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ウルトラセブン(36) ~『地球人の男性は、可愛い娘に弱いってことが判ったんだもの、うふふふ』 [ウルトラセブン・ドラマ3]

今回は、第3話『湖のひみつ』を取り上げます。
 監修;円谷英二  
 脚本;金城哲夫
 特殊技術;高野宏一
 監督;野長瀬三摩地


◆木曾谷付近に、巨大な物体が落下したという子供からの通報があった。フルハシとダンにウルトラホーク3号で出撃するよう、キリヤマ隊長の命令が飛ぶ。

木曾谷付近に着陸したホーク3号。地図を手掛かりに問題の地点へ向かおうとしている二人は、川で釣りをしている男性に声をかけた。だがどうやら、山の向こう側らしいことが判り、ひと山越えねばならない。

説明を受けているダン達の目の前で、釣り人の竿に獲物がかかったようだ。だが、派手な色合いのビキニの水着を着けた少女が泳いで来て、その獲物を横取りするように針から取ると、持ち逃げしてしまうのだった。

『おい、こら、俺のだぞ!かえせ!』

釣り人に笑顔で手を振った少女は、長い黒髪を水流になびかせながら、泳いで逃げてしまった。釣り人とダン、フルハシは流れに沿って少女を追いかけたが、岩がゴロゴロしていて、走るには足場が不安定なのだ。

少女が逃がしたモノは、どうやら魚ではないらしい。
『危ないところだったわ!あなたには、まだ大事な役目があるのよ。さぁ、早くお逃げ!』

少女が陸に上がったと思われる辺りで、切られた浮きを見つけた釣り人。そのすぐ近くの繁みの中から、服に着替えた少女が3人の様子を覗いていることに、ダン達は気付かない。

釣り人と別れたダンとフルハシは、問題の地点へ向かって鬱蒼とした山の斜面を、走って登り下りした。やがて河原に出ると、100メートルほど先に宇宙船のような物体が見えてきた。

ウルトラガンの点検をした二人は、ゆっくりとその物体へ近づいていった。
『焦げてますね・・・』
『これは、大気圏に突入した時の摩擦熱によるものだ・・・船の形からみて、地球の物ではないな』

取っ手を引いて扉を開けると、中へ入るふたり。通路の先にある丸いドアを足で蹴破って中へ入ると、そこは操縦室のようであった。ダンが人影を見つけてフルハシと挟み撃ちにすると、現れたのはあの少女だった。水着を黒いワンピースに着替えていた少女は、うふふふと笑顔をみせた。

『き、きみは・・・』
『さっきの方達なのね。ビックリしたわ!』

フルハシは銃をしまうと、気を許して少女に訊ねた。
『ビックリしたのは、こっちだよ。どうしてこんな所に・・・』
『ここまでは追ってこないと思ったからよ。隠れ家にはいいわ、ね!』

フルハシは、あのいたずらについて訊いてみた。すると、人間に食べられる魚が可哀想だと答える少女。すぐ横でその様子を見ていたダンは、不思議なことに気付いた。少女の足で、自分達よりも速くこの場所へ来られたのはどうしてか?しかも、呼吸が乱れておらず、靴も汚れていない。

『変だ!』

とっさにそう思ったが、少しおそかった。これは宇宙人の乗り物だから危険なんだとフルハシが説明している最中に、突然部屋の四方八方からガスが噴き出してきた。催眠ガスによって、三人は気を失ってしまうのだった。

ダンは気力を振り絞って、眠りに落ちまいとした。もうもうとしたガス煙の中で、人影が自分の胸ポケットからウルトラアイを抜き取ろうとしているのを見ているダン。だが、それを阻止できずに眠りに落ちてしまう。

どれだけ時間が経過したのだろうか。最初に目覚めたダンは胸ポケットを触り、やはりウルトラアイが盗まれたことを確認するのだった。ダンはフルハシを起こしたあと、ウルトラアイを取り返すために宇宙船から飛び出していった。

『敵はボクの正体を知り、秘密のウルトラアイを奪ったに違いない。何者だろう、恐るべきヤツだ・・・何としてでも、奪い返さねばならない。ウルトラアイは、ボクの命なのだ!』

宇宙船の存在を報告し、宇宙船内にいた少女を基地へ連れてきたフルハシは、ダンが行方不明だと報告した。だがキリヤマ隊長は、ダンが何かをつかんでくることを期待して、様子をみることにした。

メディカルセンターで寝かされている黒いワンピースの少女は具合が悪そうだったが、アンヌの診察を拒んでいた。誰にも触られたくないと言う少女に、アンヌは何もせずそっと寝かせてあげるのだった。

一方ダンは、宇宙船の近くの岩場に隠れて、敵が現れるのをひたすら待った。すると、あの黒いワンピースの少女が、ダンの後ろから宇宙船に近づいて来るではないか!あの少女なら、フルハシ隊員が基地へ連れて行ったはずだが・・・。

同じ顏の女性が二人いることを知ったダンは、森の方へ逃げて行く少女の後を追った。ローヒールを履いて険しい山道を走る少女に対し、男の足ならあっという間に追い着くダン。だが、捕まえたと思った瞬間、少女の姿は煙の様に消えていた。

ダンは、すぐにビデオシーバーで基地のアンヌへ連絡して、フルハシが連れ帰った少女を見張るように頼むのだった。

ダンに追われた黒いワンピースの少女は、宇宙船に戻ってくると、湖に隠していた怪獣エレキングに指令を出した。指令装置のダイヤルを回して魚程の大きさだったエレキングを、巨大な姿へと変貌させた。

『エレキング、エレキング!』

湖面が突然盛り上がり、湖の中から白い巨体に長い尾を持った怪獣が出現して、ダンに向かってくる。基地へ連絡しようとしたダンだったが、ビデオシーバーがつながらない。どうやら、頭の両側から突き出た、グルグルと回転する2本のツノが、電波を狂わしているようだ。

ウルトラアイを盗まれて変身出来ないダンは、向かってくる怪獣に対し、ベルトの小箱の中からカプセル怪獣ミクラスを選ぶと、巨大なエレキングに向けてカプセルを思い切り投げつけた。
『ミクラス、頼むぞ!』

爆発音と共に発光して、巨大な怪獣ミクラスが出現した。突然出現したミクラスに驚いたエレキングは、ダンに向かうのを止めてミクラスと対峙した。湖の浅瀬で、白いエレキングと茶色いミクラスが激突した。

二頭は組み合って倒れ込んだあと、相手の顔を湖水へ沈めようとした。怪力のミクラスは、エレキングの長い尻尾を掴むと、振り回して投げ捨てた。エレキングは口からブーメラン型光線を吐いて、進撃するミクラスのゆく手を炎で遮った。

作戦室の電話が鳴り、ソガが一般人からの通報を受けていた。通報者は、あの釣り人である。
『はい、こちら警備隊・・・何?湖から大怪獣が出た!それで現場は?・・・木曾谷のアズマ湖だな、了解!』

怪獣の情報を聞き、木曾谷付近を調査していると思われるダンと連絡が付かないため、キリヤマ隊長は現場へ出撃する決心をした。
『ウルトラホーク1号、出動スタンバイ!』

メディカルセンターで寝ているフリをしていた黒いワンピースの少女は、アンヌの背後から首をしめて失神させると、作戦室を破壊した後、ホーク2号に乗って基地から脱出するのだった。

エレキングは、ミクラスに背を向けて尻尾で攻撃した後、ミクラスにその長い尻尾を巻き付けて電流を流した。電気に弱いミクラスは、ヒザからガックリ落ちて戦闘不能になってしまう。それを見ていたダンは、急いでミクラスを回収するのだった。

『ミクラス、戻れ!』

ホーク1号が現場へ到着してエレキングを発見して攻撃するが、口から吐くブーメラン光線に尾翼を破壊されてやむなく不時着し、キリヤマ隊長は地上戦に切り替えた。

ミクラスが敗れ、ダンはもう一度、宇宙船へ戻ってみることにした。そっと中へ入ると、エレキングの操縦に夢中になっている少女がいた。静かに近づき、背後から羽交い絞めにして少女と格闘になったダン。少女が落としたウルトラアイを奪い返すことに、ダンは遂に成功した。

ダンは宇宙船の外へ出ると、ウルトラアイを着眼した!
『デュワッ!』

ボートで川を下っている警備隊に、崖から岩を落として襲いかかってくるエレキング。ウルトラセブンが飛んで来て、エレキングに背後から飛びかかる。

その頃、ホーク2号で基地から逃げてきた少女が、宇宙船の近くの河原に着陸しようとしていた。宇宙船の中へ入り、気を失っているもう一人を揺り動かしてみるが、ダメージが大きいらしい。戻って来た少女が、代わってエレキングを操縦する。

『エレキング、ウルトラセブンを必ず倒すのよ!』

エレキングの長い尻尾がセブンに巻き付いて電流を流すが、効果はない。セブンは両腕を広げて巻き付いた尻尾を外すと、額から出すエメリューム光線でエレキングの回転する耳を2本破壊した。間髪を入れず、白く光るアイスラッガーで胴体を輪切りに切り刻んでしまった。

『エレキングが負けたわ、早く逃げましょう!』
『作戦の失敗ね。ウルトラアイを盗みそこなうなんて』

『もっと強い怪物を育てて、今度こそ、地球上の人間を皆殺しにするのよ!そうしたら、あの美しい星は私達のもの・・・』

『きっと成功するわ。地球人の男性は、可愛い娘に弱いってことが判ったんだもの、うふふふふ・・・』

両の手の平で額からあごへかけて撫でると、かわいい少女は醜いピット星人へと変身した。母星へ逃げるピット星人の円盤を追うセブン。セブンがもう近くまで迫っていることを知らせる警戒警報音が鳴りだした。光線をセブンへ発射して応戦するも、セブンには効果がない。

ゆっくりと腕を胸に当てて、セブンの額からエメリューム光線が発射され、ふたりのピット星人は、円盤もろとも大爆発して塵となった。 (終わり)


★★★★★★★★★★★★
初代マンでは、ケロニアが好きと書いた。ドラマも怪獣も両方である。セブンでは、怪獣はエレキングが大好きである。ただし、映像的には今一つ。ドラマ的には「狙われた街」か「円盤が来た」のどちらかが、ナンバーワンだと思う。



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