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宇宙人が連れてきた宇宙怪獣たち3 ~形態学的怪獣論13 [怪獣論・怪獣学C]

シャプレー星人の操るキラドラスは、地底の溶岩の熱に耐え、核物質ウルトニウムを食うという設定そのままに、まさしく地底の「黒」と燃え上がるマグマの「赤」を体現している。

ビッシリと全身を覆う四角形のウロコ、ビロードにも似た腹部の質感、地の割れ目からほのかに見えるマグマの輝きのような背びれの処理。いずれも傑作の名に恥じない出来栄えだが、ギラドラスの真骨頂はまたしても「顔」なのである。

何と言っても、真っ赤に光る頭部のツノ、そして口角から伸びたツノが圧巻である。単なるツノを越えた量感、ことにバツンと断ち切れたようにむき出しのままの滴形の断面が、鉱物的な質感と相まって他に類を見ない迫力を生んでいる。

カツラに刺さった櫛のような頭部のブーメラン形のツノはまだ理解できるとしても、口角から前方に向かって内側に湾曲したツノは、一体どのような発想から生まれたものだろう。

まるで省略された前足の代わりのようにも見えるが詳細は不明だ。天与の才のなせる業としか言いようがない。しかし最も恐るべきは、これらのツノをいささかの破たんもなく収納し、まとめ上げている中央の「顔」なのである。宇宙怪獣という前提から、およそ生物離れした顔を描き込むことも可能だろう。

だが結果として作られたギラドラスの顔は、クマの顔である。正面から見た印象は、鮭を食らわんとする木彫りの熊に酷似している。上方からみるとかなり幅広くなっているものの、クマとしての威厳は保ったまま見事に調和している。

口角からのツノの生え際も極めて自然。破たんを恐れず、小手先の技に逃げず、堂々とした顔を作らんとしたデザイナーと造型家の執念の結実といえる。ただ頭(こうべ)を垂れるほかはない。  (つづく)


★★★★★★★★★★★★
シャプレー星人が操る怪獣ギラドラス。セブンにアイスラッガーで首を切られると、その切り口から鉱物(ウルトニウム)がこぼれ落ちるように、あの怪獣は鉱物で出来ているのではないかと思われるような印象がある。それを端的に表現している部分が、尖った先端を途中でスパッと切ったような四本のツノと背びれであろう。

どこか人間臭い顔つきをしているが、ヤツには手も無く足も無い。姿は不格好に見えるが、なかなか見当たらないシルエットの怪獣である。



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