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ウルトラマンエース(19) [ウルトラマンA・ドラマ2]

今回は、第51話 『命を吸う音』を取り上げます。

脚本;石堂淑朗  
特殊技術;高野宏一
監督;筧 正典
ナレーター;岸田 森

【バイオリン超獣 ギーゴン】 登場


◆小学生のハルオは、草野球では4番でピッチャーというスポーツマンであった。だが、他界した父が有名なバイオリン奏者だったため、母親のスパルタ教育でキライなバイオリンを習わされているのである。

今日もホームラン性の当たりを飛ばしていながら、ホームベース間近で足が止まってしまったハルオ。それは、アンパイヤの後ろに母の姿をみたからであった。

外野から返ってきたボールを捕ったキャッチャーは、立ち止まっているハルオにタッチした。
『あーあ、なにやってんだよ~』

草野球をしている所へ母がやって来て、バイオリンのレッスンへ行くよう、うるさく言うのだった。
『ハルオちゃん。バイオリンのレッスンを忘れちゃ駄目でしょ!』

母のキツイ言葉に、イヤイヤ従うハルオ。
『ごめんなさいね。ハルオはバイオリニストにならなければいけないのよ』
母はチームのみんなにそう言うと、ハルオを無理やり連れて帰るのだった。

内山音楽教室の前に来たハルオは、入口で足が止まってしまう。後から来た女の子に背中を押されて、イヤイヤ入っていくハルオ。レッスンで内山先生に指名され、バイオリンを弾くハルオ。

『先生、ボク弾けません・・・』
ヤル気の無いハルオは、レッスンを投げ出して家へ帰ってしまうのだった。

家へ帰り、窓からそっと野球道具を持ちだそうとしたハルオを、内山先生から連絡を受けた母が鬼の形相で待ち構えているのだった。

仏壇の前へハルオを連れて行き、亡き夫の遺影に手を合わせたあと、母はハルオにこう言った。
『ハルオちゃん。お父様はね、天才的バイオリニストだったのよ。天才と言われたお父様の息子に、素質がないわけはないでしょ!』

ハルオはもう何度もその言葉を母から聞かされて、うんざりしていた。
『だって僕、バイオリンが嫌いなんだ。素質が無いんだ!』

だが、ハルオをバイオリニストにすることは、亡き夫との約束でもある。母はハルオを無理やり立たせると、バイオリンケースを持たせて家から送り出すのだった。

道端にバイオリンをそっと置いて、途中でバイオリンを無くした言い訳にしようとしたら、親切な男性が持ってきてくれるのだった。いっそのこと壊してしまえばいいと思い、地面にケースごとバイオリンを投げつけるハルオ。ぶつかったショックでケースのふたが開いて、バイオリンが露わになった。

その時急に、雷がバイオリンを直撃して、バイオリンは黄金色に明るく輝いて止んだ。すると不思議なことに、バイオリンと弓がひとりでに浮き上がってハルオの手に収まり、ハルオは素晴らしいテクニックでバイオリンを演奏し始めたのだ。

レッスン仲間の女の子二人が後ろからやって来て、こんな所で練習しなくてもいいのにと、ハルオに声をかけた。ハルオは演奏を止めると、気力が無くなったかのように座り込んでしまうのだった。

それを見ていたA子がハルオのバイオリンを取りあげて、またも素晴らしいテクニックで演奏し出した。すると、同じように気力を無くしてぱったりと座り込んでしまうA子。B子は、自分達の実力をはるかに超えるテクニックで弾けるこのバイオリンを疑問に思い、ハルオの母を呼びに行くのだった。

その頃、TAC本部のレーダーに異常な反応があった。タックパンサーで現場へ向かった北斗と美川は、座りこんでいる子供2人を見かける。
『おい、君。大丈夫か?』

『よかった。もうこれで、バイオリンのレッスンに行かなくて済む・・・』
そう言ってうつろな目つきで空を見上げているハルオ。その目の先には、空を飛んで行く大きなバイオリンと弓が見えた。

空を飛んで行くバイオリンと弓らしきモノを、北斗も見た。B子がハルオの母を連れて戻ってくると、北斗は事情をB子に聞いてみた。

『バイオリンを弾いたら、ふたりとも変になっちゃったの・・・』
『そうか。じゃ、あれはやっぱりバイオリンだったのか・・・』

ハルオの母は空っぽのケースを見て、バイオリンの行方をハルオに訊ねるが、ハルオの代わりに北斗がその問いに答えた。

『お母さん。バイオリンは空へ飛んで行ってしまいましたよ。恐らくあのバイオリンには、超獣がとりついています・・・』

ハルオの母は、そんな馬鹿げた話は信じられないと言って本気にしない。だが北斗は、あのバイオリンを追いかけるつもりでいた。B子があのバイオリンの音が鳴れば判るからと、同乗してくれることになった。

ハルオの母は高額なバイオリンのことが心配で、ハルオを連れてタックパンサーで追いかけると言い出すのだった。A子を病院へ収容した美川隊員からの連絡で、A子は考える力や筋力を抜かれてしまっていることが判明した。

あのバイオリンを演奏した者は、魂を吸い取られてしまうのだ。人間の魂を吸って、バイオリンは今やコントラバス程の大きさに成長していた。

タックパンサーで追っていた北斗らは、巨大になったバイオリンが公園に着陸するのを見た。巨大なバイオリンは池のほとりに静かに着陸すると、一人の男性を呼び寄せて彼に演奏をさせるのだった。

北斗は、男性が演奏を止めたら、あれをタックガンで撃とうと考えていた。ところが撃たれることを恐れたハルオの母は、北斗のタックガンを奪ってしまうのだった。やがて魂を抜かれた男性は、静かに座りこんでしまった・・・。

さらに巨大になったバイオリンは、今や勝手に弓が弦を弾いて音楽を奏でるようになっていた。もはや奏者は必要なく、バイオリンは公園内を散策する人々の魂を吸い取り、増々巨大化していった。

耳をふさいで音楽を聞かないよう三人に指示した北斗だったが、ハルオの母だけは奏でる曲に聞き惚れてしまうのだった。タックファルコンとタックアローが出撃して、巨大な空飛ぶバイオリンを攻撃する。

北斗もタックガンをハルオの母から奪いかえして地上から攻撃を加え、空飛ぶバイオリンを撃墜することに成功した。だが時すでに遅く、撃墜した巨大バイオリンは地上に激突して爆発しながら、超獣ギーゴンになってしまった。

ハルオの母を助けようとした北斗は、ギーゴンに踏みつぶされそうになりながら、ウルトラマンエースに変身した。超獣ギーゴンから発する音波は、エースの脳を刺激して狂わせる効力があった。魂を抜かれたように何もできなくなるエース。だが、太陽光線がエースに再び力を与えた。

ギーゴンの胸にある4本の弦の1本をエースが斬ると、ハルオの母が突然苦しみだした。残りの3本すべてを斬ると、ハルオの母はさらに苦しみ出すのだった。エースの必殺メタリウム光線を受けたギーゴンは、瞬間的に消滅してしまった。

超獣ギーゴンの身体に音として蓄えられていた人間の魂が、また音になって持ち主のもとへ返っていったためだ。バイオリンを嫌うハルオの心が超獣を呼び、ハルオをバイオリニストにしたいという母の強い執念が、超獣にエネルギーを与えたのだろうと推測する竜隊長。

TAC隊員とハルオの母が見ている前で、草野球で元気いっぱいに遊ぶハルオ。竜隊長が話す。
『子供は、元気で伸び伸び育つのがいちばんです。その上でなら、学問でも芸術でも自分から進んで努力するようになりますよ・・・』 (終わり)


★★★★★★★★★★★★
今回ハルオのバイオリンの先生役で出演しているのは、若き日の冬木 透氏である。ウルトラに携わって50年近い。ウルトラセブン以降、昭和のウルトラシリーズには欠かせない存在であり、まだまだ現役で頑張っておられる。
筆者にとっては、2009年に行われた一夜限りのコンサート「ウルトラセブンの音楽を創った男」を見に行ったことがいい思い出になっている。



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