展開で、満田監督の「史上最大の侵略」と同じかそれ以上に、筆者は好きな作品である。
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