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ウルトラマンエース(16) [ウルトラマンA・ドラマ2]

「ヤプールの地球総攻撃三連発」の最終回は、第23話 『逆転!ゾフィ只今参上』を取り上げます。

脚本;真船 禎  
特殊技術;高野宏一
監督;真船 禎
ナレーター;岸田 森

〖ヤプール老人〗
〖異次元超人ヤプール〗 登場


◆地球征服を狙うヤプール人は、これまでに様々な計略を巡らしたが、TACとウルトラマンAによってことごとく阻止されてきた。ヤプール人は遂に、自らが手を下す作戦に出てきた!

日中の買い物客でごったがえす都内某所に現れた、みすぼらしい身なりの老人。ボサボサの髪に薄汚い着物を着て、右手には杖を持ち、終末予言の街頭演説を始めたのだが、ほとんどの客は無視して買い物を続けていた。

だが、話が終わると、奇妙な歌を歌いだすのであった。
『お前はかーみ(神)を信じなさい ホレ信じなさい ホレ信じなさい♫ 』

この老人の歌にすぐ反応したのは、親と一緒に買い物に来ていた小さな子供達だった。老人のこの歌は、まるでドリフの志村けんのギャグのように、たちまち全国の子供達の間に広まっていった。しかも、流行り出しただけではない。

その老人が現れると、子供達はその歌を歌い踊りながら、老人の後を追いかけてどんどん集まってくる。そして集まった子供達は、老人と共に忽然と消えてしまうのだった。

老人は、やがて日本各地のありとあらゆる場所に現れるようになった。鹿児島、秋田、千葉、愛媛・・・転々と現れ、目撃される老人はみな同じ風体であった。みな同じひとりの人物なのか、それとも同じ人物に似せた別人なのか・・・。

『お前はおーれ(俺)を信じなさい ホレ信じなさい ホレ信じなさい♬ 』
その老人は子供達を集めては、演説をするのだった。

『海は青いか?』 と老人が問う。
『青い!』    と子供達は答える。
『違う!海は真っ黄色だ!見ろ!』
子供たちの目に、黄色い海が広がって見える。

『そうだ、海は青くない。真っ黄色だ!』
子供たちはそう答えて、老人に同意するのだ。

『山は緑か?』
『緑だ!』

『違う!山は緑ではない、真っ茶色だ!』
子供たちの目に、木々の緑がまったく無いただの土の山が見える。
『そうだ、山は真っ茶色だ!』
子供たちは復唱して、老人に同意するのだ。

『お前はお前を信じなさい ホレ信じなさい ホレ信じなさい♬ 』

洗脳されてしまった子供たちには、老人の本当の姿が見えてはいない。老人の目は鋭く吊り上がり、真っ赤な唇の端もまた吊り上がっていた。集まってくる子供たちは、老人を中心にして、円を描く様に回りながら歌い踊っていた。

パトロール中の北斗が、ポイント・XYZ地点で崖の上から付近一帯を双眼鏡で眺めていると、下に見える海岸で歌い踊っている老人と子供達が見えた。特に異常も無く、定時連絡を済ませた北斗は、もう一度崖の上から海岸の様子を見ていた。すると、双眼鏡の中の老人と子供達が一瞬にして消えてしまったのだ。

消えた子供達は、いったいどこへ行ったのか?老人と子供達を探すため、北斗は海岸へ下りてみた。すると、夏だというのに激しく雪が降ってくるではないか!吹雪の中であの老人ひとりだけが、海岸で踊っている姿を見つけた北斗は、老人を走って追いかけていく。

追い着いた北斗に振り向いたその男の顔は、ゴリラの顔をしていた。男は口から火炎を吐きながら、北斗に襲いかかってくるのだった。本部へ連絡したが、通じない。海岸に降りたはずの北斗は、いつしかゴリラ男に断崖絶壁へ追い詰められ、転落してしまうのだった。
『あーっ!』

あの断崖から落ちて、左手骨折と頭部打撲だけで済んだのは、不幸中の幸いと言うしかない。ヤケドも負っていた。このヤケドはゴリラ男が吐く火炎で負ったものにちかいないと、北斗の報告を信じる夕子は他の隊員達の前で断言した。

だが、他の隊員たちや竜隊長さえも、北斗の報告を信じてはいなかった。なぜなら、XYZ地点は断崖絶壁だが、すぐ下は海で砂浜など無いのだ。そこで実況見分をするために、XYZ地点に北斗を連れていく夕子。

現場では山中隊員と今野隊員が待っていた。
『この崖の下に、砂浜が見えるでしょう?』

そう言いながら、断崖へ立つ北斗がそこで見たものは、荒波と岩に散る波しぶきであった。唖然とする北斗。北斗にいたわりの言葉をかける山中隊員。
『お前は疲れているんだよ・・・』

しかし、子供達が消える事件は、日本だけに止まらなかった。世界中の子供達が集団で消えているという情報が、世界各国からTAC本部にもたらされていたのである。フランス、スペイン、アメリカ・・・主要各国の子供たちが、それぞれの言語で歌われるあの歌と共に消えてしまっていたのである。

竜隊長の姉の子供が二人消えたという情報が、もたらされてきた。竜隊長は、北斗に言う。
『北斗。これはこの世の出来事ではないんだ。夜空の星の数が、ここの処、急に増えたと思わないかね?』

空を見上げて、「そういえば・・・」と感じる所がある北斗。子供の消える数だけ、夜空の星が増えているのではないか。子供達が消えて星になる。これはこの宇宙ではない、他の超能力の仕業としか思えないという竜隊長。つまりヤプールの仕業としか思えないというのだ。

北斗が見たという砂浜も真夏の雪も、異次元世界の出来事だったのだろう。このままでは、地球上の子供達がすべて異次元に連れ去られて、人類は滅亡の危機にさらされてしまう。だが、どうやってヤプールに攻撃をしかけるというのだ?相手は異次元世界の住人だ。

現世界から異次元世界に突入する方法を、我々はまだ発見してはいないのだ。それを解決する手段を、梶技師は考えついていた。「メビウスの輪」の理論を人間に当てはめるという。「メビウスの輪」とは、裏の無い世界を作る方法のことだ。

ふつう、紙は2次元なので裏と表がある。だが、適当な幅に切った紙を用意して、一度ひねってからつなぎ合わせると、表しかない紙が出来上がるのである。この理論を人間に当てはめれば、異次元世界へ行くことが出来ると梶技師は言う。

ただし、人間は紙とは違い複雑な構造を持っているので、死ぬ危険性もあるという。だが北斗は、ヤプールを倒して子供たちを取り返すために、決死のその役を志願した。

メビウスの輪の理論で異次元へ向かうカプセル型マシンに、北斗は乗り込む。北斗の肉体がこの過酷な試練に耐えられるのか分からないが、すべての希望を乗せて実験は始まった。そして・・・ある時、梶たちが見守る前で、パッと消えて無くなるカプセル。

『どうした!梶君』
『隊長、成功です!』

子供たちを救うという強い思いと強い肉体が、北斗を異次元世界に送り出すことに成功した。いま異次元世界を漂流している北斗星司。だが、ヤプールの狙いはここにあったのだ。なぜなら、北斗だけではエースになれないからだ。その弱点を突いたヤプール作戦!

だが、はるか遠くM78星雲からの指令が、夕子に届く。今こそ二人が、手をつなぐ時だと。
夕子を異次元世界に連れていく役割を、ゾフィが果たす!
『行け、夕子。星司と共に。そしてヤプールを倒せ!』

ゾフィは異次元空間に夕子を放ち、夕子は北斗を探した。
『夕子!』
『星司さーん!』
『ウルトラ ターッチ!』

異次元世界に立つウルトラマンエース。異次元世界に住むすべてのヤプールがいま合体して、真っ赤な巨大ヤプールに変身した。腹部に腹黒い毛がたくさん生えている巨大ヤプール。
『来たな。ウルトラマンエース!』
『ヤプールというのは、お前か!』

エース対ヤプール、一対一の格闘。お互いに光線技を繰り出すが、お互いに弾き飛ばしてしまう。互角の対戦。だが、両手を左右に広げて放ったエースのストレート光線が腹部に命中、弱った所にメタリウム光線でとどめを刺すエース。

『覚えていろ・・・ヤプール死すとも超獣死なず!怨念となって、必ずや復讐せん・・・』

子供たちを誘拐していた謎の老人はヤプールの化身だったが、巨大ヤプールの死と共に消え去った。ヤプールの身体は大爆発して粉々になり、塵のように地球に降り注いでいった。

異次元世界に誘拐されてきた世界中の子供達が、ヤプールの死によって地球へ生還することが出来た。だが、これでは終わらない。ヤプールは最後の怨念を、自分の屍に込めた・・・。 (終わり)


★★★★★★★★★★★★
ウルトラマンAによって粉々になったヤプールの残骸が、地球に降り注いで赤い雨となり、配下のマザロン人の復活(第24話)につながっていく。

自分の身体の欠片を使って人間の女性に寄生したヤプールは、マザロン人と超獣マザリュースを造り上げる。だが超獣は虚像に過ぎず、エースは富士山の地下に隠れていたマザロン人を倒して、ここにヤプールの野望は完全につぶされたのだった。

マザロン人の話はさほど面白くないので、割愛して「三連発」にしました(^^♪
長くなりましたが、お読みいただき、ありがとうございました!


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