まったく新しい「想い」を込めた池谷怪獣 ~形態学的怪獣論16 [怪獣論・怪獣学C]
『ウルトラセブン』第30話のプラチク星人を最後に、円谷プロを退社した成田亨氏。それまで特殊美術を手掛けておられた池谷仙克(いけや のりよし)氏が成田氏のあとを継ぎ、シリーズ終了までデザインを担当するようになった経緯は、ほとんど突然のことであったらしい。
すでにこの時点で「ウルトラ怪獣」のみならず、「怪獣デザイナー」の代名詞となっていた感のある成田亨氏。そのあとを引き受けることは、想像を絶する困難と苦労があったにちがいない。しかも池谷氏のデザインは、それまでの東宝怪獣や成田怪獣、その他いかなる怪獣デザインとも一線を画する独自の清冽なムードを持っている。
だが池谷デザインを考察する材料が手元には乏しいため、池谷氏に取材を敢行させていただき、そのインタビュー記事から得た種明しと共に考察を進めていく。
『ウルトラセブン』は宇宙時代の侵略者との戦いをテーマとして、絢爛・華麗な宇宙人の続出した第1クールから、次第に第2クール以降、地上での戦闘を主とした、いわば「土煙にまみれた」画面へと移行していった感が強い。
それは怪獣ブームの衰退に伴う経費の制約ばかりでなく、単なる勧善懲悪ではくくり得なくなった物語のテーマ性、世界的な反戦ムードの台頭といった時代背景とも、無縁ではないかもしれない。そんな時『セブン』後半の三分の一を彩った池谷デザインの怪獣達は、そうした時代の気運に不思議にマッチしていた気がしてならない。
池谷デザインの怪獣達は、繊細で、端麗(姿が整っていて麗しいこと)で、哀愁を帯びている。子供達が喜びそうなというよりも、玄人好み、渋い味わいを持つデザインというべきか。ダリー以下のラインナップを見れば気付く様に、派手なトゲやツノ・突起を持つデザインはほとんどない。
「武器」を強調したデフォルメもみられない。ガッツ星人の先兵怪獣アロンだけは例外的に全身をかぎ爪のパターンでまとめているが、これさえも侵略兵器としての威圧感や猛々しさのようなものは感じられない。さらにこのアロンも含めて、ほとんどのデザインに「眼球」が描かれていないのだ。
この点について池谷氏は、次のように答えてくださった。
『怪獣番組において、怪獣とはヒーローと対峙し得る“もう一方の雄”であるはずだ。だが、彼らは常に「倒されること」を前提としての登場しか許されない宿命を帯びている。その悲劇性、運命の哀しさというものに、どうしても自分の心情が移入してしまうのだ、と』
分かり易くいうと、池谷デザインの底を流れるものは、誕生した瞬間から滅びゆく運命にある「生命の哀しみ」そのものといえるだろう。『だから僕のデザインは少し弱々しかったかな、という反省もあるんですが・・・』微笑みながら、池谷氏はこう付け加えられた。 (つづく)
★★★★★★★★★★★★
成田氏には怪獣デザインをするにあたり、自分の中にルールを作っていたことは、今日よく知られている。今では欠番になっているスペル星人のデザインは、脚本上で「かぶと虫のような」と表現されているにもかかわらず、あのようになったのは、実相寺監督の指示によるものだったそうだ。(成田氏回顧)池谷氏はどうなのだろうか。池谷氏のルールは、記事内にあるように「生命の哀しみ」だ。滅びるために生まれてくる命。この成田氏には無かったまったく新しい発想。なんだか怪獣達がとても愛おしく思えてきた。
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すでにこの時点で「ウルトラ怪獣」のみならず、「怪獣デザイナー」の代名詞となっていた感のある成田亨氏。そのあとを引き受けることは、想像を絶する困難と苦労があったにちがいない。しかも池谷氏のデザインは、それまでの東宝怪獣や成田怪獣、その他いかなる怪獣デザインとも一線を画する独自の清冽なムードを持っている。
だが池谷デザインを考察する材料が手元には乏しいため、池谷氏に取材を敢行させていただき、そのインタビュー記事から得た種明しと共に考察を進めていく。
『ウルトラセブン』は宇宙時代の侵略者との戦いをテーマとして、絢爛・華麗な宇宙人の続出した第1クールから、次第に第2クール以降、地上での戦闘を主とした、いわば「土煙にまみれた」画面へと移行していった感が強い。
それは怪獣ブームの衰退に伴う経費の制約ばかりでなく、単なる勧善懲悪ではくくり得なくなった物語のテーマ性、世界的な反戦ムードの台頭といった時代背景とも、無縁ではないかもしれない。そんな時『セブン』後半の三分の一を彩った池谷デザインの怪獣達は、そうした時代の気運に不思議にマッチしていた気がしてならない。
池谷デザインの怪獣達は、繊細で、端麗(姿が整っていて麗しいこと)で、哀愁を帯びている。子供達が喜びそうなというよりも、玄人好み、渋い味わいを持つデザインというべきか。ダリー以下のラインナップを見れば気付く様に、派手なトゲやツノ・突起を持つデザインはほとんどない。
「武器」を強調したデフォルメもみられない。ガッツ星人の先兵怪獣アロンだけは例外的に全身をかぎ爪のパターンでまとめているが、これさえも侵略兵器としての威圧感や猛々しさのようなものは感じられない。さらにこのアロンも含めて、ほとんどのデザインに「眼球」が描かれていないのだ。
この点について池谷氏は、次のように答えてくださった。
『怪獣番組において、怪獣とはヒーローと対峙し得る“もう一方の雄”であるはずだ。だが、彼らは常に「倒されること」を前提としての登場しか許されない宿命を帯びている。その悲劇性、運命の哀しさというものに、どうしても自分の心情が移入してしまうのだ、と』
分かり易くいうと、池谷デザインの底を流れるものは、誕生した瞬間から滅びゆく運命にある「生命の哀しみ」そのものといえるだろう。『だから僕のデザインは少し弱々しかったかな、という反省もあるんですが・・・』微笑みながら、池谷氏はこう付け加えられた。 (つづく)
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成田氏には怪獣デザインをするにあたり、自分の中にルールを作っていたことは、今日よく知られている。今では欠番になっているスペル星人のデザインは、脚本上で「かぶと虫のような」と表現されているにもかかわらず、あのようになったのは、実相寺監督の指示によるものだったそうだ。(成田氏回顧)池谷氏はどうなのだろうか。池谷氏のルールは、記事内にあるように「生命の哀しみ」だ。滅びるために生まれてくる命。この成田氏には無かったまったく新しい発想。なんだか怪獣達がとても愛おしく思えてきた。
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