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ウルトラセブン(21)  ~いやはや、地球人というものは全く解らん生物だ・・・ [ウルトラセブン・ドラマ2]

今回は、第29話『ひとりぼっちの地球人』を取り上げます。
 監修;円谷英二  
 脚本;市川森一  
 監督;満田かずほ
 特殊技術;高野宏一

◆日本のある私立大学が教育機関としては始めて、観測用科学衛星の打ち上げに成功した。これにより、衛星を造る指導をした杏南大学物理学部の名は、一躍有名になった。だが防衛軍司令部では、この科学衛星を問題視していた。

大学の教材用として打ち上げた静止衛星の技術力は、地球の科学力をはるかに超えていることが防衛軍秘密調査部の調査で判明している。杏南大学物理学部の主任教授の丹羽教授が実は宇宙人ではないかという推測は、この科学衛星がある星に向けて超音波を発信していることを突き止めたことで、いよいよ確実となった。

丹羽教授とは仮の姿で、その正体はシリウス系第七惑星のプロテ星人であることを、防衛軍はつかんだ。つい10日前にソガ隊員と婚約した南部冴子は、杏南大学英文科に通う2年生。彼女が丹羽教授の部屋の前で異音を聞き、好奇心から中を覗いたときに見た宇宙人のような影。

このことは、ソガの耳に入っていた。丹羽教授の正体を一之宮に教えて、利用されている彼を助けるため、ソガはフィアンセの冴子に協力を求めた。

物理学科4年生の一之宮は、丹羽教授にいつも付き添っている。きっと一之宮の才能が宇宙人の丹羽教授に利用されているにちがいないと、ソガは思っていた。一之宮は冴子の高校の先輩でよく知っている仲なので、彼女に一之宮を車で連れ出してもらう作戦を実行し、彼女の口から丹羽教授の正体を一之宮に話した。

ところが、一之宮はちっとも驚かないどころか、宇宙人の教授を心から尊敬していた。丹羽教授は一之宮の設計した「電送移動装置」を造ってくれたのだ。誰も見向きもしなかった自分の理論を、高等な科学力で形にしてくれた丹羽教授を尊敬し感謝こそすれ、侵略者であるハズなど無いと頭から信じていた。

丹羽教授に目を付けていることを知られてしまった防衛軍では、丹羽教授を捕まえるため、ソガが教授の部屋を訪れた。だが、ソガの撃った麻酔弾は、教授の身体をすり抜けてしまう。
『次は私の番だね・・・』

丹羽教授が右手を出してVサインをすると、2本の指から出た光線がソガの胸を襲い、ソガは気絶してしまう。気が付いたソガの目に、丹羽教授が宇宙船に指令を出している姿が映った。
『到着時間を繰り上げてもらいたい・・・』
『了解。準光速に切り替え、30分以内に到着する』

ソガと丹羽教授は、地上3万6千キロ上空に静止している科学衛星の中にいた。一之宮が設計した「電送移動装置」が、杏南大学からここへ二人を運んだのだ。防衛軍がこの衛星をいつ調査に来るか知りたかった丹羽教授は、ソガに丁寧に説明をする。

『あなたが座っていらっしゃるイスは、記憶探知機と言いまして・・・』
ソガの頭の中の情報をすべて引き出して得た情報を、目の前の大きな画面に映る宇宙船に、指令していたのだった。

杏南大学に戻った丹羽教授の元へ、一之宮が訪れた。一之宮は、自分の立てた新理論に見向きもしない地球人に嫌気がさしていた。新理論で電送移動装置を造ってくれたこのプロテ星人の科学者と共に、地球を捨ててプロテ星へ行くつもりでいた。

一之宮は、電送移動装置や科学衛星の処分について話をしたとき、丹羽教授の口から出た言葉に耳を疑った。
『科学衛星の中には、地球防衛軍の各国の秘密基地の観測データが収めてあるからね』

あの衛星は、実は地球侵略のためのスパイ衛星だったことを初めて知った一之宮。今までの自分の行動や知識が、すべてプロテ星人の地球侵略の為に使われたことに怒りが込み上げてくる。
『教授。衛星は渡せません!』

『あれほど地球を脱出したがっていた男が、今度は命がけで地球を守ろうというのか・・』
『あなたは侵略者なんかじゃ無い。僕がただ一人信じることのできた、優れた宇宙人の科学者だ!』

一之宮と丹羽教授は仲たがいして格闘になったが、丹羽教授はプロテ星人に姿を変えて一之宮を襲う。ソガとの連絡が途絶えたことを知ったウルトラ警備隊では、ダンに杏南大学構内のソガの消息を追わせ、キリヤマ隊長、フルハシ、アマギは、ウルトラホーク2号で科学衛星の調査に出発した。

ダンが丹羽教授の部屋に入ろうとすると、シャッターが落ちていて入れなくなっていた。それを破って中に入ると、プロテ星人がいた。
『デュワッ』

ダンはセブンに変身して、プロテ星人に挑む。両者は窓ガラスを破って、外へ飛び出した。姿を消したプロテ星人に、セブンは透視力で見極めようとする。が、黄身と白身の目玉焼きのようなプロテ星人の顔が、暗闇の中に5個浮かび上がった。エメリューム光線を発射するが、外れてしまう。

1体に戻った星人にアイスラッガーで首を切ると、首と胴が別れても生きているプロテ星人。やがてそれは消えてしまった・・・。まるで忍者のように変幻自在なプロテ星人に、セブンは苦戦を強いられた。暗闇の中で格闘が続くセブンとプロテ。だが、丹羽教授の部屋に赤い液体が流れ込んできて、それは丹羽教授の姿になった。

『ハハハハ。いつまでも、私の抜け殻と戦っているがいい!』
本体のプロテ星人は、科学衛星を取りにくる宇宙船に合流するために、一之宮の設計した電送移動装置に乗って科学衛星に瞬間移動するつもりだ。意識を取り戻した一之宮は、自分が設計した電送移動装置が、二人同時では再生不能であることを知っていて丹羽教授と共に乗り込んだ。

装置は爆発し、抜け殻のプロテ星人はセブンの前から消えた。ソガの情報から、ウルトラ警備隊が到着するより一足早く科学衛星を取りに到着したプロテ星の宇宙船。衛星とドッキングして持ち去ってしまう。後から来たホーク2号のスピードでは、この宇宙船には追いつけない。

だが、プロテ星人との戦いに決着が着き、瞬間移動によって宇宙へやって来たセブンが、マッハ7のスピードでプロテの宇宙船に追いついて衛星を取り返した。取り返そうと戻ってきた宇宙船に、ホーク2号のレーザー光線が命中した。

ソガとダンが、あの天才児・一之宮の消息について話している。構内に雪がまだ残る日曜日の午後。杏南大学の構内を南部冴子が歩いている。元丹羽教授の部屋の前を通ったとき、異様な音がした・・・おっと、これは春風がカーテンを揺らして、花瓶が落ちた音であった。 (終わり)


★★★★★★★★★★★★
なんというか、哀れというか、悲しいというか。モノの善悪が見えなくなってしまった一之宮の一途さが、哀れに思えてくる。それと大学構内に残る雪と春風が、心にすっぱい感情を抱かせる作品だと思う。



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