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ウルトラセブン(25) ~『あぁそうだよ。北極まで来て、寒い寒いってふるえてらぁ・・・ハハハハ』 [ウルトラセブン・ドラマ2]

今回は第24話『北へ還れ!』を取り上げます。
 監修;円谷英二  
 脚本;市川森一  
 監督;満田かずほ
 特殊技術;高野宏一
 
◆フルハシ隊員は母が病気だという連絡を受け、故郷の北海道へ帰ってきた。駅で妹・マナの迎えのジープに乗ると、雪深い実家へ向かってひた走る。運転しながら母の具合を聞くフルハシに、妹・マナは笑顔で答える。

『病気なんて嘘よ!かあさん、どうしても兄さんに牧場を継いでもらいたいのよ』
ジープを止め、「ウルトラ警備隊を辞めて、実家を手伝ってほしい」と願う母の気持ちをマナの口から聞くフルハシは、ウソにはウソで応える。

ウルトラ警備隊の仕事に嫌気がさしたからとマナを油断させ、エンジンがかからないふりをして、マナが降りた瞬間にジープを走らせてしまう。雪原の中に、妹・マナは一人取り残されてしまう・・・。

北極圏をパトロール中の防衛軍機が、民間機と衝突するという前代未聞の事件が起きた。事故原因の徹底調査のため、フルハシがその任務に就くことになったが、出発の直前にフルハシの母から東京に着いたという電話が入る。

実家を継いでほしいという母の強い思いがそうさせたのだが、今のフルハシには仕事のことで頭が一杯であった。ホーク3号はフルハシを乗せ、マッハ2.8のスピードに調整して自動操縦で北極圏に向けて飛んでいく。

途中ベーリング海上空にさしかかった所で、ホーク3号の自動操縦装置に異常を確認するフルハシ。

『ソガ、調査地点までの距離と時間は?』
『5760キロメートル。マッハ2.8で120分で着きます』

普通操縦に切り替えて調査を続けるよう指示するキリヤマ隊長。フルハシの母を基地の麓のホテルへ案内するダンとアンヌ。ダンは、フルハシの母に来訪目的を聞いて驚く。

『シゲルを連れ戻しに参りました・・・』
『フルハシ隊員がウルトラ警備隊を辞めるんですか?・・・そんな!』

そんな時、フルハシの身の上に重大なことが起こっていることをアンヌが知らせに来る。ホーク3号の操縦かんが動かず、何かに誘導されているようだと答えるフルハシ。緊急事態に備え、北極地方に飛行機を飛ばさぬよう各航空会社へ通達を出す警備隊。

だが、民間機1機が空路を外れて、誘導されるようにホーク3号に衝突するように飛んでくる。パイロットも操縦不能に陥っていることを連絡してきていた。旅客機には300人の観光団が乗っているという。

このままでは、20分後に両機は衝突する事が計算により判明する。
『フルハシ。旅客機が接近しているため、ホーク3号を自爆する。時限装置を360秒前にセットして、すぐ脱出するんだ!』

キリヤマ隊長の素早い指示で、フルハシは自爆装置のカウンターを360.0にセットして、スイッチを押した。目をつぶり脱出装置のレバーを引く。
『1、2、3』

レバーを手前に引くと脱出するはずだが、レバーが引けない!カウンターがどんどん減っていく音がするなかで、何度も試すフルハシ。

『隊長、脱出装置が故障です!』
『何!脱出できない?・・・』

甲高い声で叫ぶキリヤマ隊長。自爆を中止したところで、いずれホーク3号と旅客機は衝突する。せめてフルハシのホーク3号が自爆をすれば、旅客機は助かる。

自分の命を犠牲にして300人の命を助けることが、ウルトラ警備隊の使命なんだ・・・自問自答しながら、答えを見つけようと必死のキリヤマ隊長は決断を下す。

麓のホテルでくつろいでいるフルハシの母。その傍に付き添うアンヌ隊員に、キリヤマ隊長から「フルハシのお母さんを作戦室へお連れするように」と緊急指令が届く。何度もレバーを引いて脱出を試みようとするフルハシ。

こんなことになるなら、あの時一目母に会っておけばよかったと、空(くう)をみつめて思うフルハシ。(かあさん・・・)

ダンはキリヤマ隊長の指示を受け、ホーク1号でホーク3号の後を追っていた。ベーリング海上空にさしかかった時、怪しい七色光を出す灯台を発見する。その灯台はカナン星人のロケットだった。

北極圏における航空機事故は、すべてこの灯台型ロケットが起こしていたのだ。航空機の計器を狂わせる七色光を、灯台のライト部分から発射していた。ダンはこの灯台が怪しいとにらみ、付近にホーク1号を着陸させた。

付近は雪と氷の世界、セブンにとっては苦手な場所だ。アンヌがフルハシの母を作戦室へ案内して来た。ホーク3号に問いかけるキリヤマ隊長。

『ホーク3号、どうぞ・・・』
『こちらホーク3号・・・』

『シゲル?・・・』
『(母の声だと判り)こちらシゲル・・・』

何も知らない母は、笑顔でマイクへ話しかけている。
『かあさん!・・・』
『何してるんだい?おまえ・・・』

『パトロールさ・・・』
『遠いのかい?・・・』

『あぁ遠いよ。北海道より遠いんだ・・・何しろ北極まで来てるんだからね・・・』
『じゃあ、私の声も北極まで飛んでってるんだね?!・・・』

『あぁそうだよ。北極まで来て、寒い寒いってふるえてらぁ・・・』
『アハハハハハ・・・』
『アハハハハハ・・・』

こうしている間にも、ホーク3号と旅客機の距離はどんどん縮んでいく。ダンはカプセル怪獣ウィンダムを投げて、ロケット型灯台を破壊しようとした。だが、灯台からの謎の赤い光線を頭に受け、電子頭脳を狂わされたウィンダムはダンに向かって攻撃してくる。

ダンはセブンに変身し、ウィンダムを簡単にあしらうと、ビームランプから青い光線を発射してウィンダムを正常にもどしてカプセルへ回収した。カナン星人はセブンには勝てぬと思ったのか、ロケットを噴射して逃げていくが、セブンのワイドショットで撃墜されてしまう。

この瞬間、両機を誘導していたオーロラが消え、フルハシは操縦かんが動くことを感じて衝突を回避、自爆装置のスイッチを急ぎ解除して事無きを得た。フルハシの無事生還を皆で喜んでいると、作戦室に母の姿が無い。

そしてキリヤマ隊長から「お母さんは北海道へ帰ったよ」と言われる。キリヤマ隊長は母に一目会いたいだろうフルハシへ、(疲れているのを承知で)北海道上空一回りのパトロールを命令する。

ホーク3号で夕焼けの北海道上空を飛ぶフルハシの心に、「自分で選んだ仕事が一番だということが分った」と笑顔で話す、母の姿が浮かんでいた。 (終わり)


★★★★★★★★★★★★
ダンがフルハシの母と話すシーンは、とても宇宙人とは思えないほどダンが人間臭い。母とケンカしていても、このドラマを見ると母親は有り難いなと思う秀作である。

市川森一氏は怪獣が出ない回の担当だったと語っていたが、この回もセブンVSウィンダムのシーンは完全におまけで、無くても立派に成立する回である。セブンの脚本家達は、どの方も才能があって、本当に素晴らしい人達ばかりだと思う。

ウルトラセブンは、日本特撮ドラマの宝のうちの一つだと思う。


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