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ウルトラセブン(28) ~『君達の科学も、私達の都市にだいぶ近づいてきたようだな、ハハハハ』 [ウルトラセブン・ドラマ3]

今回は、第6話『ダーク・ゾーン』を取り上げます。
 監修;円谷英二  
 脚本;若槻文三
 監督;満田かずほ
 特殊技術;有川貞昌
 
◆アンヌ隊員は自分の部屋に入ると、テーブルの上の飴入れのフタを開けて飴を一つつまむと、口に入れて鏡の前で髪を整えた。すると、鏡にあるはずのない黒い影が映り、ビックリして悲鳴を上げてダンを呼んだ。黒い影はじっとして動かない。

ダンは、影に向かって丸めた雑誌でつついてみるが、雑誌は影の中へ引っ張り込まれてしまった。
『さ、騒がないでください・・・。苦しい・・・』

ダンはスーパーガンをかまえて、慎重に対処しようとする。この黒い影の主は、どうやら怪我をしているらしい。
『私は・・・私は、遠い星から来たものだが、事故を起こして重症を負っている。手当ては済ませた』

しばらくじっとしていれば治るから、誰も呼ばずに静かにしておいてほしいと影の主は訴えた。ダンとアンヌは影の主の言う通りに、このことを作戦室には連絡しないことにした。

そのような思いやりのある二人の行動が影の主を安心させ、アンヌとダンは影の主とテーブルをはさんで会話するほどに、信頼関係を築いていた。
『君は、どこから来たのか教えてくれ』
『何も言えない。宇宙のある街から来たとだけ、言っておくよ』

『宇宙人なんだね?』
『君達だって宇宙人じゃないか。我が宇宙には1千億の太陽を抱えた島宇宙が、1762億・・・866もあるんだぜ』
『へぇ、計算したのか!』

宇宙の広大さを数字で示すこの影の主は、しかし妙なことを言いだした。
『こんな大きな宇宙の中に、地球と私達の街が一緒に生きる場所が無いなんて、なんと悲しいことだろう・・・』

ダンは、変なことをいうこの影の主に不審感を持った。自分の街の事を一切話そうとはしないこの影の主。アンヌがしつこく街の様子を聞いてくるので、影の主は、水や空気までもが巨大な工場で作られているという話をする。自然の力を一切受けていないというのだ。

同じ頃、作戦室では謎の電波をキャッチしていた。電波源は小さいがとても強力であり、絶対に自然のモノではない。しかも、日本語で呼びかけてきているのだ。
『こちらはペガッサ市。今から80時間の間、地球の軌道変更を要請します。動力系統に重大な故障がおき、太陽や惑星の引力の影響を受け、まもなく地球の軌道に入ります』

地球が、一時的にも、軌道を変えるなどできるはずもない。マナベ参謀は、キリヤマ隊長以下ウルトラ警備隊員に非常招集命令を発した。この話を聞いたダンは、急ぎアンヌの部屋へ戻り、影の主に質問した。
『おい、君はペガッサから来たんではないのか?』

だが、影の主は否定する。そこでダンは、ペガッサ市の事を知らないかと尋ねると、ペガッサ星人が宇宙空間に造った大都市で、都市の密度は地球の8万倍はあると答えたのだ。それはつまり、ペガッサ市は見かけよりも8万倍大きいということであり、そのペガッサ市がまもなく地球と衝突する状況下にあるのだ。

地球はひとたまりも無く、吹き飛んでしまうだろう。
『彼らの言う通り、地球の軌道を変えてあげればいいだろう?ただそれだけのことじゃないか』
『ばかをいえ、地球の軌道をどうやって変えられるんだ』

その影の主は、ダンの言葉を聞いて焦りだす。
『地球は、勝手に動いている物の上に人間が乗っかっているだけなのか?』

さっきまで人間の暖かい心に感謝していた影の主は、急に人間を軽蔑しだした。野蛮な宇宙のほとんどの星と同じだと発言する影の主。影の主は何かを考え始めたのか、それきり黙ってしまう。

キリヤマ隊長に、アンヌの部屋にいる影の主のことを報告するダン。だが、怪我を負っているというアンヌの言葉に、そっとしておくことを決めるキリヤマ隊長。それよりも、地球の軌道に入った時、ペガッサ市を破壊する以外には地球を守る方法が無いと決断するマナベ参謀。

ダンの進言が通り、ペガッサ市破壊の前にペガッサ市民を一時的に地球へ迎え入れることが決まり、ウルトラ警備隊はその任務に就く。美しく巨大な宇宙空間都市ペガッサ。ウルトラホーク1号でペガッサ市の回りを旋回しながら脱出を呼びかけてみるが、反応が無い。

日本語で地球によびかけてきたのだから、日本語での呼びかけが分かるはずだ。遂にホーク1号は呼びかけをあきらめ、ホークが安全圏まで脱出する時間を残して、ペガッサ市から遠ざかっていく。

大爆発がして、一瞬で宇宙から消えるペガッサ市。ちょうど同じ頃、黒い影の主はアンヌを呼んで、こう言った。
『地球はもうおしまいだ。お前はすぐ地球から逃げるんだ。ダンも連れて行け!』

影の主は、やはりペガッサ星人だったのだ。万一地球が軌道を変えなかった時に、地球を爆破する目的でやってきていた。黒い影がTの字の形に変わりペガッサ星人が出現して、アンヌの部屋を走って出て行く。夜の街中を疾走するペガッサ星人は、ある場所で立ち止まると、空に向かい何か合図を送っていた。

空から巨大なかたまりが落ちてきて、それは地面に穴をあけて地下へ潜って行く。アンヌから連絡を受けたダンは、ペガッサ星人を発見した。愛するペガッサ市を守るために、地球を破壊する爆弾を地球の中心へ撃ち込んだと話す星人。だがダンは、ペガッサ市は破壊してしまったことを話す。

いつでも爆弾を地球に撃ち込むことはできたが、最後まで望みを捨てず、ペガッサの科学がこの危機を回避できるものと信じていたペガッサ星人。地球人が先にペガッサ市を破壊してしまったことに、怒りを露わにした。
『ペガッサは、宇宙が生んだ最高の科学なんだ。何ということをしたんだ。復讐してやる』

ダンは地球を救うために、静かにウルトラアイを着眼した。セブンはアイスラッガーを投げてペガッサ星人を追い払うと、地面にあいた巨大な穴へ飛んで入っていった。セブンは撃ち込まれた爆弾を抱えて戻ってくると、それを宇宙まで運んで爆発させるのだった。

あの事件以来、ダークゾーンを見ると、あの気弱なペガッサ星人のことが思い出されると語り合う、ダンとアンヌだった。 (終わり)


★★★★★★★★★★★★
宇宙パトロールから帰って来たダンとアマギが作戦室に入り、そのあと通信隊員の顔がアップになるが、その隊員はセブンのスーツアクター上西弘次氏である。

ペガッサ星人を地球へ迎え入れるという案はとてもいい案だと思うが、一時的とはいえ、地球が迎え入れることができる人数には限界がある。バルタン星人の時もそうだったが、20億のバルタンを迎え入れることはとても出来ない。キャパの問題は、重要である。現実にヨーロッパでは、同様なことでもめている国があるのだから。

台本には面白い描写がある。影の主に飲食物を与える為に買い物に行くというシーンで、アンヌとダンの会話。ホットドッグを作ったけど口にあわないようだとか、水道水は臭くて飲めないけど、ミネラルウォーターは飲んだとか。映像では、自分達には紅茶を入れ、影の主にはミネラルウォーターを渡すシーンがある。


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