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ウルトラQ(7) ~少年がガラダマを見つけた頃、太陽の黒点とは関係ないデリンジャー現象が起こり、各地の短波通信が不通になるという騒ぎが起こっていました・・・ [ウルトラQ・ドラマ]

今回は第13話『ガラダマ』を取り上げます。

監修;円谷英二
脚本;金城哲夫
特殊技術;的場 徹
監督;円谷 一

◆子供達が、リヤカーに乗せて何かを運んできた。見かけは隕石だと思われたが、その大きさと軽さにビックリする担任の大木先生。確かに空から降ってきたと主張する、守少年。

幅が1メートル程もあるのに、重さが非常に軽くて小学生の子供でも軽々持ちあげられる。これは貴重な隕石だと思った大木先生は、東京の知り合いに問い合わせして、東南大学物理学教室で分析してもらうことになった。

一の谷博士によって分析されたその隕石は、つい最近リビア砂漠で発見されて「チルソナイト」と命名された鉱物と同種のものである、という結論に至る。「チルソナイト」は宇宙から飛来した物体であることに間違いないという結論が学会では出ており、宇宙人によって作られた可能性が高いという。

しかも、この隕石からは怪電波が出ていることが判った。一の谷博士は、この隕石の落下地点で手がかりを探すため、三国山脈に近い弓が谷という場所へ案内してもらうことにした。

万城目のヘリコプターで現場に行ってみると、弓が谷は熊谷ダムのすぐ近くにある。昔その付近にあった村が、ダムの底に沈んでいた。
『この辺は昔から、落雷やガラダマのメッカなんです』

この辺では、隕石の事を「ガラダマ」と呼ぶ習慣がある。ヘリを見て、隕石を見つけた小学生の守君とその友達が集まってきた。守君の話では、ガラダマはフワフワとまるで紙が舞うように落ちてきたという。守君の友人が一の谷博士に訊ねる。

『隕石って何ですか?』
『流れ星が全部蒸発しないうちに、地球に到達したものを言うんじゃよ』

『どうして地球と衝突しないんですか?』
『宇宙はとっても広いから、地球に当たる確率はものすごく少ないわけだよ。それに地球は厚い空気の層があるから、そのほとんどが摩擦熱で蒸発してしまうんだよ』

ガラダマを見つけた地点に案内された一の谷博士は、現場に開いた穴がとても小さいことに驚く。が、突如轟音と共に空から炎をまとった巨大なガラダマがダム湖に落下した。ダム湖は干上がり、ダム湖を遊覧していた遊覧船が、その衝撃で崖の上に引っかかってしまっている。

船内には女性ふたりが閉じ込められていた。万城目は近くの民家から電話を借りて、毎日新報の江戸川由利子へ連絡を入れた。話を聞いた由利子は、東南大学物理学教室へ出かけていく。一の谷博士が、少年の見つけた隕石を分析した大学であった。

一方、ダム湖に落下した巨大な隕石に亀裂が入り、それがざっくりと割れて、中からモンスターが出現した。高台からそれを目撃した一の谷博士と万城目達は驚く。モンスターは、平たい二本の手のひらを身体の正面にぶら下げて、への字に曲がった口を開け閉めしながら、あちらこちらを歩き回った。

新聞記者の由利子が東南大学の研究室に着いてみると、少年の見つけた隕石から電波が出ていることを知る。記者の直感で、この隕石とダム湖に落ちた巨大な隕石とは、何か関係があるとにらむ由利子。だが、研究員たちは確たる証拠が無い限り、そんな突飛な話には耳を傾けようとはしなかった。

ところが、臨時ニュースで、ダム湖に落ちた隕石からモンスターが出現したことを、由利子と研究員達は知る。ダム湖のモンスターは、あちこち不規則に歩き回りながら、少しずつひっかかった遊覧船の方向に向かって来ている。

万城目と一平は縄梯子(なわばしご)を遊覧船まで降ろして、閉じ込められた女性ふたりを助けだすことに成功した。

一の谷博士は、このモンスターと隕石とを結び付けて考えだした。あの隕石から出る怪電波が、このモンスターを操っているのではないだろうかと。モンスターを運んできた巨大なガラダマは、チルソナイトに色がそっくりだからだ。

『我々人類より、はるかに進んだ頭脳と文明を持つ遊星人の産物だ。彼らはまず、自分に代わってモンスターに命令を与える電子頭脳を先に送りこみ、それからモンスターを打ち上げた・・・』

由利子は直感で、この隕石が発信する怪電波は、ダムに出現したモンスターを操っているのでは、と考えた。研究者達も由利子の考えに少しずつ同調して、いろいろと試してみる。まず電気ノコギリで解体しようと試みるが、傷もつかない。だがその頃、モンスターは地面の上でのたうち回っていた。

電気ノコギリをあきらめると、モンスターはまた活動を開始した。ダムを破壊して、東京方面へ行こうとしているらしい。一の谷博士に言わせると、電子頭脳の有る所へ向かっているという。

相変わらず、怪電波を激しく発信する隕石。
『そうだ!電波を遮断できないかしら』

由利子の提案で、次に電波遮蔽網(でんぱしゃへいあみ)を上からすっぽりとかぶせてみた。するとオシログラフに描かれた波形が消え、電波の発信が止まった。

それと同時に、ダム湖のモンスターは腹を押さえ、口からよだれのような透明な液体を流してガックリとヒザを折り、目を閉じて動かなくなった。

【ナレーション】
これでモンスターの地球侵略が終わったわけではありません。たとえ電子頭脳を破壊したとしても、遊星人は第二第三の挑戦を仕掛けてくるかもしれないのです・・・ (終わり)


★★★★★★★★★★★★
高山造型の傑作のひとつが、このガラモンだろう。映像で見ると、上半身と足とは別々に造られているように見える。上半身を被ってから、ブーツのように足を履くような感じではないだろうか。

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ウルトラQ(8) ~ロボット怪獣ガラモンを積んだガラダマが、青い地球に向かって飛んでいるのです・・・ [ウルトラQ・ドラマ]

今回は第16話『ガラモンの逆襲』を取り上げます。

監修;円谷英二
脚本;金城哲夫
特殊技術;的場 徹
監督;野長瀬三摩地

◆ある夜のことである。天体物理学研究所の門前に現れた人物は、濃い色のコートを着てふちのついた男性用の帽子をかぶり、蝋(ろう)のように色白でまつ毛が長い痩せた男だった。

男は長さ10センチほどのライターのような形の縦長のリモコン装置をしきりに操作して、第二研究室内にある金庫のダイヤルを解錠して扉を開けると、電波遮蔽網で包んで保管してある電子頭脳を宙に舞い上がらせた。

館内を巡回していた夜間警備員は、第二研究室でこの電子頭脳が自分で窓ガラスを破って外へ飛び出していくまでの一部始終を目撃していた。外へ飛び出した電子頭脳は、フワリフワリと宙を舞いながら、まるで仔犬のように男の後を付いていった。

この保管されていた電子頭脳は、いつぞや弓が谷に出現したモンスターを操った電子頭脳である。モンスターは「ガラモン」と呼ばれ、この電子頭脳を人類が破壊できない限り、次の侵略が行なわれることを恐れて、厳重に保管していたのであった。

午前四時十五分。突然の電話で起こされる万城目 淳。電話の相手は江戸川由利子だった。ガラダマを誘導する電子頭脳が盗まれたという内容の話をしてきた。

一の谷博士の報告では、電子頭脳はひとりで飛んで行くような能力は無いという話だった。不思議に思いながらも、二人は電波監理所で落ち合う約束をして電話を切った。

電子頭脳から出る怪電波を捕らえるため、電波監理所では花沢主任を中心にして、日本中の電波を見張っていた。電子頭脳が消えてから、すでに4時間が経過していた。

その頃、大宇宙から9個の隕石群が地球に向かって飛んでいた。そしてついに、怪電波を電波監理所が捕らえた。発信源は、東京から北北西に90キロの地点を時速60キロで移動中であることが確認された。
『これは車の速度ね』

群馬・長野の両県警に非常線を張るよう要請し、交通を止めてでも電子頭脳を発見しなければならない。また、地球に向かって飛来してくる隕石群の目標が、東京であることがほぼ判明した。到着推定時刻は午前11時48分。あと3時間ほどしかない。

早く電子頭脳を積んだ車を発見しないと、東京は大変なことになる。その頃、電子頭脳は、盗んだ男の手によって榛名へ向かうトラックの中にあった。男は楽器のチェロの箱にそれを隠し、このトラックに乗り込んでいた。トラックは国道17号線を北上している。

電波監理所の監視によって怪電波の移動状況をモニターしながら、ヘリコプターで怪電波の発信源を探していた。途中で小学生たちが、このトラックをヒッチハイクした。気の良い運転手は子供らを乗せてあげようとするが、男が急かすので、結局乗せなかった。

だが、一人だけ黙って後ろの荷台に潜り込んだ少年がいた。少年はチェロの箱が開いて、中から岩石のようなものが浮遊しているのを、荷台で目撃する。

ついに、東京に次々とガラダマが落下して来た。東京港に突っ込むもの、ビルを壊して地上に落下するもの。やがてガラダマに亀裂が入り、中からガラモンが一つまた一つと生まれる。このまま東京は、ガラモンの為に破壊つくされてしまうのか!

ドライブ・インに立ち寄ったトラック運転手は、休憩所のテレビで東京の様子を知る。複数のガラモンが、ビルを破壊したり東京タワーを倒したりしている。助手席で待っていた男は、運転手のいないトラックを盗んで発車させてしまう。

目的は榛名湖。非常線を突破したトラックは、遂に榛名湖畔に到着。チェロの箱を持った男を、湖畔のバンガローに追い詰める警官達。だが、男はリモコン操作によって警官の拳銃を取りあげてしまい、警官達を拳銃に射殺させてしまう。

男が隠れている場所を見つけた一平と万城目は、挟み撃ちにして男からチェロの箱を奪い取ることに成功した。花沢主任が箱の中の電子頭脳を電波遮蔽網で包むと、東京のガラモン達は口からベトっとした液体を吐き出して、一斉に動きを止めた。

一緒に来ていたトラック運転手が、落ちていた拳銃で逃げる男に狙いを付けて発砲すると、命中して絶叫した。撃たれた男は立ち上がると、それは人間の姿をしていなかった。顔はセミのようで、首から下は銀色の宇宙服を着た宇宙人になっていた。

湖水に向かって一歩ずつ歩いていく宇宙人。すると水面が泡立ち、水中から宇宙船がゆっくりと出現した。そして手を振るセミの顔の宇宙人に光線を浴びせると、その体はたちまち炎に包まれていった。絶叫しながら果てるセミの顔の宇宙人。

『彼は任務の遂行に失敗した。あれが彼等の掟なんだ』
焼き殺された宇宙人を見ながら、そうつぶやく万城目。やがてゆっくりと上昇すると、高速で飛んで行く宇宙船。

危機は去ったものの、花沢主任は電波遮蔽網で包んだ電子頭脳を持ちながら、次のように話した。
『人類の科学が、このチルソナイトの電子頭脳を破壊することができない限り、危険はまだ続いているんだ』 (おわり)


★★★★★★★★★★★★
花沢主任を平田昭彦氏が演じている。この時の演技で、『ウルトラマン』の宮本博士役は決まったようなものだね。

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ウルトラQ(9) ~「真っ白なさざめ竹の花が咲くと災いがおこる」。古くからの言い伝えどおり、怪獣パゴスが出現する [ウルトラQ・ドラマ]

今回は第18話『虹の卵』を取り上げます。

監修;円谷英二
脚本;山田正弘
特殊技術;有川貞昌
監督;飯島敏宏

◆季節は夏。爽やかな青空の下、小学生たち8人で組織した「たんぽぽ団」の団長で最年長のピー子は、大好きなおばあちゃんを喜ばせようと、団員達と竹林に来てタケノコ探しを始めた。団員達に指示を出すピー子は、タケノコを探していて竹に咲く白い花を見つける。

タケノコを届けに行った時、帽子に刺していた白い竹の花を見たおばあちゃんの顔は曇る。悪い事が起こるの?と尋ねるピー子に、おばあちゃんは思わずウソをついてしまう。
『古くからの言い伝えで、この白い竹の花と虹の卵をみつけると、何でも願い事が叶うんですよ・・・』

ピー子は、おばあちゃんの両脚が不自由であることをいつも気にしていた。団員の一人が言う。
『虹の卵を見つけて、おばあちゃんの脚を直してもらいましょうよ!』

子供達は、早速虹の卵を探しに出かけ、あっという間にいなくなってしまった。おばあちゃんが話した虹の卵とは、虹を見た子供の心の中に生まれる美しい卵のことだから、人の目には見えないのだ。

おばあちゃんは、竹の花は不吉の前兆であることを言わず、ウソを言ったことを後悔し、子供達のことを心配した。

昨夜、濃縮ウランを積んだトラックが原子力発電所に向けて出発し、あともう少しというところで、崖崩れのためにトラックは道路をふさがれてしまう。崩落した崖の中から咆哮と共に怪獣パゴスが出現して、トラックと運転手たちは襲われて道路の下へ転落してしまう。

パゴスは姿を消し、空には金色の虹が出ていた。星川航空の万城目と一平、記者の江戸川由利子は、行方不明のウラン輸送車を見つけるために、ヘリコプターで捜索をしていた。空からの捜索で運転手二人を発見し、病院に搬送する。

病院で事故の様子を取材していた由利子達は、運転手から“金色の虹”を見たという証言を聞く。突然地震が発生してすぐに収まったが、由利子は窓の外に“金色の虹”を目撃する。万城目は、数年前北京郊外の地底から出現し原子力発電所を襲ったパゴスの事を、由利子に話し始める。

そして、パゴスが吐く分子構造破壊光線が、人の目には金色の虹に見えるということを、ニュートロン研究の権威・糸魚川博士の報告にあるという話をする。

原子力発電所に集まった万城目達と糸魚川博士は、屋上から見える金色の虹を双眼鏡で確認する。北京の時と同じように、パゴスは原子力発電所を襲うつもりだと糸魚川博士は確信する。予想どおり、パゴスは原子力発電所へ向かって進んでいく。

すでに対パゴス対策用のネオ・ニュートロンミサイルは手配してあるが、到着まで30分はかかる。その頃、パゴスの出現地点からそう遠くない所で、「虹の卵」を見つけるピー子。これは昨夜から行方不明になっていた濃縮ウランカプセルなのだが、小学生のピー子にはそれが分らない。

おばあちゃんから聞いた話で、すっかり虹の卵だと思い込んでいるピー子は、大好きなおばあちゃんの両脚を治すために、必死に引っ張って持ち帰ろうとする。

パゴスは分子破壊光線を吐きながら、じりじりと原子力発電所に迫ってくる。ネオ・ニュートロンミサイルは到着した。だが、博士には心配事が一つある。トラックと共に行方不明になった濃縮ウランカプセルだ。ミサイルはパゴスには有効であるが、ウランカプセルがこの高原のどこかにある。

もし誘爆したら大変な被害を出してしまう。誘爆が怖い為、むやみに攻撃はできない。だが怪獣パゴスは、すぐそこまで迫ってきている。そんな時、たんぽぽ団の子供たちがやって来て攻撃をやめろという。話を聞くと、高原のどこかでピー子が大きな虹の卵を引っ張っているという。

万城目達は、それがウランカプセルに違いないと直感でそう思い、上空から少女とウランカプセルの位置を確認するため、ヘリコプターで飛んだ。
『あ、いたぞ。谷間に入っているから安全だ』

怪獣パゴスと少女の距離は、およそ1500メートルはある。糸魚川博士はその報告を聞き、ネオ・ニュートロンミサイル攻撃を決行する。

2本のミサイルがパゴスの上空で爆発し、粉塵のような薬剤が降り注ぐと、パゴスは凍りついたように硬直し、身体にひび割れが入って粉々に粉砕された。空にあった金色の虹が消えていく。

ウランカプセルを幸福の虹の卵だと思い込んでいるピー子は、おばあちゃんの所へ持ち帰ろうと小さい身体で懸命に引っ張っている。
『危ないピー子ちゃん、これは虹の卵じゃないんだよ!!』
『虹の卵よ!これでおばあちゃんの脚を、治してもらうの』

すると、向こうから子供たちに車椅子を押されて、駆けつけてくるおばあちゃんの姿が・・・。事件を知って、ピー子のことが心配だったおばあちゃんは、ピー子の無事な姿を見て、思わず車椅子から降りて立っていた。一歩、一歩、歩みを進めて、ピー子と抱き合うおばあちゃん。

由利子は、笑顔でこう言った。
『淳ちゃん、やっぱりこれ、虹の卵だったのよ!』 (おわり)


★★★★★★★★★★★★
ウラン輸送トラックの運転手の役は、ウルトラセブンでマナベ参謀を演じた宮川洋一氏。パゴスを演じるのは、中島春雄氏である。パゴスの頭部と尻尾は、ピアノ線で釣られているのが、大きな画面で見ると解ってしまうね。この作品は、飯島敏宏監督のウルトラQ監督デビュー作だそうである。

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ウルトラQ(10) ~真夏の東京が突然異常寒波に襲われてしまう。万城目は、南極で見たペギラを疑う・・・ [ウルトラQ・ドラマ]

今回は第14話『東京氷河期』を取り上げます。

監修;円谷英二
脚本;山田正弘
特殊技術;川上景司
監督;野長瀬三摩地

◆真夏の東京。羽田空港の管制塔に緊急連絡が入る。突然の寒波襲来で、着陸態勢に入っていた旅客機が墜落してしまう。
『フラップが動かない、操縦不能!』

管制塔のレーダーにはツララが下がり、空港内に停止している旅客機は、凍結してしまっている。そんな事態が起こっている事などまったく知らない毎日新報の江戸川由利子は、上野駅で取材途中にハルオ少年と出会う。

半年前に出稼ぎに出たまま戻らない父親を捜しに、秋田から上京したという。天真爛漫なハルオは憎まれ口をたたくが、由利子は何故かハルオを憎めない。元ゼロ戦パイロットだったという父親を一緒に捜すことになった。

星川航空の社員・戸川一平は新聞を読んでいたが、南極が暖まり始めているという記事を見て、先輩の万城目に訊ねた。
『極地の氷が溶けすぎるとな、世界中の海水の水位が上昇して、この辺まで海になるんだ』

仕事の為にセスナ機に乗ろうとすると、操縦席で居眠りをしている中年男性がいた。ウイスキーをたらふく飲んでいて、死んだように眠りこんでしまっている。一平は、この男の顔をどこかで見たことがあるように思った。ふたりで男を座席から運び出して事務所に戻ってくると、由利子が来ていた。

羽田空港氷詰め事件を聞いて、真相を探るために、寒い国に行ってきた探検家の意見を聞くよう、デスクに指示されていた。そこで、1年前に南極探検隊に同行した万城目 淳に会いに、事務所へやって来たのだった。真夏なのに、室内の温度は摂氏5度しかない。

万城目と一平はストーブを引っ張り出して、防寒着を着ていた。万城目は、ペギラのことを気にしていた。南極が暖まりすぎた為、北極に移動する途中で東京に寄ったのでは・・・?

デスクに電話してペギラの話をしたところ、原因は南極の原子炉が爆発して、溶けだした氷が寒波と共に北上したためだという結論が出ていた。

ハルオ少年の父親捜しの記事を書くために、新聞社に戻った由利子は、少年から元ゼロ戦パイロットの父親の事を聞きだしていた。名前は沢村照男、50歳。

突然、突風が吹いて、窓ガラスが割れたかと思うと、黒雲と共に咆哮が聞こえてきた。新聞社のすぐ近くに、怪獣ペギラが出現した。社内はペギラの起こす風圧でメチャメチャになってしまった。都会のど真ん中に現れた怪獣ペギラ。

四階建ての校舎の屋上のさらに上から顔を出しているペギラは、とても大きくみえる。
『わぁー、ペギラってすげえなぁ!』

ハルオ少年はどんぶりを持ったまま、つぶやく。両翼を使ってビルを破壊したペギラ。警察官が多数出動して、オフィス街に逃げる人々を誘導している。大きく目を見開いて、冷凍光線を吐き出すペギラ。

アイツがペギラか、寒波の元凶はアイツか!
どうしたら退治できるんだ?とデスクが頭を押さえながら、誰かに聞いた。
『ペギミン・エッチがいるのよ。淳ちゃんが言ってたわ。南極だけにあるコケから採れるクスリ』

デスクが調査した結果、ペギミン・エッチは日本アルプスの極地植物研究所にあることが判明した。だが当局は、この薬の効果が学会で公認されていないため、使用許可は下りないという。許可が下りたころには、東京は全滅してしまうかもしれない。

デスクは当局には任せていられない、星川航空に頼むほかないという判断をする。電話も無線もつながらないため、車を使って星川航空へ向かうデスクたち。由利子とハルオ少年も一緒に乗っていく。

ジェット戦闘機がスクランブル発進してロケット弾攻撃をペギラに仕掛けるが、あまり効果が無い。攻撃に怒ったペギラは冷凍光線を吐き出し、由利子とハルオ達の乗る車がそれに巻き込まれてしまう。ペギラの吐く超低温の冷凍光線は物体を無重量にするため、上空へと舞い上がる車。

運よく、車は氷のクッションの上に軟着陸した。車から脱出しようにも、雪とガレキが邪魔をしてドアが少ししか開かない。この隙間から出ることができるのは、ハルオ少年だけだ。

彼にすべてを託す由利子達。
『星川航空に先に行ってくれ。真っ直ぐ行けば星川航空だ。頼むよ!』

だがハルオの行く先には、ペギラが立ちはだかっている。大きなペギラの目が、ハルオを捉えた。ハルオはペギラの重量で開けた穴に落ちてしまう。だが、なんとかして星川航空へ行かないと、記者のお姉ちゃんが危ない。星川航空へ必死に向かおうとするハルオ。

その頃、星川航空では、万城目と一平を拳銃で脅している男がいた。セスナ機で眠り込んでいた男だ。一平が思い出した。雑誌で見たゼロ戦パイロットの沢村元大尉。男は宝石泥棒をしていて、セスナ機で逃げようとしている。

男が逃げようとドアを開けたとたん、子供が入ってきて倒れた。子供の顔を見て、男が驚く。
『あっハルオ!』
『あんた、この子を知っているのか?』
『早く・・・日本アルプスの極地植物研究所だよ。ペギラをやっつけてよ』

一平に子供を預けると、セスナ機で極地植物研究所へ向かおうとする万城目。だが格闘の末にセスナ機に乗り込んだのは沢村だった。極地植物研究所で爆薬と混合したペギミン・エッチを受け取ると、沢村はペギラのいる東京へとセスナ機で向かう。

だが、ペギラの為に低温になってしまった東京では、セスナ機が凍り付いてしまう。セスナ機がもう耐えられないことを感じた沢村は、意を決してペギミン・エッチと共にペギラに突っ込んでいく。
『ハルオ・・・』

ペギラの顔の付近で大爆発が起こり、嫌がって羽根をバタつかせると、ペギラは急いでどこかへ飛んで行ってしまう。ロケットが飛んだあとのように、ペギラの飛んだあとには黒雲が残っていた。

ハルオ少年は由利子達3人に見送られて、上野駅からひとりで汽車に乗る。座席の横には、勇敢にペギラを追い払った、父・沢村照男の遺骨があった。(終わり)


★★★★★★★★★★★★
ペギラの全身がよく分かる映像を観ることができる今回の話。怖さという点では、「ペギラが来た」の回の方が上回っていると思う。
由利子を助けるために命がけの行動をした息子を見て、宝石泥棒をした自分の情けなさを恥て、最後には命をかけて人々を救った男の話。泣けますね。
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ウルトラQ(11) ~『神田博士は、これはケムール人と交わしたテレパシーの記録だと言っているんだ』 [ウルトラQ・ドラマ]

今回は第14話『2020年の挑戦』を取り上げます。
監修;円谷英二
脚本;金城哲夫・千束北男
特殊技術;有川貞昌
監督;飯島敏宏

◆正体不明の飛行物体が、航空自衛隊のレーダーに捉えられた。天野二佐は直ちにジェット哨戒機2機を飛ばして迎撃に向かわせたが、逆に撃墜されてしまう。その物体はそのあと消滅してしまった。

防衛会議で、事実をありのままに話した天野二佐は、解任されてしまう。サンライトプールで、高さ10メートルの飛び込み台から飛び込んだ男性が、着水寸前に消えるところを見ていた男性がいた。

スーッと音も無く消えた男性のことを、一緒にいた女性に告げるが信じてくれない・・・。山荘で夏を楽しむ恋人同士。2階から1階に降りてきた女性の目の前で、ガラスのコップでジュースを飲んでいる男性が消えてしまった。

ガラスのコップが地面に落ちて割れるのを見た恋人の女性は、何が何だか解からず・・・。毎日新報の江戸川由利子は、後輩の友田を連れてレジャー記事の写真を撮りに来ていた。

ゴーカートを楽しむ女性の写真を撮ろうと、カメラをセットしてピントを合わせてシャッターを切る。坂道にさしかかったゴーカートがブレーキを踏みながら減速した時、運転者の女性が消えるのを二人は見た。

由利子はすぐにデスクへ電話を入れるが、デスクは全然信じてくれない・・・。星川航空に万城目淳を訪ねてきた二人。一人は江戸川由利子、もうひとりは解任された航空自衛隊の天野だった。

江戸川由利子も友人の天野も、不可思議な体験をして万城目のもとで鉢合わせしたのだ。万城目ならきっと、話を聞いて信じてくれるにちがいないという淡い希望を抱いて、二人は来たのだった。

友人の天野が語ったレーダーに映った謎の飛行物体と、由利子が見た人間消失とは、何か関係があるとにらんだのは、意外にも一平であった。それには理由があった。「2020年の挑戦」という小説の内容と二人が話した内容とが、非常によく似ているからであった。

一平は、二人の話を小説にすれば面白いという発想に過ぎないが、万城目の考えは違った。友人の言葉を信じ、まずはその飛行物体が消滅した地点へ行こうということになった。万城目の操縦で、海上を捜索している星川航空のセスナ。

だが、何も見つからない。天野も自分が間違っていたのかもしれないと思うようになり、海上をじっと見ていた。もう帰ろうと話かけるつもりで、万城目の方を向いた時、今まで横にいたパイロットの万城目が消えていた。毎日新報の現像室に入った由利子。

友田がレジャー写真のネガを現像しているはずなのだが、いない。
『友田君?どこ行っちゃったのかしら・・・』

せまい現像室にいきなり入ってきた男性は、急ぎの現像だからと由利子に謝って作業を開始した途端、スーッと消えてしまった。悲鳴をあげる由利子。どうやら狙われたのは、由利子だったようだ。

実はゴーカート場で撮った写真には、人間が消失する様子が連続写真で写っていた。その連続写真の中には、謎の液体も写っていた。
『飛行機の中で万城目君が消えた直後、私もこれに似た物を見たんです!』

映写室でネガ・フィルムを拡大したものを観ている由利子、天野、そしてデスクの三人。このネガに写っている液体が、人間消失の犯人だと断定する由利子と天野。

『犯人はこのネガを狙ったんだわ。だから現像室で友田君が消されたのよ。後から入ってきた渡辺さんは・・・』

『江戸川君の代わりに消されたわけだナ・・・』
『はっきり言わないでください。怖いわ』

デスクは言う。これはあまりにも突飛な出来事だし、決定的な目撃情報が無い。だが、すでに社会部の記者たちが目撃情報を集めに走り回っているし、警視庁には事情を説明して、由利子の身辺保護に刑事をつけてもらっていた。

宇田川という老刑事が、由利子に会いにきた。風采の上がらぬその容姿に、ガッカリする由利子。夜、電話ボックスの中で一平に電話をかけている由利子を、謎の液体が狙っていた。天井から由利子に向かって落ちてくるゼリー状の液体。

間一髪、宇田川刑事に助け出された由利子。ふたりは少し離れた所から、その液体をしばらく観察した。宇田川刑事がくわえていたタバコの火を液体に投げると、ボッと燃えたあと完全に消滅してしまった。

一平は由利子との電話の会話で、神田博士の書いた本の内容について説明していた。
『神田博士が書いた「2020年の挑戦」という本の内容通りに、すべての事件が起こっているんだぜ!由利ちゃん』

しかも、この本の内容は、Xチャンネル光波を実験中にケムール人と交わしたテレパシーの記録だと、博士は書いている。謎の液体は、ケムール人の意志力で運動しているため、液体を操るケムール人が近くにいるはずだ。案の定、宇田川刑事は謎の怪人を見かける。

怪人は両目が段違いに付いていて、鼻も口も無い不気味な顔をしていた。低い声で笑いながら、大きな歩幅で走り去る怪人。夜道を、サイレンを鳴らしたパトカーが猛スピードで追いかけるが、追い付けずに逃げられてしまう。

「2020年の挑戦」の著者・神田博士は宇田川刑事の親友であり、電子工学の権威であった。だが、現実と妄想をごちゃまぜにして発表したため、宇田川刑事が精神病院に入れたという。

消された人達は、みな2020年という未来の時間を持つケムール星へ電送されてしまっていた。医学の驚異的な進歩により寿命を500才まで延ばすことに成功したケムール人だが、肉体の衰えを止めることは出来なかった。

そこで地球人の若い肉体に、ケムール人の生命を移植することを考えたのだ。一平と天野は、この窮地を神田博士に救ってもらおうと神田宅へ向かうが、一足遅れで消されてしまっていた。

だが、室内でケムール人の苦手なXチャンネル光波を出すKミニオドの試作品を見つける。警察の協力のもと、一平と天野は東京タワーの送信室で、神田博士の本の通りにKミニオドからXチャンネル光波を作り出すことに成功する。

これを東京タワーからケムール人へ発射して、倒してしまう計画だ。遊園地に出現したケムール人は、頭を拳銃で撃たれて一度は絶命するが、巨大化してよみがえってしまう。

東京タワーから発射されたXチャンネル光波は巨大ケムール人の頭に当たり、ケムール人は頭にある管から液体を吐いて、完全に絶命して消失した。

ケムール人の死と共に宇宙から霧が降りてきて、ケムール星に拉致された全員が戻ってきた。万城目淳も無事に戻り、由利子と再会するのだった。

ケムール人の死によって出来た水たまりが、わずかに残っていた。水たまりに右足を入れてみた宇田川刑事は、スルスルスルと足から消えていくのだった。
『助けてくれ~!』 (終わり)


★★★★★★★★★★★★
何と言っても、あのケムール走りである。
大きな歩幅でタッタカ・タッタカ走っていく姿と靴音?は、何度見ても爽快である。

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