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帰ってきたウルトラマン(34) ~座談会;振り返ってみたウルトラマン/テロチルスの巻、その2 [新マン座談会・3]

ウルトラマンのスーツアクター・きくち英一氏が、聞き手の某映画監督とふたりでビデオを見て、当時の記憶を思い出しながら各話のエピソードを語るシリーズ。第22弾は、テロチルスが東京へ移住を進めていると考えたMATは銀の城のような巣を焼き払うべく準備を進めるが、脱走した松本三郎は由起子を連れて、よりによってテロチルスの巣があるビルに立てこもってしまう第17話『怪鳥テロチルス 東京大空爆』を取り上げます。

脚本;上原正三
監督;山際永三
特殊技術;高野宏一

◆悪島(ぶすじま)でテロチルスを発見した郷はウルトラマンに変身して戦ったが、激闘の末に敗北してしまう。MATは怪鳥テロチルスが悪島の噴火予測をして東京へ移住を進めているものと推測し、テロチルスの巣である銀の城を焼き払う準備を始める。

一方脱走に成功した松本三郎は幼友達の由起子をさらうと、テロチルスの巣があるビルに籠城してしまう。束の間ふたりの間に心が通じ合い三郎は自首を決意するが、一発の銃弾が三郎をつらぬき絶命してしまう。その直後に暴れ出したテロチルスに、郷は再びウルトラマンとなって闘いを挑む・・・。


★★★★★★★★★★★★
きくち氏;
「このスタジオはいつもの美セン(*)じゃ無くて、東宝で撮ったんです」
(*)旧東京美術センター、現在の東宝ビルド撮影所のこと

聞き手;
「しかしテロチルスは空を飛ぶ操演の怪獣だったから、たいへんだったでしょう」

きくち氏;
「僕よりは遠矢の方が逆にね。ほとんど吊されっぱなしですから」

聞き手;
「美センと東宝では、どのくらいレンタル料が違うものなんですか?」

きくち氏;
「それはわからない」

聞き手;
「国際放映のスタジオも使ったと聞きましたが」

きくち氏;
「僕らは国際放映には、行ってない」

《場面は新宿副都心のミニチュアセット》
聞き手;
「この新宿副都心、よく出来てますよね。ゲストが石橋正次です。彼はこの後『飛び出せ青春』」で売れて、『アイアンキング』で引っ張りだこになった。歌の『夜明けの停車場』も売れましたしね。こんどで、前回の空中戦の決着がつきます」

きくち氏;
「あの空中戦、結構しんどいんですよ。イントレの所に乗って、腹筋の力で」

聞き手;
「これ多分、熊谷健さんのアイデアでしょう。こういうアクション好きですから。東宝スタジオにしては狭く撮ってますよね」

きくち氏;
「うん、ビルの間隔とか。あっさりと終わったね。あ、裏返して投げた」

聞き手;
「サマーソルトドロップ」

きくち氏;
「マイティ井上。あれですね、原点は。その壊れたビルに、怪獣を投げつけるカットというのも、珍しい」

聞き手;
「この前の回で放り投げて、そのまま飛んで逃げられているからじゃないですか?考えて戦っているという感じがしますよね」

きくち氏;
「なるほどね」

聞き手;
「監督わかってれば、八つ裂き光輪やればいいのに」

きくち氏;
「いいかげんな」

聞き手;
「スペシウム効かなかったら、他の技使えよって。やっぱり、操演で時間が無くなっちゃったんだよ」


★★★★★★★★★★★★
怪鳥テロチルスの回は前後編、つまり大作であるはずなのに、あまり筆者の記憶に残っている話ではない。セブンのガッツ星人やキングジョー、新マンならシーモンス・シーゴラスやブラックキングとナックル星人、グドンとツインテールのように、前後編の話なら内容は一瞬にして思い出される話であることが多い。

時間をかけて描いているから、その分記憶にも残るのだ。上原正三氏の作品としては、この作品は駄作の部類に入るのではないだろうか。そもそも怪獣の出現と三郎と由起子が絡む犯罪とは、何の結びつきもない。怪獣の巣があるビルに籠城したことが、唯一の接点だ。

手元にこの2話分の映像が無いのでハッキリとは言えないが、籠城事件を描かなくてもこの話は書けたと思われるし、むしろ籠城話があるおかげで前後編の2話になってしまったという気がしてならない。

ウルトラセブンが最高峰のウルトラシリーズであると言われる所以は、脚本の豊かさやすばらしさはもちろんのこと、演出やカット割りによる映像技術のすばらしさが他とは群を抜いているからであるという話がある。

新マンはセブンのスタッフが残っていたはずだから、映像技術ではひけを取らないはずである。であるとすれば、残念ながら脚本・シナリオの優劣が最後は決め手になりそうである。


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