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ウルトラQ(6) ~地球に向かって順調に飛行していた土星ロケットサターン1号が、「風船が」という謎の言葉を残して突如墜落した [ウルトラQ・ドラマ]

今回は第11話『バルンガ』を取り上げます。

監修;円谷英二
脚本;虎見邦男
特殊技術;川上景司
監督;野長瀬三摩地

土星ロケットサターン1号が謎の墜落事故を起こしてから、1週間が過ぎた。墜落事故付近を飛行していた星川航空のセスナ機には、万城目と江戸川由利子が乗っていた。ふたりとも快晴の天気の中、機嫌よく笑いながら話をしていた。

だが、ややあって、セスナの様子がおかしいことに、万城目は気が付いた。燃料計の針がゼロになろうとしていた。何とか事務所に戻ってきた万城目は、燃料不足で墜落しかけたことを一平に怒った。

一平は、燃料を確かに満タンに入れたことを主張しながらセスナを見に行き、セスナのラジエーター付近にいた奇妙な生物を持ち返ってきた。直径が10センチほどで、風船の様にフワフワと宙に浮いている謎の生物。

この奇妙な生物を一の谷博士の所へ持っていこうと、箱に入れて三人は車に乗った。しかし途中で車の燃料がカラになってしまい、道路上で立ち往生してしまう。その生物は触手を伸ばしながら、先程よりも一段と大きくなっていた。

クラクションを鳴らしていた後から来た車の燃料も次々とカラになっていき、付近一帯は大渋滞に見舞われてしまう。やがて、万城目の車にいたその生物は、次第に大きくなって車いっぱいに膨らんでいった。

車いっぱいに膨らんだ生物を乗せた車が、少しずつ空中に浮きだす。1メートル、5メートルと浮いていき、その生物は車の中からはみ出すほどに、大きくなってしまった。万城目は気づいた。
『この生物は、近くの動力を吸収して成長するんだ!』

警察がやってきて警戒する中、万城目の車はどんどん上昇していき、その中の生物は車を破壊して、ゆっくりと上空へ舞い上がっていく。その様子を特ダネ写真に撮ろうとした由利子をかばった一平に、壊れた車の破片が当たり、意識不明の大怪我を負ってしまう。

謎の生物に向かって警官が拳銃を発砲したが、謎の生物は銃弾を跳ね返して、ゆっくり上空へ登って行くのだった。一平は病院に運ばれ、緊急手術で命は取り留めた模様だ。新聞社に帰っていた由利子にそのことを告げにきた万城目は、ある情報を持ってくる。

万城目は生物学会報綴りという資料を見せて、あの生物を20年前に発見していた奈良丸昭彦という学者の話をした。それによると、その生物の飼育に成功したことを学会に発表したが、学会から実物の提示を求められた奈良丸博士はこう述べた。

『あれ以上成長すれば、人類の文明は荒廃に帰するおそれがあるので、殺してしまった』と。奈良丸博士は学会から詐欺師扱いされ、職を辞して行方が知れないという。

早速、江戸川由利子は社内で資料を集めて、奈良丸博士を探し始めた。風船怪獣バルンガと呼ばれるその生物に対し、航空自衛隊がミサイル攻撃をしてみたが、効果は全くない。それどころか、バルンガはどんどん大きくなっていく一方だ。

都内の病院では、患者を優先的に他県に移送することになったが、重体患者は動かすことができない。一平もそのうちの一人だった。バルンガのよく見える場所に、奈良丸博士は赤い風船を持ってたたずんでいた。

万城目と由利子は、燃料がいらない自転車に乗って奈良丸博士の消息を探すことにした。病院を出てしばらくすると、赤い風船を持った老人が、バルンガのよく見えるビルの屋上に立っている姿を目撃する。

その老人のもとへ向かった万城目と由利子は、その人物が奈良丸博士ではないかと思い、あの怪物について何か知りませんかと問いかけた。すると老人は、こう告げた。

『バルンガは、神の警告だ。自然現象であり、文明の天敵というべきか・・・この狂った都会にも、休息が必要だ』

この老人、奈良丸博士は、バルンガは行き過ぎた人類の文明に対する警告であるといい、少しは人類も反省すべきだと言った。しかし、このままでは人類の文明は滅亡してしまう。博士はあるインスピレーションを得て、バルンガを退治する方策を思いつくと、対策本部へ万城目を遣わした。

巨大台風が、東京に近づいていた。この台風の強風がバルンガを吹き飛ばしてくれれば、一平の手術もできるかもしれない。由利子のこの淡い期待も、バルンガには通じない。台風のエネルギーを吸収してしまうバルンガ。台風は消えてしまい、満天の星空が広がっていた。

朝が来た。空の高い所で、巨大な光が輝いた。国連が人工太陽を打ち上げたのだ。台風のエネルギーを食ってますます巨大になったバルンガを見ながら、奈良丸博士は独り言のようにつぶやいた。

『人工太陽で誘導したから、バルンガは本来の食べ物に気付いたはずだ』
『本来の食べ物って?』
『太陽だよ。バルンガが太陽を食うか、太陽がバルンガを食うか』

ドクドクと心臓のような音を立てて、バルンガは静かに上昇していく。本来の食べ物を求めて・・・。
明日の朝、晴れていたら、まず空を見上げてみてください。そこにあるのは太陽ではなく、バルンガかもしれないのです。 (終わり)


★★★★★★★★★★★★
このバルンガの話も、子供の頃に観て記憶に残った話のひとつである。人類への警告。文明社会への啓示だという奈良丸博士の言葉。今の人類は、電気やガソリンが無くては何もできない。楽になることはある意味でいいことだが、それによる弊害もある。

文明のもろさを垣間見せてくれるこのドラマは秀逸。最後のナレーションが、とても怖い印象を残す、忘れられない一本だ。



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