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帰ってきたウルトラマン(5) [新マン・ドラマ]

今回は、第2話 《タッコング大逆襲》を取りあげます。

  脚本;上原正三
  音楽;冬木 透
  美術;池谷仙克
特殊技術;高野宏一
  監督;本多猪四郎

【オイル怪獣タッコング】登場

【前回までの話は・・・世界的な異常気象の影響で、日本でも怪獣達が目を覚ましていた。東京湾に出現したタッコングはザザーンを倒し、町を破壊しながら暴れ回るが、地球に帰ってきたウルトラマンによって一度は退けられてしまう。子供や仔犬の命を救うためには危険を顧みず、自らの命を落としてしまった郷秀樹青年の行動に感動したウルトラマンは、死んだ郷に乗り移って自分の命を託すことにした。ここにウルトラマンの超能力を持った人間・郷秀樹が誕生し、平和と人類の自由のために戦うことを決意する・・・】


▼MATに入隊した郷秀樹は、剣道や柔道、射撃などでチームの先輩たちを上回る成績を出した。郷をMATの一員として迎えたことについて、自分の目に狂いは無かったことを喜ぶ加藤隊長。

一方、ウルトラマンが自分に乗り移っていることで身体能力が大幅に向上していることに、郷は嬉しさと同時に自惚れが生じていることに、自身は気づいていなかった。

海中に逃げたまましばらく現れなかったタッコングが、海面に浮くオイルプラント施設を襲った。これ以上被害を出さないためにも、仕留めるつもりで出撃したMATだったが、またしても海中へ逃げられてしまうのだった。

東京湾内を棲みかにしていることが調査で分かり、タッコング撃滅作戦を練るMAT。郷秀樹を入れて6名いる隊員全員が、六角形のテーブルを囲んで作戦会議に臨んだ。

『マットサブで、海底攻撃をするべきだと思う』
『確実に撃退できる作戦が無い限り、海底まで追う必要は無いと思う。失敗して上陸されるよりはマシだ』

いろいろな意見が出たが、加藤隊長の考えはこうだ。
『マットサブ1号と2号で海底を探索し、発見次第、互いに連絡を取り合いながら挟撃作戦だ。Z弾は出来るだけ接近して、口の中へ撃ち込め・・・解かったな、郷』

加藤隊長は、実戦経験の無い郷に念を押した。
『解りました、隊長。安心して見ていてください』

『実戦は射撃場とは違う。甘く見るなよ』
射撃で郷に負けた岸田は、先輩隊員としての意見を述べた。

『任せておいてください』
『こいつ、やけに自信満々だな・・・』

実戦を一度も経験していない郷の言葉や態度に表れる自信は何なのか。剣道で負けた上野は、郷の態度や言葉に不安なモノを感じた。加藤隊長は、最後にもう一度念を押した。
『作戦はあくまで冷静沈着に、協力しておこなうように!』

マットサブ1号に南と郷、2号に岸田と上野が乗り、海底探索を行っていく。1号がタッコングをソナーで発見、すぐに2号へ連絡した。

『南隊員、見つけ次第やっつけちゃいましょうよ!』
『作戦は忠実に守るんだ。俺たちだけでやって、失敗したらどうするんだ。2号を待って、攻撃開始だ』

しかし郷は、目の前に出現したタッコングを見た途端、2号を待たずにミサイルのレバーを引いてしまう。二本のミサイルを撃ち込まれたタッコングは傷を負い、マットサブ1号に襲いかかってきた。払い落とされて海底に激突したマットサブ1号内では、南隊員が負傷したうえに気を失ってしまった。

郷は両手を広げてウルトラマンになれ!と心の中で叫んでみるが、ウルトラマンにならない。
『どうしたんだ!ウルトラマンになれ・・・どうして変身しないんだ!』

作戦が失敗して戻ってきたマットサブ1号と2号。作戦室で岸田が叫んだ。
『勝手に攻撃しておいてその上逃がすなんて、なってないぞ』

2号艇の岸田が、作戦の失敗について南を非難した。
『すまん。1号の艇長は俺だ。俺が撃てと言ったから郷が撃ったんだ。責任はすべて俺にある』

右手と頭に傷を負った南は、自分にだけ処分を下すよう、隊長へ申し出た。
『そうはいかん・・・郷は作戦を無視して、勝手な行動を取った。従って隊員としての資格は無い。直ちに辞めてもらう!坂田さんの所へ帰り給え!』

加藤隊長は、録音されていたマットサブ1号内での南と郷の会話を皆の前で再生して、真実を公表した。

『隊長。郷は初めての出撃で、気が動転していたんです。誰にでもあるミスじゃないですか!』
『郷の取った行動はミスではない。身勝手な思い上がりだ!』

南は、郷にもう一度チャンスを与えようと隊長に食い下がったが、加藤隊長の郷に対する憤りや落胆は大きく、リーダーとしてとても許せるものではなかった。

郷は荷物をまとめて、坂田自動車工場に戻ってきた。あのとき、どうしてウルトラマンになれなかったのか?心の中で広がる疑問。
『加藤隊長から連絡があった。郷を返すと言ってきたよ・・・』

もう一度流星号を作ってレースに出場する夢を持ちかけた郷を、坂田は断った。「お前と一緒に組む気持ちは、もうない」と郷を怒らせる言葉をわざと発して、郷に一人で考える時間を与えようとする坂田健。

坂田自動車工場を飛び出してきた郷は、地面に仰向けになって青空を見ながら、一人になって考えてみた。そして、ウルトラマンであることに思いあがっていた自分、ウルトラマンであることを誇らしく振り回そうとしていた自分に気付く。

まず、郷秀樹として全力を尽くし努力しなければならなかったのだ。今の郷の心に、そう反省する気持ちが芽生えていた。

タッコングが再び上陸して、石油コンビナートを襲撃して来た。郷が抜けて5人となったMAT。さらに南が負傷しており、加藤隊長は南を基地へ置いて4人で出撃した。マットアロー1号で攻撃する岸田と上野。地上から避難誘導をする隊長と丘。そこに怪我をおして、南がやって来た。

地下の機械室に閉じ込められた作業員達を、救出に向かう南。機械室に着いた南は、通ってきた地下通路がガレキでふさがれてしまった事を作業員達に伝え、残りの出口を探した。

地上へつながるマンホールに登るしか手段が無いことが解り、すぐにその方法で脱出を試みるが、タッコングが壊したオイルタンクのオイルが流れ出して、マンホールからオイルが落ちてきた。これでは、すぐにも火が回るかもしれなかった。

自分のやるべきことを見つけた郷は、現場へ駆けつけてきた。郷の姿を見つけた加藤隊長は、心の中で喜んだ。
『郷。必ず来ると思っていた・・・』

地上からマンホールのふたを開けて中の様子を覗いた郷は、南と4名の作業員を確認すると、ハシゴを伝って下へ降りて行った。地下機械室内は煙が立ち込めていて、救助にきた南も呼吸するのがやっとだった。

『南隊員!』
『おお、郷か。この人達を早く・・・』

一人ずつ肩へ担いで、加藤隊長の所まで運ぶ郷。だが三人目を運ぼうとしたところで、室内に炎が広がってきた。郷は必死に炎を消そうとしたが、もう限界が来ていた。その時、「ウルトラマンの光」が郷を変身へと誘った。

両手を広げた郷は、ウルトラマンに変身した。地下にいた残りの作業員と南隊員を助けだしたウルトラマンは、タッコングに向かって行った。タッコングの口からオイルが吐き出された。

一瞬ひるんだウルトラマンだが、タッコングの右手を引きちぎると、少し後ろに下がって必殺スペシウム光線を放った。タッコングは動きを止めると吸盤のような穴から炎を噴き出し、やがて大爆発して粉々になってしまった。

坂田自動車工場に、マットビハイクルで加藤隊長と郷がやって来た。親代わりの坂田のもとへ返して何かをつかんでくれた郷は、今度の事件でMATの隊員に恥じない仕事をやり遂げた。郷を立ち直らせてくれたことにお礼が言いたくて、加藤隊長は寄ったのだった。

坂田はMAT隊員として立ち直った郷に、思いがけないプレゼントを贈るのだった。
『隊長にお願いがあります。休暇の時に郷を貸してください。流星2号を作りたいんです』

坂田に一度断られた流星号で優勝する夢。だが、それは坂田の愛のムチであったことを、今になって知る郷だった。
『俺たちの夢だ・・・大事に育てていこう!』

涙を流して喜ぶ郷に、そっとハンカチを渡すアキ。この一瞬に幸せを感じているアキであった。 (終わり)


★★★★★★★★★★★★
人間は「力」を手に入れると、それまでの生き方がウソのように変わってしまう、弱い生き物だと思う。巨大な権力を持つようになったり、一生かかっても手に入らないような金額のお金が急に手に入ったりしたときなど、自分の環境の急激な変化によって性格までも変わってしまう例が、歴史上の人物にも見受けられる。郷秀樹もウルトラマンの能力を身に着けたことで、一時思い上がってしまうように・・・



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