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レッドバロン(22)【宇宙鉄面党編】 [レッドバロン/ギラスQ編]

◎今回は、第35話『恐怖の吸血ヴィールス』を取り上げます。

脚本;伊上 勝
音楽;ボブ佐久間
原案;渡辺一彦・斎藤汎司(日本テレビ) 
特撮撮影;大岡新一
監督;福原 博

《ドラキバット》 登場


◆東京都下多摩地区のある村に、突如飛来した謎の飛行物体。その腹部から鉄面党戦闘員を数名降下させて、その物体は引き上げていった。

地上に降りた奴らは、老若男女、大人子供の区別無く村人を次々と襲い、ピストル型の注射器を使って村人たちの首に何かを注入していった。襲われた村人たちは意識を失い、バタバタと倒れてそのまま動かなくなっていった。

SSI本部でもレーダーが飛行物体を捉えていた為、健はレッドバロンで出撃し、哲也は被害状況を調査するため多摩地区に出かけていった。レッドバロンが遭遇したのはコウモリ型ロボットのドラキバットで、バロンミサイルで撃墜したものの、すぐに逃げ去ってしまうのだった。

一方、車で多摩地区に入った哲也は、山路を走行途中に助けを求めてくる女性に遭遇し、救助した。
『助けて、お願い!村の人がバタバタと・・・』

その女性を助手席に乗せて村に入った哲也は、道に倒れている数名の村人たちを確認する。哲也は車を降りて、彼らを抱き起こし話かけてみるのだが、意識は戻らない。だが、皆呼吸は正常にしている。つまり生きているのだ。

助けた女性を車に残して村内を歩き回っていると、神社に歩いて向かう神主を見かける哲也。神社に入り、中で祈祷している最中の神主に話かけると、振り向いたその顔は目が吊り上がって恐ろしい容貌をしていた。

『なんだね、地球防衛隊パトロール員!』
『オレの身分を知る貴様は、宇宙鉄面党だな!』
『宇宙をさまよい歩く、吸血鬼ドラキュマンだ!』

哲也の前に正体を現す銀色の皮膚に真っ赤な唇をした宇宙吸血鬼と、サーベルを振りかざす鉄面党戦闘員たち。全人類を吸血鬼にして鉄面党の配下にしようと企むドラキュマンは、この村を拠点にするつもりだ。

ドラキュマンの攻撃を何とか逃れた哲也は、助けた女性を連れて一旦車で退却しようと考えた。だがエンジンをかけた途端に首に痛みを感じ、哲也は意識を失ってしまうのだった。助けた女性の右手にはピストル状の注射器があり、哲也の首に何かを注入したのだ。

本部に戻ってきた紅健は、マリと共にアイアンホークで多摩地区に向かっていた。定時連絡を60分過ぎても連絡が無い哲也に、何かあったことを予感する二人。

すれ違った車の後部座席に、意識の無い哲也が乗っているのを発見した二人は、その車をアイアンホークで追いかけると、哲也を救出することに成功する。

SSI本部へ連れ戻した哲也を診断した医師によれば、病状が不可解であるという。このままの状態が続けば、命が危険にさらされるらしい。

鋭い観点の熊野警部が、疑問を投げかけた。
『哲也を、どうしてこんな状態のままにしておくのだろう。ひとおもいに殺すことだって出来たはずなのに・・・』

熊野警部と紅健は、哲也が襲われた村へと向かっていた。そこに、何か手がかりがあるに違いないと思うからである。砂利道を走り村に入ると、数名の村人が歩いているので、車を降りて話を聞こうと呼びかけるのだが、誰もが二人を避けるようにして先を急いで行ってしまうのだった。

畑で働くおばちゃんに話かけたら、「うるさい!」と逆切れされてしまう熊野警部。だが、健と警部に話かけてきた女性がいた。哲也を見たという神主の元へ連れていくと、女性は言う。神主の元へ連れていかれた二人は、そこで目の吊り上がった神主に会う。

哲也の話をすると、襲った奴はこんな姿をしていたと言って、自分から正体を現してみせた。
『それはこんなヤツよ!』

神主はドラキュマンに変身、女性は哲也を襲った女性で、哲也を襲った時とは違って吸血鬼の顔に変貌していた。吸血ヴィールスを注入された人間はドラキュマンに操られ、血を求めて人を襲う吸血鬼と化してしまうのだ。あの飛行物体が来た日、ここの村人はすべて吸血鬼と化していたのだ。

逃げる健と熊野警部を、ドラキュマンに命令された村人たちが追いかけてくる。だが、村人たちと戦うわけにはいかない二人は、逃げる他に手段が無い。

小屋に隠れながら、本部のマリへ連絡する健。
『緊急連絡!村人が吸血鬼になり、追いかけられている!哲也も吸血ヴィールスにやられたんだ!』

そのとき、指令室に哲也が入ってきた。イスを振り上げ、計器類にむかってイスを投げつける哲也。火花を散らして壊れる計器類。マリは鉄也を必死に制止しようとするが、逆に弾き飛ばされて、壁で頭を痛打して気を失ってしまうのだった。

小屋に隠れていた健は、レッドバロンを呼ぼうとしてブレスレットを落としたことに気付く。小屋のすき間から道端に落ちているブレスレットを見つけるが、小屋の前には鉄面党の戦闘員達がウヨウヨしている。

一か八か、熊野警部が敵の目をそらしている間に、健がブレスレットを拾う作戦に出ることに・・・。先に小屋を飛び出す熊野警部は、戦闘員達を引きつけてあっちの方へと逃げて行く。

誰もいなくなったスキに小屋を出ていくと、戦闘員達が現れて健と格闘になった。目の前に落ちているブレスレットを拾う時間もなく、格闘する健。
『動くな!SSI』

ドラキュマンのもとに、操られた哲也が(お姫様抱っこで)気絶したマリを運んで来た。飛び出していった警部も、不甲斐なく捕まってしまった。落としたブレスレットはドラキュマンに拾われ、ブレスレットを健に渡してレッドバロンを呼ぶよう要求するドラキュマン。

ドラキュマンに操られた哲也が、気絶したマリの頭に拳銃を突きつけている。ドラキュマンはマリの命と交換に、攻撃目標を健に命令した。
『攻撃目標は、地球防衛隊日本基地だ!』

マリの命には代えられない・・・健は一瞬そう考えて、レッドバロンを呼んだ。
『レッドバロン、出動!』

今ここにいるまともな味方は、熊野警部だけだ。
『紅君、君はまさか・・・考えなおすんだ!』

レッドバロンが飛んで来て、乗り込んだ健はレバーを引く。
『ファイトレバー・オン!』

だがレッドバロンが進んでいく先には、ドラキュマンがいた。踏みつぶそうとするレッドバロン。
『平和と正義のためなら、一番大事な物を失っても後悔はしない。マリは喜んで死んでくれるんだ!』

ドラキュマンの「殺せ」の命令が哲也に届く。一発の銃声がして、哲也とマリの二人が同時に倒れた。後ろから現れたのは、三神博士だ。血清入り麻酔弾を哲也に撃ち込んだのだ。これで哲也が回復するのは、時間の問題だ。

ドラキバットを出撃させるドラキュマン。ドラキバットの羽ばたきがまき起こす強風を必死にこらえたレッドバロンは、必殺武器エレクトリッガーを発射。大爆発したドラキバットだったが・・・ (つづく)


★★★★★★★★★★★★

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レッドバロン(23)【宇宙鉄面党編】 [レッドバロン/ギラスQ編]

◎今回は、第36話『国際本部から来た男』を取り上げます。

脚本;伊上 勝
音楽;ボブ佐久間
原案;渡辺一彦・斎藤汎司(日本テレビ) 
特撮撮影;大岡新一
監督;福原 博

《ドラキバット》 登場

【前回までの話は・・・
宇宙吸血鬼ドラキュマンの罠にかかり、吸血ヴィールスを首に注射されてしまった哲也。ドラキュマンに操られてSSI本部を破壊し拳銃でマリを窮地に陥れる哲也だが、三神博士の血清入り麻酔弾が哲也を救った。健は必殺のエレクトリッガーを放ち、ドラキバットは大爆発したと思ったのだが・・・】


◆エレクトリッガーを受けたドラキバットは、自分の分身を爆発させてレッドバロンの攻撃をかわすと、大空へはばたき逃げてしまった。ドラキュマンに操られた哲也に破壊された計器類の修理も済み、再び機能を回復したSSI日本支部。

逃げたドラキバットの行方を追っていると、未確認飛行物体をキャッチした。三神博士の指示でレッドバロンに出動命令が出された。奥多摩山中に未確認飛行物体を発見したレッドバロンと健は、哲也とマリの到着を待って、その飛行物体の調査をすることになった。

宇宙船のような形をした飛行物体に近づいた3人。中から声がするので草むらへ隠れると、中から出てきたのはSSIロゴ入りの赤いヘルメットを被った人間の男性だった。
『君はどこから来たんだ?』

『ワタシ、宇宙吸血鬼ドラキュマン逮捕のため、アメリカからやって来たSSI国際本部ノモノダガ』
『ええ!私達の同僚ってわけね・・・』
マリは驚きと感激でそう言った。

『アナタ方ハ、SSI日本支部の人デスカ?オー、コンニチハ』
なぜ事前に我々に連絡してくれなかったのか、健は男に問いただした。
『ワタシガ日本に来たことを、奴らに知られたくなかったカラデスネ』

男の名はジョージと言った。アイアンホークにジョージを乗せてSSI本部へ戻る途中、峠付近で鉄面党の襲撃を受け、健たちはジョージを渡すように迫られた。

崖を背にして戦闘員達に囲まれたジョージと健たち3人はピンチに立たされるが、そこでジョージは懐から光線銃を出すと、赤い光を戦闘員達に浴びせるのだった。

金縛りにあったようにピクリとも動かなくなってしまった戦闘員達。ジョージの説明によれば、この光線は「重力増加光線」と言って、地球の10倍の重力を浴びせる銃だという。戦闘員達の脅威は無くなったが、今度は後ろの崖が崩れて隠れていたドラキバットが出現した。

健はすぐにレッドバロンに出動要請するが、ドラキバットの容赦のない爆弾攻撃から逃げるので精一杯の4人。勘の鋭いマリが、つぶやいた。
『あのロボットがここにいるとすれば、ドラキュマンもこの近くにいるはず・・・』

だが繁みに隠れては逃げる、を繰り返す4人。ようやくレッドバロンが到着すると、健は現代の忍者だ、鍛えられた跳躍力でレッドバロンの肩までジャンプすると、操縦席に乗り込んだ。

ドラキバットと面と向かい、初めて対戦するレッドバロン。バロンパンチで機先を制し、バロンミサイルが命中すると、ドラキバットはすごすごと逃げ出していった。

SSI本部に迎えられたジョージは、三神博士と握手しながら、ドラキュマン逮捕に協力してほしいと挨拶するのだった。熊野警部とも挨拶したとき、レッドバロンを詳しく見たいと話すジョージ。

その頃、アイアンホーク号のメンテナンスをしながら、健とマリが話をしていた。
『あの人、本当にSSI国際本部の隊員かしら・・・』
『俺たちが危ない所を助けてくれたんだし・・・』

『私達を信用させるためのお芝居かもしれないじゃない・・・』
『考えすぎだよ・・・』

マリは警戒心の無い健に、少し腹が立った。何の連絡も無く秘密裡に日本にやって来たジョージ。今までの話はつじつまが合うものの、どこも怪しくない所がマリには不満であった。女の勘がそうささやいているのだ。

そんな時、ジョージがレッドバロンを見学したいとの連絡が健にあった。マリはやめるように言うが、反発する健。
『そんなに疑うのなら、国際本部へ問い合わせしてみたらいいだろう』

成り行き上、マリに反発してジョージにレッドバロンを見学させる健。熊野警部と哲也も一緒だった。そんな時、ジョージが日本へ来る時に乗ってきた飛行艇が、鉄面党に奪われてしまう。

だがジョージはあの飛行艇(スカイジェット)が鉄面党に奪われることを考慮して、レーダー追跡できるように細工をしておいたと言う。

安心した健、哲也、警部は、先に格納庫から出ていくが、ジョージはひとりだけ靴紐を結ぶフリをして残っていた。そして・・・懐から出した光線銃を、レッドバロンに向けて発射したのだ。薄気味悪く笑うジョージ。

レーダーでスカイジェットを追った三神博士は、それが河口湖付近に降り立ったことを突き止める。その頃、マリはSSI国際本部に問い合わせをして、ジョージという名前の隊員などいないことを確認していたのだった。

マリがそのことを伝えようとした時、健、哲也、警部、ジョージの4人はスカイジェットを奪いに、現場へ行ったあとだった。アイアンホークで後から追いかけるマリと三神博士は、ジョージが偽物であることを伝えようと無線で呼びかける。が、健が応答した時にはすでに手遅れであった。

『健、ジョージはニセモノよ!気を付けて』
健たちの前で正体を見せるジョージ。
『ワタシガ、皆さんお探しのドラキュマンダ!』

ジョージの顔をむしり取り、ドラキュマンが笑っている。健はレッドバロンを呼ぶが、レッドバロンは重力増加光線を浴びていて、ジェットを噴射しても飛び上がることが出来ないでいた。

ドラキュマンは、健、哲也、警部にも重力増加光線を浴びせて動けなくしてから、勝ち誇って叫ぶのだった。
『貴様たちの防衛隊基地を、ドラキバットで叩きつぶしてやる!』

地中に隠れていたドラキバットを呼び出すドラキュマン。だが、現場に到着したマリの放った一撃が、ドラキュマンの重力増加光線銃を破壊した。銃の破壊と同時に、身体にかかっていた10Gの重力が1Gへと戻り、身体を動かせるようになった健達。

ドラキバットに防衛隊基地の破壊指令を出すドラキュマン。健もレッドバロンに出撃命令を出した。
『レッドバロン出動!』

逃げようとするドラキュマンに、熊野警部が投げたアイデア武器の傘が突き刺さる。だがドラキュマンは傘を抜き捨てて、スカイジェットで逃げていく。レッドバロンに乗った健は、アームミサイル、バロンビーム、エレクトリッガーと立て続けに攻撃して、遂にドラキバットにとどめを刺した。

逃げて行くスカイジェットを追いかけるレッドバロン。だがレッドバロンのスピードには敵うはずも無く、狙い定めたアームミサイルをおみまいすると、宇宙吸血鬼はスカイジェットと共に大爆発して最期を遂げた。 (終わり)


★★★★★★★★★★★★
この回は、ちょっぴりマヌケな内容だ。本部に足を踏み入れる人物について調査しておくことは、基本中の基本だ。「秘密裡に来た」と言ってはいても調査するだけの時間くらいあるわけだから、そうしておけばレッドバロンに仕掛けされることも無かっただろう。

初代マンで、ケロニアがムトウ隊員に化けて科特隊本部に来たことがあったが、あの時はムラマツ隊長がボリビア支部へ照会をしている。正体を見抜けない時も、たまにはあるけどね。

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レッドバロン(24)【宇宙鉄面党編】 [レッドバロン/ギラスQ編]

◎今回は、第37話『宇宙から来た父の手紙』を取り上げます。

脚本;上原正三
音楽;ボブ佐久間
原案;渡辺一彦・斎藤汎司(日本テレビ) 
特撮撮影;大岡新一
監督;鈴木 清

《ディモスZ》 登場


◆レッドバロンを仮想鉄面党ロボットに見立てて、SSIは特別訓練を富士山ろくで行っていた。三神博士はバイクで、マリはアイアンホークで、哲也はジープで、それぞれレッドバロンの攻撃をかわしながら実戦さながらの激しさで反撃をしていた。

そのさなか、宇宙鉄面党ロボット・ディモスZが出現し、訓練は実戦へと変わった。だが、レッドバロンが戦闘態勢に入ると、ディモスZはまぼろしの如く姿を消してしまった。

再び出現したディモスZは、レッドバロンに襲いかかってきた。敵ロボットが振り上げたこぶしがレッドバロンに当たり、大きな衝撃を感じた紅健。
『幽霊じゃないのか!』

さっきは何もせずに消えたので、実体の無いホログラフか蜃気楼だと思っていたのだが、敵は意表をついて攻めてきた。レッドバロンに搭乗した健はバロンパンチを繰り出したが、ディモスZは姿を消してしまった。

そしてレッドバロンの後方へ現れると、顔面が替わってガトリング砲のような連射砲がたくさん並んだ顔面が現れた。顔面の射撃口から雨の様に降り注ぐ弾丸にレッドバロンは何もできず、ただ銃弾を受けるしかなかった。

レッドバロンが態勢を立て直すと、ディモスZはまた姿を消してしまう。そしてレッドバロンの後ろ側に出現すると、今度は冷凍液を吐き出す顔面に変わっていた。

後ろを振り返るまでのわずかな間に、レッドバロンに冷凍液を吹きかけていくディモスZ。背中が真っ白になりながら、レッドバロンは振り返ってディモスZを捕えようとする。だがディモスZはレッドバロンと顔が合いそうになるとすぐ姿を消して、死角になる後ろへ回って姿を現すのだった。

この様子を見ていた三神博士は、ドリルアローを呼ぶように提案した。リモートコンロトールでドリルアローを呼ぶ紅健。そうこうしているうちに、レッドバロンは低温のために操作不能に陥ってしまう。
『レッドバロン操作不能!』

哲也が気転を効かせて、持っていたバズーカ砲をレッドバロンの足元に撃って爆発させた。レッドバロンは炎に包まれてしまうが、これで温度が上昇して氷漬けから脱出できるにちがいない。
『氷が溶けるまで、時間をかせぐんだ!』

三神博士の指示で、マリと哲也はディモスZを攻撃しながら撤退していく。こうして敵の目をレッドバロンから引き離し、時間をかせごうという策であった。思惑通り、マリと哲也に攻撃を始めるディモスZ。

その間にも炎の熱は氷を溶かし、レッドバロンの機能は回復していった。
『シメタ!』

凍結が溶解して動けるようになったレッドバロンは、両肩にドリルアローを装着してタイミングを待った。
『今だ、ドリルアロー発射!』

だが、ドリルアローがディモスZに命中し爆発するのと同じタイミングで、ディモスZは消えてしまった。手ごたえは十分にあった・・・そう思う健。

『博士。一体どんな仕掛けになっているんでしょうか?』
『私にも解からん・・・』

その時、空から何かがパラシュートで落ちてくるのを見つけたマリ。近くへ寄って、放射能反応や火薬反応が無い事を確認したマリ。それは長さ1メートルほどの宇宙ロケットらしかった。哲也がロケットの表面に書かれた文字を読んで、みんなは驚いた。

『紅健殿、紅健太郎』
『紅健太郎って、健のお父さんじゃない!?』

そのロケットを基地へ持ち帰って調査してみると、中には紅健の父が愛用していたパイプと赤ん坊の健を抱いた父の写真が入っていた。筒の中には手紙が入っていた。設計図を描くための透明な板に、それは書かれていた。

『突然の宇宙からの便りに、さぞ驚いたことだろう。私は今、火星でこの便りを書いている。監視の目が厳しく、この郵便ロケットも実験用ロケットに紛らわせて打ちあげるしかないのだ・・・』

手紙の内容は、デビラーに捕らえられた父と母は死刑に処せられたが、気が付くと父の健太郎は火星基地に連れてこられ、地球攻撃用ロボットの設計をやらされているという。宇宙を飛べるようになったレッドバロンで、どうか助けに来てほしいという内容であった。

同封されているマイクロフィルムには、隠し撮りした火星基地の様子が映っており、父の姿もそのフィルムの中に映っていた。それは健の記憶の中にある父の顔であった。だが、これは宇宙鉄面党の陰謀かもしれない。迂闊に信じるわけにはいかない。

紅健は、レッドバロンで火星へ行くことを、三神博士に懇願した。
『博士、俺を火星へ行かせてください。お願いします!』
『まず無理だな・・・』

『どうしてですか!』
『月へ行くのとはわけが違うんだ。火星までの距離は何億キロとある。今のレッドバロンの構造では、片道分の燃料しか積むことが出来ないんだ』

『かまいません。行かせてください!』
『帰れないと分っていて、行かせるわけにはいかん!』

『会いたいんです、父に!』
『・・・』

『父を見殺しにしろというんですか!』
『火星は宇宙鉄面党の本拠地だ。飛び込んでいって戻れなければ、どうなるか分るだろう!』

『じゃあ、どうしろというんですか!』
『俺にもわからん・・・ただ、レッドバロンは我々人類の守り神であることだけは忘れないでほしい・・・』

個人的な感情に流されて、人類の滅亡を招くような勝手な行動は慎んでほしいと、三神博士は言うのだ。それを聞いた健は、何も言えなくなってしまった。

マリの気持ちも、三神博士と同じだ。父を思う健の気持ちは十分解るが、帰って来られないと分かっている旅に、行かせることには絶対反対だった。

鉄面党火星基地から飛んで来た宇宙ロケットを三神博士が分解していたところ、ロケットの推進力にビームストーンが使われていることが判明した。

ビームストーンは太陽光線を光子エネルギーに変えてしまう石なので、永久に宇宙空間を飛び続けることが出来るのである。

これが火星のどこかにあるならば、紅健を火星に行かせてもいいと三神博士は考えた。帰りは火星のビームストーンを使って、帰ってくればいいからだ。ただし、探しださねばならない手間はあるが。

スペースウィングスに補助タンクを積んで、火星までギリギリの燃料でレッドバロンは今飛び立とうとしていた。三神博士の発案で新兵器レインボーショットを装備したレッドバロン。

こうしてレッドバロンは、月へ行くよりも150倍遠い火星までの長旅に出発した。
『ファイトレバー オン!』

流星群を新兵器レインボーショットで撃破して、順調に飛行していたレッドバロンは、突然得体の知れない力に襲われて、操縦不能に陥ってしまう・・・。 (つづく)


★★★★★★★★★★★★
いよいよレッドバロンは、話が佳境に入っていきます。火星の本拠地へ殴り込みをかける紅健。父との再会は果たしてなるのか?!

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レッドバロン(25)【宇宙鉄面党編】 [レッドバロン/ギラスQ編]

◎今回は第38話『レッドバロン火星に遭難』を取り上げます。

脚本;上原正三
音楽;ボブ佐久間
原案;渡辺一彦・斎藤汎司(日本テレビ) 
特撮撮影;大岡新一
監督;鈴木 清

《ディモスZ》 登場

【前回までの話は・・・
鉄面党に捕らえられて殺されたとばかり思っていた健の父・紅健太郎博士は、火星の宇宙鉄面党本部で奴隷として働かされていることが、火星から送られてきた鉄面党郵便ロケットの手紙で判明した。父を助けるため火星へ出発したレッドバロンと紅健は、突然何かの力によって動きを封じられ、操縦不能に陥ってしまった・・・】


◆スペースウィングスに積めるだけの燃料を積み、星間移動のため宇宙服で装備した紅健は、コックピットに父の愛用したパイプを紐で吊るして、父との再会を夢に見ながら火星へと出発したのだった。

だがレッドバロンは謎の力によって動きを封じられ、健は意識を失ってしまう。SSI本部のレーダーでは、レッドバロンが移動し続けていることしか解からない。

三神博士は、流星群との衝突の際にできた亀裂のため、レッドバロンのコックピット内が真空になってしまっているかもしれないと推測した。SSI本部が状況をつかむ術(すべ)は、健からの連絡を待つこと以外には無かったのである。

紅健とレッドバロンはどうなったのかというと、健が気絶している間に、火星に到着していたのであった。いや正確に言うと、幽霊の様に消えることが出来るロボット・ディモスZが、火星まで運んで来たのであった。

ようやく気が付いた健は、コックピットから見える景色を分析した。赤い土、そしてあのロボット・ディモスZが歩いているではないか。どうやらレッドバロンは、宇宙鉄面党基地に連れてこられたようであった。

『こちらレッドバロン。SSI本部、応答願います・・・』
『こちら本部。健、無事だったのね!』
『どうやら無事のようだ・・・』

『紅君、今どこにいるんだ?』
『どうやら、火星らしいです。富士山ろくに現れたあのロボットに襲われ、連れてこられたらしいんです』

健は、父が宇宙鉄面党に捕らわれていることから、敵の懐へわざと飛び込むつもりであった。宇宙ヘルメットを被って外へ出てみると、赤茶けた土が一面に広がる広大な土地が目前にあった。

健はふと思った。
(鉄面党最大の敵であるはずのレッドバロンを、なぜここまで無傷で運んで来たのだろう?どうして、誰も襲ってこないんだ?)

すると数名の戦闘員達が現れて、健を捕まえようとした。少し抵抗したところ、腕に怪我をしてしまい、仕方なく捕まった健。だが、健の目的もロボット帝国に捕まることにあったのだ。連行途中で、建造中のロボットが数体立っているのを見た。どうやらここが、ロボット帝国であるらしい。

地下のある部屋へ連れて行かれた健は、遠目に植物をいじっている父・健太郎を見た。
『父さん。父さんじゃないですか!』
『おう、来たか・・・』

健は駆け寄って近づくと、ふたりは握手を交わして、笑顔で再会を喜び合った。
『元気そうだね、父さん』
『私は元気だよ・・・ん、その腕はどうしたんだ?』

『大したことはありません・・・』
『誰だ?私の息子に傷を負わせたのは!丁重に出迎えろと言ったはずだぞ!』

健太郎はそう言うと、名乗り出た戦闘員を2~3度杖で殴り、杖に仕込んだ銃で殺してしまうのだった。父の振る舞いは、まるで帝王であった。手紙には毎日怯えるように暮らしていると書かれてあったのに、健に傷を負わせた戦闘員を処刑してしまうほどの権力の座に就いている父。

『手紙のことは忘れなさい。あれは、お前をここへ呼び寄せるために書いたものだ。お前も今日から、ここで暮らすのだ。私の息子としてな・・・』

『何を言うんですか!?父さんは鉄面党に、魂を売ってしまったんですか!俺と一緒に、地球へ帰りましょう』
『人類はもうすぐ、我ら鉄面党の奴隷になる。地球へ戻っても無駄だよ・・・』

『我ら鉄面党?なんて情けない言葉を使うんですか!』
『お前も、もうすぐここが気に入るようになる!息子を部屋へ案内しなさい!』

健は、このロボット帝国を破壊してしまおうと、レッドバロンのコックピットへ向かうのだった。健は、夢にまで見た父との再会で、あのような言葉を父の口から聞くとは思わなかった。まるでロボットのように冷たい心になっていた父に、健の心は悲しみと怒りで渦巻いていた。

レッドバロンの前に、あのロボット・ディモスZが現れた。地上戦なので、レッドバロンは背中に背負ったスペースウィングスを外して、ディモスZと戦闘開始した。

ディモスZは、巧みに姿を消しながらレッドバロンとスペースウィングスを引き離していく。そして格闘中に姿を消したディモスZは、岩陰に着陸させて隠しておいたスペースウィングスを破壊してしまうのだった。これでレッドバロンは、二度と地球へ帰る事ができなくなってしまった。

怒った健は、新必殺武器レインボーショットで攻撃し、ディモスZを破壊したように思えたが、またも幻のように消えたディモスZだった。健は、この戦いでスペースウィングスを失ったことを、SSI本部へ報告した。

『紅君、心配するな。代わりのスペースウィングスは、なんとか送るようにする。だから希望を捨てちゃいかんぞ!』

三神博士はとっさにそう言って、健を勇気づけるのだった。だが本心を言えば、とても絶望的であった。スペースウィングスは推進装置に過ぎない。とても火星まで飛ばすのは不可能だ。

仮に今すぐロケットの建造に着手しても、完成までに1年はかかる。すぐに健を救出できる方法が、三神博士には思いつかなかった。

突然、SSI本部に「宇宙鉄面党のセースルマン」を名乗る男が姿を現した。黒いマスクに黒い帽子をかぶった紳士のような姿をしているが、ロボットなのだろう。

『君のセールスの目的は何だ!』
『SSIに降伏を勧めにきました。大人しく降伏すれば良し、さもなくばディモスZが東京を砂漠にしますよ・・・』

セールスマンが持っているアタッシュケースに、東京に出現したディモスZが映っている。レッドバロンが火星に居ては、ディモスZから東京を守れる者はいないのだ。

『10分間待ちましょう。10分間で地球の運命を決めてください・・・』
そう言って、再び姿を消す鉄面党セールスマン。その瞬間、三神博士が叫んだ。

『解かったぞ!奴らは電送移動しているんだ。つまり、物質を電波に変えて送ることだ。そうでなければ、火星でレッドバロンと戦っていたロボットが、もう東京に現れるはずがない』

火星と地球の間を電送移動するには、双方に受信装置と送信装置がいる。東京のどこかに装置があるに違いない。熊野警部が、東京の装置を探し出すことになった。それまでの間に、ディモスZと戦って時間をかせぐSSI。

刑事の勘が働き、宇宙線研究所が怪しいとにらんだ。正面から潜入した警部だったが、セールスマンの男が警部を殴り倒してしまう。

一方火星では、父・健太郎から部屋を与えられ、勝手な振る舞いをしないことを条件に、自由行動を許された健。健の部屋の窓から、火星の衛星フォボスに推進装置が取り付けられて、噴射実験をしている様子が見えた。

健は部屋を出て父の部屋へ潜入し、それが地球攻撃用惑星ミサイルであることを探りあてた。健は通信室へ忍び込み、地球のSSI本部へこのことを知らせたが、途中で妨害電波を出されてしまう。

捕まった健は父のもとへ連れて行かれ、勝手なマネをした健には極刑を与えると父・健太郎は言う。健太郎は懐から黄金色の拳銃を取り出し、一発だけ弾を込めた。

ロシアンルーレット方式で引き金を引こうとしている父・健太郎。冷徹な表情で銃口を向け引き金を引く父・健太郎に、健は覚悟を決めるのだった・・・(つづく)


★★★★★★★★★★★★
レッドバロンの最終回は、前・中・後偏の三部構成になっている。地球と火星という壮大な距離をつなぐこのドラマにふさわしいエンディングだ。マグマ大使も、最終回は三部構成にした方がよかったと思う内容だっただけに、惜しまれる。

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レッドバロン(26終)【宇宙鉄面党編】 [レッドバロン/ギラスQ編]

◎今回は、第39話『時計じかけの明日』を取り上げます。

脚本;上原正三
音楽;ボブ佐久間
原案;渡辺一彦・斎藤汎司(日本テレビ) 
特撮撮影;大岡新一
監督;鈴木 清

《ディモスZ》 登場

【前回までの話は・・・
火星の宇宙鉄面党本部で奴隷として生きていると思っていた父が権力者の地位に就いていることを知り、紅健はショックを受ける。火星の衛星フォボスを惑星ミサイルにして地球へ飛ばす計画を知った健はその事をSSIに知らせたため、怒った父・健太郎は自らの手で健を処刑しようとしていた・・・】


◆拳銃には、全部で5発の銃弾が入る。今3発目の引き金を引いて不発だった。残りは2発。健の命は、次かその次のどちらかで尽きてしまうのだ。4発目の引き金を引こうとした時、紅健太郎に命令する声がした。
『待テ クレナイ博士 クレナイ・ケンの銃殺ヲ 中止セヨ』

健太郎が突然背面の壁に向かって、背筋を伸ばして緊張した。
『しかし、ギラスQ総統。健は、惑星ミサイル計画の秘密を地球へ漏らしました。これは鉄面党の掟では、死刑に当たります』

『ソレヨリ クレナイケンとレッドバロンを ウチュウテツメントウのセンリョクとして ノコスホウがトクサクだ』
『はっ、総統の仰せの通りにいたします』

ギラスQからの命令が終わると、健太郎は突然胸を押さえて苦しみ出した。すぐに医師と看護師がやって来て、ソファーに健太郎を座らせ、楽な姿勢にしたまま胸を開けるのだった。

そこには、精密機械で作られた人工臓器があり、人工心臓が風船のように膨らんだり縮んだりしていた。それを見た健は驚いた。健太郎は脳細胞だけが人間で、あとは機械で作られているサイボーグだったのだ。

『見苦しい所を見せてしまったな。いいか、健。二度と父さんを困らせるようなことはしてくれるなよ・・・わかったな』
『父さん、貴方は心を持たない機械人間だ。俺の父さんじゃ無い!』

ここにいる父は、父の顔をしたロボットだと割り切ることに健は決めた。そう決めたら、惑星ミサイル作戦を阻止するために、レッドバロンでフォボスの推進装置を破壊しようと考えた。

レッドバロンのコックピットに座ると、最後の大暴れをするつもりでファイトレバーを引いた。
『ファイトレバー オン!』

ところが、レッドバロンが動かない!燃料計がゼロを指していた。原子力エネルギーがカラなのだ。調べてみると、超小型原子炉が誰かによって抜かれていた。

地球では、電送移動装置を探すために町へ出た熊野警部が、宇宙線研究所へ潜入するという連絡を最後に、消息を絶っていた。SSIの三人は熊野警部を救出すべく、宇宙線研究所へ乗り込んだ。

そこで鉄面党戦闘員と格闘になり、通信室で縛られている熊野警部を見つけた3人は、助けようと近づいていく。だが、それはワナだった。電流を流され、感電して失神する三神、マリ、哲也。

口にテープを貼られているため、首を横に振って危険を知らせたが、3人とも捕らえられてしまいガッカリする熊野警部。

SSIの3人と熊野警部を捕虜にしたことを火星基地へ連絡すると、ギラスQ総統は全員を火星に電送するように指示した。惑星ミサイルの操縦者にして、地球へぶつけるつもりであった。

捕らわれた4人は、宇宙線研究所内のある一室に入れられた。三神博士は直感で、その部屋の正体に気付いた。次の瞬間、強烈な頭痛に襲われ、悲鳴を上げる4人。しばらくすると、静かになった。その部屋は、電送移動室だったのだ。

4人の行き先は、父が健に与えた火星の部屋だった。じっと何かを考えていた健の後ろに、いきなり出現する捕らわれた4人。振り向いた所に健を見つけて、マリが叫んだ。

『健!』
『あっ、どうして来たんだ!みんな惑星ミサイルのパイロットにされてしまうぞ!』

健は絶望的な気持ちになってしまった。そこに、穏やかに笑う紅博士が現れた。
『ようこそ、火星へ・・・』

一同は、ロボット帝国の科学の粋が集まった部屋で談笑していた。ここが、まるで美しい海岸であるかのような錯覚をするほどすばらしい景色を眺めながら、テーブルでコーヒーを飲む一同。足らないのは波の音だけだった。

死んだと思っていた紅健太郎博士と健が対面できたことを、4人は喜んでいた。だが本当のことを知れば、そんな顔はしていられないはずだと思う健。だから、健の顔は晴れない。
『健、はっきり言うといい・・・私が宇宙鉄面党技術パートの最高幹部であることを』

父が、宇宙鉄面党の地球侵略計画に手を貸していることを、そして今度は、惑星ミサイルで地球を木っ端みじんにしようとしていることを、健はみんなに告げた。
『健、博士は誰かに頭脳を操られている・・・』

三神博士は、紅博士の左耳にすっぽりと入った小型通信機らしきモノを見て、健にささやいた。父の脳を支配しているのは、ギラスQ総統だということを理解している健。そう思った時、突然健と父以外の4人が姿を消した。
『彼らはもう、フォボス惑星ミサイルに乗り込んだ・・・』

父がそう言うと、フォボス惑星ミサイルのコックピットに縛り付けられている4人を映したスクリーンが、壁に現れた。宇宙鉄面党の真の目的は地球征服ではなく、全宇宙征服であった。そのために開発した惑星ミサイルの実験場が、今や地球なのだ。

このフォボス惑星ミサイルの実験で地球が消えて無くなれば、ギラスQはいよいよ全宇宙征服に乗り出す。その話を聞いた健は父から拳銃を奪うと、父に拳銃を突きつけて、惑星ミサイル発射を止めるように懇願した。

だが、子供の頃から優しい性格の健が、父を撃つことはあるまいと考えた父には余裕があった。
『お前に、この父は撃てぬ・・・』

だが、健は父ともみ合いになり、銃弾は父の体を貫通してしまう。その場に倒れた父と健をあざ笑うように、惑星ミサイルは発射されてしまう。惑星ミサイルを止めるにはギラスQを叩く以外には無いと考えた健は、総統室へ向かって走った。

行く先々にいる戦闘員達を倒し、総統室の前まで来た紅健。室内へ入ると合成音の声がした。
『コノ部屋ニ 立チ入ッタ者ハ 死刑ダゾ 出テイケ』

ギラスQの正体は、超大型のコンピュータだった。巨大な機械部分の中央に、脳らしきものが置いてある。健は、それを拳銃で撃った。ギラスQの破壊に成功した健は、父のもとへ戻った。これでもう、父の頭脳を支配するものはいない。

『もう心配いりません。父さんの脳波を支配していたギラスQは破壊しました』
『そ、そうか・・・でも安心はできない。あと5分もすれば、次のギラスQが自動的に誕生するシステムになっているんだ・・・』

惑星ミサイルを止める方法を父に訊ねると、フォボスに乗る以外に止める方法は無いという。父は、抜き取ったレッドバロンの小型原子炉を返してくれた。これを取り付けて、フォボスへ飛ぶしかない。

だがディモスZが、レッドバロンのゆく手をさえぎろうと出てきた。父が電送装置を切ったため、ディモスZはもう素早い移動は出来なくなった。健は、相手の身体に付着した7色の爆弾が発光して爆発する新兵器・レインボーショットで、ディモスZにとどめを刺した。

一方、紅健太郎博士は宇宙船スペースバスに乗り、鉄面党基地を脱出した。レッドバロンの背中にくっ付いてスペースウィングスのような推進力となり、レッドバロンをフォボスへ連れて行くのだった。

健と父はフォボスにレッドバロンを着陸させると、制御室に行ってコックピットに縛り付けられている4人を救出して、第二のギラスQに制御されないよう、制御装置のスイッチを切ってしまう。もうこれで、ギラスQがこの惑星ミサイルを操ることはできないのだ。

父は第二ギラスQの支配を半分受けながらも必死に抵抗して、この惑星ミサイルの舵(かじ)を火星方向に向けたあと、全員で脱出した。
『惑星ミサイルヲ止メロ!誰カ、止メテクレ!』

第二ギラスQが発生して命令を出しても、惑星ミサイルを止める者は誰もいない。火星に衝突した惑星ミサイルで火星表面は大火災となり、第二ギラスQとロボット帝国の設備は火の海となった。ここに宇宙鉄面党は崩壊したのである!

サイボーグの紅健太郎博士は、地球へ帰ったらやりたいことがあると言っていた。それはレッドバロンに乗ることだった。だが、火星と地球との気圧の違いが人工心臓に狂いを生じさせ、博士の命は危篤状態にあった。

紅博士はレッドバロンではなく、息子・健の背中に乗ったままこの世を去った。すぐに病院へ連れて行けば助かったかもしれない命だが、熊野警部は言う。

『紅博士は、機械に頼って生きることがイヤになったんだ。機械じかけの明日を拒否なさった。自らの意志でね・・・』
どんなに科学が発達しても、科学の奴隷にだけはならないことを、父に誓う健だった。 (終わり)


★★★★★★★★★★★★
最後のシーンは、心にしみました。人間は自然のままに生きて死んでいくことが、幸せなのであると・・・。

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