訃報 飯塚昭三氏 亡くなる [訃報]
声優の飯塚昭三（いいづか・しょうぞう）さんが、2023年2月15日に急性心不全のためお亡くなりになりました。享年89
筆者にとって飯塚さんといえば、『人造人間キカイダー』のハカイダー、『超人バロム・１』の魔人ドルゲがすぐに思い浮かびます。その他では、『機動戦士ガンダム』のリュウ・ホセイ、『忍たま乱太郎』の稗田八方斎、『カールじいさんの空飛ぶ家』の主人公・カール・フレドリクセンの吹き替えなど多くの役を務めています。
小さい頃は演劇に興味が無かったそうですが、日大学芸術学部演劇学科在学中に劇団を結成して日本各地で演劇を上演するなど、大学卒業後も仲間と劇団を組んで公演を行っていました。劇団若草に就職し、洋画の吹き替えに出演したことがきっかけで、声優としても活動するようになったそうです。
一時期、病気により声がまったく出なくなったため、特撮「メタルヒーローシリーズ」第1作『宇宙刑事ギャバン』のドン・ホラー役を第10話で降板して半年間休養をしたあと、アニメ『愛の戦士レインボーマン』の帝王ドンゴロス役で復帰しました。次作の『宇宙刑事シャリバン』では不調を匂わせていましたが、それ以降は完全復帰して『機動刑事ジバン』まで8作連続で参加し、そのうち5作で首領の声を担当しました。
「宇宙刑事ギャバン」のドン・ホラー（10話で降板）
「宇宙刑事シャリバン」の魔王サイコ（イマイチ不調）
「宇宙刑事シャイダー」の大帝王クビライ
「巨獣特捜ジャスピオン」のサタンゴース
「世界忍者戦ジライヤ」の鬼忍毒斎
「機動刑事ジバン」のドクター・ギバ など
2000年代以降になると後進の育成にも精力的で、所属事務所のシグマ・セブンの関連会社養成機関では声優塾の主任講師を務めていました。この他にも専門学校で「飯塚ゼミナール」という講義を行っています。2010年には「スーパー戦隊シリーズ」第34作『天装戦隊ゴセイジャー』で物語序盤のレギュラー大王モンス・ドレイクの声を担当し、2006年発売のゲームソフト『宇宙刑事魂』では過去に降板したドン・ホラー役に復帰し、魔王サイコの声も担当しています。
このように、多数の特撮・アニメ作品で悪役の声を演じている飯塚氏。昭和の特撮作品『人造人間キカイダー』ではハカイダーを演じており、『人造人間キカイダー』のムック本が発売された際には、その編集者から「30年間地球と戦い続けた男」という称号を送られたと嬉しそうに語っていたそうです。
書籍『キカイダー讃歌』におけるインタビューにあたっては、部屋に入るなり、出版を記念して復刻されたハカイダーのスーツを目にするや「この年でかぶり物をやらされるとは思わなかった」と、頼まれてもいないのに自ら本物のハカイダーに扮していたそうです（笑）
魔人ドルゲの特徴的な「ルロロロロロ…」という怪音は、本人によると「レロレロ」としか脚本には書かれていなかったと述懐。かつて飯塚氏は『好き! すき!! 魔女先生』で敵役のクモンデスの「チューカカカッ」という奇妙な鳴き声をアドリブで生んでいて、これがプロデューサー平山亨に強い印象を残してドルゲの起用となったということです。
自分の職業に誇りを感じており、伴大介や宮内洋同様、「子供たちに大切なことを教えなくてはならない」という使命感が強い。「子供番組は子供の情操の発育に大きな影響を与える」「主人公たちが悩み、苦しみ、そしてそれをいかにして克服するかを見せることも大事」「家庭も学校に任せきりじゃなくて親も一緒に努力しなくてはならない」などというコメントをしています。その一方で無類のダジャレ好きなようで、彼のインタビュー記事にダジャレが出ないものはほとんど存在しないといいます。
『人造人間キカイダー』でサブロー・ハカイダーの役をもらった際には、「今まで妖怪とか怪獣とかばっかやってきて、こんな二枚目の役どう演じるんだ!?」と悩んだとのこと。そのため、飯塚氏にとってもハカイダーは思い出深い役で、「『キカイダー01』のギルハカイダーはあまり好きじゃない」と明言しています。他に好きになれない役としては『フランダースの犬』で演じたパトラッシュを虐待していた元飼い主の金物屋を挙げており、理由は自身の犬好きに加えてご子息に嫌われたためだとか。
ボランティア活動にも積極的に参加している飯塚氏は、その理由をこれまでの経歴にかけて「何度も地球を征服しようとした罪滅ぼし」と冗談めかして語っていたそうです。また、「宇宙刑事シリーズ」など、音声はアフレコを前提とする特撮番組の収録の際は新人俳優に台詞の特訓をしていたこともあり、特撮番組に出演した経験のある俳優からも人望が厚い。
謹んで、ご冥福をお祈りいたします（合掌）
⇩【昭和特撮ヒーローを読む２】はこちらからどうぞ⇩
https://zarabkemul.blog.ss-blog.jp/
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筆者にとって飯塚さんといえば、『人造人間キカイダー』のハカイダー、『超人バロム・１』の魔人ドルゲがすぐに思い浮かびます。その他では、『機動戦士ガンダム』のリュウ・ホセイ、『忍たま乱太郎』の稗田八方斎、『カールじいさんの空飛ぶ家』の主人公・カール・フレドリクセンの吹き替えなど多くの役を務めています。
小さい頃は演劇に興味が無かったそうですが、日大学芸術学部演劇学科在学中に劇団を結成して日本各地で演劇を上演するなど、大学卒業後も仲間と劇団を組んで公演を行っていました。劇団若草に就職し、洋画の吹き替えに出演したことがきっかけで、声優としても活動するようになったそうです。
一時期、病気により声がまったく出なくなったため、特撮「メタルヒーローシリーズ」第1作『宇宙刑事ギャバン』のドン・ホラー役を第10話で降板して半年間休養をしたあと、アニメ『愛の戦士レインボーマン』の帝王ドンゴロス役で復帰しました。次作の『宇宙刑事シャリバン』では不調を匂わせていましたが、それ以降は完全復帰して『機動刑事ジバン』まで8作連続で参加し、そのうち5作で首領の声を担当しました。
「宇宙刑事ギャバン」のドン・ホラー（10話で降板）
「宇宙刑事シャリバン」の魔王サイコ（イマイチ不調）
「宇宙刑事シャイダー」の大帝王クビライ
「巨獣特捜ジャスピオン」のサタンゴース
「世界忍者戦ジライヤ」の鬼忍毒斎
「機動刑事ジバン」のドクター・ギバ など
2000年代以降になると後進の育成にも精力的で、所属事務所のシグマ・セブンの関連会社養成機関では声優塾の主任講師を務めていました。この他にも専門学校で「飯塚ゼミナール」という講義を行っています。2010年には「スーパー戦隊シリーズ」第34作『天装戦隊ゴセイジャー』で物語序盤のレギュラー大王モンス・ドレイクの声を担当し、2006年発売のゲームソフト『宇宙刑事魂』では過去に降板したドン・ホラー役に復帰し、魔王サイコの声も担当しています。
このように、多数の特撮・アニメ作品で悪役の声を演じている飯塚氏。昭和の特撮作品『人造人間キカイダー』ではハカイダーを演じており、『人造人間キカイダー』のムック本が発売された際には、その編集者から「30年間地球と戦い続けた男」という称号を送られたと嬉しそうに語っていたそうです。
書籍『キカイダー讃歌』におけるインタビューにあたっては、部屋に入るなり、出版を記念して復刻されたハカイダーのスーツを目にするや「この年でかぶり物をやらされるとは思わなかった」と、頼まれてもいないのに自ら本物のハカイダーに扮していたそうです（笑）
魔人ドルゲの特徴的な「ルロロロロロ…」という怪音は、本人によると「レロレロ」としか脚本には書かれていなかったと述懐。かつて飯塚氏は『好き! すき!! 魔女先生』で敵役のクモンデスの「チューカカカッ」という奇妙な鳴き声をアドリブで生んでいて、これがプロデューサー平山亨に強い印象を残してドルゲの起用となったということです。
自分の職業に誇りを感じており、伴大介や宮内洋同様、「子供たちに大切なことを教えなくてはならない」という使命感が強い。「子供番組は子供の情操の発育に大きな影響を与える」「主人公たちが悩み、苦しみ、そしてそれをいかにして克服するかを見せることも大事」「家庭も学校に任せきりじゃなくて親も一緒に努力しなくてはならない」などというコメントをしています。その一方で無類のダジャレ好きなようで、彼のインタビュー記事にダジャレが出ないものはほとんど存在しないといいます。
『人造人間キカイダー』でサブロー・ハカイダーの役をもらった際には、「今まで妖怪とか怪獣とかばっかやってきて、こんな二枚目の役どう演じるんだ!?」と悩んだとのこと。そのため、飯塚氏にとってもハカイダーは思い出深い役で、「『キカイダー01』のギルハカイダーはあまり好きじゃない」と明言しています。他に好きになれない役としては『フランダースの犬』で演じたパトラッシュを虐待していた元飼い主の金物屋を挙げており、理由は自身の犬好きに加えてご子息に嫌われたためだとか。
ボランティア活動にも積極的に参加している飯塚氏は、その理由をこれまでの経歴にかけて「何度も地球を征服しようとした罪滅ぼし」と冗談めかして語っていたそうです。また、「宇宙刑事シリーズ」など、音声はアフレコを前提とする特撮番組の収録の際は新人俳優に台詞の特訓をしていたこともあり、特撮番組に出演した経験のある俳優からも人望が厚い。
謹んで、ご冥福をお祈りいたします（合掌）
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