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帰ってきたウルトラマン(13) ~ウルトラ対談、きくち英一VS団時朗その1 [帰ってきたウルトラマンこぼれ話1]

今回は、『帰ってきたウルトラマン』の変身前と変身後のふたりのウルトラマンが対談するスペシウムな、ではなくてスペシアルな企画をご案内。題して、『帰ってきたウルトラマンを創り上げたふたりの男たち』。

団時朗氏のエピソードの後に、どうぞ。
当時は団次郎→現・団時朗

1970年に本格的に俳優活動を始め、翌年『帰ってきたウルトラマン』で主人公・郷秀樹を演じて人気が出る。90年代に雑誌の対談で「帰ってきたウルトラマン」には決まった名称がないことに触れ、「ウルトラマンジャック」と言う名称が付いたことを知り、「後からつけられてもピンとこない」と語っている。

「子供の頃のヒーローと言えば?」という問いに、黒部進(=初代ウルトラマン)と答えている。「ウルトラマンジャック」のライバルを尋ねられ、『仮面ライダー』と即座に答えている。

★★★★★★★★★★★★

団氏;
「いやいや、どうもお久しぶりです」

きくち氏;
「こちらこそ。ちょっと太ったんじゃない?(まずは和やかに、再会をよろこぶ)

聞き手;
「よろしくお願いします。団さんも、今は無き円谷一さんから話があったんですよね?その頃は、資生堂のMG5の宣伝をやっておられましたよね、草刈正雄さんとかも」

団氏;
「そうですね、その頃はまだやってましたね」

聞き手;
「それで、一さんが団さんでいこうと?」

団氏;
「でもその辺のことは、僕はよく知らないんですよ」

きくち氏;
「ボクもね、円谷一さんから電話を貰った。でもその時は、中岡(慎太郎)さんを紹介した。そのあとで主役が変わって、体格が合わないからと」

団氏;
「そうですか。私の場合はその頃いたプロダクションが、言ってみれば素人の集まりみたいだったんで、誰かドラマに強い人を入れようってことで、入ってきた女の人が取ってきた仕事だったと思う。最初は隊員のうちの一人をやるってことだと、その人から聞いてました」

きくち氏;
「最初は池田駿介さんがやるってことだったんでは?」

団氏;
「そうだと思いますよ、たぶん。ボクに決まったのはかなり後半の、具体的になった時だったと思います」

聞き手;
「決まった時の心境は、どんな感じでした?子供番組ということで・・・」

団氏;
「子供番組ってことに対しては、もちろん何もなかった。むしろ普通のドラマよりも、逆に時間がかかるんじゃないかと。その当時はまだ、子供番組は丁寧に撮ってましたからね」

聞き手;
「やっぱり、朝7時から夜中までって感じだったんですか?」

団氏;
「そこまではね、予算も無かったろうし。結局外で撮るわけだから、日が暮れるまでとかね。きくちさんはスタジオにこもりっきりだから、そりゃ大変だったと思いますけど」

きくち氏;
「最初は一班体制だったから、本編が終わってから特撮の方へ行くって感じだった」

団氏;
「これはね、オールアフレコだった。最初の1、2話は特撮部分もちゃんと合成したフィルムでやってたんだけど、それじゃあ時間がかかってしょうがないんで、3話から無くなった。でも、最初は合成にビックリしました。何にもない所に向かってやってるのに、うまく出来てるんですから」

聞き手;
「これは一さんが言われてるんですけど、かなり気合が入っていたと。団さんもきくちさんも子供のアイドルだから、たとえば酔っぱらっておかしなことをしちゃあいけないとか、言われてたんですか?」

団氏;
「それはたぶんね、初代ウルトラマンとかセブンの時代じゃないですか?私等はね、何も無かったですよ。それに僕らはもっと若かったし、そんな悪いことをする奴とか、いなかった」

きくち氏;
「いくつだったの?」

団氏;
「22だったと思いますね。せいぜいね、住んでる所が近かったら、一緒に車で帰ってそのあたりでお茶飲むくらい。その程度」

聞き手;
「団さんときくちさんが、当時会われたのは?」

きくち氏;
「最初はね、第一話の時だったんだけど、怪獣が出て団チャンがマンホールに降りるところで演技が遅かったら、吹き替えやってくれって監督に頼まれた。でも結構団チャン速くて、後ろでボケッと見てるだけだった」

聞き手;
「その時が初対面になるのでしょうか?」

団氏;
「そうかもしれませんね。クランクイン前のイベントっぽいものなんて、今ほど無かった。ただざっと入って、やってる間に終わっちゃったって感じですよね」

聞き手;
「この前、団さんは京本さんとの対談で、『ただ走ってるだけみたいなものでした』って言われてましたけど・・・」

団氏;
「そう、みんなそうだった。根上さんまで、走ってた。根上さんは楽しい人でしたよ、待ち時間がね。いろいろ戦争の頃の話とか、してくれてね」

聞き手;
「最初は加藤隊長で、塚本さん。うまくスムーズに交替できたんですか?」

団氏;
「あれも結局、塚本さんが旅に行かなくちゃいけないってことでしょ?」

聞き手;
「舞台か何かで?」

団氏;
「そう。でもそれが延びたから、交替というんじゃなかったはず。その辺の話は詳しくは知らない。交替、早いですよね。唐突といえば、唐突だった」

聞き手;
「当時おふたりは、いろいろ話をされてたんですか?」

きくち氏;
「会うことは、あまりなかったね」

団氏;
「そう。たまに美セン(現・東宝ビルト)にちょこっと見に行ったりとか。とにかく特撮現場は僕たち以上に忙しいしさ、もうフル回転だもの。僕らはたまにちょっと休んだりできるけど」

聞き手;
「本編の方でも、弾着が怖かったと聞いてますけど」

団氏;
「そりゃあ、怖かったですよ。やってるのが、じいさんだった(笑)」

聞き手;
「きくちさんも、現場で爆発して、死にそうになって怒ったって話がありますけど」

きくち氏;
「画的には、迫力があるんだけど・・・」

団氏;
「迫力はありますけど、コワイ。最初はね、怪獣にもよるんだけど、粉だけだったりするんですよ。それが画的につまらないとわかると、違う回で怪獣が火吹き系だとちょっとガソリンが入るわけですよ。最初はちょっとだけ入ってる。そのうちだんだん(ガソリンの入れ物が)大きくなっていく(笑)こわい」

聞き手;
「怪我とかは?」

団氏;
「擦り傷とか打ち身とかはね。予期しない時にね。上から物が降ってくる、これは良きできるんですが、陰に逃げ込もうとして下に石油缶がおいてあって、そのカドがズボっとすねに入ったとかね」

きくち氏;
『造成地でジープに乗って訓練してるシーンで、スタントの人が飛び降りて・・・』

団氏;
「あの時は、鎖骨を複雑骨折。だって走ってる車から飛び降りて、回転して・・・グシャッて変な音がして。とにかく日没までに終わらせなくてはということで、あまり安全に気をつけないでやってましたね。

それでも僕たち顔出しは、怪我すると休まなきゃいけないんで比較的大事にされてたんでしょうけど、スタントの人なんかは、『そりゃ無理だ』って言ってるのに、『なんとかやればできる』なんて言われてね、やらしちゃう」
(つづく)


★★★★★★★★★★★★
迫力満点のシーンというものは、今ならどんな危険な場面もCG(コンピュータ・グラフィックス)を使って再現できる。だが、この当時はそんな技術はまだ無かったから、スタントマンが命を張って危険な行動を代役するわけだが・・・。

スタントマンとて、怪我をしては意味が無い。危険なシーンを、危険度を最少にして再現させるのが、監督の腕の見せ所ではあるまいか。

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帰ってきたウルトラマン(14) ~ウルトラ対談、きくち英一VS団時朗その2 [帰ってきたウルトラマンこぼれ話1]

(前回のつづき)
聞き手;
「ところで、『11月の傑作群』ってご存知ですか?特撮マニアの間では、本放送で11月放映の回がそう言われているんです」

団氏;
「僕は東條監督の『怪獣使いと少年』、あれが一番好きなの」

聞き手;
「僕らの間でも名作と言われているんですけど、どうでした?」

団氏;
「シュール(*)でね。しかもね、初号はもっと面白かった」
*非現実的な、難解でユニークで個性的で不思議な印象を受ける、奇妙で夢のような、などの意味

聞き手;
「そうなんですか?」

団氏;
「そりゃあ、そうですよ。問題提起が多すぎてね。もう初号がズタズタになって。もっとシュールでね」

聞き手;
「どんなすごいシーンがあったんですか?」

団氏;
「すごいというか、もっと陰湿にやってましたよ。それとね、あの回はもめたんですよ。他の隊員は出てないけど、ギャラは出るのかってね(笑) もちろん、冗談でもめてたんですけどね。あと根上さんの修行僧っていうのも、よかったですよね。

あれは印象に残ってたな、何でか分からないけど。そこら辺の世界は、未だに解りません。でも本(脚本)としては僕らもね、納得できる。ネックになる部分は問題提起として、重要なところでもあったんですよね」

聞き手;
「あの回だけ、根上さんが団さんのことをウルトラマンだと分かってる」

団氏;
「そうね、何でだろうね?」

聞き手;
「だから隊長じゃなくて、修行僧にしたんですかね?」

団氏;
「なのかなぁ」

聞き手;
「また、この回の殺陣をきくちさんがワンカットで回して」

きくち氏;
「あの美センの端から端まで、レール敷いてね。雨降らして」

団氏;
「監督誰でした?」

きくち氏;
「大木淳さん。早く終わって、スタッフも喜んでた」

団氏;
「ハハハ、しかしシュールで良かった。全部で51話の中でね、もちろん最初の1、2話のショックってのはね、怪獣もいっぱい出てるしお金もかかってたけど。あの東條さんの回は印象的ですね、僕にとって」

聞き手;
「それ以降東條さんは、シリーズでは一本も撮られてませんけど、これが影響したんでしょうかね?」

団氏;
「いやあ、それだけではないでしょうけど。ちょっとは影響したんですかね!(笑)」

聞き手;
「本多監督とか筧(かけい)監督とかは、いかがでした?」

団氏;
「本多監督は、まだ元気ありましたよ。筧さんは、ちょっとガタがきてたかな」

聞き手;
「キングザウルス三世の回で、団さんが特訓されますけど」

団氏;
「丸太持って走るやつでしょ?意味わかんないなぁ(爆笑) 何の特訓なんだか、分からないじゃない?」

聞き手;
「あれ、筧さんがやったんですよね。満田監督が具合が悪くなって」

団氏;
「覚えてない。雪山のやつは、筧さんだった。遭難しそうになって」

きくち氏;
「大吹雪になって」

団氏;
「そうそう。しかし、丸太持ってね(笑)画的にも変だし。いくら20数年たって非常に文明が発達している時にね、丸太持って走ることないじゃない?」

聞き手;
「あれは、『巨人の星』とか根性モノが流行っていたんで、TBSのプロデューサーの橋本洋二さんが入れたんでしょ」

団氏;
「でもね、その後怪獣担いで走るところがあるかって、無いわけでしょ?バックドロップするとこがあるんならさ、丸太持って走る意味もあるけど(笑)」

聞き手;
「一応、ジャンプ力をつけるためだったらしいんですが、考えてみるとウルトラマンは飛べるわけで」

団氏;
「そうでしょ?」

聞き手;
「ナックル星人の回で、黒部さんと森次さんが来られてますが、おふたりともジョーク好きのかたで?」

団氏;
「そう」

きくち氏;
「森次チャンなんか、いまだにウルトラを引きずってますよ、セブンのジャンパーなんか作って」

団氏;
「へぇ、そう」

きくち氏;
「楽屋にセブンの人形置いたりして。京本チャンとの出会いも、森次ちゃんの紹介だった。銭形平次で京都行ったとき。あのとき魚屋で京本チャンが出てて。『帰ってきたウルトラマンに入ってたきくちさん』って言ってね。向こうも、『へぇー』てな感じで」

聞き手;
「団さんは、これがテレビとしてのデビューですよね?」

団氏;
「そうですね。レギュラーとしては、これが最初です」

聞き手;
「きくちさんは、それまでもいろいろやられてたんですが、じゃあ団さんは、このときに演技の勉強をいろいろされたんですか?」

団氏;
「これは、演技の勉強いらないですよ(爆笑) 丸太持って走ってりゃいいんだから(爆笑) 東條さんが赤い棒持って、『団チャン、こっちだよ』ってのを見てりゃいいんだから」

聞き手;
「榊原るみさんとギターを持って歌うシーンがありましたが、唯一恋人がいたウルトラマンでしたよね」

団氏;
「そうですかねー?」

きくち氏;
「団チャン、時朗っていつから字変えたの?」

団氏;
「昭和59年ですかね」

聞き手;
「やはり、字画がってことですか?」

団氏;
「そういうことらしいですが。僕はそういうの気にしないほうで。周りに心配してくれる人がいてね。僕はどうでもいいんだけど、そういう気にしてくれるということの方が、尊いから」

聞き手;
「本名は、村田英雄ですよね?」

団氏;
「そうなんですよ。それは変えようがない。(きくち氏のスクラップブックを見ながら)いや、よく残ってますね、記事からなにから」
(つづく)


次回はきくち英一氏ご自慢のスクラップブックを見ながらの対談になります!


★★★★★★★★★★★★
ウルトラマンの撮影が終わってからのきくち英一について。円谷一社長から次回作の『ウルトラマンA』の出演も依頼されたが、丁重にお断りして身体を休めた。1年間完全燃焼した思いもあったが、一番の理由は検査結果。精密検査の結果、塩分不足という判定が出たためという。

撮影中は毎日、野菜と塩を山のような量食べていたにも関わらずこの結果だったので、たいへん驚いたという。
以降、ウルトラマン関係の顔出し出演は『ウルトラマンA』の50話、『ウルトラマンタロウ』の36話、『ウルトラマン80』の42話など。

『電人ザボーガー』の中野刑事役。『野性の証明』では先ごろ亡くなられた高倉健さんと共演、高倉さんのあごを『オイッ』と持ちあげる男の役。バトルホークの導師役、『マグマ大使』の人間モドキや『快傑ライオン丸』など他多数。

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帰ってきたウルトラマン(15) ~ウルトラ対談、きくち英一VS団時朗その3 [帰ってきたウルトラマンこぼれ話1]

(前回のつづき)

聞き手;
「団さんは、オンエアは全部観られてますか?」

団氏;
「全部かどうかは、わかりませんね」

聞き手;
「ウルトラマンの中身のきくちさんに対する意識みたいなものは、どうですか?」

団氏;
「意識は別に無かったですよ。僕らはその頃の子供達よりも、純粋に見ていたかもしれないですよ。誰がどんな状況でどんな辛さで撮っているかってことは、知ってるわけだから。もっとリアルに映ればいいなというのは片隅にはあるにせよ、ある意味でもっとハマって観ていたような気がするんですよ」

きくち氏;
「カッコイイ団チャンが変身して、俺になるわけでしょ。だからさ、カッコいいそのままをって・・・、ヘナッとしてたんじゃね。だから待ち時間なんかでも、写真を撮られるのにはうるさかった。ちゃんと撮るって言ってから撮るようにって」

団氏;
「僕はね、人が演ってるのよりも飛行機関係が気になった。いやね、せっかく時間かけて一所懸命やってね、ピアノ線が見えてる。アレはね・・・」

きくち氏;
「キングザウルス三世ね。あれ面白かったんだけど、(ピアノ線が)見えてたね。この前ね、この人と51本見たのよ」

団氏;
「(目を丸くして)ほんと?!」

きくち氏;
「忘れてる事、結構あってね」

団氏;
「そうでしょう」

聞き手;
「団さんは、怪獣では何がお好きだったんですか?」

団氏;
「逆転の発想でね、ツインテールが好きだった」

聞き手;
「へぇー、きくちさんのベストテンでも第一位ですよ」

団氏;
「あの逆転ね、なぜもっとやらなかったのかなと思うくらい」

きくち氏;
「ほら、これこれ。(沢村忠ゲストの回の写真を指して)俺ね、この時目黒ジム見に行ってたのよ」

聞き手;
「団さんこのとき、沢村さんと演られたんですよね?」

団氏;
「演りましたよ」

聞き手;
「ホントにリングに上がって?強かったですか?」

団氏;
「そう、本当に。そりゃあ、もう強かったですよ(笑) むちゃくちゃ強い、迫力ありましたよ」

聞き手;
「団さん、スポーツは?」

団氏;
「まぁね。でも格闘技は、やったこと無いですよ。高校の時、バスケットやってました」

聞き手;
「ウルトラマンと言えばSFXの走りのような番組ですけど、洋画でもSFXはお好きですか?」

団氏;
「好きですね、ルーカスとか。ラブロマンスは大嫌い!(笑)。テレビも映画もラブロマンスは全く観ない。映画の本来の意味みたいながね、SFXにはあるような気がするんですよ」

聞き手;
「なるほど。怪人20面相も演られてますが、ああいうものもお好きなんですか?」

団氏;
「でっかいスクリーンとか、作り手の夢とか、非現実とか、そういうのを見せてくれるのが映画だと思う。アニメはあんまり好きじゃない。マンガは好きだけど。

マンガは自分の世界をどんどんやってるっていう感じがするんだけど、アニメは変に具体的で、チョコチョコ動かれてもって感じがする(笑)やっぱり実写モノで日本よりお金をかけてるアメリカのSFXは、スゴイのを見せてもらったって感じがする」

きくち氏;
「団チャンは舞台では、ラブロマンスが多い」

団氏;
「そう。ラブロマンスってのは、舞台でやればいいんだよ」

聞き手;
「その後ウルトラシリーズには、タロウで出演してますね。あれはおかしかったですよロケ行って、みんな黒い服で」

団氏;
「ハハハ、センス悪いでしょう、ねぇ。何かヘンな字が書いてあってね(爆笑)」

聞き手;
「いやぁ、団さんって面白い方ですね!ウルトラマンっていうのは、誰にお会いしても愉快な方が多いですね!」

団氏;
「そうなのよ。駿ちゃんだけだった、真面目な人は。池田駿介」

聞き手;
「ドラマの中でも、真面目な人でしたよね」

団氏;
「あのまんま。おかしいですよ、あの人。古いタイプの映画から出てきた人なんですよ。僕はコマーシャルから出てきた人間でしょ。コマーシャルから出た人間っていうのは、ナメだとか手だけの演技っていうのは心情的に分るんですよ。

でも映画から出てきた人っていうのは、嫌がる。たとえば人の陰に隠れた時、コマーシャル出身の人は肩だけの芝居を考える。そういうのを叩き込まれるからね。でも池田さんとか、映画出身の人は違うんだよね。いつでもしっかり顔を出してキッチリ芝居をやろうとする習性が出来ちゃってる。

そういう生真面目さがおかしくって、アフレコの時みんなで大笑いしたこともあったね」
(つづく)


★★★★★★★★★★★★
好きな怪獣の上位に挙げるものの中に、ツインテールがある。団時朗氏もきくち英一氏も、一位に挙げている。もっともこの二人は自分の出演作品に限っているので、バルタン星人とか、パゴスとか、レッドキング、ゴモラ、エレキングなど怪獣ファンの間では人気があるのだが、このふたりの口からは立場上?言えないのかもしれない。

筆者はエレキングが好きである。きくち英一氏のベスト3を挙げておこう。第二位がシーモンス・シーゴラス、第三位がアーストロンだそうだ。最強怪獣の呼び声高いベムスターは6位であった。『好きな』という意味には、姿がカッコイイ、本当に強い、強そう(強いとは限らない)、色彩が美しいなどもあると思う。

バキシム、メトロン星人などは色彩の鮮やかさで好きだし、ゼットンやベムスターはウルトラマンを倒した強い怪獣だ。もはや怪獣は、日本文化のひとつと言えるかもしれない。怪獣だけではない。ライダーや戦隊に登場する怪人たちの姿の素晴らしいこと。

これらもすべて日本の誇れる文化だ。怪獣・怪人が登場して、半世紀近くが経つ。筆者の周りには小さい時から怪獣・怪人がいて、彼らと一緒に育った。だからいまだに、彼らのことが忘れられない。そんな日本が好きだし、日本に生まれて本当に良かったと思う!
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帰ってきたウルトラマン(16) ~ウルトラ対談、きくち英一VS団時朗その4 [帰ってきたウルトラマンこぼれ話1]

(前回のつづき)

聞き手;
「ウルトラマンの変身のポーズは、誰が考えられたんですか?」

団氏;
「基本的には、自力で変身出来ないってことだった。最初は瓦礫に突っ込んだり火に突っ込んだりしている間に自然に変身してたんだけど、極限まで自分の力でやってみてそれでダメなら、何らかの形が見えてくる。そういうのが段々と物理的にというか、もう変身しちゃえよって感じに(なった)。

それも東條さんなんかの(考えだった)。監督がいろいろ来られるわけだから、やっぱり(助監督を多く務めた)東條昭平の方が全体をよく知っているわけで。片手を上げて変身するのも、本(脚本)に書かれてたわけじゃなくて、ある日突然やっちゃえって感じだったと思う。現場の便宜上だったと思う」

聞き手;
「前転して池に飛び込んで、変身されたこともありましたが」

団氏;
「いや、覚えてないな」

聞き手;
「ありましたよ」

団氏;
「でも前転してなら、僕じゃない。僕は前転できないもの(笑)」

聞き手;
「MATの服って、何着くらいあったんですか?」

団氏;
「人によって違うと思うけど、二、三着じゃなかったかな」

聞き手;
「やたら汚れてましたよね。現場を見られたのは、何回かあったんですか?」

団氏;
「2~3回じゃないかな、美センにね。『たいへんだなー』って思いましたよ。

きくち氏;
「飛行機関係が美センでね。(マットアローの)コックピットの部分」

団氏;
「スタジオを転々とした覚えがありますよ。東宝へも行って。最初は東宝の第一で、撮ってた。美セン、国際放映にも言った。後半のほうで」

きくち氏;
「金額的には、東宝が一番高い。今みたいに、国際放映はきれいじゃなかった。美センと変わらなかった」

聞き手;
「最後にこういう打ち上げの写真が残っているんですが、いかがでした?」

団氏;
「憶えてないんだよね。もうちょっと向こうもキチッとやってくれればね、憶えてるけど。この写真もね、すべて終わった後じゃなく、終わりの頃たまたま集まったからって感じで、撮ったんだと思う」

聞き手;
「団さんはこの時期、プライベートスナップみたいなものを撮ってないんですか?」

団氏;
「全くないんですよ。でも番宣(番組宣伝のこと)でもらったものが、何枚かはあるかも・・・」

聞き手;
「岸田森さんには、何か思い出のようなものは?」

団氏;
「やっぱり森さんはカッコ良くてね、渋くて」

きくち氏;
「森さんの家に行ったでしょ?」

団氏;
「そうそう、1回ね」

きくち氏;
「部屋中真っ赤だったって、言ってたじゃない」

団氏;
「いや、それは覚えてないけど。蝶がいたね。それと冷蔵庫を開けるとね、小ビンのビールがズラッと並んでいて、いっぱい飲んだ憶えがあるなぁ」

聞き手;
「当時、団さんときくちさんが一緒に飲みに行ったことは、あるんですか?」

団氏;
「無いですねぇ。きくちさんが、とにかく忙しかったもの」

聞き手;
「団さんは、コスモスポーツ(マットビハイクル号)運転されてたんですか?」

団氏;
「してましたよ」

聞き手;
「あのコスモスポーツは、結構まともに走りましたか?セブンのポインターは、故障が多かったと聞いてますが」

団氏;
「あれは走った。新車で出来てたから」

聞き手;
「団さんがオンエア見られてて、きくちさんのウルトラマンに対して、俺ならここをこうするのになぁって思われたこととかありましたか?」

団氏;
「それは、まったく無い」

聞き手;
「完全に信頼されて」

団氏;
「(バシッと)当たり前じゃないですか!それより、毎回戦いが終わった後に出てくる、あの気恥ずかしさね。『おーい』なんて。何が『おーい』なんだって。あれは恥ずかしいよね」

きくち氏;
「ハハハ、この忙しい時に何やってたんだって感じね」

団氏;
「あんなウソっぽいのも無い(爆笑) しかし、(写真見ながら)こうやってみると火って迫力あるよね」

きくち氏;
「俺がね、側転するとき股の下で爆発してね。コスチュームに火がついたまま側転している回があった。綺麗はきれいなんだけどね」

団氏;
「帰った来たウルトラマンの撮影で、死んだ人はいないんでしょ?」

きくち氏;
「いない」

聞き手;
「最後になりますが、団さんにとってのウルトラマンとは?」

団氏;
「うーん、難しいですね。うーん。適当に書いといてください(爆笑)いろいろやった仕事のうちの一つというのもウソではないし、かと言って、特別な思いがないのかというと、そんなはずはもちろんないし。たかが一年だったけど、すごく長かった気がするしね。

オンエアにしてもその一年だけじゃ無く、延々とやってくれていたわけでしょう。やっぱり難しいな。でも楽しい思い出の方が多かったのは、間違いないですね」

きくち氏;
「そうね。その『帰ってきたウルトラマン』を小学校の頃、あなた達(聞き手とスタッフ)が観てたわけだ」

聞き手;
「そうなんです。で、私もテレビなんかで監督やったりしてますが、なかなかウルトラマン程のものを作れない。ボクに限らず。もちろん、予算的にもすぐ赤字になっちゃいますし。だから余計ウルトラマンの面白さというものを、追及したくなるんですよ」

団氏;
「しかしさ、ウルトラマンもここまでですよね(と言って、『帰ってきたウルトラマン』の本を指す)あとはね、俺さ、あんまり面白いとは思わない。やっぱり違うというか、もちろん技術的にはアップしてるけど。なんかね、スタッフとかも東條さんみたいな名物男が必要なんだよね」

きくち氏;
「予算的にも、このときが一番だったと思う」

団氏;
「そうだろうね」

きくち氏;
「怪獣も、本当に怪獣らしいヤツが多かったしね」

聞き手;
「きくちさんはこの撮りがすべて終わった時、まず《ホッとした》と言われているんですが」

団氏;
「それはよくわかりますね。現場の人はむしろ、僕らよりそうだったと思う。僕の場合は、最後のワンカットについてはあんまり覚えが無い・・・。しかしきくちさん、スゴイよね!こんなの作って残していたんですか。これ、僕にもコピーしてちょうだい!」

きくち氏;
「うん。これ、うちの息子よ、団チャンに抱かれているの(MATの制服を着た団次郎が小さな子供を抱いて、きくち英一と写っている写真を見て)」

団氏;
「ああ、これ覚えてますよ」

きくち氏;
「今25歳で182センチ(当時)」

団氏;
「エッ、うわー!」  
(おわり)



どうでしたか?ウルトラマンに変身した男とウルトラマンの中に入っていた男の対談。超過酷な重労働(変な日本語だが)という言葉がピッタリなくらい大変なお仕事であろう《スーツアクター》という職業。

初代マンに入っていた古谷敏氏も、『今日終わったら辞めよう』と思いながら毎朝家を出たと回想していることでも、大変な様子がうかがえる。きくち英一氏の大学の後輩で、怪獣のスーツアクターだった遠矢孝信氏の話もあるので、いつか載せたいと思っています。

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帰ってきたウルトラマン(44) ~円谷スタッフが語る「新マン」秘話6 [帰ってきたウルトラマンこぼれ話1]

プロデューサー、監督、カメラマンらが語る、『帰ってきたウルトラマン』の秘話が続出。いろいろなこぼれ話も多数あり!

第6回は、TBSプロデューサーの橋本洋二氏です。「ウルトラセブン」の後半からウルトラシリーズに参加し、「帰ってきたウルトラマン」、「エース」、「タロウ」までプロデューサーとして参加した。ウルトラシリーズに関わる前はTBSラジオでラジオドラマや教育関係のドキュメンタリー番組に携わっていたが、「初代ウルトラマン」を視聴して興味を持ち、TBSテレビへ異動してきたという。『コメットさん(九重佑三子主演)』を手始めとして午後7時台のテレビ映画に携わっていき、以降『怪奇大作戦』や『柔道一直線』など数多くのヒット番組を創って、辣腕を振るっていった。


★★★★★★★★★★★★
『帰ってきたウルトラマン』は、僕と円谷一が酒を飲んだり騒いだりして、やり始めたんです。ツブちゃん(円谷一氏のこと)の力が甚大でした。英二さんもそうだったけど、一さんも僕らの常識を超えたものを持った人でした。

久しぶりにやるとすればどういう風なウルトラマンだったらいいか、これはツブちゃんともずいぶん話し合った。その頃はホームドラマがTBSドラマのベースになっていた。新しいウルトラマンも、そのような流れを無視できないであろう。

また、以前の二シリーズには全くなかった発想でもあるので、ウルトラマンとかウルトラセブンといった固有名詞だけではなく、「帰ってきた」と頭に付けてみると親しみもわくし、ホームドラマ全盛の時代の中でひとつの響きがあるんじゃないかと言って、僕も同意しました。

この作品はTBSと円谷の共同製作なんですが、現場の部分はすべて円谷。僕の仕事は脚本が出来上がるまでで、あとはお任せしていたんです。あとでみんな面白おかしく橋本と仕事をするのは大変だとか言ってるけど、そんな大変じゃなかったはずだ。

局の人間がいると、現場のある種の雰囲気が微妙に変わる。現場というのは「こんなもん書きやがって」なんて言いながら映像を作るもんでしょう。逆にそういうのが無いと、いいものなんか作れません。プロデューサーである私が現場に行くことでそんなことが言えなくなるのなら、行かない方がいいんです。

だからあんまり行ってないんだけれど、ある暑い夏の夜、きくちさんが演ってるのを見て、こりゃあ大変だと思って何か声をかけたのは覚えている。ツブちゃんもそう思っていたみたいだけど、とにかくたいへんだから何とか報いてあげなくちゃいけないという気持ちがあった。

前例として、ウルトラマンを演った古谷君がセブンで隊員を演ったということもあったし、そういう話はしていました。スタッフの間にもそういう考えはあった。きくちさんが最終回で通信隊員の役で出ることになった時は、ツブちゃんから「こうするから」って電話をもらって、「ああ、それはよかった」と答えた覚えがありますね。


★★★★★★★★★★★★
橋本氏は脚本にとても厳しかったようで、「脚本は意志やメッセージを唯一伝えられるもの」であるという考えのもと、橋本氏の中にある一定のラインをクリアできない脚本は採用せず、納得いくまで何度でも書き直しを要求したという。当時はシナリオライター養成所など無い時代だったということで、仕事をしながら仕事の中で若手ライターを鍛えあげていたとも言えるこの行為は、並大抵なことではなかったと思われる。であるから、そういう橋本氏を慕う脚本家は、数多いという。良いプロデューサーに出逢った番組作りの人達は、しあわせである。
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