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ウルトラマン(3) [初代マン・ドラマ1]

《第12話 ミイラの叫び》を取りあげます。

監修;円谷英二
脚本;藤川桂介
音楽;宮内国郎
特殊技術;高野宏一
美術;成田 亨
監督;円谷 一

    【ミイラ人間(満月英世)】
【ドドンゴ(新垣輝雄・清野幸弘)】登場

▼鬼ノ台丘陵の洞窟で発掘されたミイラが、研究員たちの手によって担架で運ばれていく。保存状態が良く、原形をほぼ保ったまま発掘されたミイラ。運ばれていくそれにかぶせた布をめくって顏をみたアラシが一瞬息を呑むほど、ミイラの顏は不気味であった。

調査団に同行している宮本博士によれば、洞窟内の壁画から推定して七千年は経っていると思われるという。許可を得てアラシとハヤタが洞窟内の壁画を見に行くと、それはあまりに巨大なので、何が描かれているのかよく分からなかった。

その夜、ミイラは科学センターの一室に安置されることとなった。七千年の謎を秘めたミイラの顔は、見れば見るほど不気味であった。
『これが七千年も前の人間の姿か・・・』

胸から下をきれいに包帯で巻かれベッドの上に横たわっているミイラを見て、アラシはそうつぶやいた。口は耳まで裂け、耳は先が尖っている。鼻はペシャンコだが、目つきが鋭い。まさかこの夜、このミイラをめぐって奇怪な事件が起ころうなどとは、誰一人予想だにしていなかったのである。

守衛室では、二人の守衛が将棋を指していた。巡回パトロールの時間になったため、A守衛が真っ暗な館内を懐中電灯の灯りを頼りに見回りに出かけた。コツコツと靴音が響く中、2階の奥の部屋で何か音がすることに気付いたA守衛は、急いでその部屋の鍵を開けて中に入ってみた。

すると、中ではバリバリと音を立てて、何かの装置が動いている様子であった。電気装置を使ったまま帰ってしまったのか、主電源レバーがオンのままであった。

『なんだ、仕様がねぇなぁ、まったく!』

A守衛が電源を切ってふと後ろを振り向くと、目の前には甦ったミイラが立っていた。
『あぁ、だ、だれか・・・』

恐怖におののくA守衛の首を、ミイラはものすごい力で絞めあげた。ミイラは部屋を出て、階段のある方向へゆっくりと歩いていく。悲鳴を聞いたB守衛が急いで階段を駈け上がって行くと、階段の踊り場でミイラと鉢合わせしてしまった。

驚きのあまり、階段を後ろ向きのまま滑り落ちたB守衛は、壁の警報器に必死に手を伸ばしてベルを鳴らした。だがそのとき、ミイラの目から怪光線が発射され、B守衛は即死してしまうのだった。死んでいると思われたミイラは超能力を使って電源を入れると、自分の身体に電流を流して甦るために必要な力を蓄えたのだ。

身体が動かせるようになったミイラは、守衛二人を殺害して逃走した。その情報は、すぐに科学特捜隊にもたらされた。

『キャップ!ミイラが姿を消してしまったそうです』
『おいイデ、報告は正確に。この場合はだな、何者かの手によってミイラは盗まれたと、訂正すべきところじゃないのか?』

『それが訂正しなくてもいいんですよ、アラシ君。殺された二人は、明らかにミイラと格闘した形跡を残しているんです。ミイラは何かのショックで息を吹き返し、警備員二人を殺して逃げたということになるんだ・・・』

逃げ出したミイラは、近くの下水処理場に侵入したらしいことが判明。ミイラが通ったと思われる通路にあった鉄の扉が、ものすごい力で破壊されていた。下水処理場に到着した科特隊は、宮本博士に死んだミイラがなぜ生き返ったのか尋ねた。

『結論から言うと、あのミイラは生きていたんだよ』
『博士は、死後少なくとも七千年は経過していると、発表したはずです』(ムラマツ)
『それじゃあ、死にながら生きていたと訂正しようか。一種の冬眠状態にあった訳だ』

下水処理場にミイラを追い詰めたという連絡が、警官隊から科特隊に告げられた。宮本博士は、科特隊の隊員たちに大声で依頼した。

『できるだけミイラを生け捕るように頼む。君達の新兵器で攻撃されたら、ミイラはひとたまりもない。生け捕れば、七千年の生命を保ち続けた謎も解ける』

宮本博士の依頼を実行すべく、科特隊は下水処理場へと向かった。警官隊50名ほどが待機しているところへ合流した科特隊が目にしたのは、暗い下水処理場の奥から両目が異様に光輝いて猛獣のような叫び声をあげるミイラだった。

警棒を持った警官隊が一斉にミイラを捕まえようとするのだが、ものすごい力で弾き飛ばされてしまう。そのうち一人の警官が恐怖のあまり、ミイラに向け発砲した。銃弾は右肩に当たり、右肩を押さえながらミイラは発砲した警官をにらみつけると、その目から怪光線が発射された。

他の数名の警官にも怪光線を浴びせながら、ミイラは空に向かって猛獣のような声で吠えていた。それは見ようによっては、助けを求めているようにも見えた。警官隊に犠牲者が出て、ミイラの生け捕りをあきらめるムラマツキャップ。

キャップの命令で、アラシはスパイダーショットでミイラの腹部を攻撃した。しばらくは持ちこたえていたミイラだが、とうとう力尽きてバタリと倒れてしまった。
『お前を発掘しなければ、まだまだ眠りについていられたのに・・・』

ムラマツキャップは、生け捕りに出来なかったことよりも発掘してしまったことを、ミイラに詫びるかのようにつぶやくのだった。ミイラが拳銃で撃たれ、空に向かって吠え声をだしていた頃、鬼ノ台丘陵の発掘現場では突如地震が発生していた。そのため、発掘調査委員のメンバーたちは緊急避難をした。

洞窟内は岩壁が崩れ落ち、洞窟の壁面に描かれた絵から抜け出たような四つ足の巨大怪獣が出現した。下水処理場でミイラ人間にとどめを刺したムラマツキャップのもとに、本部のフジ隊員から緊急連絡が入った。

『キャップ、大変です。鬼ノ台丘陵のミイラ発掘現場から、今度は怪獣が現れたそうです!』

現場へ向かうビートル機内で、「怪獣はミイラの呼ぶ声で姿を現した」というフジ隊員の説は、あながち間違いではないかもしれない。中国神話に出てくる霊獣、麒麟(きりん)に似た姿の怪獣ドドンゴは、高速道路を破壊して石灰採掘工場を襲おうとしていた。採掘工場のタンクを破壊した怪光線は、ミイラのモノと同じだ。

『怪光線を出す目をやっつけるしかない!』

アラシはそう言うと、イデに依頼していた新兵器を催促した。ビートルは着陸すると、新兵器バリアマシーンを装着したアラシが、ドドンゴの目を狙うために怪獣の近くまで寄って行く。ドドンゴの怪光線がアラシに命中しても、アラシの身体を包むように覆うバリアが怪光線を弾いてしまうのだ。

アラシはスパイダーショットで、ドドンゴの右目を潰すことに成功した。だが、アラシが隠れている岩に怪光線が当たり、岩と一緒に吹き飛ばされたアラシは意識を失ってしまった。それをみたイデが、アラシのスパイダーを引き継いで左目も潰し、ドドンゴは両目が見えなくなった。

方向感覚を失い、あちらこちらに動いて暴れ回るドドンゴ。背後から攻撃するよう指示を受けたハヤタは、岩陰に隠れてウルトラマンに変身した!

背後から飛び乗り、馬乗りになってドドンゴの尻を叩くウルトラマン。目が見えないドドンゴは、思い切り暴れ回ってウルトラマンを振り落としてしまう。振り落とされた横向きの態勢から、両手を十字にかまえたウルトラマンは、照準をドドンゴに合わせた!

スペシウム光線を浴びたドドンゴは前足を折ってガックリと倒れ、四本の足をばたつかせながら遂に息絶えた。その戦いの様子を見ていた宮本博士は、ぽつりとつぶやいた。
『ムラマツ君。遂に怪獣も死んでしまったね・・・』

生かしておけば被害が出るばかりなので退治するしかなかったと、ムラマツキャップは宮本博士に謝るのだった。七千年の生命の秘密を解けなかった無念さが残る宮本博士。ミイラと怪獣の不思議な関係にも、宮本博士はメスを入れたかったにちがいない。

『こんなことになると、初めからわかっていればね・・・』
発掘などしなかったのだがと、怪獣の屍骸を見ながら、心の中でそう思う宮本博士だった。
(終わり)


★★★★★★★★★★★★
今回初めて、ウルトラマンがハヤタの姿に戻るシーンが明かされる。飛行しながら両手の先からリングを出して、そのリングが適当な場所でハヤタの姿に変わるわけだ。



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