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ウルトラセブン(32) ~『ワレワレノ指令ヲ忠実ニ守ッテ、地球征服ニ協力シナケレバナラナイ。ワッカッタナ』 [ウルトラセブン・ドラマ3]

今回は第5話『消された時間』を取り上げます。
 監修;円谷英二  
 脚本;菅野昭彦
 監督;円谷 一
 特殊技術;高野宏一
 

◆南極の地球防衛軍・科学センターから防衛軍極東基地へ向かって、地球の頭脳と言われるユシマ博士を乗せた超音速の専用ジェット機が順調に飛行していた。ユシマ博士は弱冠29歳という若さながら、博士号を5つも持つ超エリートであった。

極東基地の防衛力をより強化するため、博士の発明した「ユシマダイオード」を極東基地のレーダーに取り付けるのが訪問目的であった。
『いやぁ、お乗せしているのが地球の頭脳のユシマ博士ですからね。メガトン級の水爆を腹いっぱい抱えているような気分ですよ・・・ハハハハ』

コックピットから現れた機長はそう言って笑っていたが、超音速で飛行しているこのジェット機が、ほんの一瞬だけ黄金色の光に包まれて凍りついたように空中を静止していたことに、機内の誰ひとり気付く者はいなかった。

博士を乗せたジェット機は、予定通り午後3時に極東基地の特別飛行滑走路に到着し、マナベ参謀とウルトラ警備隊員全員がユシマ博士を出迎えた。極東基地滞在中、博士の身辺警護をするのはフルハシ隊員であった。

到着した日の夜、防衛軍のVIP滞在用ホテルにユシマ博士を送り届けたフルハシは、博士の護衛のために自分も同ホテルに滞在した。寝室のとなりの部屋で博士を警護しているフルハシは、博士がベッドで寝返りをうった時に落とした雑誌の音にも、敏感に反応した。

しかしその夜遅く、このホテル全体を黄金色の光が包みこみ、このホテルの時間だけが停止していたことに、気が付く者は誰もいなかった。護衛のフルハシは、うたた寝をしかけて椅子から転げ落ちそうになるが、その途中で時間が停止したため、フルハシの身体は斜めに倒れかけた椅子とともに宙に停止していた。

『起キルノダ、ユシマ博士!』
博士の部屋のテレビ画面に、怪しげな姿のヴィラ星人が映る。その声に、ベッドから上半身をムックリと起こすユシマ博士。

ヴィラ星人は、ユシマ博士が乗っていたジェット機に時間停止光線を浴びせて時間の進行を止め、博士の心にヴィラ星人の心を植え付けていた。心がヴィラ星人になったユシマ博士を自由に操り、地球防衛軍基地を内部から混乱させて、それに乗じて地球侵略をしようとするヴィラ星人。

ヴィラ星人は怪光線を当てた「ユシマ・ダイオード」を、翌日防衛軍基地のレーダーに取りつけるように指令する。指令を受けたユシマ博士は、何もなかったようにベッドに横になるのだった。
『地球ニハ、人間ニ味方スル宇宙人ガイル。名前ハ、モロボシダントイウ。コノ男ニ気ヲツケロ』

ホテルを包んでいた黄金色の光が消えて、再び時間が動き始めた、宙に停止していたフルハシは床に転倒してすぐ起きあがると、ユシマ博士の部屋の扉を開けて異常無いことを確認するのだった。

翌朝、防衛軍のレーダー管理室へダンと共に視察に訪れるユシマ博士。
『ダン君、これを第三回路へセットしてくれたまえ』

博士から渡された「ユシマ・ダイオード」を、第三回路へ取り付けるダン。これでレーダーの感度が随分違うはずだと、胸を張るユシマ博士。
『超遠距離レーダーが完成すれば、これまでの4倍遠くの敵をキャッチできる』

キリヤマ隊長はそう言って、「ユシマ・ダイオード」に期待していた。だが、ダイオードを取り付けた直後にスイッチを入れた途端、レーダー室内は火花が飛び散り、基地のレーダーが停止するという事態に陥る。基地内に警報が流れ、緊急招集されるウルトラ警備隊。

ヤマオカ長官が訓示をする中で、ユシマ博士は、すり替えたダイオードを取り付けたダンが宇宙人スパイだと言い放つ。キリヤマ隊長を始め、ダンを知る警備隊員達はダンに味方し、この場は収まった。だがダンは、博士のこの不可解な言動に疑問を抱き、博士から目を離さないように気をつけることにした。

基地の目であるレーダーを失っている間、ホーク1号と3号がパトロールの為に発進していった。その頃宇宙の彼方では、ヴィラ星人の宇宙船団が、この隙を狙って地球に刻々と近づいていた。防衛軍基地では、まだこの事実に気付いていない。

一方、ユシマ博士は、ヴィラ星人から次の命令を受けるため、機械室にひとり閉じこもっていた。
『ヨクヤッタ、ユシマ博士。次ハ、ウルトラホークノ発射台ヲ、徹底的ニ破壊セヨ・・・』

ボディガードを解任されたフルハシに博士の居所を聞き、ダンは機械室へ向かう。だが、誰も入れるなという博士の指示で警備兵が守っていて中へ入れない。ダンは透視力で中の様子を窺い、モニターに映るヴィラ星人がユシマ博士に指令を与えている様子を目撃する。

ダンは機械室から出てきた博士を襲い、格闘になってしまう。
『博士、あなたは宇宙人に利用されているんです!』

警備兵に呼ばれたキリヤマ隊長たちに両腕をつかまれたダンは、独房に連行され監禁されてしまう。今や、誰にも信用されなくなってしまったダン。

ヴィラ星人の宇宙船団が襲来して、基地内は警戒警報が鳴り響いていた。ダンを信じる者はもはや誰もいない。ヴィラ星人の陰謀を阻止するには、セブンに変身して独房を破るしかなかった。
『デュワッ!』

ウルトラホーク1号が発進できないように、ホークの発射台のバランスを大きく崩しておくユシマ博士。次の発射台へ行こうとする博士の所に独房を破ったセブンが飛んできて、博士を弱いエメリューム光線で気絶させると、セブンは傾いた発射台を元へと戻した。

ヴィラ星人の宇宙船団を迎え撃つホーク1号は、無事に発進していった。セブンも宇宙船団を追ってエメリューム光線を発射、撃ち落とした宇宙船からヴィラ星人が出現した。

ザリガニかエビのような姿のヴィラ星人は破壊光線で攻撃してくるが、セブンはバリヤーで防ぐと、アイスラッガーで切り裂いてとどめを刺した。ホーク1号に撃墜された宇宙船団のうちの1つが、切り裂かれたヴィラ星人めがけて落下していくと、たちまち燃え上がるヴィラ星人。

ユシマ博士はウルトラ警備隊によってメディカルセンターに運ばれ、意識を取り戻した。
『どうして僕はここに?たしかロケットに乗っていたはずじゃ・・・』

ユシマ博士を自由に操って防衛軍基地を破壊しようとしたヴィラ星人の企みは、ウルトラ警備隊とウルトラセブンによって、阻止されたのであった。 (終わり)


★★★★★★★★★★★★
ウルトラホーク3号の発進シーンは、ご存じ流れる滝を突き破って基地から出てくるのであるが、この回ではそのシーンが2回も見られるぞ!
もう一つ珍しいことに、ウルトラ警備隊の歌入りの曲が、全49話中で唯一この回だけにある。
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ウルトラセブン(33) ~『これでもう、9人目よ!』 [ウルトラセブン・ドラマ3]

今回は、第33話『侵略する死者たち』を取り上げます。
 監修;円谷英二  
 脚本;上原正三
 監督;円谷 一
 特殊技術;高野宏一
 

◆海底を行く3隻の潜水艦。それは、左右にハイドランジャー1号と2号を従え、極東基地に向かう原子力潜水艦S号であった。S号にはマナベ参謀とキリヤマ隊長が乗りこみ、地球防衛軍パリ本部から持ち帰ってきた機密書類が厳重に保管されていた。

S号は敵の目を欺くために、伊豆半島沖に浮上して空路をヘリコプターで基地へ向かうことにした。一方基地周辺では、奇怪な事故が起こり始めていた。基地周辺をパトロール中のポインター号が、車道にいきなり飛び出してきた人物を引いてしまう事故が起きた。

上下黒い服装で裸足の男性と接触事故を起こしたポインター。アマギとフルハシは、ただちにこの男性を基地のメディカルルームへと運んだ。ついさっきも、警備兵がおなじような事故で黒ずくめの男性を運んできたばかりであった。

警備兵が運んだ男性も今フルハシ達が運んだ男性も、アンヌによって死亡が確認された。アンヌが叫ぶように言う。
『これでもう、9人目よ!』

どれもみんな身元を確認できるものを持っていない死体たち。ふとアマギが、ホルマリンのようなニオイがすることに気付く。病院を当り、その方面から手がかりを探すことになった。

S号が運んできた機密書類は、ヘリコプターで無事に基地に到着した。マナベ参謀とキリヤマ隊長、ダンとアマギ、警備兵によって厳重に守られた機密書類は、基地内の大金庫に運ばれていく。

光線銃の光に反応して開くドアをマナベ参謀が開けると、そこには鉄格子があった。不意にアマギがその鉄格子に触れようとしたので、マナベ参謀が制止した。
『寄るな!3万ボルトの高圧電流が流れているんだ!』

鉄格子を光線銃で開けると、これから先は、マナベ参謀とキリヤマ隊長だけが立ち入る。高圧電流を止めて、直径2メートルはある大金庫の取っ手を回してそれを開ける。機密書類の中身はマイクロフィルムであった。

キリヤマ隊長が持っていたアタッシュケースから取り出されたマイクロフィルムは、マナベ参謀の手によって大金庫にしまわれた。大金庫はもとどおりに、厳重に警戒されながら閉められていく。

その頃、解剖用の死体10体が、昨夜病院から盗まれていた事実がフルハシによって確認された。キリヤマ隊長は、基地に運ばれてきたこの死体を早速調べさせたが、サイボーグでもないし改造された様子も一切ない。
『何か目的があって送り込まれたとすれば、今にきっと動き出す!』

その晩、ダンは死体収容室の10体の死体の見張りを、隊長から命じられた。収容室のとなり部屋から、時々ガラス越しに死体を見張る。午前1時を回ろうとした頃、何かがおかしいことにダンは気付くが、それが何なのかは解らなかった。

だが死体収容室内では、10体の死体から抜け出るように、影だけがむっくりと起き上がる様子が壁に映っていた。誰も出入りしていないのに、作戦室やメディカルルームのドアがひとりでに開いて、閉まった。一人でメディカルルームにいたアンヌは不審に思い、開いたドアの方を見つめた。
『きゃあぁぁ!』

アンヌは、自分のものでない影が動いているのを見て部屋を飛び出すと、悲鳴を聞いて駆けつけてきた隊長達と鉢合わせになりそうになった。
『どうした!』
『影が!』

急いでメディカルルームへ行くキリヤマ隊長とアマギ。室内は別段変わった様子もない。
『ドアが開いて、影が入ってきたのよ!』
『作戦室のドアも開きましたね・・・』

ダンに連絡を取り、死体の様子を尋ねる隊長。ダンも、何かがおかしいことを報告する。だが、それが何かは解らない。何者かが暗躍を始めたことを感じ取るキリヤマ隊長だった。大金庫の前にはフルハシとソガが警戒していた。

突然、基地内に警報音が、けたたましく鳴り響いた。急いで大金庫前に集合するウルトラ警備隊の全員。
『どうしたフルハシ!』
『見てください!影だけです』

マナベ参謀は、すぐにマイクロフィルムを確認するため大金庫を開けると、マイクロフィルムは無くなっていた。
『盗まれたマイクロフィルムには、世界の地球防衛軍秘密基地の所在地が明記されているのだ!』

なんとしてもマイクロフィルムを取り返さなければならない。基地内と周辺に非常警戒網が張られた。ダンは、今気付いた。死体収容室内で影が動いていた。何かおかしいと思ったものの正体は、影だったのだ。
『誰かが念力で死体を操っているんだ・・・』

ダンは死体収容室に戻ると、10体の死体の前で影の正体を見極めようとした。今度はセブンとしての勘で、影たちの暗躍が分かりはじめるダン。ダンはセブンに変身するが、影たちに霧のようなガスを浴びせられて10センチほどに小さくされ、影のひとりにガラスのコップを被せられてしまう。

超能力を封じられたセブンは、エメリューム光線を発射して火災を起こし、緊急事態を隊長達に知らせるのだった。キリヤマ隊長たちが死体収容室の火事に気付いて消火作業に向かっている頃、影たちは次の行動に移るために手薄になった作戦室に侵入していた。

消火作業でごった返した死体収容室の隣室で、誰かが床のコップを蹴ったため、セブンは解放されてダンに戻ることが出来た。ダンによれば、誰かが念力で死者の霊を操ってマイクロフィルム奪い、それをどこかへ電送するつもりにちがいないという。

ダンの考えを聞いたキリヤマ隊長達はすぐに作戦室へ戻ったが、通信隊員たちは気を失っており、マイクロフィルムはすでに電送されたあとだった。すぐに電送先は東京K地区だと判明したが、隊長達が急行した場所で見つけた物は中継装置だけで、敵はそこを中継点にして宇宙へ電送していたのだった。

ホーク2号で宇宙へ飛ぶよう指示されたダンは、宇宙空間に停滞している謎の宇宙ステーションを発見する。攻撃を受けてホーク2号は破壊されてしまうが、ダンはセブンに変身して迎撃する。

だが宇宙ステーションから放たれた光線を全身に受けたセブンは金縛りになり、4機の小型円盤がセブンの両手両足を捉えて、セブンは拉致されてしまう。

ダンの後を追って、ホーク1号で宇宙へ飛んできたキリヤマ隊長たちは、宇宙ステーションに捕えられているセブンを発見し救出する。セブンは宇宙最大の武器・ワイドショットで、敵宇宙ステーションを撃破するのであった。 地球防衛軍の秘密は、こうして守られたのであった。 (終わり)


★★★★★★★★★★★★
『ウルトラセブン』は、怪獣が全然出てこなくても、ここまで面白く描けるというお手本のような作品の内の一本。ポインター号が走っていると、いきなり車道に飛び出て轢かれたから、あの黒ずくめの男達のことを「シャドウ(車道)マン」と呼ぶのかな(笑)
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ウルトラセブン(34) ~『それは・・・血を吐きながら続ける、悲しいマラソンですよ・・・』 [ウルトラセブン・ドラマ3]

今回は、第26話『超兵器R1号』を取り上げます。
 監修;円谷英二  
 脚本;若槻文三
 特殊技術;的場 徹
 監督;鈴木俊継


◆地球防衛軍基地内の秘密工場で造られている,、惑星攻撃用超兵器R1号。その設計図を見て感心しているフルハシ、ソガ、アンヌ、アマギ。だが、ダンだけは腕組みをして、穏やかではない。フルハシやアンヌは、この超兵器R1号が完成すれば地球の防衛は完璧だと考えていた。

しかも、新型水爆8千個分の爆発力を持つこのR1号は実験用だという。48時間後にこの防衛軍基地から打ち上げることが決まっていた。

『我々は、ボタンの上に指を乗せて、侵略しようとするヤツを待っていればいいんだ』
『それよりも、地球に超兵器があることを知らせればいいのよ!』

『そうか!そうすれば、侵略してこなくなる』
『そうよ!使わなくても、超兵器があるだけで平和が守れるんだわ。ねぇダン!』

みんなが喜んでいるその中で、一人浮かない顔のダン。ダンはフルハシと一緒に作戦室を出た時、フルハシに訊いた。
『フルハシ隊員。地球を守るためなら、何をしてもいいのですか?』

超兵器製造には、切り札を持つことで、地球侵略をしようとしても無駄であることを相手に悟らせる狙いもある。だが、ダンは決心した。
『実験の中止を、参謀にお願いしてきます!』

ダンの言葉を聞いたフルハシは、強引にアンヌのいるメディカルルームへダンを押し込めた。
『忘れるな、ダン。地球は狙われているんだ。我々の力では守り切れないような強大な侵略者がきっと現れる。その時のために・・・』

『超兵器が必要なんですね?!』
『決まっているじゃないか』

『侵略者は超兵器に対抗して、もっと強力な破壊兵器を造りますよ!』
『我々は、それよりももっと強力な兵器を造ればいいじゃないか!』
『それは・・・血を吐きながら続ける・・・悲しいマラソンですよ』

しかも、この実験が成功すれば、R1号の十数倍の爆発力を持つR2号の組み立てにとりかかることになっている。参謀室ではタケナカ参謀が、この実験に妨害が入らないよう十分警戒することを、キリヤマ隊長に指示した。

タケナカ参謀やキリヤマ隊長と一緒に参謀室にいるのは、このプロジェクトの責任者として名を連ねる地球防衛国際委員会の瀬川委員と宇宙生物学の第一人者・前野博士であった。実験場にギエロン星を選んだのは前野博士であった。

『シャール星座の第七惑星。あの星でしたら、地球への影響は全くありません。それに、生物もいません』
『生物がいないというのは、確実なんですか?』
キリヤマ隊長が訊いた。

前野博士らが6か月かけて検討した結果、ギエロン星の環境は、生物の棲めない環境であることを確かめたというのだった。
『実験が成功すれば、ギエロン星は宇宙から姿を消すでしょう』

笑顔でそう話す、前野博士。
予定通りR1号は打ち上げられ、大爆発と共に吹き飛んでしまうギエロン星。
『成功です、大成功です。巨大な炎が吹きあがり、ギエロン星は完全に粉砕されました』

宇宙観測艇からの実験成功の報告を、作戦室で受けたタケナカ参謀やウルトラ警備隊の面々は大喜びだった。ただ一人ダンだけは、その余韻から逃げるように、宇宙パトロールに出発していくのだった。

そのうしろ姿をみたアンヌは、さっきのフルハシとダンとのやりとりを思い出していた。悲しい顔をしてダンが言っていた「悲しいマラソン」という言葉を、アンヌは思い出していた。

『こちら、宇宙観測艇8号。緊急情報、緊急情報。ギエロン星から・・・ギエロン星から攻撃を受け・・・』

そのあとの通信は、妨害電波のように聞き取れ無くなってしまった。観測艇8号との通信が途絶えたことを受け、タケナカ参謀と前野博士、瀬川委員が作戦室へ入ってきた。

そして、観測艇8号との通信記録を再生して、顔色が青ざめる三人。
『・・・ギエロン星から、攻撃を受け・・・』
『攻撃?そう言ったな、今!』

タケナカ参謀は、最悪のケースを早くも想定しているようだった。
『そんなバカなことはありません。ギエロン星には生物は棲んでいません!』

ギエロン星のあった方角から、真っ直ぐ地球へ向かう飛行物体をキャッチした本部のレーダー。宇宙パトロール中のホーク1号へ連絡を取るキリヤマ隊長。ダンは、ホークを操縦しながら後悔していた。

『僕は絶対にR1号の実験を妨害するべきだった。地球を愛していたのなら。それができたのは、僕だけだったのに・・・』

やがてホーク1号は、真っ直ぐにこちらへ向かって飛んで来る巨大な生物を発見する。連絡を聞いて、驚く前野博士。ギエロン星の環境は過酷だった。

『信じられません。ギエロン星は温度270度、酸素0.6パーセント、金星とよく似た燃えない焦熱地獄です。そんな所に生物が棲めるはずがありません!』
しかし、そこに生物がいた。しかも、R1号の放射能で変異してしまったのだ。

ギエロン星から飛行してきた巨大生物は、隕石と衝突しても隕石を砕いて、何事も無かったかのように飛行を続け、遂に地球へ到達した。

防衛軍は、ただちに特殊ミサイルをホーク3号に積んで出撃した。ギエロン星獣はその爆撃で粉々に散ってしまう。だが、キリヤマ隊長は、この結果に納得していない。惑星が吹き飛ぶ超兵器の爆発でも死ななかったものが、あの程度のミサイルで死ぬだろうか。

その夜。キリヤマ隊長の不安は当たってしまう。ギエロン星獣の体液が肉片を繋ぎとめ、ギエロンは復活した。ギエロン星獣は口から放射能の灰を噴き出しながら、東京方面へ進んでいく。
『風に乗って放射能の灰がどんどん広がっています。東京に警報を出してください!』

瀬川委員は、R2号の破壊力に期待したいというが、前野博士はR2号の放射能で、より巨大な生物に変異することを恐れた。今はホーク1号で攻撃するほかは無い。だが、ギエロン星獣の攻撃でホーク1号は不時着し、キリヤマ、フルハシ、ダンの3名は、地上攻撃に移るのであった。

ギエロン星獣の吐く灰を避け、風上へ向かう指示を出すキリヤマ。だがダンはそれを無視して風下に回り、灰を浴びながらウルトラセブンに変身した。

セブンの超兵器・アイスラッガーが効かない。ギエロン星獣の体のどこに当たっても、跳ね返されてしまう。ギエロンの多彩な光線攻撃に、セブンは苦しむ。

だが、太陽光線を吸収して最後の力を振り絞り、セブンはギエロンの右腕を引きちぎる。倒れて起き上がれないギエロン星獣の喉元をアイスラッガーで切り裂き、暴れていたギエロン星獣は目を閉じて、静かに死んでいくのだった。

超兵器の開発は、相手にも破壊兵器を造らせるきっかけを持たせることになる、ということに気づいたタケナカ参謀や前野博士たち。多量の放射能を浴びていたダンは、ひとりメディカルセンターで休んでいた。

タケナカ参謀と前野博士がダンの見舞いに来て、防衛委員会で「超兵器開発の中止」を提案することを、ダンに約束するのだった。それを聞いたダンは笑顔になり感謝するのだが、しかし表情は暗い。ギエロン星を救えなかった負い目が、ダンの心に残っていたからだ。

人類は、血を吐くマラソンを続けるほど愚かではないと信じたい・・・ (終わり)


★★★★★★★★★★★★
今年はウルトラシリーズ生誕50年を迎える。NHKでドラマと怪獣・宇宙人のNo.1を決める投票をおこなっているが、筆者の思うNo.1ドラマは、この「超兵器R1号」か「さらばウルトラマン」だと思っている。ストーリーが抜群に面白い。

30分の中に面白要素がたっぷり詰まっている。「さらば・・・」も、同様だ。そして、No.1 怪獣は、もちろんエレキングである。

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ウルトラセブン(35) ~『野川隊員は、完全ではありませんがサイボーグになっていたんです』 [ウルトラセブン・ドラマ3]

今回は、第27話『サイボーグ作戦』を取り上げます。
 監修;円谷英二  
 脚本;藤川桂介
 特殊技術;的場 徹
 監督;鈴木俊継


◆防衛軍の通信隊員である野川とフィアンセの早苗(さなえ)は、朝日沼のほとりを青いオープンカーでドライブがてら走っていた。これから職場の先輩、ソガが待つ防衛軍基地へ行って、野川はこのチャーミングな早苗と婚約したことを報告しに行く途中だった。

昨晩、朝日沼に火球が落下したことは、特に新聞記事にならなかった。青く澄んだ空の下、静まりかえった朝日沼のほとりを、野川の車が枯葉を敷きつめた晩秋の山路を走っていく。だが、朝日沼の湖底では、この青いオープンカーに照準を合わせて何かを操作している宇宙人の姿があった。

それまで軽快に走っていた野川のオープンカーが、突然バックをはじめた。わざとやっているのではなく、何か大きな力に引っ張られているようなのだ。助手席の早苗は、恐怖の気持ちを大声で叫んでいた。

『野川さん、どうしたの?危ないじゃない!』
野川も必死に車を何とかしようとするのだが、どんどん朝日沼の湖岸に引っ張られていく。やがて車は湖岸から宙を飛び、湖面に現れた宇宙船の中へと引き込まれてしまった。

宇宙船の一方のハッチが開き、野川を乗せたまま車は吸い込まれていった。そしてハッチを閉じると、ゆっくりと湖底へ沈んでいくのであった。

朝日沼にハイキングに来た4人連れが、道端で倒れている女性を発見した。通報を受けたソガとダンは、朝日沼へポインター号で向かった。今日ソガには客の訪問が予定されていたのだが、ソガは構わずに現場へ向かうのだった。

ソガ達の前で、女性は「ノガワ」の名を連呼していた。
『ノガワだって?隊員の野川かもしれない・・・』

ソガは、女性が呼ぶ「ノガワ」が、自分に会いにくる「野川」ではないかと、直感的に思った。ダンは女性を基地へ連れていくことにし、ソガは現場検証をして、朝日沼の湖面へ続くオイル漏れの跡を発見する。

行方不明になっているのがソガの後輩の野川であることが判明し、フルハシとアマギも合流して、ダイビングによる朝日沼の湖底調査を行った。だが、野川と車を発見することは出来なかった。

翌日、朝日沼一帯の捜索をすることになった。心配そうなソガの顔を見たダンは、ソガに声をかけた。
『何か手がかりが見つかるかもしれませんよ』

その頃、朝日沼の湖底に潜む宇宙船内では、3人のボーグ星人が誘拐した野川にサイボーグ手術を施していた。

『お前は、ボーグ星人によって選ばれた人間なのだ。地球防衛軍の一員である資格をフルに使って、我々の為に働いてもらう』

地球人女性の姿をしたボーグ星人は、カプセルの中のイスに座らされた野川に電圧を加えると、スイッチを押して特殊な気体を浴びせた。引いてあったレバーをゆっくり戻すと、カプセルも同じ速さでゆっくり上がって行く。

『さぁ、行け!』
野川が目を開くと、野川の胴体と両脚を左右から押さえていた鉄製の縛りが開き、立ち上がった野川に女は黒いケースを渡すのだった。

夜、フィアンセの早苗は、照明を落として行方不明の野川の事を考えていた。すると、トビラがギィーッと開いて、誰かが入ってきた。スタンドの灯りが当たり、行方不明の野川のの顔が浮かんだ。

『(棒読み的に)早苗さん、ボクです。心配かけて悪かったね』
『野川さん。どこで何を?』

『それは言えない。秘密を要する仕事ができたんだ』
『もう済んだの?』

『これから始まる。それでしばらくのお別れにきたんだ。最後に、ボクがここへ来たことは絶対に口外しないでください』

いつも快活だったあの野川とはとても思えない今の野川の語り口に不審なものを感じながらも、早苗は口外しないという野川との約束を守ることにした。

もう少し話がしたい早苗は、野川の後を追ってすぐに部屋を出たのだが、真っ直ぐ下へ続く階段に野川の人影は無かった。一瞬背筋が凍り付いて、早苗の瞳孔は大きく広がっていた。

防衛軍基地の作戦室に、黒いケースを持って現れた野川。
『野川!・・・どこをほっつき歩いていたんだ』

ソガはそう言い、警備隊全員が野川の無事を喜んだが、ただ一人ダンだけは野川の様子をみて不審に思うのだった。
『こいつ、まるで死人のようだ』

キリヤマ隊長が、無事に帰ってきた通信隊員・野川にゆっくり休むように言ったので、一礼して作戦室を出ていく野川。だが休むどころか、通路に立つ警備兵を次々と倒した野川は、ボーグ星人から渡された小型のプレート爆弾を仕掛けるために、ある部屋へ向かっていた。

ダンは、作戦室を出た後の野川をすぐに追った。野川が通った後に警備兵が倒れているのを見たダンは、警報ボタンを押す。基地内に警報ベルが鳴り響き、緊急配備が敷かれた。
『隊長、野川隊員を探してください。様子がおかしいんです』

ダンの話を聞き、キリヤマ隊長は皆を引き連れて野川を探し回る。ダンはアンヌと共に探していると、ある部屋の前で壁に消えていく野川をふたりは見る。

アンヌが隊長に連絡しに行っている間に、ダンは透視能力で壁の向こう側を見ようとしたが、ダンの透視力をもってしても「IMQSI」と書かれたこの壁を透視することは出来なかった。

報告を受けたキリヤマ隊長以下全員は、壁の中に消えた野川を追って、通路を迂回して壁の向こう側へと向かった。ウルトラ警備隊が野川を探している間に、野川は8個あるプレート弾の3個をすでにセットし終えていた。

4個目を仕掛けている最中の野川を見つけたキリヤマ隊長達は、遠めからしばらく様子を見ていた。ダンが近づき野川に話かけると、野川は正体を明かした。

『午前6時、この基地が勤務交代の隊員でいっぱいになる時が、地球防衛基地の最期だ。あと数時間で、地球はボーグ星人のものだ』

ダンと野川は格闘になり、サイボーグ化された野川の身体は鉄のように硬い。ダンは力負けして、気を失ってしまうのだった。キリヤマ隊長は、ショックガンで野川を倒すようソガに命じた。

ケースの中身が小型爆弾であることを察知したキリヤマ隊長は、基地内にセットされてしまった爆弾の探索を直ちに始めるよう指示を出した。

メディカルセンターに運ばれたダンと野川。野川のレントゲン写真を見た医師は、頭部に写っている黒い小さな破片を見て言った。

『野川隊員は完全ではありませんが、サイボーグになっていたんです。この脳に埋め込まれた催眠プレートで、操られているようです』

野川を助けるため、脳内の催眠プレート除去手術の用意をアンヌに指示する医師。一方、基地内のプレート弾は、残り1個を残してすべて回収した。だがあと1個が、どうしても見つからない。

「あさ、ひ・・・」という言葉を口にする野川の様子を見たキリヤマ隊長は、朝日沼にボーグ星人の拠点があるものと推定し、アンヌを連れてホーク3号で朝日沼に熱ミサイルを撃ち込んだ。

沼の水がすべて干上がり、湖底にいたボーグ星人の宇宙船が露わになった。
『マグネチック7、投下!』

パラシュートで落ちて行く5個のマグネチック7は、3個が宇宙船に磁力で吸い付いた。
『爆破!』
アンヌがスイッチをひねると、大爆発する宇宙船。

その頃、残りのボーグ星人が防衛軍基地に潜入して、野川を抹殺するためにメディカルセンターに現れた。女の姿で現れたボーグ星人は、手術の準備をしている医師や、ソガとフルハシを強力な目くらましで気絶させると、野川を殺そうとした。

だが、ベッドにいたダンがレーザーガンで女を狙い、女はボーグ星人に変身して基地から逃走するのだった。ダンはセブンに変身して、ボーグ星人と対決する。

『プレート弾の残りの1個は、どこにあるのだ!』
『フフフフ・・・残りの1個はお前に付けてあったのだ』

格闘では、ボーグ星人の腕力に力負けしてしまうセブン。だが、セブンのアイスラッガーが逃げるボーグ星人の首を切断して、ガクッとヒザから倒れていくのだった。

通信隊員・野川は外科手術を受けて全快し、フィアンセの早苗と教会で挙式した。祝福する人々が、二人にライスシャワーを浴びせる。新婚旅行へ出かける車の後ろには、二人のあとを追いかけるようにたくさんの空き缶が付いていくのだった。 (終わり)


★★★★★★★★★★★★
野川隊員のフィアンセ・早苗役を演じるのは、宮内恵子名義であるが牧れい氏である。牧れい氏といえば、レッドバロンの松原真理隊員役や緊急指令10-4 10-10入江ナミ隊員役で超有名である。

詳しい話を読みたい方は、リンク集;『レッドバロンが好きな方はこちらを』からお入りください!

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ウルトラセブン(36) ~『地球人の男性は、可愛い娘に弱いってことが判ったんだもの、うふふふ』 [ウルトラセブン・ドラマ3]

今回は、第3話『湖のひみつ』を取り上げます。
 監修;円谷英二  
 脚本;金城哲夫
 特殊技術;高野宏一
 監督;野長瀬三摩地


◆木曾谷付近に、巨大な物体が落下したという子供からの通報があった。フルハシとダンにウルトラホーク3号で出撃するよう、キリヤマ隊長の命令が飛ぶ。

木曾谷付近に着陸したホーク3号。地図を手掛かりに問題の地点へ向かおうとしている二人は、川で釣りをしている男性に声をかけた。だがどうやら、山の向こう側らしいことが判り、ひと山越えねばならない。

説明を受けているダン達の目の前で、釣り人の竿に獲物がかかったようだ。だが、派手な色合いのビキニの水着を着けた少女が泳いで来て、その獲物を横取りするように針から取ると、持ち逃げしてしまうのだった。

『おい、こら、俺のだぞ!かえせ!』

釣り人に笑顔で手を振った少女は、長い黒髪を水流になびかせながら、泳いで逃げてしまった。釣り人とダン、フルハシは流れに沿って少女を追いかけたが、岩がゴロゴロしていて、走るには足場が不安定なのだ。

少女が逃がしたモノは、どうやら魚ではないらしい。
『危ないところだったわ!あなたには、まだ大事な役目があるのよ。さぁ、早くお逃げ!』

少女が陸に上がったと思われる辺りで、切られた浮きを見つけた釣り人。そのすぐ近くの繁みの中から、服に着替えた少女が3人の様子を覗いていることに、ダン達は気付かない。

釣り人と別れたダンとフルハシは、問題の地点へ向かって鬱蒼とした山の斜面を、走って登り下りした。やがて河原に出ると、100メートルほど先に宇宙船のような物体が見えてきた。

ウルトラガンの点検をした二人は、ゆっくりとその物体へ近づいていった。
『焦げてますね・・・』
『これは、大気圏に突入した時の摩擦熱によるものだ・・・船の形からみて、地球の物ではないな』

取っ手を引いて扉を開けると、中へ入るふたり。通路の先にある丸いドアを足で蹴破って中へ入ると、そこは操縦室のようであった。ダンが人影を見つけてフルハシと挟み撃ちにすると、現れたのはあの少女だった。水着を黒いワンピースに着替えていた少女は、うふふふと笑顔をみせた。

『き、きみは・・・』
『さっきの方達なのね。ビックリしたわ!』

フルハシは銃をしまうと、気を許して少女に訊ねた。
『ビックリしたのは、こっちだよ。どうしてこんな所に・・・』
『ここまでは追ってこないと思ったからよ。隠れ家にはいいわ、ね!』

フルハシは、あのいたずらについて訊いてみた。すると、人間に食べられる魚が可哀想だと答える少女。すぐ横でその様子を見ていたダンは、不思議なことに気付いた。少女の足で、自分達よりも速くこの場所へ来られたのはどうしてか?しかも、呼吸が乱れておらず、靴も汚れていない。

『変だ!』

とっさにそう思ったが、少しおそかった。これは宇宙人の乗り物だから危険なんだとフルハシが説明している最中に、突然部屋の四方八方からガスが噴き出してきた。催眠ガスによって、三人は気を失ってしまうのだった。

ダンは気力を振り絞って、眠りに落ちまいとした。もうもうとしたガス煙の中で、人影が自分の胸ポケットからウルトラアイを抜き取ろうとしているのを見ているダン。だが、それを阻止できずに眠りに落ちてしまう。

どれだけ時間が経過したのだろうか。最初に目覚めたダンは胸ポケットを触り、やはりウルトラアイが盗まれたことを確認するのだった。ダンはフルハシを起こしたあと、ウルトラアイを取り返すために宇宙船から飛び出していった。

『敵はボクの正体を知り、秘密のウルトラアイを奪ったに違いない。何者だろう、恐るべきヤツだ・・・何としてでも、奪い返さねばならない。ウルトラアイは、ボクの命なのだ!』

宇宙船の存在を報告し、宇宙船内にいた少女を基地へ連れてきたフルハシは、ダンが行方不明だと報告した。だがキリヤマ隊長は、ダンが何かをつかんでくることを期待して、様子をみることにした。

メディカルセンターで寝かされている黒いワンピースの少女は具合が悪そうだったが、アンヌの診察を拒んでいた。誰にも触られたくないと言う少女に、アンヌは何もせずそっと寝かせてあげるのだった。

一方ダンは、宇宙船の近くの岩場に隠れて、敵が現れるのをひたすら待った。すると、あの黒いワンピースの少女が、ダンの後ろから宇宙船に近づいて来るではないか!あの少女なら、フルハシ隊員が基地へ連れて行ったはずだが・・・。

同じ顏の女性が二人いることを知ったダンは、森の方へ逃げて行く少女の後を追った。ローヒールを履いて険しい山道を走る少女に対し、男の足ならあっという間に追い着くダン。だが、捕まえたと思った瞬間、少女の姿は煙の様に消えていた。

ダンは、すぐにビデオシーバーで基地のアンヌへ連絡して、フルハシが連れ帰った少女を見張るように頼むのだった。

ダンに追われた黒いワンピースの少女は、宇宙船に戻ってくると、湖に隠していた怪獣エレキングに指令を出した。指令装置のダイヤルを回して魚程の大きさだったエレキングを、巨大な姿へと変貌させた。

『エレキング、エレキング!』

湖面が突然盛り上がり、湖の中から白い巨体に長い尾を持った怪獣が出現して、ダンに向かってくる。基地へ連絡しようとしたダンだったが、ビデオシーバーがつながらない。どうやら、頭の両側から突き出た、グルグルと回転する2本のツノが、電波を狂わしているようだ。

ウルトラアイを盗まれて変身出来ないダンは、向かってくる怪獣に対し、ベルトの小箱の中からカプセル怪獣ミクラスを選ぶと、巨大なエレキングに向けてカプセルを思い切り投げつけた。
『ミクラス、頼むぞ!』

爆発音と共に発光して、巨大な怪獣ミクラスが出現した。突然出現したミクラスに驚いたエレキングは、ダンに向かうのを止めてミクラスと対峙した。湖の浅瀬で、白いエレキングと茶色いミクラスが激突した。

二頭は組み合って倒れ込んだあと、相手の顔を湖水へ沈めようとした。怪力のミクラスは、エレキングの長い尻尾を掴むと、振り回して投げ捨てた。エレキングは口からブーメラン型光線を吐いて、進撃するミクラスのゆく手を炎で遮った。

作戦室の電話が鳴り、ソガが一般人からの通報を受けていた。通報者は、あの釣り人である。
『はい、こちら警備隊・・・何?湖から大怪獣が出た!それで現場は?・・・木曾谷のアズマ湖だな、了解!』

怪獣の情報を聞き、木曾谷付近を調査していると思われるダンと連絡が付かないため、キリヤマ隊長は現場へ出撃する決心をした。
『ウルトラホーク1号、出動スタンバイ!』

メディカルセンターで寝ているフリをしていた黒いワンピースの少女は、アンヌの背後から首をしめて失神させると、作戦室を破壊した後、ホーク2号に乗って基地から脱出するのだった。

エレキングは、ミクラスに背を向けて尻尾で攻撃した後、ミクラスにその長い尻尾を巻き付けて電流を流した。電気に弱いミクラスは、ヒザからガックリ落ちて戦闘不能になってしまう。それを見ていたダンは、急いでミクラスを回収するのだった。

『ミクラス、戻れ!』

ホーク1号が現場へ到着してエレキングを発見して攻撃するが、口から吐くブーメラン光線に尾翼を破壊されてやむなく不時着し、キリヤマ隊長は地上戦に切り替えた。

ミクラスが敗れ、ダンはもう一度、宇宙船へ戻ってみることにした。そっと中へ入ると、エレキングの操縦に夢中になっている少女がいた。静かに近づき、背後から羽交い絞めにして少女と格闘になったダン。少女が落としたウルトラアイを奪い返すことに、ダンは遂に成功した。

ダンは宇宙船の外へ出ると、ウルトラアイを着眼した!
『デュワッ!』

ボートで川を下っている警備隊に、崖から岩を落として襲いかかってくるエレキング。ウルトラセブンが飛んで来て、エレキングに背後から飛びかかる。

その頃、ホーク2号で基地から逃げてきた少女が、宇宙船の近くの河原に着陸しようとしていた。宇宙船の中へ入り、気を失っているもう一人を揺り動かしてみるが、ダメージが大きいらしい。戻って来た少女が、代わってエレキングを操縦する。

『エレキング、ウルトラセブンを必ず倒すのよ!』

エレキングの長い尻尾がセブンに巻き付いて電流を流すが、効果はない。セブンは両腕を広げて巻き付いた尻尾を外すと、額から出すエメリューム光線でエレキングの回転する耳を2本破壊した。間髪を入れず、白く光るアイスラッガーで胴体を輪切りに切り刻んでしまった。

『エレキングが負けたわ、早く逃げましょう!』
『作戦の失敗ね。ウルトラアイを盗みそこなうなんて』

『もっと強い怪物を育てて、今度こそ、地球上の人間を皆殺しにするのよ!そうしたら、あの美しい星は私達のもの・・・』

『きっと成功するわ。地球人の男性は、可愛い娘に弱いってことが判ったんだもの、うふふふふ・・・』

両の手の平で額からあごへかけて撫でると、かわいい少女は醜いピット星人へと変身した。母星へ逃げるピット星人の円盤を追うセブン。セブンがもう近くまで迫っていることを知らせる警戒警報音が鳴りだした。光線をセブンへ発射して応戦するも、セブンには効果がない。

ゆっくりと腕を胸に当てて、セブンの額からエメリューム光線が発射され、ふたりのピット星人は、円盤もろとも大爆発して塵となった。 (終わり)


★★★★★★★★★★★★
初代マンでは、ケロニアが好きと書いた。ドラマも怪獣も両方である。セブンでは、怪獣はエレキングが大好きである。ただし、映像的には今一つ。ドラマ的には「狙われた街」か「円盤が来た」のどちらかが、ナンバーワンだと思う。

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