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ウルトラマン(8) [初代マン・ドラマ2]

《第20話 恐怖のルート87》を取りあげます。

監修;円谷英二
脚本;金城哲夫
音楽;宮内国郎
怪獣デザイン;成田 亨
特殊技術;高野宏一
監督;樋口祐三

【高原竜 ヒドラ(荒垣輝雄)】登場


▼伊豆の大室山公園(おおむろやまこうえん)は、大室山の麓(ふもと)にある動植物園である。夜間の見回りをしている警備員が、ここ最近、夜になると動物たちが泣き叫ぶ様子を目撃していた。以前には、こんなことは一度も無かったのである。

日中でも、飼育員に怪我をさせるような暴れ方をする動物が最近多くなったという。ある晩、警備員が巡回をしていると、大室山の山頂が緑色にピカッと数回光った。目撃した警備員はただ事ではないと思い、科特隊に急報したのであった。

ビートル機で出動した科特隊は、その晩は山頂が光らなかったため、明るくなってからリフトに乗って山腹を調査することにした。実は半年前頃から、大室山の山腹の木が枯れ始めるという異変が起きていた。学者に調査を依頼したものの、原因は不明であった。

作戦室で一人作業をしていたフジ隊員のところに、少年が一人突然入ってきて、妙なことを言うのであった。

『大室山公園の高原竜ヒドラが、暴れるよ』
『・・・なにが暴れるって?』

『高原竜ヒドラ・・・早くしないと、大変なことになるよ!』
『待って、坊やの名前は?』

少年はそれだけ言うと、質問には答えずに部屋を出て行ってしまった。最初はホシノ君の友達かと思ったフジ隊員だが、それにしても一人で入ってくるのはおかしい。

少年が出ていくのと入れ違いにイデ隊員が入ってきたので、出て行った少年の事を話すと、イデは誰にも会わなかったというのだ。イデは守衛室に確認をするが、猫の子一匹たりとも入れてないと逆に怒られてしまうのだった。

少年のことが気になるフジ隊員は、このことを伊豆大室山公園にいるムラマツキャップへ報告した。
『キャップ、大室山公園の高原竜ヒドラが暴れ出すと言ってきた少年がいます。念のため、調査願います』

この大室山公園には、巨大な高原竜の石像がある。恐竜と鳥を合わせたような姿をした怪獣で、この公園が開園する時に全国からデザインを募集して作った架空の怪獣であった。デザインが採用されたのは東京に住む小学生で、当時小学3年生のムトウアキラという少年だった。

詳細な情報を警備員から聞いたムラマツキャップは、それをフジ隊員へ連絡すると、イデと共に調査をするよう命令した。

ムトウ少年のいるあけぼの少年ホームに調査に出かけたフジとイデの両名は、ムトウ少年が半年ほど前に死亡していることを知る。山鳥が好きなムトウ少年は、夏休みに一人で山へ行き、国道87号線でトラックにはねられて死亡してしまったのである。

ひき逃げ事故なので、犯人はまだ捕まっていないという。ムトウ少年は怪獣が好きで、壁には自分が考えた怪獣の絵がたくさん貼られていた。数十枚ある怪獣の絵の中で、ひときわ目立つヒドラの絵。「ヒドラは本当にいるんだよ!」といつも言っていたことを、先生は思い出していた。

ヒドラの絵が当選して石像が完成した時の喜ぶ顔が、今でも忘れられないと先生は言う。たくさんの怪獣の絵の横にあるムトウ少年の遺影を見たフジ隊員は驚いた。
『あっ、この子だわ。本部に現れたのはこの子なのよ!』

その晩、キャップ、ハヤタ、アラシの3名が大室山を見回っていると、突如暗闇を突いて緑色に光った山頂が三つに割れ、その割れ目から怪獣が出現した。その姿は、ムトウ少年が言っていた高原竜ヒドラそのものだった。

斜面を崩した土砂が大室山に登るリフトを破壊し、被害は麓の動植物公園にも及んでしまった。スパイダーショットとスーパーガンでヒドラを攻撃する三人に、大空へ舞い上がったヒドラは口から火炎を吐いて三人を威嚇すると、そのまま夜の闇へと消えてしまうのだった。

『ヒドラは一体どこへ行ったんだろう?』
『一時は逃げたとしても、帰巣本能があるから必ず舞い戻ってくるはずだ』

ハヤタの言う通り、ヒドラは再び舞い戻ってきた。そして国道87号線(ルート87)を走る自動車だけを攻撃の対象としていた。少年が轢かれたルート87で、少年の仇を討とうとでもしているようなヒドラ。

出撃命令でビートル2号機に搭乗したハヤタもアラシも、ヒドラが車を襲う理由をひき逃げされた少年の魂がそうさせているのではないかという意見で一致していた。

だが、科特隊の使命は人間に害を与える者を排除することである。どんな怪獣であっても人間の敵となるからには始末しなければならないのだ。ビートル1号機のキャップは、イデとフジにそう告げて攻撃を開始した。

2機のビートル対ヒドラの空中戦になっていく。2号機のロケット弾はヒドラに命中するが、びくともしないヒドラは2号機と空中で接触し、2号機は不時着を余儀なくされてしまう。アラシは打撲程度で済んだが、ハヤタは左腕を負傷して意識を失っていた。

ハヤタが近くの救護所で手当てを受けている頃、アラシは次の作戦としてタンクローリーを運転していた。タンクローリーをヒドラに襲わせ、襲われる直前に運転席を脱出したアラシが、ヒドラのつかんだタンクローリーをスパイダーショットで撃ち爆発させる作戦だ。

作戦は上手く運び、ヒドラの胸に大怪我を負わせることができた。だが、怒ったヒドラはアラシに迫っていく。スパイダーショットのエネルギーが無くなり、アラシはピンチに立たされてしまう。

救護所で手当てを受け左手を包帯で吊っているハヤタは、救護所を抜け出すとウルトラマンに変身した。ウルトラマンはヒドラから口ばし攻撃を受け、顔をつつかれて気を失ってしまう。

しばらくして気が付くと、再び顔をくちばしで攻撃してくるヒドラにウルトラマンはスペシウム光線を発射するが、空へと逃げられてしまう。ヒドラを目で追いながらスペシウム光線を再び発射しようとして、ウルトラマンは思い止まるのだった・・・

ビートル1号機に乗っているフジ隊員には、ヒドラの背に乗っているムトウ少年の姿が見えていた。
『ウルトラマン、ヒドラを殺してはいけないわ!』

ムトウ少年の姿は、ウルトラマンにも見えていたのだろう。ヒドラをしばらく目で追っていたウルトラマンは、フジ隊員の声を聞いて十字に組んだ腕を解いたのだった。

『あれ、ウルトラマンの奴、わざとヒドラを逃がしたぞ?なぜスペシウム光線を発射しなかったんだろう・・・』

イデが不思議そうにそう言うと、イデの向こうに見えるウルトラマンに向かって、フジは言った。
『ウルトラマンには解かってたんだわ・・・ウルトラマン、ありがとう!』

ヒドラは、そのままどこかへ飛んで行ってしまった。そしてウルトラマンも・・・
『シュワッキュ!』

大室山公園の高原竜ヒドラ像の前に立つ科特隊のメンバー。
『このヒドラは、自動車事故で不幸な死を遂げた多くの少年達の化身なのかもしれない・・・』

この事件がきっかけで、ムトウ少年をひき逃げした犯人は警察に自首したと言う。
『これでアキラ君も天国へ行けるわね、良かった!』

それにしても、フジ隊員の目にだけムトウ少年の姿が見えていたのは何故なのだろう?科特隊男性隊員全員の疑問が残る。

『結局、純真な心の持ち主には、普通の人には見えないものが見えるっていうことじゃないかしら・・・ねぇキャップ?』
『一本やられたな。ハハハハハ・・・・』 (終わり)


★★★★★★★★★★★★
古谷敏氏が金城氏に、ウルトラマンはドラマではいつも怪獣を退治するけど、たまには助けることは無いの?という会話がヒントになって、このシナリオは作られたという。ちょっぴり感動する内容だよね。

感動とはまったく反対の位置にある話を。ビートル2号機に乗り込みヒドラを攻撃するハヤタとアラシの座席の位置が、カットが変わると入れ替わっているのはどうしたわけ?(笑)

戦後の国道整理で、87号線は欠番となっているそうである。



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コメント 2

なんだかなぁ〜!! 横 濱男

コメントありがとうございます。
また、一番になっちゃいました。
あまり、褒められると木に登っちゃいますので・・・。(^0^)
by なんだかなぁ〜!! 横 濱男 (2016-08-07 00:06) 

しゅわっち

子どもの頃見た映像がよみがえるようです(^.^)
そういえば、ウルトラマンってストーリーの進行が特殊だったなぁとつくづく思います。
たぶんに常に何かを訴えたかったのでしょうね。
by しゅわっち (2016-08-07 22:19) 

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