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ウルトラマンエース(13) [ウルトラマンA・ドラマ2]

今回は、第28話 『さようなら夕子よ、月の妹よ』を取り上げます。

脚本;石堂淑朗  
特殊技術;佐川和夫
監督;山際永三
ナレーター;岸田 森

〖満月超獣ルナチクス〗 登場


◆秋の夜。大きな満月が煌々と町を照らしていた。空に陸に、TACのパトロールは昼夜を問わず行われている。タックパンサーで陸路を走る北斗と南の両隊員。
『止めて。車を止めて!』

夕子は突然北斗にそう言うと、車を降りて北斗から離れるように森の中に走って行った。満月に向かって何かを話しかけている様子だ。
『解りました。今夜ルナチクスが、姿を現すんですね。やります、必ず!』

崖の上から月をじっと見ている夕子に、北斗が後からやって来て問いかけるが、夕子は何も答えずに黙っていた。すると、本部から箱根の強羅に超獣出現の緊急連絡が入る。パトロール中の竜隊長機やタックパンサーは、直ちに現場へ急行した。夕子は何故か焦っていた。

『もっと速く走れないの!』
北斗は夕子の言動がおかしいことに気付いていた。超獣出現と何か関係があるのかを問い詰める北斗。だが、夕子は何も言わない。

頭にタオルを乗せて温泉にゆったり浸かっていたお客たちに、突然下から湧き出す熱湯。アチチ、アチチと驚いて逃げ散っていく温泉客たち。崖崩れが起きて、温泉街は浴衣を着た客たちでごった返していた。月に向かって咆えている耳の長い真っ白な体毛の超獣は、立ち姿のウサギに似ていた。

脇をしめた姿勢で手を前に突き出し、ピョンピョン跳ねるように前進する超獣ルナチクス。超獣の出現と共に谷間に噴火が起こり、赤いマグマが噴き出してきた。フロントガラスから超獣の姿が見えたとき、夕子は叫んだ。

『やっぱりアイツだった!』
『アイツ?』

竜隊長のタックアローが発射した数発のロケット弾が効いたのか、超獣ルナチクスは穴を掘って地底に逃げていった。竜隊長は地上に降りて、撃墜されたアローに乗っていた吉村と山中に合流した。超獣が出現した付近一帯の岩からは熱い蒸気が噴出し、温泉が熱湯の様に煮えたぎるなど、普段と様子が一変してしまっていた。

現場に到着したタックパンサーの南夕子は、他の隊員と合流しようと言う北斗の言葉を無視し、どんどんある方向へと進んでいく。北斗は、夕子を止めて訊ねた。

『今夜の君は、あの超獣の出現を予感していた。君はあの超獣の正体を知っているのか?』
『放っておけば地球のマグマはあの超獣にみんな吸収されて、地球は遠からず月のようになるわ・・・』

地球から見ると美しい月も、実際は水も空気も無い死の砂漠の世界である。あのルナチクスのために月はそうなってしまったと、夕子は語った。
『この地球を、月のようにしちゃいけないわ・・・』
『よし、解った』

何か理由があって、夕子の目的があの超獣を倒すことにあると悟り、北斗はウルトラマンAになって戦うことを決意する。
『ウルトラ タッチ!』

ふたりは右手と右手を合わせると、黄金色の光が二人を包みこんでウルトラマンAが出現した。大きな満月の下で、腕をクロスに組んだエースは回転を始めた。高速回転したエースは、砂煙を巻き上げて地中へ進んでいく。

地表から30キロメートル地下の部分を地殻といい、その下にはドロドロに溶けた摂氏1200度以上の高温のマグマがある。超獣ルナチクスは、そのマグマを吸い込んで食べていた。

回転しながら岩盤を割いてルナチクスのいる洞穴へ降りてきたエースは果敢に戦うが、吸い込んだマグマを吐き出して攻撃してくる超獣に苦戦する。ここは周囲のあちらこちらから炎が噴き出している、灼熱地獄の世界なのだ。やがてルナチクスは、エースから逃げるように地上に向かって岩盤を這いあがっていく。

ルナチクスが地上に向かって掘り進んだ穴を飛行して、地上までやって来たエース。地上ならば互角以上の戦いが出来るエースは、奮闘の末にルナチクスを頭上高く持ちあげると、噴火でたまった溶岩の中へ放り投げた。ドロドロの溶岩の中に落ちたルナチクスは、全身に火が付いて吠えながら焼け死んでしまった。

エースの戦いを見ていた温泉客のチョビ髭オヤジは、小躍りして喜んでいた。
『さすがだねぇ!』

超獣が死んで、煮えたぎっていた湯の温度は次第に元通りに戻っていった。戦いが済んで、北斗星司と南夕子に戻った二人。しかし夕子にとって、それは別れの時でもあった。

『星司さん、ワタシ本当は宇宙人なの』
『ウチュウジン?』
『そう。地球に一番近い星、月に住む宇宙人・・・』
『君が・・・月星人・・・』

涙を流して今までの経緯を語る夕子。月は地球から別れた時は、地球と同じ美しい星になるはずだった。それが超獣ルナチクスに襲われてマグマをすべて吸い尽くされ、月星人のほとんどは死に絶えてしまった。生き残った一握りの月星人が、いまも冥王星に移り棲んでいる。

夕子は、地球にやって来た超獣ルナチクスを滅ぼすために、その生き残りを代表して派遣された月星人だというのだ。ウルトラマンAの力を借りて、やっとその使命を果たした夕子は、仲間の元へ帰る時が来たのだ。

エースになるための指輪を北斗に渡す夕子。
『これからは、あなた一人でウルトラマンAになるのよ。星司さん、さようなら』

夕子は月星人の姿になると、TACのメンバーに別れの挨拶をするために、北斗に別れを告げた。
『俺は・・・ここから一人で君を見送る』

純白のロングドレスを着た天女のような姿に変身した月星人・南夕子は、まるで月に帰るかぐや姫のようだった。竜隊長達の前に姿を現し、メンバーひとりひとりと別れの挨拶を交わした。音も無く空へ飛び上がって行く月星人・夕子に、北斗は胸の前で両手にはめたリングを合わせ、初めてひとりでウルトラマンAに変身した。

『ふーむ。デュワーッ』
満月の下に立つエースの周りを2度旋回して別れを告げた月星人・夕子は、一族の元へと帰って行った。こうして南夕子無きこれからは、北斗星司ひとりでウルトラマンAに変身しなければならないのだ。 (終わり)


★★★★★★★★★★★★
温泉客のちょび髭オヤジは、作山俊二氏という喜劇俳優さん。顔を見れば、お分かりの方はたくさんいると思う。
この回は、星光子氏が南夕子役としての出演が最後となった作品。なんと夕子が月星人だったなんて!当時の筆者は、星光子氏に憧れていたので、もう姿が見られないのかとかなりショックを受けたものだ。

その経緯は今ではいろいろと知られているところだが、「男女合体変身」は都合がよくなかった事も確かだったようだ。このあと、月星人として星光子氏がエースに登場する機会が、1、2度ある。だが、それならなぜ降板させたのか疑問が残るところだ。

その後筆者が胸躍る体験をしたのは、『電人ザボーガー』で悪役の星光子氏を見かけた瞬間であった!



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