帰ってきたウルトラマン(3) [新マン・ドラマ]
今回は、第6話《決戦!怪獣対マット》を取りあげます。
脚本;上原正三
音楽;冬木 透
美術;池谷仙克
特殊技術;高野宏一
監督;冨田義治
【地底怪獣 グドン】
【古代怪獣 ツインテール】登場
【前回までの話は・・・ 地下ショッピングセンター近くの工事現場で掘り出された岩石は怪獣ツインテールの卵であり、マットシュートで焼いたことで命を吹き返してしまう。地下ショッピングセンターで買い物途中のアキ達は、巨大化したツインテールの卵の為に地下街に取り残されたアキは友人をかばって大怪我をしていた。ウルトラマンが現れてツインテールと戦っている時、グドンがツインテールを食べに現れる。沈む夕陽を背に、ウルトラマンのカラータイマーは赤く点滅を始めていた・・・】
▼二大怪獣の為に、東京の都市機能はマヒ状態に陥っていた。カラータイマーが赤く点滅を始めたウルトラマンは、遂に夕陽を浴びながら消えていくのだった。
『ウルトラマンが敗れた・・・こうなったら我々が戦うしかない。行くぞ!』
『はい!』
加藤隊長を先頭にして、岸田以外の隊員がマットシュートを片手に怪獣に立ち向かっていく。かなり近くまで接近した時、二大怪獣が戦っているすぐ下で郷が倒れているのを発見した上野は、隊長の承諾を得て南と共に郷を救出に向かうのだった。
戦い合う怪獣が飛ばす人の頭ほどの大きさの岩石が降ってくる中、負傷している郷に肩を貸して救出に成功した南と上野。
『MATを辞めた俺を・・・すみません』
『何を言ってるんだ、俺たちは仲間じゃないか!』
ツインテールは海に向かって逃げて行く。それを追うグドン。二大怪獣の恐怖は、とりあえず去った。地下ショッピングセンター内に閉じ込められていた五人は救助隊に助けられたが、坂田アキは友人をかばって大怪我をしていた。
都市機能が完全にマヒして、電気が来ない病院に収容された坂田アキ。真っ暗な病室に発電機で光る電燈1本が照らされて、坂田、次郎、アキの友人二人と郷が見守る中で、医師はアキの絶対安静を坂田に告げるのだった。
大怪我をしても、郷のために買ったセーターの袋だけは最後まで放さなかったアキ。南・上野の両隊員が坂田アキの病室を訪れてMATを辞めた郷にチームへ戻るよう説得するが、アキの愛情に応えようとする郷は、今はアキのそばにいてやりたいと戻ることを拒否する。
郷の言葉を耳にしたアキは、自分のことは大丈夫だからMATに帰るようにと、坂田を通じて小さな声で訴えるのだった。長官命令に従わず、MN爆弾を使わなかった加藤隊長をなじる岸田長官。
怪獣グドンが夢の島へ上陸したという情報が入り、今度こそMN爆弾で仕留めるように命令する長官に、MATチームは動く。だが、グドンにはMN爆弾の効果は無かった。
最後の切り札である「スパイナー」を使うことを決断する岸田長官。スパイナーは小型水爆並みの破壊力がある武器であった。加藤隊長は長官に反対の意を唱える。
『そんなものを使えば、東京は廃墟と化してしまいます』
『日本の首都を怪獣に蹂躙されて、黙って見ておれというのか!』
長官は自分の指揮のもと、東京決戦を行うことを独断で決めてしまうのだった。直ちに避難命令を出すことを指示する長官。東京には大勢の人間と動けない病人がいるので、避難誘導には時間がかかることを訴える加藤隊長。
だが、ことを進めたい岸田長官は、ゴリ押しで、緊急避難命令を東京都全域へ発令した。アキが入院している病院は、伊豆に移動することが決定した。
病院事務員に促される坂田は、アキの病状では伊豆までの長旅は無理だとして、郷、次郎共々自宅へ帰ることを決断するのだった。避難を拒否した坂田一家の事を聞き付けて、加藤隊長以下全隊員が坂田のもとへやって来た。
『こんな所にいると、死んでしまいますよ』
避難しない坂田一家に岸田が冷たく、そう言った。スパイナーの威力を話す岸田の言葉を聞き、郷は加藤隊長にスパイナー使用を断固反対した。
『あんなものを使えば、東京は一体・・・』
スパイナーの使用で、廃墟となった東京の町を想像する郷。強く使用を反対したのだが、長官の決定を覆せなかったと、無念そうな加藤隊長。
坂田は郷に、次郎だけでも安全な場所へ避難させるように頼んだ。坂田はアキと共に東京に残るつもりだ。それを感じた次郎は、自分も残ると言い張るのだった。
自分の為に、幼い弟や足の不自由な兄を巻き添えにしてしまうことにベッドの上のアキは心を痛め、一筋の涙を流すのだった。断固として、東京を廃墟にしてはならない。郷は、そう思った。
『MATの使命は、人々の自由を守り、それを脅かすものと命を賭けて戦う。そのためにMATはあるんじゃなかったんですか、隊長!』
『私と一緒に来てくれ。共にMATの誇りを守り、任務を遂行しよう』
スパイナーを使わずに戦う戦術を考えた加藤隊長は、岸田長官に上申した。10メートルまで接近して怪獣の目に麻酔弾を撃ち込み、動きを止めるという戦法であった。だが、危険すぎるという理由で、却下されてしまう。
しかし、今まで長官の意見に逆らわなかった甥の岸田隊員が、この時ばかりは猶予が欲しいとばかりに長官に頼み込んだ。
『長官、僕からも是非お願いします。隊長の提案通り、麻酔弾を撃ち込んでみるんです。それがダメなら、スパイナーを!』
MATの解散を賭けて行うこの作戦に、加藤隊長は全員に向かって告げた。
『我がMATは今度の戦いに、すべてを賭ける。全力を尽くして戦おう!』
夢の島に朝日が昇ろうとしていた。じっと時を待つ2台のジープ。各ジープには麻酔弾を積んだマットバズーカが装備されている。ツインテールが地底から出現して、鼻息で土を飛ばしながらこちらへ迫ってくる。加藤隊長は、できるだけ接近して目を狙って撃つよう指示した。
1号車のバズーカが左目に被弾して、目が潰れた。すぐにUターンした1号車は、しかし車輪が砂にハマリ動けなくなってしまう。郷が囮になってツインテールの意識をそらしているうちに、無事に脱出した1号車。今度は、グドンがツインテールを食いに地底から出現した。
2号車の前に出現したグドンは、尻尾で2号車を弾き飛ばしてしまうのだった。南、岸田、上野は無事だったが、グドンが近くまで接近していた。それをみた郷は、ウルトラマンに変身した。
グドンとツインテールに挟まれて格闘するウルトラマンを、マットバズーカで援護射撃するMATチーム。ツインテールの右目を狙った隊長のバズーカ砲が見事に被弾し、両目を失ったツインテールはグドンの方へ突進して行き、グドンに捕らえられてしまうのだった。
グドンの尻尾を噛んで抵抗するツインテールだったが、グドンは遂にツインテールを食い殺してしまう。グドンとの一騎打ちをするウルトラマン。側転からのキック、背負い投げ、サイドスープレックスがグドンの動きを遂に止めた。
十字を組んだ手から発射されたスペシウム光線が、動けなくなったグドンにとどめを刺した。激闘は終わった。
『みんな、無事か!』
夕陽を背にして、加藤隊長が叫ぶ。埃まみれの顔で隊長を真ん中にして集まり、無事を喜び合う隊員達。
東京が廃墟となる危機は去り、坂田家ではアキが元気を取り戻していた。窓を開けて明るい陽射しを入れる坂田と次郎。アキの回復を喜ぶかのように、ハトが木の枝にとまってアキの部屋を覗いていた。 (終わり)
★★★★★★★★★★★★
新マンの前後編は5つ(第一・二話を含む)あるが、全編を通してみてもかなり見応えのある作品として、筆者は大好きな作品である。ウルトラマン頼みの岸田長官のアホさ加減が際立つ一編である。郷同様、あんな上司の下では働きたくないね。
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脚本;上原正三
音楽;冬木 透
美術;池谷仙克
特殊技術;高野宏一
監督;冨田義治
【地底怪獣 グドン】
【古代怪獣 ツインテール】登場
【前回までの話は・・・ 地下ショッピングセンター近くの工事現場で掘り出された岩石は怪獣ツインテールの卵であり、マットシュートで焼いたことで命を吹き返してしまう。地下ショッピングセンターで買い物途中のアキ達は、巨大化したツインテールの卵の為に地下街に取り残されたアキは友人をかばって大怪我をしていた。ウルトラマンが現れてツインテールと戦っている時、グドンがツインテールを食べに現れる。沈む夕陽を背に、ウルトラマンのカラータイマーは赤く点滅を始めていた・・・】
▼二大怪獣の為に、東京の都市機能はマヒ状態に陥っていた。カラータイマーが赤く点滅を始めたウルトラマンは、遂に夕陽を浴びながら消えていくのだった。
『ウルトラマンが敗れた・・・こうなったら我々が戦うしかない。行くぞ!』
『はい!』
加藤隊長を先頭にして、岸田以外の隊員がマットシュートを片手に怪獣に立ち向かっていく。かなり近くまで接近した時、二大怪獣が戦っているすぐ下で郷が倒れているのを発見した上野は、隊長の承諾を得て南と共に郷を救出に向かうのだった。
戦い合う怪獣が飛ばす人の頭ほどの大きさの岩石が降ってくる中、負傷している郷に肩を貸して救出に成功した南と上野。
『MATを辞めた俺を・・・すみません』
『何を言ってるんだ、俺たちは仲間じゃないか!』
ツインテールは海に向かって逃げて行く。それを追うグドン。二大怪獣の恐怖は、とりあえず去った。地下ショッピングセンター内に閉じ込められていた五人は救助隊に助けられたが、坂田アキは友人をかばって大怪我をしていた。
都市機能が完全にマヒして、電気が来ない病院に収容された坂田アキ。真っ暗な病室に発電機で光る電燈1本が照らされて、坂田、次郎、アキの友人二人と郷が見守る中で、医師はアキの絶対安静を坂田に告げるのだった。
大怪我をしても、郷のために買ったセーターの袋だけは最後まで放さなかったアキ。南・上野の両隊員が坂田アキの病室を訪れてMATを辞めた郷にチームへ戻るよう説得するが、アキの愛情に応えようとする郷は、今はアキのそばにいてやりたいと戻ることを拒否する。
郷の言葉を耳にしたアキは、自分のことは大丈夫だからMATに帰るようにと、坂田を通じて小さな声で訴えるのだった。長官命令に従わず、MN爆弾を使わなかった加藤隊長をなじる岸田長官。
怪獣グドンが夢の島へ上陸したという情報が入り、今度こそMN爆弾で仕留めるように命令する長官に、MATチームは動く。だが、グドンにはMN爆弾の効果は無かった。
最後の切り札である「スパイナー」を使うことを決断する岸田長官。スパイナーは小型水爆並みの破壊力がある武器であった。加藤隊長は長官に反対の意を唱える。
『そんなものを使えば、東京は廃墟と化してしまいます』
『日本の首都を怪獣に蹂躙されて、黙って見ておれというのか!』
長官は自分の指揮のもと、東京決戦を行うことを独断で決めてしまうのだった。直ちに避難命令を出すことを指示する長官。東京には大勢の人間と動けない病人がいるので、避難誘導には時間がかかることを訴える加藤隊長。
だが、ことを進めたい岸田長官は、ゴリ押しで、緊急避難命令を東京都全域へ発令した。アキが入院している病院は、伊豆に移動することが決定した。
病院事務員に促される坂田は、アキの病状では伊豆までの長旅は無理だとして、郷、次郎共々自宅へ帰ることを決断するのだった。避難を拒否した坂田一家の事を聞き付けて、加藤隊長以下全隊員が坂田のもとへやって来た。
『こんな所にいると、死んでしまいますよ』
避難しない坂田一家に岸田が冷たく、そう言った。スパイナーの威力を話す岸田の言葉を聞き、郷は加藤隊長にスパイナー使用を断固反対した。
『あんなものを使えば、東京は一体・・・』
スパイナーの使用で、廃墟となった東京の町を想像する郷。強く使用を反対したのだが、長官の決定を覆せなかったと、無念そうな加藤隊長。
坂田は郷に、次郎だけでも安全な場所へ避難させるように頼んだ。坂田はアキと共に東京に残るつもりだ。それを感じた次郎は、自分も残ると言い張るのだった。
自分の為に、幼い弟や足の不自由な兄を巻き添えにしてしまうことにベッドの上のアキは心を痛め、一筋の涙を流すのだった。断固として、東京を廃墟にしてはならない。郷は、そう思った。
『MATの使命は、人々の自由を守り、それを脅かすものと命を賭けて戦う。そのためにMATはあるんじゃなかったんですか、隊長!』
『私と一緒に来てくれ。共にMATの誇りを守り、任務を遂行しよう』
スパイナーを使わずに戦う戦術を考えた加藤隊長は、岸田長官に上申した。10メートルまで接近して怪獣の目に麻酔弾を撃ち込み、動きを止めるという戦法であった。だが、危険すぎるという理由で、却下されてしまう。
しかし、今まで長官の意見に逆らわなかった甥の岸田隊員が、この時ばかりは猶予が欲しいとばかりに長官に頼み込んだ。
『長官、僕からも是非お願いします。隊長の提案通り、麻酔弾を撃ち込んでみるんです。それがダメなら、スパイナーを!』
MATの解散を賭けて行うこの作戦に、加藤隊長は全員に向かって告げた。
『我がMATは今度の戦いに、すべてを賭ける。全力を尽くして戦おう!』
夢の島に朝日が昇ろうとしていた。じっと時を待つ2台のジープ。各ジープには麻酔弾を積んだマットバズーカが装備されている。ツインテールが地底から出現して、鼻息で土を飛ばしながらこちらへ迫ってくる。加藤隊長は、できるだけ接近して目を狙って撃つよう指示した。
1号車のバズーカが左目に被弾して、目が潰れた。すぐにUターンした1号車は、しかし車輪が砂にハマリ動けなくなってしまう。郷が囮になってツインテールの意識をそらしているうちに、無事に脱出した1号車。今度は、グドンがツインテールを食いに地底から出現した。
2号車の前に出現したグドンは、尻尾で2号車を弾き飛ばしてしまうのだった。南、岸田、上野は無事だったが、グドンが近くまで接近していた。それをみた郷は、ウルトラマンに変身した。
グドンとツインテールに挟まれて格闘するウルトラマンを、マットバズーカで援護射撃するMATチーム。ツインテールの右目を狙った隊長のバズーカ砲が見事に被弾し、両目を失ったツインテールはグドンの方へ突進して行き、グドンに捕らえられてしまうのだった。
グドンの尻尾を噛んで抵抗するツインテールだったが、グドンは遂にツインテールを食い殺してしまう。グドンとの一騎打ちをするウルトラマン。側転からのキック、背負い投げ、サイドスープレックスがグドンの動きを遂に止めた。
十字を組んだ手から発射されたスペシウム光線が、動けなくなったグドンにとどめを刺した。激闘は終わった。
『みんな、無事か!』
夕陽を背にして、加藤隊長が叫ぶ。埃まみれの顔で隊長を真ん中にして集まり、無事を喜び合う隊員達。
東京が廃墟となる危機は去り、坂田家ではアキが元気を取り戻していた。窓を開けて明るい陽射しを入れる坂田と次郎。アキの回復を喜ぶかのように、ハトが木の枝にとまってアキの部屋を覗いていた。 (終わり)
★★★★★★★★★★★★
新マンの前後編は5つ(第一・二話を含む)あるが、全編を通してみてもかなり見応えのある作品として、筆者は大好きな作品である。ウルトラマン頼みの岸田長官のアホさ加減が際立つ一編である。郷同様、あんな上司の下では働きたくないね。
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2016-06-28 23:29
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