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スーパーロボット レッドバロン(10)~ファイトレバー オン! [レッドバロン/デビラー編・2]

 野を越え 山越え 地の果てまでも
 悪を追跡 さぁ出動だ!
 ジェット噴射 アイアンホーク
 フルスピードで ブッ飛ばせ!
 地球を守れ! エス・エス・アイ♬

第17話『悪魔の書いた話』を取り上げます。

脚本;藤川桂介
音楽;ボブ佐久間
原案;渡辺一彦・斎藤汎司(日本テレビ) 
特撮撮影;大岡新一
監督;鈴木 清

◆警視庁科学捜査課の熊野警部は久しぶりの休暇を取って、いつもの自転車に乗って、蒸気機関車を追いかけたり野山を走り回ったりと、休暇を満喫して気分をリフレッシュしていた。突然の通り雨で雨宿りする場所が必要になり、近くにあった洞穴に自転車ごと緊急避難した。

ところが、崖崩れが起きて洞窟の入り口がふさがってしまい、やむをえず、SSIに救助してもらおうと紅健に連絡をする。自動車修理の仕事から逃れたい健は、警部を助けに行こうと大郷社長に了解を求めるが、仕事が忙しくて話をまともに聞いてくれない大郷社長に拒絶されてしまう。

困っている警部にどこからか少女の声がして、助けてくれるという。少女はその洞窟の秘密の出口を教えて、熊野警部を助けだした。

熊野警部にとっては命の恩人といっても良いその少女は、年齢は5才くらいでツインテールの髪型に黄色いリボンをしている。大きなスヌーピーのぬいぐるみを持って歩く、とてもかわいい女の子だった。雨も上がり太陽の下で熊野警部と少女は仲良くなった。

『本当にありがとう。君のお名前は?』
『あずさ。おじちゃんは?』
『おじちゃんは、熊野一平。くまちゃんだ』

笑顔で話したり、きれいな花が咲いている野原を追いかけっこしたりして遊ぶふたり。その様子を双眼鏡で監視する者がいた。野伏(山野に野宿して修行する僧)の姿の女は、少女と一緒にいる男が警視庁の熊野警部であることを知っていた。

『ねぇ、くまちゃん。あたしお願いがあるの』
急に少女は、空が飛びたいという願いを熊野警部に言う。考えた末にSSIに連絡した熊野警部は、今までの経緯を話してレッドバロンで空を飛んでもらえないかと大郷キャップに懇願する。

『レッドバロンは、戦闘用ではなかったはずだぜ』
『こういうことに使ってこそ、レッドバロンの使命じゃないのかなぁ』

坂井哲也と堀大作が、次々にそう言って賛成した。大郷キャップとマリも、もちろん異論はない。健は飛び出すようにして、レッドバロンで出動する。

白い花が咲き乱れる野原の中を、レッドバロンが下りて来る。
『あっ、レッドバロンだ!』

熊野警部に抱きかかえられて、操縦室に少女が乗ってきた。空を小鳥のように飛んでみたいと言うあずさの願いが、今叶えられようとしていた。だが、それを遠くから双眼鏡で監視して笑っている野伏姿の女。

大空を速く速く、雲の上を高く高く、レッドバロンは少女を乗せて飛んだ。そして、野原へと戻ってきたレッドバロン。
『ありがとう、お兄ちゃん。ありがとう、くまちゃん』

『紅君、無理言ってすまんな』
『いやぁ、戦闘で無く飛ぶのは、良い気持ちですよ』
レッドバロンの操縦室から出た少女は、熊野警部が目を離した隙にいなくなった。

と突然、目の前に鉄面党のロボット・グランマタドールが出現して、少女をさらったというデビラーの声が聞こえてくる。
『ヘタに手出しをすると、彼女は死ぬぞ!』

少女が人質になっているため、武器を封じられて防戦一方のレッドバロン。高圧電流の流れた剣で突かれて、グランマタドールに苦戦する健と警部。このままではやられてしまうので、仕方なく退散する健と警部。

SSI本部に戻ってきた紅健と警部。今までの経緯を検討した結果、少女は囮だったのではないかという見方が、SSI全員の意見だ。そんなことがあるものかと警部は怒りだし、ひとりで少女あずさを探しに出かけた。

一方、ロボットの出現した場所へ再び捜索に出かけたSSIの前に、再度グランマタドールが現れた。出撃命令を受けて飛んできたレッドバロンに乗り込んで戦おうとする健とSSIメンバーの耳に、少女あずさの声が響く。
『やめて、お兄ちゃん!あずさを殺さないで・・・』

赤い布で牛を懐へおびき寄せて闘牛士が剣で突くように、グランマタドールも赤い巨大な布を腕から垂らせ、レッドバロンに高圧電流が流れた剣を突き刺して攻撃してくる。少女の声が聞こえてくるため、レッドバロンは攻撃できず防戦一方だ。

その頃、熊野警部は異常電波を追って、山の奥へと自転車を進めていった。SSIも異常な電波がグランマタドールに向けて送信されていることを確認、ただちに発信源を追跡し始める。山奥のお堂の前を通ったとき、熊野警部は山伏姿の女に襲撃される。

警部と女山伏の一騎打ちとなり、みごとに女山伏を討ち取る熊野警部。異常電波を追ってさらに山奥へ向かう熊野警部がそこで見たものは、見覚えのあるスヌーピーのぬいぐるみを操作して少女の悲鳴を流している、あずさの姿だった。目をつぶりながら少女を狙撃する熊野警部。

銃声を聞きつけたSSIメンバーはその場所へ行き、少女が鉄面党の手先ロボットだったことを知る。大郷キャップがそのことを健に知らせると、レッドバロンは攻撃に転じる。バロンビーム、アームミサイル、最後にエレクトリッガーを放って、グランマタドールは破壊された。

熊野警部の胸中に、少女のあどけない笑顔や少女と過ごした楽しい時間が蘇ってくる。警部は涙をぬぐうこともせず、眠っているような少女を抱きかかえて、ひとり歩いていくのだった。 (おわり)


★★★★★★★★★★★★
書くにあたり表現を迷ったシーンがある。少女が鉄面党の手先ロボットだったシーンは、映像では、見覚えのあるスヌーピーのぬいぐるみを操作しているのは「子供のメカロボ(鉄面党戦闘員)」である。だが、警部が目をつぶって狙撃していること、最後に少女あずさの亡き骸を抱いて歩くことから、「少女の姿で操作している」と表現した。熊野警部の目には(少女ではなく)メカロボに見えたということを映像で表現したのだと思う。鈴木清監督の演出が、光っている。



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