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ウルトラマン(2) [初代マン・ドラマ1]

《第19話 悪魔はふたたび》を取りあげます。

監修;円谷英二
脚本;山田正弘・南川 龍
音楽;宮内国郎
特殊技術;高野宏一
美術;成田 亨
監督;野長瀬三摩地

 【赤色火炎怪獣バニラ(田尻康博)】
【青色発砲怪獣アボラス(中村晴吉)】登場


▼東京都内のビル工事現場で、不思議な銀色のカプセルが発掘された。警察からの通報を受け、科特隊と宇宙考古学の権威・福山博士が現場に到着。放射能測定をおこなった結果、危険が無い事が判りひと安心する一行。長さが2メートル程、直径が0.5メートル程の大きさで、未知の金属で出来ているようだった。

カプセルには3億5千年ほど前の化石が付着しており、古代人類が残したタイムカプセルではないかと推測された。フタを開けてみると、中には青い液体らしきモノが入った1メートルほどの小型カプセルと、銀板が1枚入っていた。

銀板には裏表とも文字や絵らしきものは書かれておらず、それは福山博士が持ち帰って調査をすることになった。青い液体のカプセルは同行していた石岡博士が持ち帰り、分析することになった。工事は再開され、静かだった工事現場は、再び重機の騒音がこだまする世界に戻った。

『まだ、出てくるんじゃないか?』
『何言ってるの!3億年前から何度も地殻は変動しているんだもの。あったとしても、今頃は海の底か地底で眠ってるわよ・・・』

イデ隊員の意見にフジ隊員が反論していたが、イデの勘は当たっていたのである。少し離れた場所で、工事を再開したショベルカーが、もうひとつのカプセルを土砂と一緒にすくいあげていた。そのカプセルは誰の目にも触れることなくダンプカーに積まれ、工事現場を後にした。

ダンプカーにしばらく揺られていたカプセルは別の工事現場へ到着すると、荷台を傾斜させたダンプカーから土砂と一緒に崖下へ転がり落ちていった。ゴロンゴロンと斜面を転がり落ちたカプセルには、赤い液体らしきモノが入っていた。

【3億5千年前に埋められたこのカプセルは、一体誰が、どんな目的で埋めたのだろうか・・・】

科特隊基地へ戻った隊員達は、カプセルについて意見を交わしていた。
『3億5千年前といえば、恐竜やマンモスが地球上を支配していた時代だ。人類はサルと同じだった。その人類がだな、タイムカプセルなんてものを・・・』

『ちょっと、アラシ隊員。恐竜やマンモスが歩き回っていたのは、1億5千年前です。人類はまだいなかった!3億・・・』

『3億5千年前と言えば、氷河期以前。つまり我々よりもっと進んだ文明を持つ人類がいたと言われる、謎の時代なのよ!』

アキコ隊員が正しく解説していた時、部屋に入ってきたムラマツキャップは、こう言った。
『カプセルの中身が何かの方が、我々にとって問題なのだ』

文明の進んだ人類が作ったものなら、あの青い液体は水爆以上に強力な爆薬かもしれないとアラシが言う。いや、タイムカプセルという以上は、後世に残したい素晴らしい遺産にちがいないとイデ。こうしてこの二人は、いつも意見がぶつかるのだ。

そんな時、福山博士から連絡が入り、カプセルに入っていた銀板はカプセルの内容を書いた書類らしいことが判明する。ハヤタとイデに福山博士のもとへ行くよう、キャップの指示が飛んだ。

福山博士の研究所へ行った二人は、博士から説明を受けている時に、うっかりイデが手を滑らせて銀板を床に落としてしまう。
『しまった!』

急いで拾おうとしたイデに、ハヤタが声をかけた。
『待てイデ。博士、あれを!』

ハヤタが見つけたのは、床に落ちた銀板が太陽光線を反射させて、壁に映し出した文字だった。
『そうか、反射させればよかったのか!』

銀板の中を読み取ろうとレントゲンや超短波を当ててみても、何も分からない。途方に暮れていた矢先のことだっただけに、博士の喜びはたいへん大きかった!
『あの文字は、沈んだ大陸ミュー帝国の文字によく似ている。必ず解読してみせますよ!』

福山博士と研究所員は、先程の文字を写真に撮ると、研究室に閉じこもった。長い時間が経った。見たことも無い文字を、辞書も無く解読しようとするわけだから、大変根気がいる作業である。

その頃、青い液体の入ったカプセルを持ち帰った石岡博士の研究所では、カプセルを開ける方法を試行錯誤していた。火炎や電気ノコギリなどいろいろ試してみるが、失敗していた。カプセルの中身は、あの銀板に書かれた文字を解読すれば判明すると、ハヤタも博士も考えていた。

東京北部に雷雨が発生し、ダンプカーに揺られて捨てられたもう一つの赤い液体のカプセルに、偶然落雷した。その瞬間、カプセルが破壊され、巨大な赤い怪獣が出現した。赤い怪獣は口から火炎を吐きながら、進んでいく。

科特隊本部に怪獣出現の一報が入り、ビートル2号機でアラシが出動した。あとからビートル1号機でムラマツキャップとイデが出動したが、赤い怪獣は手強い。ビートルは2機とも、積んでいるロケット弾が底をついてしまった。

なかなかカプセルを破壊するきっかけがつかめない石岡博士のチームは、雷撃装置を使うことにした。5万ボルトから始めて、徐々に電圧を上げていく。福山博士が血相を変えて、研究室から飛び出してきた。

『ハヤタ君、君の心配が当たった。この銀板には恐ろしいことが書いてあった!』
『恐ろしいこと?』

『我々はやっと、悪魔の怪獣、赤いバニラと青いアボラスを捕らえ、液体に変えて地中深く埋めた。決して開けてはならない。再びこの怪獣に生を与えたならば、人類は滅亡するであろう・・・』

文字を解読した福山研究所の所員が急いで石岡博士のチームに電話をかけたが、電話が通じない。人類は、開けてはならない玉手箱を自らの手で開けてしまったのだった。カプセルに10万ボルトの電圧をかけていた石岡博士の研究所の屋根を突き破って、巨大な青い怪獣が出現していた。

青い怪獣は口から白煙を吐くと、それを浴びたビルがブクブクと泡の様に溶けてしまうのだった。青い怪獣はビルや高速道路を破壊しながら、前進していく。ビートルに積んでいたロケット弾が無くなって本部へ戻ってきたキャップたちは、2匹の怪獣の弱点について、銀板に何か書かれてなかったかを福山博士に尋ねた。

だが、それらしいことは、何も書かれていなかった。カプセルの破壊に取り組むのは、銀板に書かれた文字を解読してからにするべきだったと、福山博士は自分の軽率さを詫びた。だが、今はそんなことよりも、どうやって怪獣を退治することか考える方が先だ。福山博士は、いちるの望みを両者相討ちに賭けている。

『野獣の闘争本能で、2匹が戦い合ってくれることを祈っています・・・』
赤いバニラと青いアボラスは、互いに引きあうように進んでいく。

やがて両者は、国立競技場で激突した。福山博士も責任を感じて同行することを望み、再び科特隊は出動した。アボラスの吐く白煙とバニラの吐く火炎が空中でぶつかり、激しく破裂した。組み合う2匹の怪獣達によって、国立競技場は瓦礫の山になりつつあった。

新兵器原子弾をつかおうとするアラシに、福山博士が目を狙うようにアドバイスした。スーパーガンの先にカートリッジを取り付け、バニラの左目にそれは命中した。倒れたまま苦しむバニラにアボラスの口から吐いた白煙がかかり、バニラの全身は真っ白な泡に覆われて溶けてしまった。

科特隊の持つスーパーガンもマルス133も、エネルギーが無くなり攻撃できなくなってしまった。イデと組んで戦っていたハヤタは、イデをキャップと合流するように追い立てると、ベーターカプセルのボタンを押した!

空からウルトラマンがドスンと降りてきて、アボラスの前に立ちふさがった。ドロップキックを見舞うウルトラマンだが、アボラスは倒れない。アボラスの突進力は凄まじく、倒れたウルトラマンに馬乗りになって攻撃してくる。

アボラスとの間を開けて、スペシウム光線を放つ態勢のウルトラマンを、アボラスの白煙が襲った。一瞬静けさが広がり、泡まみれになって動かなくなるウルトラマン。
『あっ、ウルトラマンが・・・』

泡を吹き飛ばしたウルトラマンだが、カラータイマーは赤く点滅を始めた。もう時間が無い。倒れたアボラスにスペシウム光線を見舞ったが、一発では倒れない。白煙を吐いて応戦するタフなアボラス。素早く身をかわし、もう一発スペシウム光線を発射!再度白煙を吐いて応戦するアボラス。

もう一度かわしたウルトラマンは三発目のスペシウム光線を撃ち、遂にアボラスは粉砕されるのだった。 (終わり)        


★★★★★★★★★★★★
30分で描くには、内容が満載すぎる回である。ちなみに準備稿では、アボラスだけが出てくる展開だった。もう一つのカプセルには、アボラスを捕らえた時代の人類が入っていて・・・、という展開であったそうだ。

ところで、当初イデ隊員役には、俳優の石川進氏が採用されていた。キューピーちゃんというニックネームで人気者の石川氏は結果的にウルトラマンを降りたわけだが、

幸いにもこのことが、二瓶正也氏演じる科特隊のギャグメーカー・イデ隊員を生むことになった。石川イデ隊員だったら、全く違った雰囲気の科学特捜隊になったであろうことは想像に難くない。



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