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ウルトラマン(6) [初代マン・ドラマ1]

《第29話 地底への挑戦》を取りあげます。

監修;円谷英二
脚本;南川 龍・金城哲夫
音楽;宮内国郎
怪獣デザイン;成田 亨
特殊技術;高野宏一
監督;野長瀬三摩地

【黄金怪獣ゴルドン(扇 幸二)】登場


▼埋蔵量日本一の金山から、急に金が取れなくなった。学者たちの調査でも原因はつかめていない。その後廃鉱となってしまったその金山から巨大な怪獣が出現したという一報が、科特隊に入ってきた。

その金山を持つ室生町(むろおまち)は、その怪獣のために全滅に近い被害を受けてしまった。
『黄金の肌を持った凶暴な怪獣で、地上よりも地底の方が速く行動できるらしい』

ムラマツキャップが、怪獣に関する情報を隊員達に教えた。地底での活動を得意とする怪獣に対し、科特隊はどう戦うのか。イデ隊員が設計した新兵器・地底戦車ベルシダーが完成していたのである。

ムラマツキャップは、直ちにベルシダーをビートル1号機に積むようイデに言うと、自分と共に行動するようイデに命令した。そしてハヤタ、アラシ、フジの3名はビートル2号機へ搭乗し、室生町で救助活動に当たるよう指示をした。

金山の斜面を崩して現れた怪獣は、自衛隊の火気など平気で暴れ回り、町は破壊つくされてしまった。全身が金色に輝くイモムシのような体つきで頭にツノを一本持った四つ足怪獣。

地底に潜ってしまう前に始末するよう、ビートル機からロケット弾を撃ち込んだが、怪獣は再び地底に潜ってしまった。

地上で抗夫が手を振っているのを見つけたイデとキャップは、ビートル機を着地させると、抗夫のもとへ向った。この抗夫の話では、2日前から友人がこの廃鉱に入ったまま出てこないと言う。金に取り付かれた男で、金を探しに入ったまま出てこないという。

だが、怪獣の出現で地下の坑内は滅茶苦茶なので、生きている見込みは無いという判断をしたキャップ。だが、救助要請を受けたムラマツキャップは、ベルシダーで潜ることを決めて、このことをビートル2号機のハヤタへ連絡した。

『我々はベルシダーで地底へ潜る。怪獣を地上へ追い上げるから、現れたらやっつけてくれ。それまで上空で待機。いいな』

2号機は室生町の救助活動を終えて、金山近くを飛行していた。いよいよ、イデ発明の地底戦車・ベルシダーが先端のドリルを回転させて、地底へ潜っていく。モグラのような形をしたコンパクトな地底戦車である。

『頼むぞ、ベルシダー!』
イデは計器類を撫でながら、そうつぶやいた。レーダーに映る影は、ベルシダーの3倍の速度で地底を移動していた。

しばらく進んでいくと、ベルシダーは突然大きなショックを感じて停止した。ドーンと落下した様子だった。
『これだな、問題の洞窟は・・・』

ヘッドライトを点けると、正面に人影が見えた。どうやら、救助要請をうけた男のようであった。
『我々は科学特捜隊の者だ。要請を受けて君の救出に来た。坑内は怪獣に破壊されて、出口なしだ。さぁ、早くこちらへ来なさい』

だが、男はその場を動こうとはしない。金の事が心配なのだ。しびれを切らしたイデが、男を連れに天然洞窟に降りていく。抵抗する男をようやくベルシダーへ収容すると、男は大怪我をしていた。

『いくら科学特捜隊でも、ゴルドンに手出ししたら承知しないぞ!この山の金鉱を発見したのは、この俺だ。その宝の山を、ゴルドンは一かけらも残さず食べてしまった。ゴルドンの身体は純金でできている。あの金は全部オレのものだ!』

怪我をしながらも、ムラマツキャップとイデに必死に訴える男。操縦席のイデがレーダーを見て、ゴルドンが近づいて来ると告げた。すぐに地上へ逃げなくてはならない。ヘッドライトを消して、様子をみる。

ゴルドンが掘った穴の後について行くよう命令するキャップ。相手の後方ならば攻撃を受けないからだ。男が時々狂ったように金の事を叫んで、操縦を妨害しようとした。男をなだめて後ろの席へ連れて行くイデ。

その間にゴルドンは方向転換して、ベルシダーの方へ向かってきた。仕方なく光線砲を発射して、応戦するベルシダー。だがゴルドンにはあまり効き目が無く、怒ったゴルドンにベルシダーは振り飛ばされて大きな衝撃を受けてしまう。

ゴルドンはベルシダーを無視して、地上へ出現した。上空で待機していたビートル2号が、ロケット弾で攻撃を始めた。だがタフな怪獣で、ロケット弾が尽きてしまう。

ハヤタの提案で、地底に棲むゴルドンは光に弱いだろうから、目を狙って強い光線を発するコロナ弾を撃つという作戦だ。ビートル機を降りて、3人はゴルドンに近づいていった。だが、ゴルドンが尻尾で地面を叩いた大振動で、フジ隊員が崖から転落して大怪我を負ってしまう。

ハヤタが十数メートル転落したフジ隊員を救助に行く間にアラシがゴルドンに近づき、コロナ弾を発射。明るさを嫌い暴れるゴルドンの心臓付近を、スーパーガンで狙い撃ちしたハヤタとアラシは、ゴルドンを倒すことに成功した。

『やったやった。キャップ、ゴルドンを倒しました!』
『3人とも、よくやった!異常はないか?』

フジ隊員の負傷を告げるハヤタ。幸いにも、意識はある。すぐにフジ隊員を病院へ運ぶように指示を受けるハヤタ。
『キャップ、大したことないわ。それよりも、早く上がってきてください・・・』

フジ隊員は、自分が大丈夫だと強調するために、キャップに話かけた。ところが、ベルシダーはゴルドンに振り飛ばされたショックで、大変なことになっていたのだ。エンジン部が故障して、前進も後進も出来ない。イデが必死に修理をしているところだ。

イデの修理が完了してエンジン部が始動し、前進を始めた。だが今度はブレーキ故障が見つかり、後退するためのギアにチェンジできない。しかも酸素供給器と冷房装置も故障してしまったのだ。イデは肩を落としてしまう。

『私の責任です・・・』
『努力を続けろ!最後まであきらめないのが、科学特捜隊の精神だ!』

こんな所で死ぬわけにはいかない。キャップは、必死にイデに喝を入れる。一方、地上のハヤタは、もう時間があまり無い事を感じていた。ベルシダーを救うことが出来るのは、ウルトラマンだけだ。ハヤタはフジ隊員をアラシに預けて、病院へ連れて行くよう促した。

その頃、ベルシダーでは、イデの働きでギアが直り、後退しながら地上へ向かっていた。ところが、何かに激しくぶつかって、止まってしまうのだった。地底には2匹目のゴルドンがいた。しかも今の衝撃で酸素タンクが壊れてしまい、機内の酸素が供給されなくなってしまった。

今は、何一つ使える武器が無いベルシダー。だが・・・地底魚雷が一発あることを、イデが思い出した。2匹目のゴルドンが迫っているため、地底魚雷を撃ってゴルドンを地上へ追い出す決死の作戦をする二人。

魚雷スイッチが近いキャップが体を伸ばしてスイッチを押し、発射に成功する。地底魚雷を受けた2匹目のゴルドンは、驚いて地上へ逃げだした。地上で待っていたのは、ウルトラマンだった。ゴルドンを見たハヤタは、フラッシュビームを焚いた。

ゴルドンにまたがって首を絞めにかかったウルトラマンの首に、ゴルドンの長い尻尾がクルクルと巻き付いた。その尻尾で、ウルトラマンは弾き飛ばされてしまう。だがもう一度ゴルドンにまたがったウルトラマンは、攻撃してくる尻尾を手でつかんで、ゴルドンの首に巻き付けてしまう。

そしてスペシウム光線を受けたゴルドンは、絶叫して絶命するのだった。そのあとウルトラマンは一度空へ飛び上がると、Uターンして山の斜面から地中へ潜っていき、地底空洞内で埋もれかかっていたベルシダーを発見、地上へ運んで来るのだった。

ムラマツキャップとイデ、そして救出した男が目を覚ますと、室内モニターには飛び去っていくウルトラマンの姿が・・・。

2体のゴルドンの屍骸からは150トンの純金が取れたため、それらは全滅した室生町の復興資金に充てられたということである。 (終わり)


★★★★★★★★★★★★
金に目がくらんだ男役で出演しているのは、ご存じ大村千吉氏。ワイアール星人に襲われる酔っ払いやテペト星人に襲われる釣り人などで、有名バイプレイヤーである。一目見ると忘れられないお顔の俳優さんである。

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ウルトラマン(7) [初代マン・ドラマ1]

《第22話 地上破壊工作》を取りあげます。

監修;円谷英二
脚本;佐々木守
音楽;宮内国郎
怪獣デザイン;成田 亨
特殊技術;高野宏一
監督;実相寺昭雄

【地底人】
【地底怪獣テレスドン(鈴木邦夫)】登場


▼科特隊パリ本部の依頼で、極東支部のハヤタ隊員がパリへ派遣されることになった。任務内容は、国際宇宙開発軍のロケット操縦技術指導者であった。パリ本部から旅客機とモノレールを乗り継いでハヤタを迎えに来たのは、アンヌ隊員である。

サングラスをかけたこの女性が本当にパリのアンヌ隊員かどうか、ムラマツキャップは特殊な方法でそれを確かめるのであった。ムラマツキャップは手にしたガンを突然アンヌに向けてピカッと光らせると、アンヌは懐から自分の名を書いた金属板を差し出すのだった。

それを見たムラマツキャップは笑顔になって、うなずいた。
『本部隊員、アンヌ・モーハイムです』
『ようこそ、お待ちしておりました』

常時サングラスをかけたままのこのアンヌ隊員は、即日ハヤタと共にビートル機に乗り、パリ本部へ向かって出発した。

屋上でハヤタのビートル機を見送った四人は、その帰りがけにアラシが空にかかる真っ黒な色の虹を見つけるが、それは異変の予兆であった。部屋に戻った四人には、大変な事態が待ち構えていた。

ハヤタ機出発の知らせをしようとしても、パリ本部とつながらないのである。そればかりではない。衛星からの電波が乱れてテレビ中継が出来ない、国際電話の海底ケーブルが何等かの異常で混線したまま直らないとの情報も入ってきた。

ハヤタがアンヌ隊員と出発してから、奇妙なことが立て続けに起こったのである。キャップはイデとアラシをテレビセンターへ行かせて、もっと詳しい状況を収集するよう命じた。

テレビセンターでは、調査の結果、電離層には異常は無く、受信装置の故障でも無いのに、国内外からの電波を受けることが全くできなくなってしまっていた。これは、何者かによって電波妨害されているとしか思えないと言う結論であった。

イデとアラシは福山博士に話を聞いてみると、意外にも原因は科特隊にあるというのだった。福山博士の調査では、特捜隊ビルのある場所で最も鋭敏な反応を示していたからであった。

福山博士の言を確認するために、科特隊専用車で本部へ向かう途中、イデはハヤタとパリへ向かったはずのアンヌが歩いているのを見かけるのだった。

『おい、あれをみろ!アンヌじゃないか!ハヤタと一緒にパリへ立ったはずだが・・・』
『バカ、何を言ってるんだ。人違いだよ』
『しかしよく似ていたなぁ・・・』

イデとアラシが電波探知機を持って科特隊本部内を探し回ってみると、バリバリバリと凄い反応を示すポケットライター程の大きさの物体をふたりは発見する。福山博士に分解して調べてもらった結果、大変なことが判明した。

『恐ろしい発明です。電波を狂わせるケリチウム磁力光波を出す機械です。この大きさで東京一円の電波が妨害されるのですから・・・でも、もう回復したはずです』

早速ハヤタの乗ったビートル機と連絡を取るようフジ隊員に指示したが、連絡は依然取れなかった。こちらからの電波は出ているのだが、応答が無いという。福山博士は分解した部品の1個をピンセットでつまんで、妙な事を言うのである。

『このゲルマタント鉱石は、地下4万メートルにあると推定されている物で、まだ我々の世界では一度も使われたことが無いものです。一体だれが、これを特捜隊に・・・』

『ひょっとしたら、あの本部からきたアンヌという女が・・・、最近科特隊に足を踏み入れたのは、あの女だけでしょう?』

鋭い推理をするイデ隊員。だが、キャップもアラシも、キャップ自ら行った身分証明テストも合格しているし、他の天体にもゲルマタント鉱石がある可能性だってあると言って、宇宙人説を疑ってもアンヌ隊員を疑うことはしなかったのである。

ビートル機で宇宙パトロールから帰ってきたイデとアラシが東京近郊を飛行中に、空き地に車を停めて何かを調査しているサングラスをしたアンヌに似た女をイデは目撃する。

アラシは例によって人違いだと意に介しないが、念のためビートルを着陸させた二人は、近くまで接近してみようとする。すると、突然地鳴りがして崖崩れが起き、ふたりの存在はアンヌらしき女に知られてしまう。

急ぎ車で逃げる女を見て、アラシもイデもそれがアンヌであることを確認するのだった。そしてアンヌがいた場所には、なぜかハヤタの通信バッジが落ちていた。

本部へ帰って今日の出来事を報告したイデは、あの女は何かの目的を持って、地上の電波を妨害しにやって来たのに相違ないと推理するのだった。あのアンヌの正体を突き止めることが先決だと進言するイデに、ムラマツキャップは4人を3つの場所に分けて張り込むことを決めた。

テレビセンターに張り込んでいたイデは、そこで何かをしているアンヌを発見した。
『アンヌ隊員、そこで何をしている!ハヤタはどうした!』

ふたりはもみ合いになり、アンヌのサングラスがその勢いで外れると、アンヌの顔には両目が無かった。イデは驚いて、一瞬身体が氷付いてしまう。だが逃げる女をすぐに追いかけていく。すると、女は白色に輝く光を焚いて、怪獣テレスドンを呼んだ。

地響きを立てて地底から出現したテレスドンは、太い腕と尻尾で夜の街を破壊し始めた。イデからの連絡でアンヌはニセモノと分かり、また怪獣出現を受けて直ちにビートルが出撃した。テレスドンにナパーム弾を落とすが、テレスドンの分厚い皮膚はナパーム攻撃を持ちこたえてしまう。

ビートルのナパーム弾が底をついてしまった。口から火炎を吐いてビートルを襲うテレスドン。テレスドンの火炎攻撃にビートルはエンジンをやられ、垂直降下して地上攻撃に移るのだった。イデも、地上攻撃のキャップ、アラシ、フジと合流した。

その頃、ハヤタは・・・夢とも現(うつつ)ともつかない不思議な空間で、ベッドの上に寝かされていた。気が付いたハヤタの周りには、数人の男と一人の女が囲んでいた。

『ここはどこだ!』
『気が付いた?ハヤタ。今頃地上の世界は、メチャメチャになっているでしょう』
『地上の?・・・君はアンヌ隊員!』

ここは地下4万メートルの場所、地底人が住んでいる世界だった。アンヌに似た女がリーダーなのか、ハヤタに話しかけていた。

『我々地底人が、地球全体を征服する日が来たのよ』
『じゃあ、君は・・・』

アンヌに似た女はサングラスを取ると、両目が無かった。ハヤタを囲んで立っている男達も、サングラスを取ると両目が無かった。
『ああああ・・・(驚くハヤタ)』

『我々は、氷河期以前に地殻変動で地下に潜ってから、太陽の光を浴びる日をずっと待っていた。そして地上を破壊して、人間を奴隷にしてやるんだ!』

ウルトラマンがハヤタの変身であることを知っている地底人たちは、ハヤタに催眠マスクを着けてウルトラマンを自在に操ろうと考えた。

『君の意志を消して完全に催眠状態になった時、我々は君を思うがままに動かすことが出来るんだ。ハハハハ・・・』

地上では地底人の手先・テレスドンが地上を破壊している。そして今度は、ウルトラマンが地底人の先兵となって、地上を破壊してしまうのか!

『さぁウルトラマンになれ!そして世界を破壊するんだ!・・・フラッシュビームを焚くんだ!』
ハヤタは催眠によって、地底人たちの言う通りにフラッシュビームを焚いた。だがあまりの閃光の激しさに、地底人たちは全滅してしまうのだった。

N:【ウルトラマンは光の子であった。M78星雲からの正義の使者ウルトラマンは、たとえハヤタが意識を失っていようと、光の国のスーパーマンだったのである!】

テレスドンに立ち向かっていくウルトラマン。キック、岩石落とし、飛行機投げ、首投げ。テレスドンは地面に何度も叩きつけられ、二度と立つことは無かった。

ハヤタが科特隊本部に戻ってきた、本物のアンヌ隊員と一緒に。パリから日本へ来る途中で地底人に誘拐され、ニセのアンヌと入れ替わっていたのだ。改めて本物のアンヌ隊員と共にパリ本部へ向かうハヤタを、本部の屋上で見送るキャップたち。 (終わり)

※N:ナレーション
★★★★★★★★★★★★
今回の怪獣テレスドンは、ゴモラに匹敵するほどに強い怪獣だ。ナパーム弾が効かないのだ。鋭い口ばしのような口、厚い皮膚、そしてあの鳴き声。正統派怪獣の一つとして、エレキングに次いで好きな怪獣である。

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ウルトラマン(10) [初代マン・ドラマ1]

《第28話 人間標本5・6》を取りあげます。

監修;円谷英二
脚本;山田正弘
音楽;宮内国郎
怪獣デザイン;成田 亨
特殊技術;高野宏一
監督;野長瀬三摩地

【三面怪人ダダ(鈴木邦夫)】登場


▼奥多摩の日向峠(ひゅうがとうげ)で、ここ一週間にバスの転落事故が続発した。当局の必死の捜査にも関わらず、事故発生の原因を特定することはできなかった。このため警視庁は、科学特捜隊に事故調査を依頼したのであった。

ムラマツキャップとイデ隊員がこのバス事故の調査をすることになり、東京から小河内へ向かう長距離バスに乗り込んでいた。事故は決まって正午に発生した。ほぼ満員の乗客を乗せたこの長距離バスは、日向峠を正午ごろに通過する。

進行方向に向かい左側の後部座席に乗っているムラマツとイデの左手側には、崖が見えていた。ムラマツは腕時計を気にしている。正午まであと3分少々であった。

運転手は「警笛鳴らせ」の標識を見て警笛を一度鳴らすと、道路は左側に大きく曲がる。ハンドルを左へ切った運転手は、この先にあるS字カーブでハンドルを右へ切るつもりでいる。ところが、突然運転手の前方に紫色の空間が広がり、ハンドルが動かなくなってしまう。

「ウァー」と言う声がしてブレーキを踏む間もなく、バスは崖下へと転落してしまうのだった。斜面を三度四度と横転して、正午すぎにバスはまたしても転落してしまった。

どの位の時間が経ったのだろうか。ムラマツは意識を取り戻し、ちょうど馬の背に乗っているような状態で、大木に自分が引っかかっていることを知った。多少の打撲を負ってはいるが、動けないほどではない。目線の先に転落したバスが見える。

自分のいる位置から十メートル程下へ降りたあたりであった。バスの回りには燃えカスがあるが、死体は見えない。また、救援隊も来ていないようにみえる。

ムラマツは自分のすぐ後ろに、女性がひっかかっているのを見た。大木から落ちないように起き上がると、大木を伝って女性の所までいき、声をかけて身体を揺すった。
『おい、しっかりしろ!しっかりするんだ!』

意識を回復した女性は、バスの中でムラマツの斜め右前に座っていた女性であった。
『大丈夫か?』
『大丈夫です。何ともありません』

どうやら、女性とムラマツの二人だけがバスから投げ出されてしまったようであった。一緒に乗ったイデはどうしただろうか。ムラマツは女性にここで動かないように言うと、バスが転落している所まで行ってみることにした。

転落したバスの所まで降りてきたムラマツは、まだ燃え残っているバスの車体の中へ入ってみた。だが誰もいないし、死体も無い。バスの周囲を見ようとしたところ、誰かが後ろから肩を叩いた。
『何をしているのかね?』

振り返ってみると、不審そうな顔をした警察官だ。事故でやってきたのだろうか。
『バスの乗客はどうしたんだ?』
『とっくに収容されましたよ・・・』

腕時計を見ると、事故からすでに1時間が経過していたのである。この警官の話では、収容されたバスの乗客と乗務員は、全員かすり傷程度であり、ただ一人科特隊のイデ隊員だけが骨折して入院しているという。

ムラマツは状況が判って来たので崖上にいる女性の所へ向かったが、女性は姿を消してしまっていた。ムラマツが回りを見渡すと、一人でどこかへ行こうとしている女性のうしろ姿が見えた。胸ポケットに入れておいた地図で確認したところ、この辺りには宇宙線研究所があるだけなのだ。

流星バッジで本部へ連絡を取ると、フジ隊員が応答した。
『バスは転落したが、私は無事だ。突然のことで、原因は不明。怪しい者がいるので尾行する』

入院しているイデも、その無線内容を聞いていた。イデは、キャップが無事なことが判りほっとしたが、自分は右足を骨折して足を吊られている状態であった。

崖を登っていくと宇宙線研究所が見える。どうやら女性は、そこへ向かっているようだ。ムラマツも後を追って、崖を登った。

科特隊本部では、ムラマツの留守中は副隊長のハヤタが指揮を執ることになった。キャップの捜索をするため、イデと合流して事故現場へ向かうよう、アラシとフジに指示を出した。

その頃、イデが救助された病院に、必死に助けを求めて一人の男がたどり着いた。警官とイデが立ち会って話を聞くと、男の報告はイデ達を驚かせた。
『占領された・・・ダダに。う、宇宙生物だ・・・か、怪物だ・・・』

息も切れ切れに語る男は宇宙線研究所の所員であった。一週間前、研究所に原因不明の異常が起こり、研究室にいた4人の所員達はダダに襲われてしまった。自分は資料を取りに別の部屋にいて襲われなかった。

だがすぐに見つかって追いかけられたが、特殊金属で作られた部屋に偶然逃げ込み、難を逃れたというのだ。奴らは3人いて、壁をすり抜ける能力があるとも話した。

突然この所員は悲鳴をあげると、イデ達が見ている前で、ベッドの上から消えてしまったのだ。ダダによって、空間移動させられてしまったのである。この所員は、研究所にいるダダの足元に転がっていた。

宇宙線研究所を占領したダダは、本星へ連絡すると現状を報告した。
『当研究所の全所員をテストし、うち4体が標本として適当なので採取しました』

するとダダ上司から、新たな指示を受けるのだった。
『ダダ271号、指示した標本は6体。我々の星では標本を急いでいる。ダダ時間222以内に、6体の標本を完成せよ』

事故現場からいなくなった女性は、宇宙線研究所に用事があった。女性は「中央宇宙原子力研究所」の秋川技官で、先週分の報告資料が届かないために取りに来たのだ。不気味に思いながらも、誰もいない研究所内に入っていく秋川技官。

ダダは病院から取り戻した所員に乗り移ると、秋川技官に応対した。秋川技官は、資料が届かないため電話したが誰も出ないという話をすると、所員になりすましたダダは、当研究所の電気系統に事故が発生して、外部との通信が途絶えてしまったと説明した。

資料を持ってくるフリをして、ダダは秋川技官が人間標本に適しているか否かを隣の部屋で機械を操作して鑑定した。その結果、標本に適当と回答したため、5番目の標本にしようと狙うのであった。

何かおかしいと思いながら部屋で待っている秋川技官は、何気なく机の上を見ていて、ビーカーに隠した「SOS DADA」の文字を見つけてしまう。あの所員が戻らぬうちにここを出ようとしたが、所員は戻ってきてしまう。

秋川技官は報告資料を手渡され、間違いが無いか確認するよう言われて、逃げるチャンスを逸してしまう。ずらしたビーカーを戻そうとして手を滑らし、SOSの文字を見たことをダダ所員は気付いてしまう。

ダダ所員は秋川技官を襲うが、ムラマツが後ろからイスで所員を殴打して、ふたりは逃げるのであった。所員はダダに変身してムラマツ達に襲いかかろうとするが、ムラマツのスーパーガンを受けたダダは悶えながら消えてしまう。

カギのかかった非常口の前で立ち往生する二人に、襲いかかろうとするダダ。スーパーガンのエネルギーは切れ、危機一髪のふたり。ところが、ダダは二人の目の前でスーっと消えてしまう。ミクロ化銃が壊れ、本星から新しいミクロ化銃を送ってもらうと、ふたたび秋川技官を狙うダダ。

ムラマツはダダが襲ってこないうちに、本部へ連絡した。本部で連絡を受けたハヤタは、作戦室内でフラッシュビームを焚いて、ウルトラマンになった。科特隊本部前から飛び立つウルトラマン。

宇宙線研究所へ向かうウルトラマンを、本星の上司が遊撃するようダダに指示した。巨大化してウルトラマンに応戦するダダ。自由に姿を消すダダにウルトラマンは苦戦する。

だが、ヘッドシザース、顔面への回し蹴りなど多彩な技を繰り出すウルトラマンは、ダダの顔面にスペシウム光線を発射。顔面に大ヤケドを負ったダダは本星へ報告する。
『だめだ、ウルトラマンは強い!』

ダダ上司は、残る標本2体をすぐに採収して本星へ転送するよう命令を出した。ダダはミクロ化銃で秋川技官とムラマツを標本にしようと狙うが、ウルトラマンがそれを見つけて阻止するのだった。

ダダはかなわないことを知り飛んで逃げようとするが、後を追うウルトラマンはスペシウム光線を放ち、ダダは火を噴きながら落ちて行くのだった。 (終わり)


★★★★★★★★★★★★
ダダに乗り移られてしまう宇宙線研究所の所員は、鈴木泰明氏である。不気味な雰囲気で大人が見ていても怖い。子供はもっと怖いだろうな。なお、氏は声優でもあり、タイガーマスクで虎の穴のボス、タイガー・ザ・グレートの声を充てている。
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