ウルトラセブン(32) ~『ワレワレノ指令ヲ忠実ニ守ッテ、地球征服ニ協力シナケレバナラナイ。ワッカッタナ』 [ウルトラセブン・ドラマ3]
今回は、第5話『消された時間』を取り上げます。
監修;円谷英二
脚本;菅野昭彦
監督;円谷 一
特殊技術;高野宏一
◆南極の地球防衛軍・科学センターから防衛軍極東基地へ向かって、地球の頭脳と言われるユシマ博士を乗せた超音速の専用ジェット機が順調に飛行していた。ユシマ博士は弱冠29歳という若さながら、博士号を5つも持つ超エリートであった。
極東基地の防衛力をより強化するため、博士の発明した「ユシマダイオード」を極東基地のレーダーに取り付けるのが訪問目的であった。
『いやぁ、お乗せしているのが地球の頭脳のユシマ博士ですからね。メガトン級の水爆を腹いっぱい抱えているような気分ですよ・・・ハハハハ』
コックピットから現れた機長はそう言って笑っていたが、超音速で飛行しているこのジェット機が、ほんの一瞬だけ黄金色の光に包まれて凍りついたように空中を静止していたことに、機内の誰ひとり気付く者はいなかった。
博士を乗せたジェット機は、予定通り午後3時に極東基地の特別飛行滑走路に到着し、マナベ参謀とウルトラ警備隊員全員がユシマ博士を出迎えた。極東基地滞在中、博士の身辺警護をするのはフルハシ隊員であった。
到着した日の夜、防衛軍のVIP滞在用ホテルにユシマ博士を送り届けたフルハシは、博士の護衛のために自分も同ホテルに滞在した。寝室のとなりの部屋で博士を警護しているフルハシは、博士がベッドで寝返りをうった時に落とした雑誌の音にも、敏感に反応した。
しかしその夜遅く、このホテル全体を黄金色の光が包みこみ、このホテルの時間だけが停止していたことに、気が付く者は誰もいなかった。護衛のフルハシは、うたた寝をしかけて椅子から転げ落ちそうになるが、その途中で時間が停止したため、フルハシの身体は斜めに倒れかけた椅子とともに宙に停止していた。
『起キルノダ、ユシマ博士!』
博士の部屋のテレビ画面に、怪しげな姿のヴィラ星人が映る。その声に、ベッドから上半身をムックリと起こすユシマ博士。
ヴィラ星人は、ユシマ博士が乗っていたジェット機に時間停止光線を浴びせて時間の進行を止め、博士の心にヴィラ星人の心を植え付けていた。心がヴィラ星人になったユシマ博士を自由に操り、地球防衛軍基地を内部から混乱させて、それに乗じて地球侵略をしようとするヴィラ星人。
ヴィラ星人は怪光線を当てた「ユシマ・ダイオード」を、翌日防衛軍基地のレーダーに取りつけるように指令する。指令を受けたユシマ博士は、何もなかったようにベッドに横になるのだった。
『地球ニハ、人間ニ味方スル宇宙人ガイル。名前ハ、モロボシダントイウ。コノ男ニ気ヲツケロ』
ホテルを包んでいた黄金色の光が消えて、再び時間が動き始めた、宙に停止していたフルハシは床に転倒してすぐ起きあがると、ユシマ博士の部屋の扉を開けて異常無いことを確認するのだった。
翌朝、防衛軍のレーダー管理室へダンと共に視察に訪れるユシマ博士。
『ダン君、これを第三回路へセットしてくれたまえ』
博士から渡された「ユシマ・ダイオード」を、第三回路へ取り付けるダン。これでレーダーの感度が随分違うはずだと、胸を張るユシマ博士。
『超遠距離レーダーが完成すれば、これまでの4倍遠くの敵をキャッチできる』
キリヤマ隊長はそう言って、「ユシマ・ダイオード」に期待していた。だが、ダイオードを取り付けた直後にスイッチを入れた途端、レーダー室内は火花が飛び散り、基地のレーダーが停止するという事態に陥る。基地内に警報が流れ、緊急招集されるウルトラ警備隊。
ヤマオカ長官が訓示をする中で、ユシマ博士は、すり替えたダイオードを取り付けたダンが宇宙人スパイだと言い放つ。キリヤマ隊長を始め、ダンを知る警備隊員達はダンに味方し、この場は収まった。だがダンは、博士のこの不可解な言動に疑問を抱き、博士から目を離さないように気をつけることにした。
基地の目であるレーダーを失っている間、ホーク1号と3号がパトロールの為に発進していった。その頃宇宙の彼方では、ヴィラ星人の宇宙船団が、この隙を狙って地球に刻々と近づいていた。防衛軍基地では、まだこの事実に気付いていない。
一方、ユシマ博士は、ヴィラ星人から次の命令を受けるため、機械室にひとり閉じこもっていた。
『ヨクヤッタ、ユシマ博士。次ハ、ウルトラホークノ発射台ヲ、徹底的ニ破壊セヨ・・・』
ボディガードを解任されたフルハシに博士の居所を聞き、ダンは機械室へ向かう。だが、誰も入れるなという博士の指示で警備兵が守っていて中へ入れない。ダンは透視力で中の様子を窺い、モニターに映るヴィラ星人がユシマ博士に指令を与えている様子を目撃する。
ダンは機械室から出てきた博士を襲い、格闘になってしまう。
『博士、あなたは宇宙人に利用されているんです!』
警備兵に呼ばれたキリヤマ隊長たちに両腕をつかまれたダンは、独房に連行され監禁されてしまう。今や、誰にも信用されなくなってしまったダン。
ヴィラ星人の宇宙船団が襲来して、基地内は警戒警報が鳴り響いていた。ダンを信じる者はもはや誰もいない。ヴィラ星人の陰謀を阻止するには、セブンに変身して独房を破るしかなかった。
『デュワッ!』
ウルトラホーク1号が発進できないように、ホークの発射台のバランスを大きく崩しておくユシマ博士。次の発射台へ行こうとする博士の所に独房を破ったセブンが飛んできて、博士を弱いエメリューム光線で気絶させると、セブンは傾いた発射台を元へと戻した。
ヴィラ星人の宇宙船団を迎え撃つホーク1号は、無事に発進していった。セブンも宇宙船団を追ってエメリューム光線を発射、撃ち落とした宇宙船からヴィラ星人が出現した。
ザリガニかエビのような姿のヴィラ星人は破壊光線で攻撃してくるが、セブンはバリヤーで防ぐと、アイスラッガーで切り裂いてとどめを刺した。ホーク1号に撃墜された宇宙船団のうちの1つが、切り裂かれたヴィラ星人めがけて落下していくと、たちまち燃え上がるヴィラ星人。
ユシマ博士はウルトラ警備隊によってメディカルセンターに運ばれ、意識を取り戻した。
『どうして僕はここに?たしかロケットに乗っていたはずじゃ・・・』
ユシマ博士を自由に操って防衛軍基地を破壊しようとしたヴィラ星人の企みは、ウルトラ警備隊とウルトラセブンによって、阻止されたのであった。 (終わり)
★★★★★★★★★★★★
ウルトラホーク3号の発進シーンは、ご存じ流れる滝を突き破って基地から出てくるのであるが、この回ではそのシーンが2回も見られるぞ!
もう一つ珍しいことに、ウルトラ警備隊の歌入りの曲が、全49話中で唯一この回だけにある。
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監修;円谷英二
脚本;菅野昭彦
監督;円谷 一
特殊技術;高野宏一
◆南極の地球防衛軍・科学センターから防衛軍極東基地へ向かって、地球の頭脳と言われるユシマ博士を乗せた超音速の専用ジェット機が順調に飛行していた。ユシマ博士は弱冠29歳という若さながら、博士号を5つも持つ超エリートであった。
極東基地の防衛力をより強化するため、博士の発明した「ユシマダイオード」を極東基地のレーダーに取り付けるのが訪問目的であった。
『いやぁ、お乗せしているのが地球の頭脳のユシマ博士ですからね。メガトン級の水爆を腹いっぱい抱えているような気分ですよ・・・ハハハハ』
コックピットから現れた機長はそう言って笑っていたが、超音速で飛行しているこのジェット機が、ほんの一瞬だけ黄金色の光に包まれて凍りついたように空中を静止していたことに、機内の誰ひとり気付く者はいなかった。
博士を乗せたジェット機は、予定通り午後3時に極東基地の特別飛行滑走路に到着し、マナベ参謀とウルトラ警備隊員全員がユシマ博士を出迎えた。極東基地滞在中、博士の身辺警護をするのはフルハシ隊員であった。
到着した日の夜、防衛軍のVIP滞在用ホテルにユシマ博士を送り届けたフルハシは、博士の護衛のために自分も同ホテルに滞在した。寝室のとなりの部屋で博士を警護しているフルハシは、博士がベッドで寝返りをうった時に落とした雑誌の音にも、敏感に反応した。
しかしその夜遅く、このホテル全体を黄金色の光が包みこみ、このホテルの時間だけが停止していたことに、気が付く者は誰もいなかった。護衛のフルハシは、うたた寝をしかけて椅子から転げ落ちそうになるが、その途中で時間が停止したため、フルハシの身体は斜めに倒れかけた椅子とともに宙に停止していた。
『起キルノダ、ユシマ博士!』
博士の部屋のテレビ画面に、怪しげな姿のヴィラ星人が映る。その声に、ベッドから上半身をムックリと起こすユシマ博士。
ヴィラ星人は、ユシマ博士が乗っていたジェット機に時間停止光線を浴びせて時間の進行を止め、博士の心にヴィラ星人の心を植え付けていた。心がヴィラ星人になったユシマ博士を自由に操り、地球防衛軍基地を内部から混乱させて、それに乗じて地球侵略をしようとするヴィラ星人。
ヴィラ星人は怪光線を当てた「ユシマ・ダイオード」を、翌日防衛軍基地のレーダーに取りつけるように指令する。指令を受けたユシマ博士は、何もなかったようにベッドに横になるのだった。
『地球ニハ、人間ニ味方スル宇宙人ガイル。名前ハ、モロボシダントイウ。コノ男ニ気ヲツケロ』
ホテルを包んでいた黄金色の光が消えて、再び時間が動き始めた、宙に停止していたフルハシは床に転倒してすぐ起きあがると、ユシマ博士の部屋の扉を開けて異常無いことを確認するのだった。
翌朝、防衛軍のレーダー管理室へダンと共に視察に訪れるユシマ博士。
『ダン君、これを第三回路へセットしてくれたまえ』
博士から渡された「ユシマ・ダイオード」を、第三回路へ取り付けるダン。これでレーダーの感度が随分違うはずだと、胸を張るユシマ博士。
『超遠距離レーダーが完成すれば、これまでの4倍遠くの敵をキャッチできる』
キリヤマ隊長はそう言って、「ユシマ・ダイオード」に期待していた。だが、ダイオードを取り付けた直後にスイッチを入れた途端、レーダー室内は火花が飛び散り、基地のレーダーが停止するという事態に陥る。基地内に警報が流れ、緊急招集されるウルトラ警備隊。
ヤマオカ長官が訓示をする中で、ユシマ博士は、すり替えたダイオードを取り付けたダンが宇宙人スパイだと言い放つ。キリヤマ隊長を始め、ダンを知る警備隊員達はダンに味方し、この場は収まった。だがダンは、博士のこの不可解な言動に疑問を抱き、博士から目を離さないように気をつけることにした。
基地の目であるレーダーを失っている間、ホーク1号と3号がパトロールの為に発進していった。その頃宇宙の彼方では、ヴィラ星人の宇宙船団が、この隙を狙って地球に刻々と近づいていた。防衛軍基地では、まだこの事実に気付いていない。
一方、ユシマ博士は、ヴィラ星人から次の命令を受けるため、機械室にひとり閉じこもっていた。
『ヨクヤッタ、ユシマ博士。次ハ、ウルトラホークノ発射台ヲ、徹底的ニ破壊セヨ・・・』
ボディガードを解任されたフルハシに博士の居所を聞き、ダンは機械室へ向かう。だが、誰も入れるなという博士の指示で警備兵が守っていて中へ入れない。ダンは透視力で中の様子を窺い、モニターに映るヴィラ星人がユシマ博士に指令を与えている様子を目撃する。
ダンは機械室から出てきた博士を襲い、格闘になってしまう。
『博士、あなたは宇宙人に利用されているんです!』
警備兵に呼ばれたキリヤマ隊長たちに両腕をつかまれたダンは、独房に連行され監禁されてしまう。今や、誰にも信用されなくなってしまったダン。
ヴィラ星人の宇宙船団が襲来して、基地内は警戒警報が鳴り響いていた。ダンを信じる者はもはや誰もいない。ヴィラ星人の陰謀を阻止するには、セブンに変身して独房を破るしかなかった。
『デュワッ!』
ウルトラホーク1号が発進できないように、ホークの発射台のバランスを大きく崩しておくユシマ博士。次の発射台へ行こうとする博士の所に独房を破ったセブンが飛んできて、博士を弱いエメリューム光線で気絶させると、セブンは傾いた発射台を元へと戻した。
ヴィラ星人の宇宙船団を迎え撃つホーク1号は、無事に発進していった。セブンも宇宙船団を追ってエメリューム光線を発射、撃ち落とした宇宙船からヴィラ星人が出現した。
ザリガニかエビのような姿のヴィラ星人は破壊光線で攻撃してくるが、セブンはバリヤーで防ぐと、アイスラッガーで切り裂いてとどめを刺した。ホーク1号に撃墜された宇宙船団のうちの1つが、切り裂かれたヴィラ星人めがけて落下していくと、たちまち燃え上がるヴィラ星人。
ユシマ博士はウルトラ警備隊によってメディカルセンターに運ばれ、意識を取り戻した。
『どうして僕はここに?たしかロケットに乗っていたはずじゃ・・・』
ユシマ博士を自由に操って防衛軍基地を破壊しようとしたヴィラ星人の企みは、ウルトラ警備隊とウルトラセブンによって、阻止されたのであった。 (終わり)
★★★★★★★★★★★★
ウルトラホーク3号の発進シーンは、ご存じ流れる滝を突き破って基地から出てくるのであるが、この回ではそのシーンが2回も見られるぞ!
もう一つ珍しいことに、ウルトラ警備隊の歌入りの曲が、全49話中で唯一この回だけにある。
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