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帰ってきたウルトラマン(13) ~ウルトラ対談、きくち英一VS団時朗その1 [帰ってきたウルトラマンこぼれ話1]

今回は、『帰ってきたウルトラマン』の変身前と変身後のふたりのウルトラマンが対談するスペシウムな、ではなくてスペシアルな企画をご案内。題して、『帰ってきたウルトラマンを創り上げたふたりの男たち』。

団時朗氏のエピソードの後に、どうぞ。
当時は団次郎→現・団時朗

1970年に本格的に俳優活動を始め、翌年『帰ってきたウルトラマン』で主人公・郷秀樹を演じて人気が出る。90年代に雑誌の対談で「帰ってきたウルトラマン」には決まった名称がないことに触れ、「ウルトラマンジャック」と言う名称が付いたことを知り、「後からつけられてもピンとこない」と語っている。

「子供の頃のヒーローと言えば?」という問いに、黒部進(=初代ウルトラマン)と答えている。「ウルトラマンジャック」のライバルを尋ねられ、『仮面ライダー』と即座に答えている。

★★★★★★★★★★★★

団氏;
「いやいや、どうもお久しぶりです」

きくち氏;
「こちらこそ。ちょっと太ったんじゃない?(まずは和やかに、再会をよろこぶ)

聞き手;
「よろしくお願いします。団さんも、今は無き円谷一さんから話があったんですよね?その頃は、資生堂のMG5の宣伝をやっておられましたよね、草刈正雄さんとかも」

団氏;
「そうですね、その頃はまだやってましたね」

聞き手;
「それで、一さんが団さんでいこうと?」

団氏;
「でもその辺のことは、僕はよく知らないんですよ」

きくち氏;
「ボクもね、円谷一さんから電話を貰った。でもその時は、中岡(慎太郎)さんを紹介した。そのあとで主役が変わって、体格が合わないからと」

団氏;
「そうですか。私の場合はその頃いたプロダクションが、言ってみれば素人の集まりみたいだったんで、誰かドラマに強い人を入れようってことで、入ってきた女の人が取ってきた仕事だったと思う。最初は隊員のうちの一人をやるってことだと、その人から聞いてました」

きくち氏;
「最初は池田駿介さんがやるってことだったんでは?」

団氏;
「そうだと思いますよ、たぶん。ボクに決まったのはかなり後半の、具体的になった時だったと思います」

聞き手;
「決まった時の心境は、どんな感じでした?子供番組ということで・・・」

団氏;
「子供番組ってことに対しては、もちろん何もなかった。むしろ普通のドラマよりも、逆に時間がかかるんじゃないかと。その当時はまだ、子供番組は丁寧に撮ってましたからね」

聞き手;
「やっぱり、朝7時から夜中までって感じだったんですか?」

団氏;
「そこまではね、予算も無かったろうし。結局外で撮るわけだから、日が暮れるまでとかね。きくちさんはスタジオにこもりっきりだから、そりゃ大変だったと思いますけど」

きくち氏;
「最初は一班体制だったから、本編が終わってから特撮の方へ行くって感じだった」

団氏;
「これはね、オールアフレコだった。最初の1、2話は特撮部分もちゃんと合成したフィルムでやってたんだけど、それじゃあ時間がかかってしょうがないんで、3話から無くなった。でも、最初は合成にビックリしました。何にもない所に向かってやってるのに、うまく出来てるんですから」

聞き手;
「これは一さんが言われてるんですけど、かなり気合が入っていたと。団さんもきくちさんも子供のアイドルだから、たとえば酔っぱらっておかしなことをしちゃあいけないとか、言われてたんですか?」

団氏;
「それはたぶんね、初代ウルトラマンとかセブンの時代じゃないですか?私等はね、何も無かったですよ。それに僕らはもっと若かったし、そんな悪いことをする奴とか、いなかった」

きくち氏;
「いくつだったの?」

団氏;
「22だったと思いますね。せいぜいね、住んでる所が近かったら、一緒に車で帰ってそのあたりでお茶飲むくらい。その程度」

聞き手;
「団さんときくちさんが、当時会われたのは?」

きくち氏;
「最初はね、第一話の時だったんだけど、怪獣が出て団チャンがマンホールに降りるところで演技が遅かったら、吹き替えやってくれって監督に頼まれた。でも結構団チャン速くて、後ろでボケッと見てるだけだった」

聞き手;
「その時が初対面になるのでしょうか?」

団氏;
「そうかもしれませんね。クランクイン前のイベントっぽいものなんて、今ほど無かった。ただざっと入って、やってる間に終わっちゃったって感じですよね」

聞き手;
「この前、団さんは京本さんとの対談で、『ただ走ってるだけみたいなものでした』って言われてましたけど・・・」

団氏;
「そう、みんなそうだった。根上さんまで、走ってた。根上さんは楽しい人でしたよ、待ち時間がね。いろいろ戦争の頃の話とか、してくれてね」

聞き手;
「最初は加藤隊長で、塚本さん。うまくスムーズに交替できたんですか?」

団氏;
「あれも結局、塚本さんが旅に行かなくちゃいけないってことでしょ?」

聞き手;
「舞台か何かで?」

団氏;
「そう。でもそれが延びたから、交替というんじゃなかったはず。その辺の話は詳しくは知らない。交替、早いですよね。唐突といえば、唐突だった」

聞き手;
「当時おふたりは、いろいろ話をされてたんですか?」

きくち氏;
「会うことは、あまりなかったね」

団氏;
「そう。たまに美セン(現・東宝ビルト)にちょこっと見に行ったりとか。とにかく特撮現場は僕たち以上に忙しいしさ、もうフル回転だもの。僕らはたまにちょっと休んだりできるけど」

聞き手;
「本編の方でも、弾着が怖かったと聞いてますけど」

団氏;
「そりゃあ、怖かったですよ。やってるのが、じいさんだった(笑)」

聞き手;
「きくちさんも、現場で爆発して、死にそうになって怒ったって話がありますけど」

きくち氏;
「画的には、迫力があるんだけど・・・」

団氏;
「迫力はありますけど、コワイ。最初はね、怪獣にもよるんだけど、粉だけだったりするんですよ。それが画的につまらないとわかると、違う回で怪獣が火吹き系だとちょっとガソリンが入るわけですよ。最初はちょっとだけ入ってる。そのうちだんだん(ガソリンの入れ物が)大きくなっていく(笑)こわい」

聞き手;
「怪我とかは?」

団氏;
「擦り傷とか打ち身とかはね。予期しない時にね。上から物が降ってくる、これは良きできるんですが、陰に逃げ込もうとして下に石油缶がおいてあって、そのカドがズボっとすねに入ったとかね」

きくち氏;
『造成地でジープに乗って訓練してるシーンで、スタントの人が飛び降りて・・・』

団氏;
「あの時は、鎖骨を複雑骨折。だって走ってる車から飛び降りて、回転して・・・グシャッて変な音がして。とにかく日没までに終わらせなくてはということで、あまり安全に気をつけないでやってましたね。

それでも僕たち顔出しは、怪我すると休まなきゃいけないんで比較的大事にされてたんでしょうけど、スタントの人なんかは、『そりゃ無理だ』って言ってるのに、『なんとかやればできる』なんて言われてね、やらしちゃう」
(つづく)


★★★★★★★★★★★★
迫力満点のシーンというものは、今ならどんな危険な場面もCG(コンピュータ・グラフィックス)を使って再現できる。だが、この当時はそんな技術はまだ無かったから、スタントマンが命を張って危険な行動を代役するわけだが・・・。

スタントマンとて、怪我をしては意味が無い。危険なシーンを、危険度を最少にして再現させるのが、監督の腕の見せ所ではあるまいか。



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