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仮面ライダー(15) ~「その座に直れ」この言葉を君に贈ろう [一文字ライダー・その2]

仮面ライダー産みの親とも言える故・平山亨氏が、藤岡弘氏だけでなく、佐々木剛氏にも応援メッセージを贈っているので、ご紹介しよう。ネタバレのようだが、この手紙は佐々木氏だけにとどまらず、この記事を読んだすべての方達に、ひとつの良い教訓となってくれるものと信じる。

故・平山亨氏が名プロデューサーであったことの所以の一端が、垣間見られる一文である。では、どうぞ。


★★★★★★★★★★★★
佐々木君に会いたかった。火事以来、貴方(あなた)の居所がつかめなくて、心配ばかりしてきた。
私と貴方は変に気性が似ているみたいで、共にプライドに拘わる性質だ。貴方の気持ちが分かるだけに心配なんだが、さりとて、無力な私に何がしてあげられる、と言うのだけれど、心配だけは、するなといってもしてしまうのだから仕方がない。

それが昨年から不思議なほど接近できて嬉しかった。そして何よりもうれしいのは、貴方が一皮むけて悪役でもよい、チョイ役でもよい、もう一度役者稼業に戻りたいと、やる気を出してくれたことだ。そこで私も微力ながら、貴方のマネージャーみたいに貴方に仕事をくれそうなところを探して、「佐々木剛君に仕事をください」と頼み歩いている。

(途中省略)
そこで佐々木君への応援メッセージだが、良い言葉を贈ろう。「その座に直れ」という古人の言葉は、私の恩師、大監督、松田定次先生から、よく聞かされたものです。「その座に直れ」とは、人生浮き沈み、良い時もあれば悪い時もある。その時その時、その座に直ることが大切で、これが的確に遂行できる人こそが、のちの世にまで伝えられる人格者と言えるのだ、という意味だそうです。

ある日、松田先生が昔先輩だった人を連れてこられた。サイレント映画の大監督だったが、生活に困って松田先生を頼ってきたのを、先輩の困窮を見兼ねて会社に話をつけ、時代考証家として報酬が出るようにしてあげたのだ、ということだった。ところが、その方は態度が悪かった。

何よりも嫌だったのは、我々が天皇と尊崇する松田先生に向かって、昔はどうだったか知らないが、「松田君」と呼ぶのが、まったく不愉快だった。昔は猛威を奪い、この人に逆らうとクビにされたなんて伝説も聞こえてきたが、それは昔のこと。

私たちに何を言おうと我慢するが、敬愛する松田先生に向かって大勢の人がいるところで、「松田君」と呼ぶのは我慢ができなかった。

その人の下賤さ(*げせん)がみえみえで、私のような若輩者でも恥ずかしくて、貧乏はしても偉ぶって物を言うのだけはしたくないと思ったものだった。
*下賤;生まれや育ちが卑しいこと。また、そのさま

「その座に直れ」この教えは他の無数にある教えと共に、今の私を支えてくれている。だから私は、現東映社長の高岩 淡氏とは、同期生でお前オレの仲だったが、二人になればいざ知らず、人前では礼を尽くして「社長」と呼ぶ。これが人の道というものなのだ。

佐々木君、あなたは、昔はスターだった。しかし、一旦役者の道から離れて十数年。まったくの新人として役者の道に復帰した。しかし、貴方のキャリアは新人ではない。この自負を隠して、新人のステップを歩んでください。

そうすると人々は、昔の喧嘩っ早い佐々木君から、年輪の成長を見て尊敬するようになるでしょう。監督も役者も、成長しなければ敗退します。貴方の成長をみんなに見せてください。あなたはもう若くはない。そういったキャリアの年輪の魅力で、売っていくべきだと思うのです。

最後にみなさんに、もう一度お願い。佐々木剛君に仕事をください。ご一報を待っています。



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