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帰ってきたウルトラマン(4) [新マン・ドラマ]

今回は、第1話 《怪獣総進撃》を取りあげます。

  脚本;上原正三
  音楽;冬木 透
  美術;池谷仙克
特殊技術;高野宏一
  監督;本多猪四郎

【ヘドロ怪獣 ザザーン】
【オイル怪獣タッコング】
【凶暴怪獣アーストロン】登場


▼世界各地が異常気象に覆われ、日本列島でも毎日のように起こる小地震が地殻の変動を進めて、遂に怪獣達が一斉に目を覚ました。東京湾に出現した二大怪獣の為に、勝鬨橋は簡単に破壊されてしまうのだった。

全身が海草のようなヘドロで覆われている緑色の怪獣ザザーンと、赤紫色の体色で全身にタコの吸盤を付けた怪獣タッコング。二匹とも怪獣王は俺だと言わんばかりに、相手との殴り合いをしている。

このような怪獣の出現を想定して組織された怪獣攻撃隊MAT。「マット」と呼ばれるこのチームは、モンスター・アタック・チームの略称で、国際連合の地球防衛組織に属する特別チームであった。加藤隊長と4人のメンバーで構成されるエキスパート集団であった。

『怪獣を都心に入れては大惨事になる。南、岸田、上野。君達は空から攻撃しろ』
『はい、出撃します』

オレンジ色のユニフォームで身を固めた精鋭が、マットアロー1号、2号で出撃した。加藤隊長はチームの紅一点・丘隊員を連れて、マットビハイクルで現場に行き、状況を見極めながら次の作戦を考えるのだ。

その頃、坂田自動車修理工場の小学生・坂田次郎君が騒いでいた。
『怪獣だぁ、怪獣だよ!兄ちゃん、この車怪獣に壊されたらどうするの?』

レースカーの流星号を修理中の年齢の離れた兄・坂田健に、そう問いかける次郎。騒ぎを聞いて、姉のアキも集まってきた。車両の下に潜って修理をしていた郷秀樹が、顔を出して次郎に言った。
『怪獣?』

好奇心が旺盛な次郎は、近くまで行って怪獣を見たくて仕方がないのだ。
『次郎、止めるんだ!』

片足の不自由な兄の健には、次郎を追いかけることが出来ない。郷は坂田の代わりに、次郎の後を追って走っていった。

MATの戦闘機2機が、攻撃を開始した。ロケット弾を撃ち込むマットアロー2号。マシンガンで攻撃するマットアロー1号。だが二匹の怪獣はお構いなしに格闘を続け、どちらかが倒れるたびにビル群はメチャメチャに破壊されてしまうのだった。

ザザーンはタッコングに食いちぎられて、手足をブルブル振るえさせると息絶えてしまった。好奇心の強い次郎は警察の非常線をかいくぐると、怪獣がよく見える所まで行き、そのビル影で2匹の戦う様子を観察していた。郷も次郎の後を追って、やっと捕まえた。

『次郎!』
『郷さん、怪獣!』

ザザーンが倒れた後、タッコングが一匹で大暴れしている。
『さぁ、帰るぞ・・・』

後から郷たちがいる場所に走ってやって来たのは、MATの加藤隊長と丘隊員と女性。女性の子供がアパートの屋上にいるハト小屋のハトを逃がすと言ってアパートに向かって行ったため、MATに救助を求めてきたのだった。

アパートの階段を上っていく子供の姿を確認した郷は、助けに行こうとする丘隊員を制して自分が走っていった。郷は屋上で、子供と一緒にハト小屋のハトを逃がすと、タッコングが迫っているアパートから急いで子供を連れて逃げた。

もう近くまでタッコングは迫っていた。狭いビルとビルの間を強引に進んでくるタッコングは、次々とビルを破壊していく。郷と子供は、遂にタッコングの破壊したビルの破片に押しつぶされてしまう。

ガレキの山の中で、子供が潰されないように郷が踏ん張っていたおかげで、子供はかすりキズ程度で済んだ。郷は子供が無事に逃げ出すのを見届けると、重たいガレキの圧力に屈してしまうのだった。

その時。それまで好き勝手に破壊を繰り返していた怪獣タッコングが動きを止め、激しい発光のあと逃げるように海中へ没していった。

『今の光りは何だ!?』
加藤隊長も見た、強烈な光の正体は何か。その頃、郷秀樹は重体で病院へ搬送されていた。

親代わりの坂田が病室に入ってきて、励ますように郷に呼びかける。
『聞こえるか郷!流星号は完成したぞ。いつでも走れるんだぞ!』

今や、郷の命は風前の灯であった。郷の呼吸の様子を示すフラスコの気泡が、遂に出てこなくなってしまう。手術の甲斐も無く、臨終を迎える郷秀樹。

『郷さん!』(アキ)
『郷さん、死んじゃイヤだ!』(次郎)

加藤隊長は、横たわる郷に黙礼をした。坂田は涙を見せまいとして顔を背け、ロザリオを郷の胸の上にそっと乗せるアキ。

その晩、郷が乗るはずだった流星号を、送り火にして天国へ走らせた坂田三兄弟。花束と、アキは写真を、次郎は好きなプラモデルを乗せて、ガソリンを注いで燃やす坂田。
『郷・・・俺がお前にしてやれることは、せいぜいこの程度だ。あんまり飛ばすんじゃないぞ・・・』

同じ日の晩、病院である事件が起きた。郷秀樹が蘇生したのだ。目を開ける郷。
『ここはどこだ?俺は一体どうしたんだ?』
郷は、夢を見たような気がした。夢の中で誰かが自分に語りかけていた。

『郷秀樹!私は君の勇敢な行動に感激した・・・私はこのままの姿では地球上に留まることが出来ない。そこで君に命を預ける。地球の平和と人類の自由の為に、共に頑張ろうではないか!』

あの時タッコングが強烈な光を浴びたあとに逃げるように海へ潜ったのは、ウルトマンがスペシウム光線をタッコングに浴びせたからだった。加藤隊長が見たまぶしい光の正体と、タッコングのおかしな行動の原因はこれだった。

蘇生した郷秀樹は、坂田のもとへ戻って来た。だが流星号はすでに灰になり、ガラクタと化していた。
『流星号にあなたの魂を乗せて、送り火にしたのよ・・・』

坂田アキは生きて戻ってきた郷に嬉しさを隠せない一方で、茫然とした郷に自分の笑顔を見せるわけにもいかないと思った。

郷は坂田に、もう一度流星号を作ろうと願い出るのだが、坂田は話を違う方向へ持っていく。
『君は今日から、あの人所へいくんだ。MATチームの一員として、ぜひ君を欲しいとおっしゃっている』

マットビハイクルで加藤隊長が到着すると、坂田は郷にそう言った。
『君の不屈の精神力と強靭な肉体は、我がMATチームにふさわしい。来てくれるね!郷君』
『急にそんなこと言われても、俺・・・』

そんな時、郷の耳に何かの咆哮(ほうこう;獣などがたけりさけぶこと)が聞こえてくる。「誰かが俺を呼んでいる」と思った郷は、工場に置いてある車に乗ると、自分でもわからないがどこかへ向かおうとしていた。郷はまだ自分にウルトラマンが乗り移ったことを知らない。

郷は一度死んで、ウルトラマンの命をもらって蘇生したことに、まだ気付いていなかった。加藤隊長のもとにも、怪獣出現の連絡が本部から入った。朝霧火山から出現したのは、ゴジラタイプの正統派怪獣アーストロン。口から吐く熱線で村を焼き払っていく。

MATは地上からマットシュートで攻撃するが、熱線を吐かれて炎が周囲に回り、退避するしかなかった。郷秀樹は、ウルトラマンの超能力によって怪獣の出現場所を知り、車で300キロ走って朝霧火山までやって来た。

途中で倒れた家の一部に足をはさまれている老人を郷は自分だけの力で必死に助け出すと、キラキラと輝く「ウルトラマンの光」が出現して郷を変身へと導く。郷は両手を広げてウルトラマンに変身した。

何度もチョップを繰り出すウルトラマンに、アーストロンはひるむことなく向かってくる。アーストロンの吐く熱線がウルトラマンに命中し、劣勢になるウルトラマン。

ナレーション; ウルトラマンのエネルギーは3分間しか続かない。カラータイマーが青から赤に変わると危険信号だ。ウルトラマン頑張れ!

首投げから飛行機投げに持っていき、頭部の一本ヅノをへし折ると、アーストロンは戦意喪失した。スペシウム光線を頭部に受けたアーストロンは、火口に落ちて爆発してしまうのだった。

郷秀樹は、自分でもよくわからないうちに朝霧火山付近の河原で倒れていた。郷の脳裏に声が聞こえてくる。

『郷秀樹、私はウルトラマンだ。君は一度死んだ。そこで私の命を君に預けたのだ。君はもうウルトラマンなのだ!これは君と私だけの秘密だ』

『俺はウルトラマン。俺の使命は、人類の自由と幸福を脅かすあらゆる敵と戦うこと・・・』 (つづく)


★★★★★★★★★★★★
第一話は、三体も怪獣が出てくるという大盤振る舞いの話である。あのカッコいいアーストロンがあの程度で負けてしまうのは、なんとしても勿体ない気がする。久々のウルトラマンの話に、子供時代の筆者もウキウキしたことをよく覚えている。若い人は知らないと思うけど、「肝っ玉かあさん」とのツーショットもあった(笑)



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