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ウルトラマン(9) [初代マン・ドラマ2]

《第25話 怪彗星ツイフォン》を取りあげます。

監修;円谷英二
脚本;若槻文三
音楽;宮内国郎
怪獣デザイン;成田 亨
特殊技術;高野宏一
監督;飯島敏宏

【ギガス(南 明)】
【ドラコ(池田文夫)】
【レッドキング(鈴木邦夫)】登場


▼宇宙のはるか彼方から赤い尾を引いてやって来る新彗星は、ツイフォンと名付けられた。岩本博士が、電子計算機を使って軌道計算をしたところ、地球はツイフォンと衝突するという結果が出たのである。それを聞いたイデ隊員は卒倒してしまう。

もう少し詳しく計算したところ、83パーセントの確率で衝突するという結果が出た。岩本博士は、さらに詳しくツイフォン彗星の軌道を計算し直したところ、ほんのわずかな差で衝突を免れることが判明した。

だがその差は、5万5860キロメートルという宇宙規模で言えば紙一重の差であった。すれ違う時に、彗星の引力によって大気が大移動したり海水が満潮になったり、どのような影響が出るのかは想像がつかない。

それほどの微妙な距離だということである。地球がツイフォンとすれ違うのは、明後日の午前3時20分15秒。今から37時間余りのちに迫っていた。いろいろなデータを元にツイフォンが地球に及ぼす影響を計算した結果、大きな被害は受けないだろうという答えが出たのであった。

科特隊の隊員達は、少しずつ落ち着きを取り戻していた。笑顔を取り戻したフジ隊員がコーヒーを入れてみんなに振る舞ったところ、みんなの顔が一斉に渋くなった。砂糖と間違えて塩を入れてしまっていたのだ。一番動揺していたのは、やはりフジ隊員だったのである。

宇宙線観測所から科特隊へ連絡が入る。ツイフォン彗星から降り注ぐ特殊な宇宙線を観測したとの情報であった。また、科特隊パリ本部から緊急に入った情報によれば、ツイフォン彗星から降り注ぐ宇宙線の作用で、水素爆弾が自然爆発する可能性があるという。

地球防衛委員会は、水爆を持つ国々に対してその安全を図るように指示を出した。イデが突然、思い出したように語り出した。

『依然オホーツク海で、廃棄処分になった旧型の水爆が、6個紛失したといううわさがありましたね、キャップ・・・』

海底200メートルの所にある鉛の倉庫が破壊されて、6個の水爆が紛失したといううわさがあったことを、ハヤタも思い出したのである。

もしも、その6個がツイフォンの宇宙線の影響でいっぺんに爆発すれば、地球上は猛烈な放射能汚染のために、すべての生物は死滅してしまうだろう。

『デマだよ、あの話は!』
『デマならデマで、確認しておく必要がある!』

アラシはデマだから放っておけと言うが、イデの意見はもっともなことである。パリ本部へ問い合わせする必要を感じたムラマツキャップは、フジ隊員へ指示を出した。

夜が更けて、人々に対し地下室や地下道への避難命令が出された。大した影響はないと言われていただけに、この命令は人々を不安にした。紛失した6個の水爆のうわさは、人々の間にも広がっていた。破壊された鉛の倉庫には、大きな爪あとが残っていたという話をする者もいた。

ムラマツキャップは、一つの話を持ち出した。オホーツク海の紛失事件のあと、日本アルプスで強烈な放射能が検出されたことがあったのだ。直ちに調査を始めたところ、放射能反応はピタリと止んでしまったという一件であった。

『水爆を飲み込んだ怪獣が、日本アルプス付近で姿を消した可能性があるということか・・・』
アラシがそう言うと、イデが新兵器を持ちだしてきた。
『そんなこともあろうかと、水爆探知機を作っておきました』

すぐに日本アルプスへ向かったハヤタ、アラシ、イデの3名。ビートルには水爆探知機が装備され、イデが操作している。だが、半径20キロ以内のモノに反応するという性能であるため、未だに反応が無いのだ。

『この分だと、仮に水爆を飲み込んだ怪獣がこの日本アルプスにいても、かなり深い地点に潜んでいることになるな・・・』
『それなら、まぁ安心ってところだな・・・』

地中20キロ以上深く潜っていれば、ツイフォンの影響は受けないだろうと予測するハヤタとアラシ。午前3時を回り、ツイフォン彗星の影響が起き始める時刻になったため、ビートル機は日本アルプスの適当な場所に着陸することにした。

明け方の空に、赤い尾を引いた彗星が人々の頭上を通過していく。大きな影響もなく、地下道に隠れていた人々は安心し、喜び勇んで輪になって踊り出していた。

ツイフォン彗星が通過した直後、謎の飛行物体が地球に飛来したことをレーダー基地が観測した。科特隊にもその情報は入っていたが、ビートル機との連絡がツイフォンの影響で取れていないのだ。

一方、着陸したビートル機から見える稜線に巨大怪獣が顔を出しているのを見た3人は、直ちにビートル機に乗り込んだ。水爆探知機が、この怪獣に反応していないことを確認したイデ。この怒り肩の怪獣は、ギガスである。

肩から上が雪で固まったように真っ白で、下は雪焼けしたように茶色い身体をしている。
『あれはなんだ!』

どんどんビートル機に近づいてくる飛行物体がある。近づくにつれて、それは生物であることが判った。飛行物体の正体は怪獣ドラコである。レーダー基地が観測した、ツイフォン彗星から地球に向かって飛来する飛行物体とは、このドラコのことであった。

ドラコは、ギガスにぶつかる様に飛びかかった。ドラコは宇宙怪獣、ギガスは地球怪獣ということになろう。二匹は戦いあった。雪合戦のように、雪を掘ってドラコにかけるギガス。

水爆探知機が破裂するほどの強烈な放射能反応を示す怪獣が、地面の下をうごめいていた。それはやがて崖を崩して、姿を見せた。怪獣王レッドキングであった。筋肉モリモリの怪獣である。レッドキングこそが、6個の水爆を飲み込んだ張本人であった。

地球怪獣のレッドキングはギガスとドラコの戦いをしばらく見ていたが、弱いギガスに頭にきてしまった。お前は退いていろと言わんばかりにギガスを突き飛ばすと、ドラコに襲いかかっていった。

飛行できるドラコの羽根をむしり取り、ドラコを海老ぞりにしたあと、殴って叩きのめしてしまった。3大怪獣が戦い合っていて、うち一匹が水爆を飲んだ怪獣であることをイデからの無線で知ったムラマツキャップは、水爆を飲み込んだ怪獣をなんとか引き離すよう、ハヤタ達に要請した。

ハヤタは、自分が囮になってレッドキングを引き離すと言い出す。レッドキングに近くまで接近して、崖の上からハヤタはスーパーガンを撃ったが、レッドキングにはたき落とされてしまう。ハヤタは転落しながらもフラッシュビームを焚いて、ウルトラマンに変身した。

ビートル機に乗ったイデとアラシはウルトラマンが出現したことを知ると、ビートル機を離陸させてギガスのとどめを刺しに向かった。レッドキングとの戦いで疲労しているギガスの頭上から、新兵器・強力乾燥ミサイルを落下させた。カチカチに凍り付いたギガスは大爆発してしまうのだった。

一方のウルトラマンは、レッドキングを首投げにしたあと両腕を胸の前でクロスさせると、レッドキングが宙に浮きだした。指先から出す光線でレッドキングをシビレさせると、八つ裂き光輪で首・胴・足の3つに切り裂いてしまった。

水爆を飲み込んだ首だけを持ってウルトラマンは宇宙へ行き、爆破してしまうのだった。地上で手を振るハヤタを拾って帰るビートル機から事件解決の連絡を受けたキャップは、地球から85億キロも遠ざかったツイフォン彗星のことをフジ隊員の報告で知り、安心する。

ところが、3026年7月2日午前8時5分というメモを宮本博士からもらう。同じ軌道を通ったツイフォン彗星が今度地球と衝突する日時だと、岩本博士から説明を受けるのだった。その時はきっと、人類の英知が彗星軌道を変えるだろうと話すムラマツキャップであった。 (終わり)


★★★★★★★★★★★★
子供の時には気付かなかったが、ビートルや怪獣が空を飛んで一回転するシーンは、ビートルと一緒に空も一回転していることが、大きな画面で見るとよくわかる。追っているカメラが一回転しているだけなんだね。(笑)


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