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超人バロム・1 スペシャル対談(1) [バロム1こぼれ話]

この番組のプロデューサーは、ご存じ東映の平山亨氏。田口勝彦氏は、バロムワン全35話中、25本も監督を務めている。特撮番組では二本持ちと言って、一度に2話を同時進行で撮影することがよくある。だが、田口氏は、悪魔シリーズと銘打った人体魔人で、クチビルゲから5話持ち、折田監督を1本挟んで、そのあとキバゲルゲから最終話まで9話持ちという驚異的な撮影スケジュールをこなしていた。その辺も含めて、思い出話で花を咲かせたおふたりであった。(平山亨氏は2013年没、享年85)


★★★★★★★★★★★★
平山亨+田口勝彦スペシャル対談(1)
平山氏;
「このバロムワンをプロデュースした、元プロデューサーの平山です」

田口氏;
「監督を担当しました田口勝彦です。このシリーズは35話あったんですけど、そのうち25本を演出させてもらいました。一話は脚本まで書かせてもらいました(第8話毒液魔人ナマコルゲ)。よろしくどうぞ」

田口氏;
「平山Pが一番知恵を使われた所は何かというと、仮面ライダーの怪人とは違った魔人というモノを登場させるために、エライ苦労があったんですね。仮面ライダーの路線を引っ張ってますとね、作る方はそれに安住しちゃうんですね。

魔人というモノが、視聴者にとって、何が恐怖なんだろう、敵としてずるいんだろう、イジメ役になるんだろうというところでね、魔人を発想されたプロシューサーの功績は大きいんじゃないでしょうか」

平山氏;
「ずーっと、ライダーとは違うものにしたいと思ってはいたんだけど、知恵が出てこないから、だから仮面ライダー路線で、オコゼルゲからはじまったんだけど、どうもちがうんだよね。バロムワンはバロムワンの何かをやりたいんだけど、最初は知恵が出なかったんだよね。

だから最初はスタッフ達の知恵を借りて始まって、やっと人体魔人にたどり着いて、それが始まると、これだよって感じだよね。もっと早くやりたかったけどね」

田口氏;
「長いこと路線が続いていますとね、我々作る方もマンネリ化しちゃうんですよ。これでいいだろうと。それで視聴率が高いと、視聴者の方達はこれで満足してくれているだろうと、作り手は勘違いしてしまいがちなんですね。

そう言う時にね、新しいモノを発信しようとしたら、やっぱり汗かきますよ。何故(人体魔人シリーズが)成功したかと言えば、一番人間にとって恐怖なのは、人間の体が罪悪感を持つってことなんですね。

これから出てくるけど、クチビルゲっていうの。食ったものが悪魔になる・・・物凄い恐怖でしょう。ウデゲルゲとか、ノウゲルゲ・・・これが新しい路線の開発にものすごく影響されていくんですね。新しい魔人の殺陣を考えなくちゃならんですよ。

ウデゲルゲは5本指なんですよ。これ、5人の敵なんですね。しかも短い時間で盛り上げなくちゃならないでしょ。演出上でも苦労したけど、面白い発想でしたね。乗ってやっていましたね」

平山氏;
「アクションは高橋イッシュン(一俊)だったかな。彼はライダーからね、八面六臂なんだね・・・。今見ると、ライダーともキカイダーとも違うし、独特の世界ができているね、おかげさまで・・・」

田口氏;
「その辺が、超人バロムワンの大きな魅力になっていて、そこを見てもらいたいですね」

平山氏;
「子供と子供が友情で結ばれるとバロムワンになるんだという、さいとうたかをさんの独特の世界だしね・・・」

田口氏;
「画面構図として、撮影がたいへんなんですよ、これ。相手が大きくなってしまうと・・・」

平山氏;
「仮面ライダーの怪人っていうのはね、アクションが出来るようにできているけど、これの場合は、アクションのことは抜きにしてるからね。あの縫いぐるみでアクションさせるのは、大変だったろうね」

田口氏;
「ウデゲルゲの場合はね、たいへんなんですよ。中に入っている人がバンザイして入っているんですよ。バンザイで立ってるだけで疲れますよ。で、荷重がものすごく重いんですよ」

平山氏;
「形的には面白いものができたなと思ってるんだけど、演る方はたいへんなんだ(笑)」

田口氏;
「ちょっと体力が無い人は無理で、大野剣友会で人選して、力のある人が中に入ってるんですよ。撮影現場では、そういう目に見えない大きな苦労がありましたね。あれね、一度転ぶと一人で立ち上がれないんですよ。3人位で起こさなくちゃならなくてね・・・」

田口氏;
「バロムワンはね、地方ロケが多いんですよ」

平山氏;
「仮面ライダーなんか、最初の頃は知られてないから、なかなかタイアップが取れなかったですね。これの頃は、行けたのかな」

田口氏;
「メリットがあってね。生田スタジオで爆発やるなら三栄土木。多摩のバックグランドが同じ景色になっちゃう。ロケ地が多いと、うちの近くの場所にも、九州にも北海道にも、魔人が出るぞという感じが出るわけですよ。

日本のあらゆる所にドルゲがいるぞという感じが出て、大きなメリットになったですね。もう一つはね、当時は番組がロケに来てくれることを喜んでくれましてね。スタッフは美味しい物やお酒が飲めるんですよ。ただし、条件があって、限られた日数でやらなくちゃならない。

何故かというと、相手方は我々3日間の食事の経費を、全部持たなければならないんですよ。絶対に四日間にはならない。ところが、雨になったりすることがあるわけですよ。雨じゃ撮影が出来ない。それでどうするかというとね、その場に適応するような脚本に、直さねばならないんですよ。

地方ロケが多いと、こういう苦労があるんですよ。例えば海で撮影しようとしても、雨では海で撮れないと。それで旅館で撮ることにしようと。そうすると、今度は照明用のライトが無いと・・・。選択肢が限られてくるわけですよ。

テレビって、毎週一回放映するでしょう。連続で9本も演っていますとね、もう次の台本が来てますよ。次の話の段取りしなくちゃならないですよ。天気に左右されるという苦労をしましたよ」   (つづく)



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コメント 4

ヨッシーパパ

バロームクロスで変身でしたか?
二人で一つ???
by ヨッシーパパ (2016-10-01 19:12) 

いっぷく

やはりこういう作り手の裏話というか
制作秘話は面白いですね。
by いっぷく (2016-10-01 20:35) 

レインボーゴブリンズ

ヨッシ―パパさん、いつもありがとうございます。
そのとおりです。健太郎+猛=バロム・1です。(^^♪ バロム・1の左目が猛で、右目が健太郎の席になっているようです。
by レインボーゴブリンズ (2016-10-01 22:17) 

レインボーゴブリンズ

いっぷくさん、いつもありがとうございます。
そうですね。制作に関する秘話などは現場の様子が解かって、ドラマとは別の面白さがありますね(^^♪
by レインボーゴブリンズ (2016-10-01 22:22) 

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