シルバー仮面ジャイアント（11）：昭和特撮ヒーローを読む！：SSブログ

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シルバー仮面ジャイアント（11）　[シルバー仮面・ドラマ] [編集]

今回は、第20回《必殺！シルバーミサイル》を取りあげます。

脚本；市川森一
監督；大木　淳
特技監督；大木　淳
デザイン；池谷仙克
音楽；日暮雅信
擬闘；高倉英二
ナレーター；森山周一郎

【インバス星人】登場

【前回までの話は・・・
建造中のベム5号で春日兄妹が目指すはずだったキリー星。だが、九州から一足早く鳥島博士のレッドイーグル号が、キリー星を目指して飛んでいった。鳥島博士は春日兄妹の父・勝一郎博士のライバルであり恋敵であった。
だが、彼の行動はキリー星人を怒らせ、キリー星の用心棒怪獣ギラスモンを地球へ呼び寄せてしまう。シルバー仮面ジャイアントはギラスモンをなんとか倒したが、ギラスモンに大怪我を負わされた鳥島博士は、7日後に完成するベム5号に地球の将来を託して、息を引き取るのだった・・・】

◆飛行中のジャンボジェット機が空中で何物かと衝突して、近くの山へ墜落・大破してしまう。ジャンボジェット機が墜落した山のすぐ近くにはダムがあり、たまたま社会科見学で、そのダムには小学生たちと先生が訪れていた。

先生と小学生たちはその一部始終を見ていたが、ジャンボ機が墜落した山から火が出て山火事になったため、引率の女先生は小学生たちを走らせて、急ぎダムから離れて安全な場所まで移動するのだった。

偶然にもその小学生たちの中に、津山博士のひとり娘のリカがいた。そして驚いたことに、ジャンボ機が墜落して山火事になった山から、突如巨大宇宙人が出現した。不思議なことにその宇宙人の姿は、墜落したジャンボジェット機の尾翼や主翼を身体に付けているように見えた。

ダムの監視カメラが捉えた映像を、津山宇宙科学研究所ではキャッチしていた。その映像を見た津山博士は、「インバス星人だ！」と叫ぶように言った。インバス星人は宇宙の死神であった。

『全身が強力なマイナスエネルギー体で、鉄や岩石などあらゆる鉱物を吸い寄せてしまう、恐るべき宇宙の死神だよ！』

そうなのだ。インバス星人の放つマイナスエネルギーが墜落したジャンボジェット機の残骸を吸い寄せ、その姿はまるでジャンボジェット機の残骸であった。襲われそうになっているダムの情報を聞いたひとみが言った。

『あのダムには、リカちゃんが行っているのよ！』

それを聞いた光二は出撃しようとするが、顔を曇らせた津山博士が出ていく光二を止めた。
『待ちたまえ、光二君。インバス星人は不死身だ。恐らく、シルバー仮面でも手に負えまい・・・』
『やるだけやってみます！』

『駄目だ。シルバー光線を当てても、ヤツにエネルギーとして吸収されてしまうだけだ』
『じゃあ、どうすればいいんですか？・・・』
『解かったぞ！ベム5号で吊り上げて、宇宙へ運び去ればいいんだ！』

光三がアイデアを出した。シルバー仮面が戦って破壊できないとなれば、あとは地球から追放するしかない。新型ロケットベム5号は、すでに完成していた。

ジャンボジェット機の二の舞になりはしないかという光一の不安を、「やってみなければわからないだろう」と一蹴して、光三は光二と共に出動していくのだった。

インバス星人は、ダムを破壊してそのガレキを身体に吸引していく。ベム5号に装備された破壊光線を放つ光三だが、インバス星人はビクともしない様子だ。

破壊されたダムから流れ出た濁流が、洪水のように下流の町をめがけて怒涛の勢いで流れていく。光二はベム5号から飛び降りると、シルバー仮面に変身した。

ジャイアント仮面が、ダムから遠くへ避難したリカたち小学生の目前に現れた。それを見上げて、安堵の表情でつぶやくリカ。
『シルバー・・・』

ジャイアント仮面は、正面から流れてくる濁流に対して「シルバー念力」を使って時間を逆流させた。破壊されたダムと濁流は逆転再生した映像のように元へ戻っていく。だが、インバス星人が吸引してしまった破壊部分は、元には戻らない。

そこでジャイアント仮面は「シルバーバリア」という透明な板状バリアを決壊部分にあてがって、ダムを修理した。これにより、少量の濁流が流れ出ただけで、小学生たちも町民も濁流に飲み込まれること無く、大事には至らなかったのである。

一方、光三はベム5号からインバス星人めがけて3本の鋼鉄製のモリを発射、3本のモリはインバス星人の両肩と背中に刺さり、引き上げることに成功する。そのまま宇宙へ向かって、全速力で飛行していくのだった。

地球の引力圏を脱出したベム5号は、生物反応の無い小惑星を5万キロ先に発見し、光三はこの星にインバス星人を捨てることを決めるのだった。小惑星の上空でロープを切り離した光三は、落下していくインバス星人を確認してから地球へ帰投した。

『肉体を持ち合せないという意味では、インバス星人は不死身と言えるかもしれないね。ガスや電気に、人間と同じ意識が生じたらどうなるかを想像してみたまえ。これと同じ理屈なんだ』

津山博士は、光二がぶつけてきた疑問を分かり易く解説してみせた。事件が解決して和んだ雰囲気の中、宇宙航空局から電話がかかってきた。受話器から聞こえてくる内容に、津山博士は顔色を変えた。それは、宇宙空間から地球を目指して、小惑星が接近中であるという連絡であった。

接近中の小惑星の映像を見た瞬間、光三は自分のミスだと大声を出した。
『あれは、俺がインバス星人を捨ててきた小惑星に間違いない・・・インバス星人があの惑星の核に落ち込み、惑星の軌道を狂わせたんだ・・・』

光一も光二もひとみも、光三の責任では無いことを弁護するのだが、光三は自分の取った行動に責任を感じていた。津島博士が考える小惑星の衝突回避方法は二つあった。

①地球の大気圏内に到達する前に捕獲して、地球の衛星軌道に乗せるか
②地球に影響が出ない遠方で、破壊してしまうかである。

兄妹4人を乗せたベム5号はミサイルを満載して、小惑星を破壊するために宇宙へ向かった。だが、ミサイルで破壊できるほど小惑星はもろくはない。作戦は失敗に終わった。

刻一刻と地球に近づいて来る小惑星の発するオレンジ色の光が、新宿の夜空をだんだん明るく照らしていくのだった。

光二はベム5号から飛び降りてシルバー仮面に変身すると、小惑星を目指して飛行していった。ジャイアント仮面の頭部の突起から、小惑星に向けてシルバー光線が発射された。大爆発して飛び散る小惑星。衝突は避けられ、地球は助かった。

だが、小惑星に隠れていたインバス星人が一瞬早く飛び出して、地球に降り立っていた。夜の闇に眼だけ光らせて、インバス星人が新宿のビル群を破壊し始めた。

町を破壊して、その残骸を吸引していくインバス星人。電話ボックスが、自動車が、ビルの瓦礫がインバス星人の体へ吸い付いていく。小惑星を破壊したシルバー仮面ジャイアントは、空から星人に向かって飛び込んでいった。

インバス星人は実体があるように見えて、その実はエネルギー体なので実体が無い。ジャンボ機の機体やコンクリートの欠片を付けているだけの、電気やガスのような目に見えないエネルギー体なのである。どう戦う？ジャイアント仮面！

ベム5号を操縦する光三が、つぶやく。
『きっと勝つ！シルバーの頭脳は、父さんの頭脳なんだ。力でダメなら知恵で勝つ！』

ジャイアント仮面は次の瞬間、頭部からシルバー光線をインバス星人に向けて放った。
『なぜ、わざわざ敵にエネルギーを与えているんだ！』（光一）
『このままだと、シルバー仮面のエネルギーが切れてしまうわ・・・』

あらゆるエネルギーを吸収するインバス星人に、光線技は効かないはずだ。どうしてジャイアント仮面は間違った方法を取るのか？戦闘の様子を見ていた津山博士もはじめ不可解な表情をしていたが、やがてあることに気付くと、ベム5号に連絡を入れた。

『津山よりベム5号へ。直ちにありったけのミサイル弾を、インバス星人に撃ち込んでくれ』
『博士、なんてことをおっしゃるんですか！ミサイル弾がインバス星人のエネルギーになっても、構わないとおっしゃるんですか！』（光一）

『私の言う通りにやってくれ。それとも、シルバーをこのまま見殺しにしてもいいのか！』

博士を信頼して、ありったけのミサイル弾を撃ち込む光一。ミサイル弾はインバス星人の体に吸収されてしまい、爆発しなかった。だが、それを見たジャイアント仮面は、ベルトのバックルから2発のシルバーミサイルを撃ち込むと、インバス星人は大爆発を起こして炎上した。

戦いが終わり、津山研究所でくつろぐ博士や兄妹たちに、光二はこう解説した。
『無限と思われたインバス星人のエネルギー体にも、容積の限界があったんだ。シルバー仮面の電子頭脳は、あのピンチに、瞬間的にこう結論を出したわけだな』

すると、リカも自分なりの解釈をした。
『インバス星人は、食べ過ぎて死んじゃったのね(笑)！』
（つづく）

★★★★★★★★★★★
この回から登場するベム5号には、ミサイル弾や破壊光線が装備されていて、ウルトラシリーズに出てくる防衛軍の戦闘機並みの威力を発揮する。春日兄妹たちは濃い茶色の戦闘服を着て、津山研究所内の発射台から飛び立つのだ。