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レッドバロン(26終)【宇宙鉄面党編】 [レッドバロン/ギラスQ編]

◎今回は、第39話『時計じかけの明日』を取り上げます。

脚本;上原正三
音楽;ボブ佐久間
原案;渡辺一彦・斎藤汎司(日本テレビ) 
特撮撮影;大岡新一
監督;鈴木 清

《ディモスZ》 登場

【前回までの話は・・・
火星の宇宙鉄面党本部で奴隷として生きていると思っていた父が権力者の地位に就いていることを知り、紅健はショックを受ける。火星の衛星フォボスを惑星ミサイルにして地球へ飛ばす計画を知った健はその事をSSIに知らせたため、怒った父・健太郎は自らの手で健を処刑しようとしていた・・・】


◆拳銃には、全部で5発の銃弾が入る。今3発目の引き金を引いて不発だった。残りは2発。健の命は、次かその次のどちらかで尽きてしまうのだ。4発目の引き金を引こうとした時、紅健太郎に命令する声がした。
『待テ クレナイ博士 クレナイ・ケンの銃殺ヲ 中止セヨ』

健太郎が突然背面の壁に向かって、背筋を伸ばして緊張した。
『しかし、ギラスQ総統。健は、惑星ミサイル計画の秘密を地球へ漏らしました。これは鉄面党の掟では、死刑に当たります』

『ソレヨリ クレナイケンとレッドバロンを ウチュウテツメントウのセンリョクとして ノコスホウがトクサクだ』
『はっ、総統の仰せの通りにいたします』

ギラスQからの命令が終わると、健太郎は突然胸を押さえて苦しみ出した。すぐに医師と看護師がやって来て、ソファーに健太郎を座らせ、楽な姿勢にしたまま胸を開けるのだった。

そこには、精密機械で作られた人工臓器があり、人工心臓が風船のように膨らんだり縮んだりしていた。それを見た健は驚いた。健太郎は脳細胞だけが人間で、あとは機械で作られているサイボーグだったのだ。

『見苦しい所を見せてしまったな。いいか、健。二度と父さんを困らせるようなことはしてくれるなよ・・・わかったな』
『父さん、貴方は心を持たない機械人間だ。俺の父さんじゃ無い!』

ここにいる父は、父の顔をしたロボットだと割り切ることに健は決めた。そう決めたら、惑星ミサイル作戦を阻止するために、レッドバロンでフォボスの推進装置を破壊しようと考えた。

レッドバロンのコックピットに座ると、最後の大暴れをするつもりでファイトレバーを引いた。
『ファイトレバー オン!』

ところが、レッドバロンが動かない!燃料計がゼロを指していた。原子力エネルギーがカラなのだ。調べてみると、超小型原子炉が誰かによって抜かれていた。

地球では、電送移動装置を探すために町へ出た熊野警部が、宇宙線研究所へ潜入するという連絡を最後に、消息を絶っていた。SSIの三人は熊野警部を救出すべく、宇宙線研究所へ乗り込んだ。

そこで鉄面党戦闘員と格闘になり、通信室で縛られている熊野警部を見つけた3人は、助けようと近づいていく。だが、それはワナだった。電流を流され、感電して失神する三神、マリ、哲也。

口にテープを貼られているため、首を横に振って危険を知らせたが、3人とも捕らえられてしまいガッカリする熊野警部。

SSIの3人と熊野警部を捕虜にしたことを火星基地へ連絡すると、ギラスQ総統は全員を火星に電送するように指示した。惑星ミサイルの操縦者にして、地球へぶつけるつもりであった。

捕らわれた4人は、宇宙線研究所内のある一室に入れられた。三神博士は直感で、その部屋の正体に気付いた。次の瞬間、強烈な頭痛に襲われ、悲鳴を上げる4人。しばらくすると、静かになった。その部屋は、電送移動室だったのだ。

4人の行き先は、父が健に与えた火星の部屋だった。じっと何かを考えていた健の後ろに、いきなり出現する捕らわれた4人。振り向いた所に健を見つけて、マリが叫んだ。

『健!』
『あっ、どうして来たんだ!みんな惑星ミサイルのパイロットにされてしまうぞ!』

健は絶望的な気持ちになってしまった。そこに、穏やかに笑う紅博士が現れた。
『ようこそ、火星へ・・・』

一同は、ロボット帝国の科学の粋が集まった部屋で談笑していた。ここが、まるで美しい海岸であるかのような錯覚をするほどすばらしい景色を眺めながら、テーブルでコーヒーを飲む一同。足らないのは波の音だけだった。

死んだと思っていた紅健太郎博士と健が対面できたことを、4人は喜んでいた。だが本当のことを知れば、そんな顔はしていられないはずだと思う健。だから、健の顔は晴れない。
『健、はっきり言うといい・・・私が宇宙鉄面党技術パートの最高幹部であることを』

父が、宇宙鉄面党の地球侵略計画に手を貸していることを、そして今度は、惑星ミサイルで地球を木っ端みじんにしようとしていることを、健はみんなに告げた。
『健、博士は誰かに頭脳を操られている・・・』

三神博士は、紅博士の左耳にすっぽりと入った小型通信機らしきモノを見て、健にささやいた。父の脳を支配しているのは、ギラスQ総統だということを理解している健。そう思った時、突然健と父以外の4人が姿を消した。
『彼らはもう、フォボス惑星ミサイルに乗り込んだ・・・』

父がそう言うと、フォボス惑星ミサイルのコックピットに縛り付けられている4人を映したスクリーンが、壁に現れた。宇宙鉄面党の真の目的は地球征服ではなく、全宇宙征服であった。そのために開発した惑星ミサイルの実験場が、今や地球なのだ。

このフォボス惑星ミサイルの実験で地球が消えて無くなれば、ギラスQはいよいよ全宇宙征服に乗り出す。その話を聞いた健は父から拳銃を奪うと、父に拳銃を突きつけて、惑星ミサイル発射を止めるように懇願した。

だが、子供の頃から優しい性格の健が、父を撃つことはあるまいと考えた父には余裕があった。
『お前に、この父は撃てぬ・・・』

だが、健は父ともみ合いになり、銃弾は父の体を貫通してしまう。その場に倒れた父と健をあざ笑うように、惑星ミサイルは発射されてしまう。惑星ミサイルを止めるにはギラスQを叩く以外には無いと考えた健は、総統室へ向かって走った。

行く先々にいる戦闘員達を倒し、総統室の前まで来た紅健。室内へ入ると合成音の声がした。
『コノ部屋ニ 立チ入ッタ者ハ 死刑ダゾ 出テイケ』

ギラスQの正体は、超大型のコンピュータだった。巨大な機械部分の中央に、脳らしきものが置いてある。健は、それを拳銃で撃った。ギラスQの破壊に成功した健は、父のもとへ戻った。これでもう、父の頭脳を支配するものはいない。

『もう心配いりません。父さんの脳波を支配していたギラスQは破壊しました』
『そ、そうか・・・でも安心はできない。あと5分もすれば、次のギラスQが自動的に誕生するシステムになっているんだ・・・』

惑星ミサイルを止める方法を父に訊ねると、フォボスに乗る以外に止める方法は無いという。父は、抜き取ったレッドバロンの小型原子炉を返してくれた。これを取り付けて、フォボスへ飛ぶしかない。

だがディモスZが、レッドバロンのゆく手をさえぎろうと出てきた。父が電送装置を切ったため、ディモスZはもう素早い移動は出来なくなった。健は、相手の身体に付着した7色の爆弾が発光して爆発する新兵器・レインボーショットで、ディモスZにとどめを刺した。

一方、紅健太郎博士は宇宙船スペースバスに乗り、鉄面党基地を脱出した。レッドバロンの背中にくっ付いてスペースウィングスのような推進力となり、レッドバロンをフォボスへ連れて行くのだった。

健と父はフォボスにレッドバロンを着陸させると、制御室に行ってコックピットに縛り付けられている4人を救出して、第二のギラスQに制御されないよう、制御装置のスイッチを切ってしまう。もうこれで、ギラスQがこの惑星ミサイルを操ることはできないのだ。

父は第二ギラスQの支配を半分受けながらも必死に抵抗して、この惑星ミサイルの舵(かじ)を火星方向に向けたあと、全員で脱出した。
『惑星ミサイルヲ止メロ!誰カ、止メテクレ!』

第二ギラスQが発生して命令を出しても、惑星ミサイルを止める者は誰もいない。火星に衝突した惑星ミサイルで火星表面は大火災となり、第二ギラスQとロボット帝国の設備は火の海となった。ここに宇宙鉄面党は崩壊したのである!

サイボーグの紅健太郎博士は、地球へ帰ったらやりたいことがあると言っていた。それはレッドバロンに乗ることだった。だが、火星と地球との気圧の違いが人工心臓に狂いを生じさせ、博士の命は危篤状態にあった。

紅博士はレッドバロンではなく、息子・健の背中に乗ったままこの世を去った。すぐに病院へ連れて行けば助かったかもしれない命だが、熊野警部は言う。

『紅博士は、機械に頼って生きることがイヤになったんだ。機械じかけの明日を拒否なさった。自らの意志でね・・・』
どんなに科学が発達しても、科学の奴隷にだけはならないことを、父に誓う健だった。 (終わり)


★★★★★★★★★★★★
最後のシーンは、心にしみました。人間は自然のままに生きて死んでいくことが、幸せなのであると・・・。



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