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レインボーマン(12) ~一所懸命さっていうのは技術を超えるのよ、テクニックより(監督/六鹿英雄氏)その1 [レインボーマンこぼれ話2]

大変残念であるが、六鹿(ろくしか)氏は2004年11月に他界されているようである。詳細は不明。
この記事は2002年当時インタビューしたものである。

改めまして、ご冥福をお祈りいたします。(合掌)


聞き手;
「レインボーマン」は東宝から、「ワイルド7」はタキコーポレーションから、DVDボックスが発売されて、いずれも売れ行きは好調とのことですが、六鹿さん的に感慨みたいなものはありますか?」

六鹿氏;
「懐かしいね」

聞き手;
「ワイルド7は、テレビアニメにもなるそうですが」

六鹿氏;
「アニメーションは迫力が無いね。やっぱり実写でやるからいいんであって。それにCGも使わない。ワイルド7の映画化の話があるけど、CGを使ったら面白いという話もあるんだけど、僕はね、反対なんだよ。望月さん(原作者)も使ってほしくないって」

聞き手;
「『ワイルド7』が終わってすぐ、『レインボーマン』で監督されたんですよね」

六鹿氏;
「そうですね。ちょうど『ワイルド7』(72年)がスタートする直前に『レインボーマン』も始まったんで、最初から『ワイルド7』はどうしてもやりたかったんでね。それで『レインボーマン』の立ち上げが終わってすぐ『ワイルド7』の方に行って。途中第七話か八話か、その辺からやってると思うんですよ(第10話から参加)。

で、それが終わって『レインボーマン』に戻って、そのあと『ダイヤモンド・アイ』をやったのかな。あの頃は忙しくってね。これは自慢できる話じゃないんだけど、1日で200カット以上撮ったことがあるんですよ(苦笑)。それが朝8時出発のロケで夕方の6時まで。俳優さんのスケジュールをぬわなければならないので、とにかく何も言うな、一切聞くなと。もうスクリプターも何もわからない。

お話だけは頭に入っていたけれども・・・200カットですからね。『用意スタート!』かけて一回テストやって本番やったってね、400~500回は声を出すわけでしょう。もう終わったら声出なかったね。20代だったからできたけど、今じゃとても考えられない(笑)。それが『ワイルド7』だったか『レインボーマン』だったか、どっちかは忘れたけど」

聞き手;
「六鹿さんの作品は、1カット1カット尋常じゃないこだわりを感じるんですが」

六鹿氏;
「どっちかっていえば、要所要所なんだろうけど、結構流すところは流したんだけど、細かい所は細かかったね」

聞き手;
「とりわけ、『ワイルド7』は凝りに凝った印象を受けましたが」

六鹿氏;
「うん、だから当時始末書書きましたよ。フィルムオーバーするしね、みんな書いたんじゃないかな(苦笑)。国際放映は良い会社だったからね、始末書だけで済んだけど。制作費がね、1話やる毎に何百万も赤字だったのよ。だからね、もうギブアップ。ブラジルロケまで予定してたんだけど。最後は結構視聴率が20パーセント台まで行ってね。

当時はビデオ無いでしょう。だから自分で撮った作品ていうのは初号試写、あれでしか見られないわけですよ。いや、放送がある訳だけど夜の7時台だから。そんな時間に家に帰らないでしょ(苦笑)。だから自分の作品でテレビで観たものが無いんですよ。ボクもLDとかDVDとか頂いたけど、まさか2次使用3次使用でこんなになるなんて、夢にも思わなかった」

聞き手;
「観る方も必死でしたよ。『いつまた再放送で観られるかわからない』、命がけでテレビの前に陣取ってましたね」

六鹿氏;
「そういう意味では、観る側も創る側も緊張感がありましたね。当時映画が斜陽になってテレビの時代になって。ビデオでなくフィルムだったわけで。“テレビ映画”という時代でね。撮影所は国際放映だったんですよ。あそこは元々新東宝なんですよ。あの当時は朝行くとね、ロケバスがごちゃごちゃしてて・・・よく乗るバスを間違えた記憶があるよ(笑)。

それでね、しばらくして、音声が同録(同時録音のこと)になったんですよ。同録が入って、まだアフレコがあったんだけどね。セットがあってね、大きいセットだから半分に仕切って、こっちが何の分、こっちが何の分、ってやってるわけ。で、こっちが本番いく時は、隣は静かにしてなきゃならないの」 

(つづく)


★★★★★★★★★★★★
レインボーマンは1972年末頃の放映だから、撮影は70年くらいからやっていたんじゃないだろうか。その頃のスタジオ風景がよくわかる内容の話で、とても面白かったと思う。隣で本番やってる時は、もう片方では静かに待機しているなんて信じられないアナログ的作業だけど、こうやって先人はすこしでも面白いドラマを作ろうと必死だったわけだ。

だから観る方の僕らも、見逃さないように必死で観ていた。そうそう、テープレコーダー(もちろんカセットテープではない)はあったから音声を録音したことがあったけど、マイクで音を拾うから、誰かが声を出すともう大変、『シーッ』ってやって黙らしたっけ(笑)



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