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高い完成度のライダー怪人 ~形態学的怪獣論44 [怪獣論・怪獣学F]

『仮面ライダー』の成功は、最初から約束されていたものではもちろんなかった。様々な逆境の中で、必然的にあのスタイルが確立されていったことは今では広く知られている。事実、当初の怪人は必ずしも洗練されたデザインとは言えず、トカゲロンのように怪獣への未練が窺えるものもあった。

だが中盤以降、ライダー怪人は独自の路線を驀進(ばくしん)していく。「悪の組織」という昭和30年代の少年ドラマの設定の復活、その手先としての怪人という明快至極な条件は、デザイン的にはむしろ発想の自由度を増した。

下半身がほぼ同一であればこそ、様々な意匠を上半身に集中して盛り込むことが可能になった。死神博士の化身イカデビル、地獄大使の化身ガラガランダを経て、遂に二種類の動物を合体させるというゲルショッカー怪人の設定にたどり着く。

クモライオン、ムカデタイガーなどは紛れもない洗練された傑作である。勢いのあるところには傑作が輩出する。つづく『仮面ライダーV3』では、さらに「武器と生物の合体」という設定を、発想的には先行していた『ウルトラマンエース』以上に鮮やかに展開してみせた。

ハサミジャガー、カメバズーカ、マシンガンスネークなどは、デザイン的にも造型的にも、黄金時代のウルトラ怪獣に比肩しうる完成度を獲得していた。

単発的にその都度ゼロからアイデアを考えるのではなく、一定の条件の下で考案されるアイデアは、連続性がある分、組み合わせとしては限りが無く、しかも他番組との差別化という点で、圧倒的に有利であった。こうしてライダー怪人は、ますます個性化を極めていった。

要所要所に登場する幹部怪人も魅力を増した。ヨロイ元帥とジェネラルシャドウが、最も魅力的な幹部怪人ではないだろうか。

特にジェネラルシャドウは、悪の化身でありながら全身を白で統一するという意外性、シンプル・イズ・ベストを具現する最小限の装飾、グロテスクな顔貌(がんぼう)を透明のドームで包む創意、さらには「血と火薬のにおいをこよなく愛す」という属性に至るまで、ある意味ですべての怪人の頂点に立つべき洗練の極致、至高の傑作といっても過言ではあるまい。

紛れもなく、確固たる一つの「美」として、見事に屹立(きつりつ;頂点に立っていること)しているのではないか。 (つづく)


★★★★★★★★★★★★
ジェネラルシャドウについて。
ご存じ、『仮面ライダーストロンガー』の第14話から登場する敵方の幹部。ブラックサタン大首領が、仮面ライダーストロンガーに倒された一つ目タイタンの後任として雇った大幹部。

倒されたタイタンが「百目タイタン」として復活してからは、卑怯な作戦を行う百目タイタンと正々堂々とした戦いを好むジェネラルシャドウといった描かれ方をされていく。やがてジェネラルシャドウはブラックサタンを見限り、魔の国からデルザー軍団を招集して、ストロンガーを倒した者をデルザー軍団のリーダーとするルールを決め、ストロンガーに挑んでいく。

奇っ械人よりもデルザー怪人がカッコイイ『仮面ライダーストロンガー』が、近日登場予定です!



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タグ:怪獣 怪人
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