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ウルトラセブン(35) ~『野川隊員は、完全ではありませんがサイボーグになっていたんです』 [ウルトラセブン・ドラマ3]

今回は、第27話『サイボーグ作戦』を取り上げます。
 監修;円谷英二  
 脚本;藤川桂介
 特殊技術;的場 徹
 監督;鈴木俊継


◆防衛軍の通信隊員である野川とフィアンセの早苗(さなえ)は、朝日沼のほとりを青いオープンカーでドライブがてら走っていた。これから職場の先輩、ソガが待つ防衛軍基地へ行って、野川はこのチャーミングな早苗と婚約したことを報告しに行く途中だった。

昨晩、朝日沼に火球が落下したことは、特に新聞記事にならなかった。青く澄んだ空の下、静まりかえった朝日沼のほとりを、野川の車が枯葉を敷きつめた晩秋の山路を走っていく。だが、朝日沼の湖底では、この青いオープンカーに照準を合わせて何かを操作している宇宙人の姿があった。

それまで軽快に走っていた野川のオープンカーが、突然バックをはじめた。わざとやっているのではなく、何か大きな力に引っ張られているようなのだ。助手席の早苗は、恐怖の気持ちを大声で叫んでいた。

『野川さん、どうしたの?危ないじゃない!』
野川も必死に車を何とかしようとするのだが、どんどん朝日沼の湖岸に引っ張られていく。やがて車は湖岸から宙を飛び、湖面に現れた宇宙船の中へと引き込まれてしまった。

宇宙船の一方のハッチが開き、野川を乗せたまま車は吸い込まれていった。そしてハッチを閉じると、ゆっくりと湖底へ沈んでいくのであった。

朝日沼にハイキングに来た4人連れが、道端で倒れている女性を発見した。通報を受けたソガとダンは、朝日沼へポインター号で向かった。今日ソガには客の訪問が予定されていたのだが、ソガは構わずに現場へ向かうのだった。

ソガ達の前で、女性は「ノガワ」の名を連呼していた。
『ノガワだって?隊員の野川かもしれない・・・』

ソガは、女性が呼ぶ「ノガワ」が、自分に会いにくる「野川」ではないかと、直感的に思った。ダンは女性を基地へ連れていくことにし、ソガは現場検証をして、朝日沼の湖面へ続くオイル漏れの跡を発見する。

行方不明になっているのがソガの後輩の野川であることが判明し、フルハシとアマギも合流して、ダイビングによる朝日沼の湖底調査を行った。だが、野川と車を発見することは出来なかった。

翌日、朝日沼一帯の捜索をすることになった。心配そうなソガの顔を見たダンは、ソガに声をかけた。
『何か手がかりが見つかるかもしれませんよ』

その頃、朝日沼の湖底に潜む宇宙船内では、3人のボーグ星人が誘拐した野川にサイボーグ手術を施していた。

『お前は、ボーグ星人によって選ばれた人間なのだ。地球防衛軍の一員である資格をフルに使って、我々の為に働いてもらう』

地球人女性の姿をしたボーグ星人は、カプセルの中のイスに座らされた野川に電圧を加えると、スイッチを押して特殊な気体を浴びせた。引いてあったレバーをゆっくり戻すと、カプセルも同じ速さでゆっくり上がって行く。

『さぁ、行け!』
野川が目を開くと、野川の胴体と両脚を左右から押さえていた鉄製の縛りが開き、立ち上がった野川に女は黒いケースを渡すのだった。

夜、フィアンセの早苗は、照明を落として行方不明の野川の事を考えていた。すると、トビラがギィーッと開いて、誰かが入ってきた。スタンドの灯りが当たり、行方不明の野川のの顔が浮かんだ。

『(棒読み的に)早苗さん、ボクです。心配かけて悪かったね』
『野川さん。どこで何を?』

『それは言えない。秘密を要する仕事ができたんだ』
『もう済んだの?』

『これから始まる。それでしばらくのお別れにきたんだ。最後に、ボクがここへ来たことは絶対に口外しないでください』

いつも快活だったあの野川とはとても思えない今の野川の語り口に不審なものを感じながらも、早苗は口外しないという野川との約束を守ることにした。

もう少し話がしたい早苗は、野川の後を追ってすぐに部屋を出たのだが、真っ直ぐ下へ続く階段に野川の人影は無かった。一瞬背筋が凍り付いて、早苗の瞳孔は大きく広がっていた。

防衛軍基地の作戦室に、黒いケースを持って現れた野川。
『野川!・・・どこをほっつき歩いていたんだ』

ソガはそう言い、警備隊全員が野川の無事を喜んだが、ただ一人ダンだけは野川の様子をみて不審に思うのだった。
『こいつ、まるで死人のようだ』

キリヤマ隊長が、無事に帰ってきた通信隊員・野川にゆっくり休むように言ったので、一礼して作戦室を出ていく野川。だが休むどころか、通路に立つ警備兵を次々と倒した野川は、ボーグ星人から渡された小型のプレート爆弾を仕掛けるために、ある部屋へ向かっていた。

ダンは、作戦室を出た後の野川をすぐに追った。野川が通った後に警備兵が倒れているのを見たダンは、警報ボタンを押す。基地内に警報ベルが鳴り響き、緊急配備が敷かれた。
『隊長、野川隊員を探してください。様子がおかしいんです』

ダンの話を聞き、キリヤマ隊長は皆を引き連れて野川を探し回る。ダンはアンヌと共に探していると、ある部屋の前で壁に消えていく野川をふたりは見る。

アンヌが隊長に連絡しに行っている間に、ダンは透視能力で壁の向こう側を見ようとしたが、ダンの透視力をもってしても「IMQSI」と書かれたこの壁を透視することは出来なかった。

報告を受けたキリヤマ隊長以下全員は、壁の中に消えた野川を追って、通路を迂回して壁の向こう側へと向かった。ウルトラ警備隊が野川を探している間に、野川は8個あるプレート弾の3個をすでにセットし終えていた。

4個目を仕掛けている最中の野川を見つけたキリヤマ隊長達は、遠めからしばらく様子を見ていた。ダンが近づき野川に話かけると、野川は正体を明かした。

『午前6時、この基地が勤務交代の隊員でいっぱいになる時が、地球防衛基地の最期だ。あと数時間で、地球はボーグ星人のものだ』

ダンと野川は格闘になり、サイボーグ化された野川の身体は鉄のように硬い。ダンは力負けして、気を失ってしまうのだった。キリヤマ隊長は、ショックガンで野川を倒すようソガに命じた。

ケースの中身が小型爆弾であることを察知したキリヤマ隊長は、基地内にセットされてしまった爆弾の探索を直ちに始めるよう指示を出した。

メディカルセンターに運ばれたダンと野川。野川のレントゲン写真を見た医師は、頭部に写っている黒い小さな破片を見て言った。

『野川隊員は完全ではありませんが、サイボーグになっていたんです。この脳に埋め込まれた催眠プレートで、操られているようです』

野川を助けるため、脳内の催眠プレート除去手術の用意をアンヌに指示する医師。一方、基地内のプレート弾は、残り1個を残してすべて回収した。だがあと1個が、どうしても見つからない。

「あさ、ひ・・・」という言葉を口にする野川の様子を見たキリヤマ隊長は、朝日沼にボーグ星人の拠点があるものと推定し、アンヌを連れてホーク3号で朝日沼に熱ミサイルを撃ち込んだ。

沼の水がすべて干上がり、湖底にいたボーグ星人の宇宙船が露わになった。
『マグネチック7、投下!』

パラシュートで落ちて行く5個のマグネチック7は、3個が宇宙船に磁力で吸い付いた。
『爆破!』
アンヌがスイッチをひねると、大爆発する宇宙船。

その頃、残りのボーグ星人が防衛軍基地に潜入して、野川を抹殺するためにメディカルセンターに現れた。女の姿で現れたボーグ星人は、手術の準備をしている医師や、ソガとフルハシを強力な目くらましで気絶させると、野川を殺そうとした。

だが、ベッドにいたダンがレーザーガンで女を狙い、女はボーグ星人に変身して基地から逃走するのだった。ダンはセブンに変身して、ボーグ星人と対決する。

『プレート弾の残りの1個は、どこにあるのだ!』
『フフフフ・・・残りの1個はお前に付けてあったのだ』

格闘では、ボーグ星人の腕力に力負けしてしまうセブン。だが、セブンのアイスラッガーが逃げるボーグ星人の首を切断して、ガクッとヒザから倒れていくのだった。

通信隊員・野川は外科手術を受けて全快し、フィアンセの早苗と教会で挙式した。祝福する人々が、二人にライスシャワーを浴びせる。新婚旅行へ出かける車の後ろには、二人のあとを追いかけるようにたくさんの空き缶が付いていくのだった。 (終わり)


★★★★★★★★★★★★
野川隊員のフィアンセ・早苗役を演じるのは、宮内恵子名義であるが牧れい氏である。牧れい氏といえば、レッドバロンの松原真理隊員役や緊急指令10-4 10-10入江ナミ隊員役で超有名である。

詳しい話を読みたい方は、リンク集;『レッドバロンが好きな方はこちらを』からお入りください!



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