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帰ってきたウルトラマン(51) ~円谷スタッフが語る「新マン」秘話9 [帰ってきたウルトラマンこぼれ話2]

プロデューサー、監督、カメラマンらが語る、『帰ってきたウルトラマン』の秘話が続出。いろいろなこぼれ話も多数あり!

第9回は、以前(44)で登場したTBSプロデューサーの橋本洋二氏が再登場です。前回語らなかった新マンについてのあの頃の話が、まだまだ出てきますので、おたのしみに。

★★★★★★★★★★★★
この作品のテーマについては、ウエショウ(上原正三氏)と話をして決めました。まず考えたのは、『ウルトラマン』との差別化と当時のスポ根ブームです。

『ウルトラセブン』の放送中からそういう時代になっていたと思うんですが、人間の能力の高まり、鍛えればどこまでできるのかというムードが漂っていて、子供番組にも深まりや奥行ができたというか、単なるキャラクターものから、一人の人間を少し掘り下げる傾向がありましたからね。

また『怪奇大作戦』で環境問題や人間関係の歪みなんかを稚拙ながら取り上げてきた
その姿勢を、ウルトラシリーズにとも考えていました。なかなか難しいところでしたが、こだわりはありましたね。

そういう意味では、ウエショウとは『怪奇大作戦』の頃からわりと話が合いましてね。よく理解していてくれて、その点ではたいへんやり易かったですね。

脚本に関しては、時には書き直しを、またよく手入れを要求したものでした。決定稿が完成すれば、あとは現場にお任せ。自分の意志とメッセージは脚本で伝えます。それをスタッフがどう理解し、どんな作品に仕上げるか待つわけです。

脚本は監督が決まってから書くことが多かったんですが、あの監督だったらこうしたら良いんじゃないかと、いろいろ考えましたね。優れた脚本であれば、ある程度の力量の監督が撮っても、良い出来の作品になるのです。

脚本が水準に達していなければ、責任を果たせたとは言えません。だから、僕自身が納得できる脚本を監督に渡すことに、努力しました。

監督で特に思い出深いのは、東映出身のトミ(冨田義治)ちゃんで、非常にデリケートな方なので、テレビの演出と通じ合うと思いました。ビビットな表現力をもつ若い監督を起用することで、これまでの作品とは違った息づかいのものができないかな、という狙いもありましたね。

前後編のすべてを彼にしたのは、30分の作品では、人間の血の通いや共感性を描くことを得意とする彼の持ち味が活きない、と思ったからです。「怪獣使いと少年」は画づくりの問題で、撮り直しを考えていたので、よく覚えている作品ですね。

ウエショウが考えていたものと、それに対する僕の理解の間に少し差があったんです。ウエショウは東條(監督)とよくディスカッションしたうえで作っているので、彼らの考えは非常に近いものがあったと思います。彼にしてみれば、会心の作と思っているのかもしれませんね。

僕としては、違うイメージを勝手に作っていて、あんなにシリアスにしないでもう少し気楽に考えていたんですけれど。だから、試写を見たときはちょっとビックリしました。

劇中で坂田兄妹を死なせるということを最初に言い出したのは、確かウエショウだったと記憶しています。二人には可哀想なことをしたけれど、一つのエポック(*)になることは間違いなかったし、割とドラマチックな感じになったので良かったと思います。まぁ現場では、それはマズいんじゃないかという意見があったかもしれませんが。
(*)忘れがたい瞬間、画期的な事件の意 

ウルトラブレスレットのアイデアは、作品の強化案の話し合いの中で、小学館の人が出してくれました。でも最初は、“苦心の末に怪獣に打ち勝つ”という本来のテーマから外れるものなので、考えました。

ただ、変身のパターンがわからない、ウルトラマンが弱すぎるという意見があったので、結局採用することにしました。ビジュアル上で光学処理ができるので、中野(稔)や熊ちゃん(熊谷健)なんかは、乗り気でしたね。

この作品を作ったことは非常に意義のあったことだと、僕は思っています。これから4年間続くウルトラシリーズの基礎を築いたという意味でも、良かったと思いますよ。 (終わり)


★★★★★★★★★★★★
冨田義治監督作品に出てくる怪獣を拾ってみると、
「グドン・ツインテール」
「シーモンス・シーゴラス」
「キングストロン・クプクプ」
「ザゴラス」
「ナックル星人・ブラックキング」である。
5作品中3作品が前後編になっていて、どれも力作ばかりだと思う。プロデューサーとして橋本氏の面目躍如たるものがある。ちなみに、冨田監督以外の前後編作品は、「テロチルス(山際永三監督)」と「タッコング(本多猪四郎監督)」がある。



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