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マグマ大使(11-2)終 [マグマ大使・ドラマ3]

今回は、第52話『宇宙の帝王ゴア対マグマ大使最後の戦い』を取りあげます。 

 原作:手塚治虫 
 音楽;山本直純
 脚本;高久 進
 特撮演出;堺 武夫
 特撮美術;入江義夫
 特殊造形;開米栄三
 監督;船床定男

〖宇宙大怪獣 ゴアゴンゴン〗登場

【前回までの話は・・・
地球を征服するために送りこんだ宇宙怪獣を、ことごとくアースとマグマ大使によって退治されてしまったゴアは、村上家に放ったロボットオウムの情報により、アースの寿命が尽きることを知る。この機会を逃すまいと正体を明かして怪獣ゴアゴンゴンに変身したゴアは、マグマ大使に最後の決戦を挑む】


◆ゴアはマモルや村上の目の前で巨大化すると、自分の本当の姿である怪獣ゴアゴンゴンに変身した。東京タワーを破壊し、ビル街を破壊するゴアゴンゴンに、マモルは笛でマグマ大使を呼ぶ。

だが、マンションの一室に取り残された赤ん坊を助けるため、ゴアゴンゴンの絶対零度の超低温光線を右手のひらに受けてしまう。

赤ん坊の母親がスクランブル隊のいる最前線までやってきて、泣き叫びながら救助を請い願うのだが、スクランブル隊は手をこまねいて見ているしかなかった。

子供の命など何とも思わず破壊を続けるゴアゴンゴンに、このままではマグマ大使が危ないと思ったマモルは、笛を一つ吹いてガムを呼んだ。

マグマ大使が、ゴアゴンゴンをマンションからできるだけ遠ざけている間に、ガムに乗り込んだマモルはマンションの部屋へ行き、赤ん坊を救出することに成功する。間一髪、マンションが全壊する直前に部屋から脱出したガムのロケットは、マモルが赤ん坊を連れて無事に戻ってきた。

ピンチが去ったマグマは切り札の「ジェット気流」を使うため、ロケットに変身して上昇していった。ゴアゴンゴンは超低温光線を吐きながら破壊を続け、町はビルの瓦礫の山と化していた。

上昇しながら自らの身体を回転させ超強力な竜巻を起こす「ジェット気流」は、しかしマグマにとっても命がけの技である。だが、ゴアは「ジェット気流」の恐ろしさをよく知っているため、この場から姿を消して逃げていくのだった。

マグマは、火山島基地へ帰って行く。一方、円盤に戻ったゴアはマグマの後を追いかけて、火山島基地を見つけ出そうとしていた。そして、命が尽きようとしているアースもろとも、火山島基地を吹っ飛ばすつもりであった。

が、マグマが戻ってきたのは火山島基地ではなく、噴火直前のただの火山島であった。マグマのワナにかかり、火山島基地だと思ったゴアは、瞬間移動で火山島の中で待つマグマ大使の前に現れた。

『待っていたぞ、ゴア』
『マグマ、くたばり損ないのアースはどこに居る?』
『ここはマグマ基地ではない。あと数秒で爆発する活火山だ。お前は火山の爆発で吹っ飛ぶのだ!』

一杯食ったことを知ったゴアは、巨大化してゴアゴンゴンに変身すると、超低温破壊光線でマグマの息の根を止めようとした。マグマはゴアの吐く超低温破壊光線をギリギリ避けると、反撃の熱線砲がゴアゴンゴンのツノに命中した。

火花を散らして爆発したゴアゴンゴンのツノ。次の瞬間、ロケットに変身するとすぐに上昇して飛び出したマグマ。火山島は大噴火を起こし、噴火口の形が変わってしまうほどの大噴火だった。ゴアは・・・。

片ヒザをついて、転がり込むように円盤に戻ってきたゴア。手傷を負い、かなりのダメージを受けたゴアだった。
『マグマ、喜ぶのはまだ早いぞ!ゴア様は生きている。貴様と最後の決戦を挑んでやる!』

『俺様が勝つか、貴様が勝つか。マグマ、覚悟して向かって来い!俺も命を賭けて、貴様が来るのを待っているぞ!』

ゴアはその言葉通り、マグマを倒すための秘策を練った。まず村上家に現れて、マモルを拉致していった。

『お前がアースからもらった超音波の笛が、邪魔なのだ。お前を円盤に連れていき、今度こそマグマを呼べないようにしてやる!来い!』

村上と母の目の前で、ゴアは自分のマントをマモルにかぶせると、マモルと一緒に消えてしまうのだった。村上と母は、至急国際スクランブル隊に連絡して、ゴアの円盤の位置を捜索してもらえるよう手配した。

全世界のレーダー基地に捜索依頼をしているが、ゴアの円盤は今だ見つからない。村上はふと、あの時の事を思い出した。

『ゴアは超音波の笛が邪魔だと言った。だがそれだけじゃない。笛が邪魔なら破壊すればいい。ところが、マモルも一緒に連れて行った。これにはきっと計略があるんだ』

その頃、ゴアの円盤内では、マモルが気を失って倒れているすぐ横で、ゴアがマモルから取り上げた笛を持って、ゆっくりとマモルのそばを歩いていた。マモルはさっきから気が付いていたのだが、ゴアの様子を片目を開けて、窺っていたのだ。

ゴアが、気絶しているマモルの手の届くところで笛をぶら下げているのをみて、素早く行動を開始するマモル。ゴアから笛を取りあげたマモルは、3回吹いてマグマ大使を呼んだ。

『アハハハ。とうとうワナにはまったな。お前を円盤に連れてきたのは、お前に笛を吹かせてマグマを呼び寄せるためだ。我々が吹くと、音感が違ってマグマに疑われるからな・・・ハハハハ』

マモルを助けるため円盤に近づいてくるマグマ大使に、ゴアは強力な電磁波光線を浴びせる計画を立てた。電磁波を浴びせられたロケット・マグマは機能が完全に狂い、宇宙空間を燃料が切れるまで飛び続けるのだ。

そして最後には、無重力の死の世界を永遠にさまようことになるだろう。ゴアはマモルにそう説明すると、マモルの笛を足で踏みつぶしてしまうのだった。

マモルが吹いた笛でマグマ大使とガムが現れ、ガムが円盤に侵入してマモルを救い出した。そんなことはお構いなしのゴアは、あとから円盤に向かって来るマグマに電磁波光線を発射した。

機能が狂い出したロケット・マグマは、どこへ向かうでもなく飛行していた。ガムがどこへ行くのか聞いても答えずに、宇宙へ向かって飛んで行くマグマ。ガムは火山島基地へ戻ると、モルとアースにマグマの異変を伝えた。

アースはマグマにテレパシーで語りかけるが、寿命がほとんど尽きているアースに、マグマを探しだす力はもう無かった。

マグマを探しに行くと言い出すガムとモルに、杖にしがみつく様に立ってアースは言う。
『宇宙は無限じゃ。マグマに巡り会うことは出来ぬ・・・』

『アース様ぁ!アース様ぁ!』
マグマは、自分がどこを飛んでいるのかもわからず、どこへ行こうとしているのかもわからなかった。そして、アースの寿命が尽きる時がついに来た・・・。

『オリンポスの神々よ、マグマを助けたまえ。マグマが倒れれば、宇宙はゴアに征服され、暗黒になり申す。オリンポスの神々よ、マグマを助けたまえ・・・』

火山島基地で、命尽きて倒れるアース。アースは命を全うして、永遠の命を得たのだった。アースは宇宙になった。だから、マグマが宇宙のどこに居てもその居所が分かるのだ。

アースは宇宙空間にその凛々しい姿を現すと、杖を大きく振り上げて、杖の先から出す機能回復光線をマグマに当てた。
『ワシはオリンポスの神々のもとへ行く。マグマよ、お前達はゴアを叩きつぶすのじゃ。行け、行くのじゃ・・・』

凛々しい姿のアースが、宇宙空間に消えていった・・・。
正常に戻ったマグマは、探しに来たモルとガムに合流するとゴアラ遊星へと向かった。
『ゴアのことだ、行き先はきっとゴアラ遊星だ』

極寒のゴアラ遊星で、マグマ大使とゴアゴンゴン最後の戦いが始まった。マグマのドロップキックがゴアゴンゴンの腹部にヒットし、倒れたゴアゴンゴンにミサイル弾を撃ち込むマグマ。

大きな叫び声を残し、口を開けたまま完全に動かなくなったゴアゴンゴン。ついにゴアは死に、地球は救われたのである。

マモルとガム、マグマとの別れの時が来た。マグマは、オリンポス山のアースに誓う。
『もし第二第三のゴアが地球を侵略に来ても、我々が命を賭けて撃退します。アース様がお創りになられたこの美しい地球を渡しはしません』

空にかかる虹の上から、アースがマグマたちを呼んでいる。
『マモル君、村上さん、そしてみなさん、さようなら』
虹に向かって飛び立っていくマグマ、ガム、そしてモル。 (終わり)


★★★★★★★★★★★★
最終回は、全3話に分けてもよかったのではないかと思う。アースの死、マグマ最大の危機、ゴアの最後。これらを3話に分けて、存分に映像化してほしかったな。



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