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新怪獣の模索 ~形態学的怪獣論39 [怪獣論・怪獣学E]

昭和47年の年明けから、怪獣とこれを操る宇宙人がセットになって登場する回が増えていく。もはや画期的な独創性を持った新怪獣を出し難くなったための打開策かと言えば、そうではない。よりエンターテインメント性の強調を狙ったものであった。

この時期の視聴率は常に25パーセント以上で推移しており、第2期ウルトラシリーズでは最高視聴率を記録した時期なのである。例えば、スノーゴン。白クマと雪男の合体といえばそれまでだが、シンプル・イズ・ベストの好例である。

黒と白の配分が適切で、顔面の区分けもユニーク。最も特徴的なのは、頭頂部から後方へ湾曲した一本角である。「たったこれだけの創意」で、スノーゴンは強烈な個性を有している。デザインの秀逸性に加え、着ぐるみの出来も素晴らしい。地味ではあるが、もっと評価されていい名獣の一つである。

蜃気楼怪獣パラゴンは、自由奔放な発想が面白い。何しろモチーフがみえない。強いて言えば、朝陽の昇る富士山だろうか。牛鬼のごとき重たげな顔、全身のシルエットも形容しがたい程奇妙でとりとめがないが、逆に予定調和の中に収まりきらない不思議なエネルギーを感じる。「整然としたシルエットへの反乱」を試みているのだろうか。

移動要塞ビルガモ。なぜこのようなかわいいデザインになったのか不思議だ。愛らしさを提示する必然性は、なにも無いはずだ。では、これに代わるビル怪獣があるかと問われれば、必ずしも名案は浮かばない。しかし、金色という体色も含めて、ユニークであることは間違いない。

この3体をデザインしたのは、高橋昭彦氏。すでにここまでに、様々な斬新なアイデアを提示し続けてきたが、その特徴は、「ウルトラ怪獣、かくあるべき」という既成概念からの脱却であるといえようか。

明確な意識があったかどうかは不明だが、もっと自由に、心の赴くままに、と自然に描いた結果、従来のテイストとは異なった作品群を生み出したのかもしれない。既成のフォルムを変えるという点では、グラナダスやフェミゴンもユニークなシルエットを持っている(高橋氏の作品)。

猫背のように背骨が前方へ湾曲し、首と顔が腹部から突き出ている。広い意味ではタッコングも同類項かもしれないが、いわゆる変形怪獣ではなく、二脚直立型怪獣において首の位置だけを変えるというこのパターンは、のちに基本型の一つになっていく。

それにしても残念なのは、グラナダス・ケンタウルス星人共々、着ぐるみの出来映えが惜しまれることだ。本編のラブ・ロマンスを、ともすると興ざめさせてしまいかねない。相当に苦しい制作事情であったのだろう。 (つづく)


★★★★★★★★★★★★
『帰ってきたウルトラマン』放送内で初代マンやセブンが登場したことがきっかけで、「ウルトラ兄弟」という世界観が芽生え、次作品『ウルトラマンA』では、エースは5番目の弟という位置づけとして、「ウルトラ兄弟」は確立していく。

しかしこの時は、『帰ってきたウルトラマン』と『ウルトラマン』とを区別するネーミングは、まだ正式には存在しなかった。1984年の映画『ウルトラマンZOFFY  ウルトラの戦士VS大怪獣軍団』の公開に先立ち、ウルトラファミリー紹介時に各々に固有名詞の必要が生じた。

そこで、当時の円谷プロ社長・円谷皐氏が、『帰ってきたウルトラマン』を『ウルトラマンジャック』と命名し、以降の書籍・関連グッズなどではほぼ「ジャック」の名称で統一されることになった。



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