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超人バロム・1 スペシャル対談(2) [バロム1こぼれ話]

平山亨+田口勝彦スペシャル対談(2)
(前回から続き)

田口氏;
「二人が合体してね、一つのパワーを生むってことは、硬い言葉で言えば連帯するってことですね。連帯するってことはね、どんなことかって言うと、弱い部分と弱い部分をプラスすると何倍・何百倍もの力を発揮するという、つまりコミュニケーションという大事なところなんですよね。

演出が一番難しかったのはね、ある意味でこれは映像の形にならないですよね。友情のバロメーターをね、尺度で測れって言われてもね、これは難しいなぁって一番に考えてね・・・。プロデューサーは一体何考えてるんだって、頭にきたんですよね、あれは(笑)」

平山氏;
「ウヘヘヘヘヘ・・・」

田口氏;
「ボップって、おもちゃ屋が発想したんですか?それとも原作にあったんでしたっけ?」

平山氏;
「あれは、もともと(さいとう)先生のマンガの中にあったんだよ。確かに友情が濃かったり薄かったりして、薄いと合体できないし、友情が高まってくると出来るようになるっていうのはね、メーターになるようなもんじゃないことを強引に友情メーターにしたって、

監督が笑って言ってくれたけれどもね。観念を映像化するっていうのは、難しいんだよね。もともとはさいとう先生の発案でね、さいとう先生は友情というものをとても大事にされる方でね、劇画を描いていられてもね、そういうところをいつも芯においておられる先生だからね。

(先生の作品で)子供向けの作品は、あれ一つだけだからね。後にも先にもね、無いんだって。そういう意味で、先生はご自分でも面白がって描いていらしたけど、人間の友情っていうものがエネルギーとしてね、どれだけのものを成し遂げるのかっていう意味だったんだね」

田口氏;
「活動の限界がね、友情のバロメーターがだんだん落ちてきてね、時間設定は無理かもしれないけれど、そういうツールとしてボップを考えていたわけなんだけど。

じゃあ、敵にとってはそれを奪えばいいということで考えていたんだけど、話を聞くとそうじゃないっていうんですよ。ボップはね、ふたりの精神の高揚の度合いだっていうんですよ。これをどうやって絵にしていくかって悩んだですよ」

平山氏;
「先生は劇画の中で、丸い吹き出しは健太郎、四角い吹き出しは猛で、そこに健太郎と猛のセリフをあってもめているわけ。紙の劇画の上ではそれで成立していたわけだけど、実写では物凄く表現しづらいわけ。

それで(大きいバロムワンの顏を作って)バロムワンの目の中に健太郎と猛に入ってもらって、中でもめるわけ。監督には苦労かけちゃったけど、難しかったね」

田口氏;
「考え方はね、合体しても一つのヒーローとして完成されてはいないんだと。(健太郎と猛はバロムワンの中で)いろいろ相対立するとか、もめるとか、選択肢を悩むとかする。でも、どちらかに決まれば、エネルギーは100パーセントにいくんだと。

次のカットでは、100パーセントバロムワンの力が発揮されるわけ。それで割り切れと。一致したんだから、過程はどうあろうと、最大のパワーを発揮しましょうと。そういう割り切り方をしたんですよ。もしそこで悩んだら、もう・・・戦い方が変わっちゃいますよ(笑)」

平山氏;
「こうしろョ!とか、駄目だ!とか、一人のバロムワンの中で言い合っているのが、不思議だったんだけど。メーターが一杯になれば、バロムワンそのものになっちゃうからね、それでいいんだ!

だからね、監督って辛いなぁと思うんだけどね。とにかく何か与えられたら、どうにか処理して、最後にメデタシめでたしに持っていかなければいけないからね。ごめんね、ホントに(大笑)」

田口氏;
「(笑)今そう言われても・・・(笑)でも、案外見ている人達が抵抗感じなかったようだから、僕は胸をなでおろしていたんですけれどね。こんな無茶苦茶なことやって、なんでいいんだろうって思ったんですけどね」

平山氏;
「(視聴者に)こんなのバカバカしいやって言われたら、おしまいだからね。後がつづかないからね・・・面白く出来上がったのは、監督のおかげでね。エネルギーが最高に盛り上がったら、ふたりじゃ無くてひとりなんだって・・・」

田口氏;
「だからね、盛り上がってしまえばね、それは一つのパワーであってね。心臓になったって、僕は思ってるんですよ。だからBGMも、盛り上がったところから入れてるんですよ」

平山氏;
「そうか、そうか。そう言えば、バロムワンの走りのシーンに、ダンダンダンっていう汽車の音?入れてくれたじゃない!物凄く力強い突撃の音。ああいうのが全部積み重なって、バロムワンの魅力になってくるわけでね。

監督ってね、二十数分の中でね、最後は敵をやっつけてめでたしメデタシにならないと、監督の職務を果たせないわけだからね。バカなプロデューサーがアホなことを言ってもね、それなりに処理しちゃうっていう(田口)監督だから、僕らは信頼してね、任せていたわけなんだけどね・・・」

田口氏;
「(バロムワンの)70パーセントを(僕が)演出やったわけでしょう。撮影の裏話するとね、こんなこと、人生で初めてだったんですよ。なんで俺が、こんなにやらなきゃならないんだって、思ったんですよ。撮影の現場ではね、撮影が終わるとね、次のホン(脚本)が来るでしょ。

映像はサイレントで撮っているから音が無いでしょ。だからアフレコしないといけないでしょ。その前に編集しなきゃならんでしょ。オールラッシュ(*1)しないといけませんわね。ミキシング(*2)しなけりゃいけませんわね。これら全部にどうやって立ち会いますか?

(9本も連続撮りしていて)やれるわけないじゃありませんか!それでね、編集の人にご迷惑かけたと思うんですけど、素材は提供しますから編集をしてみてくださいと。オールラッシュは(自分に)見せてくださいと。

後のアフレコ、ミキシングは太田さん(*3)に任せますよ。そうじゃないと、連投して9本も撮影できる時間があるわけないじゃありませんか。僕、死んじゃいますよ」

(*1)荒編集したものを試写すること
(*2)音声と映像を混合して効果的にすること
(*3)録音担当の太田克己氏

平山氏;
「現場では、田口ちゃんじゃなきゃダメだと思ってたんだろうね。俺がそう思ったような気がするんだよね・・・まぁ名誉だと思ってください(大笑)」

田口氏;
「今考えれば、有り難い話だけどね(笑)まぁ、それだけ評価してくれたのだから、有り難いけどね」 
  
平山氏;
「田口ちゃんに任せておけば大丈夫だと思ったからさ。だからね、田口ちゃん以外は考えなかったと思うんだよ(笑)そんなこと言われちゃ、困るって?本当にプロデューサーってズルいんだよ、自分でもそう思うわ(笑)」  (完)


★★★★★★★★★★★★
田口監督は、当時を思い出して本当に怒っていた(笑) 平山さんが、最後に滅茶苦茶言ってるけど、あのお顔で言われたら、憎めないでしょう。当時も今も(笑)



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tarou

お早うございます、上高地・河童橋にコメントを有難うございました。

by tarou (2016-10-03 08:35) 

レインボーゴブリンズ

tarouさん、ありがとうございます(^^♪ 行きやすくするために橋をかけ、看板をたて・・・。人が手を入れた瞬間から、自然は自然でなくなるのです。
by レインボーゴブリンズ (2016-10-03 21:51) 

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