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帰ってきたウルトラマン(8) [新マン・ドラマ]

今回は、第3話 《恐怖の怪獣魔境》を取りあげます。

  脚本;上原正三
  音楽;冬木 透
  美術;池谷仙克(デットンは劣化テレスドン;成田亨)
特殊技術;高野宏一
  監督;筧 正典

【岩石怪獣 サドラ】
【地底怪獣 デットン】登場


▼霧吹山(きりふきやま)は魔の山と呼ばれ、謎の転落事故が多いことで有名な山であった。霧が深くなる時には決まって、転落事故が起きている。今日も又、勇気ある青年が頂上を目指して登っていたが、霧が深くなった時にふたりの若者が転落事故に遭っていた。

その頃、霧吹山上空をマットアロー1号がパトロールしていた。郷は上野に、怪獣が吠えるような声が聞こえたと言ったが、ここは地上4千メートル上空なのだ。空耳だろうと言って、上野は片づけてしまう。

ウルトラマンの超能力を持つ郷には怪獣の叫び声が聞こえていたのだが、普通の人間の上野に、それは説明のしようが無い。上空も霧が深くなってきた。だが郷の目には、頂上の岩山の影にうごめく怪獣の姿が見えていた。

『あっ、怪獣だ!』
もっとよく見ようとして近づけば、乱気流に巻き込まれてしまう。そこで郷は、航空写真を撮影してみた。基地へ帰っても、上野と郷の意見はぶつかり合っていた。

視力がいい上野は、自分の目に自信を持っていた。そのとき、加藤隊長がある情報を発表した。
『郷が怪獣を見たという同じ時刻頃、城南大学の学生が二人転落死している。原因は、落石によるものと断定された』

丘隊員が、郷の航空写真をスライドにして、隊員たちが座る六角形の机の中央部に投影した。4枚のスライド写真には怪獣の姿は写っていなかったが、怪獣の尻尾のようなモノが写っていた。
『いや、これは岩肌です。隊長!』

上野は自分の視力を信じて、そう判定した。だが、加藤隊長は、南、岸田、上野、郷を霧吹山へ行かせることにした。少しでも疑問があれば確認しに行くことが、MATの使命だと隊長は言うのだ。

4人は南と郷、岸田と上野の二手に別れ、険しい岩山をロープを使って登り、頂上へ到着した。その名の通り、霧が深く、岩しかない頂上で、怪獣の影すらも見ることは出来なかった。リーダーの南は怪獣はいないと判断して、下山しようとする。

だが郷の耳には、遠くかすかに怪獣の声が聞こえていた。基地へ帰った4人は南や岸田までもが郷と対立し、郷は孤立してしまうのだった。翌日、郷は休暇で坂田のもとへ来ていた。流星2号の図面を引くために、郷と坂田はいろいろな意見、考えをめぐらしていた。

だがどういう訳か、郷の耳には霧吹山で聞いた怪獣の声が、今も聞こえているのだった。なにか悪い予兆なのか?気になって仕方が無い郷を見ていて、坂田はもうやる気を失ってしまうのだった。

その頃、加藤隊長は怪獣の有無を自分の目で確認するため、ひとりで霧吹山へ登っていた。霧が深くなり、ほんの数メートル先も見えない岩だらけの頂上で、加藤隊長の目の前に巨大な怪獣サドラが出現して迫ってきた。

岩陰に隠れた加藤隊長だったが、サドラが崖崩れを起こして、落下してきた岩石で加藤隊長は右足に大怪我をしてしまった。基地へ連絡を試みるが、雑音ばかりで無線が通じない。この辺一体の岩石が磁石になっているためであった。

ピッケルを杖にしながら、なんとか怪獣から発見されぬよう洞穴に隠れる加藤隊長。だが前進も後退もできず、応援も呼べず、怪我もしている。八方ふさがりで、このままでは死を待つ以外にない。一方MAT本部では、定時連絡が無く消息不明の隊長を、隊員たちが心配していた。

休暇中の郷にも、緊急招集がかかる。隊長はどこへ行ったのか。郷は直感で思った。
『隊長は、霧吹山へ行ったんだ!』
『証拠でもあるのか!』

証拠はないが、郷の意見にはサブリーダーの南も同感であった。
『もしかすると、隊長は自分の目で確かめに行ったのかもしれない・・・』

救助隊を出せないのなら自分一人でも行こうとする郷に、南がマットジャイロで送ることになった。だが、もう夜になり暗くて危険なため、山頂への着陸は出来ない。朝を待って登った方がいいという南の意見に、郷はパラシュートで降下すると言い出す。

無茶をするのには、理由があった。郷の父親は、郷が13歳の時、山で遭難したのだ。救助隊があと100メートル先を捜索してくれていたら、父は助かったかもしれなかった。捜索隊のいる位置から100メートル先の岩陰で、大怪我をして動けない父と仲間がいたのだった。

だから、とても朝までは待っていられなかった。南が止めるのも聞かずに、郷はパラシュートで降下していく。暗い山頂に降りた郷は、ヘルメットのライトを頼りに大声で隊長を呼びながら探した。仮眠したあと、朝日が昇って明るくなってきたので、郷は再び隊長探しに動くのだった。

怪獣サドラに洞窟の前に居座られ、隊長は朝を待って、マットシュートで攻撃をした。サドラがあきらめていなくなった頃に、郷が大声で呼びながら洞窟の前を通った。

『郷、ここだ!』
『しっかりしてください!』
『来てくれたのか・・・だがこんな恐ろしい所へ一人で来るやつがあるか・・・バカ者』

郷は、加藤隊長が自分の思っていたような人物であったことが、嬉しかった。確信が持てるまでは、トコトン追求するタイプの人であった。

さぁ怪獣サドラがいない間に、ここを脱出しなければならない!ところが、怪獣はサドラだけでは無かった。もう一匹の怪獣デットンが出現したのだ。二人は岩陰に隠れてデットンに手りゅう弾を投げたが、あまり効き目が無い。

デットンの声を聞きつけて、サドラがやって来た。二大怪獣が加藤隊長と郷の目の前で、戦いを始めた。この二匹が戦っている間に、郷は怪我をしている隊長に肩を貸しながら、少しずつ移動をした。だが、岩だらけの山頂は歩き難い。

両者の激しい戦いの振動で、郷と隊長が隠れていた岩陰が崩れて、郷の足は岩と岩とで挟まってしまった。加藤隊長に本部へ連絡するよう話すが、ここでは無線が通じない。隊長は足を引きずりながら、無線の通じる場所まで行くことにした。

だが、それを見たサドラとデットンは戦いを止めて、二匹で加藤隊長を追っていくではないか・・・。必死に岩から足を引き抜こうとする郷に、「ウルトラマンの光」が変身へ導く。ウルトラマン登場!

ウルトラマンは、初めて二匹の大怪獣を相手にする戦いに挑む。サドラの巨大なハサミが、背後からウルトラマンを叩いて襲った。倒れたウルトラマンの右足に噛みつくデットン。ウルトラマンの首をハサミで締め付けるサドラ。

青から赤に変わるカラータイマー。ウルトラマンが危ない!寝ころんだ状態からキックでデットンを突き飛ばすと、起き上がってサドラを首投げする。逃げて行くデットンの背中にスペシウム光線を撃ち、振り返ってサドラには八つ裂き光輪を投げて、首を斬り落してとどめを刺した。

足を引きずりながら戻ってきた加藤隊長は、足を引きずりながら歩く郷を見つけて、ふたりは笑顔で握手を交わす。隊長も郷も、この魔の山での激しい戦いをくぐり抜け、お互いに相手のことを思いやっていた。

『大丈夫か、郷!』
『隊長の方こそ・・・!』
『なぁに、怪獣如きには負けはせんよ(笑)』 

ゆっくり下山している途中で、ふたりを迎えに来た南隊員たちを見つけた加藤隊長と郷は、手を振って合図するのだった。 (終わり)


★★★★★★★★★★★★
郷にとって休暇とは、体を休める日ではなく、坂田兄妹へのサービスをする日なのであった(笑)



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