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帰ってきたウルトラマン(26) ~座談会;振り返ってみたウルトラマン/ダンガーの巻 [新マン座談会・2]

ウルトラマンのスーツアクター・きくち英一氏が、聞き手の某映画監督とふたりでビデオを見て、当時の記憶を思い出しながら各話のエピソードを語るシリーズ。
第14弾は、南隊員の乗ったマットアロー機が遭難した。本来なら自分が行くべき任務、それを代行してくれた南隊員を何としてでも助けなければならない。整備解体中のマットアロー機の組み立てを郷隊員は手伝い、南隊員の救助へ向かった・・・
第9話『怪獣島SOS』を取り上げます。

◆今度の次郎君の誕生日にはピクニックに行く約束をしていた郷隊員だが、その前日にニューヨーク本部へ飛ぶよう、加藤隊長から指令を受けていた。怪獣探知機モンスターソナーを受け取りに行くためだ。次郎君との約束を叶えるため、南隊員は隊長には無断で、郷隊員の代わりにニューヨークへ飛んだ。

その帰途、暴風雨圏を回避した南隊員のアロー機は無人島に不時着、無人島で海底資源探査をしていた3人に救助される。

地質調査をしていた3人は、調査の過程で洞窟内に怪獣が眠っていることを知る。地質調査用ダイナマイトを使って怪獣を封じ込めようとする南隊員たちだったが失敗、帰って怪獣を怒らせてしまう。しかも南隊員は破傷風にかかっているとの情報が、無人島からMATに入る・・・。

脚本;伊上勝
監督;本多猪四郎
特殊技術;高野宏一


★★★★★★★★★★★★

聞き手;
「この辺になると、原野や岩場で戦うのが多くなったんですね」

きくち氏;
「一番予算、かからないんからじゃないかな(笑)」

聞き手;
「なるほどね。でもこれだけ見せ場を持たせる役者も大変ですね。この回からウルトラマン、きれいになってます。ここで新調したのかな?」

きくち氏;
「そうかもしれません。身軽だったな」

聞き手;
「動きがシャープですよ。脇の電池って、痛くなかったんですか?」

きくち氏;
「痛くは無かったですね。重たいのは重たかったですが。両脇の下に4個ずつ、計8個の単一電池が入っていて、それで目とカラータイマーを付けていました」

聞き手;
「目が消えたりカラータイマーが付かなかったりということは、ありましたか?」

きくち氏;
「ありました」

聞き手;
「初代ウルトラマンでは目が消えているカットがありましたが、きくちさんのウルトラマンにはあまりありませんね」

きくち氏;
「慣れた頃には、監督の『ヨーイ!』がかかると、自分でスイッチ入れてましたね。あと怪獣の口が動かなかったりもしましたね。これはメカですから、いくら機電(*)の倉方さんが仕込んでても、切れる時は切れますよ。そういう時には、ひたすら待つしかないです」
(*)怪獣の目の光や飛行機のライト点灯など、特撮に必要な光をすべて司るパートのこと

《ウルトラマン、怪獣の頭のコブをもぎ取る》
きくち氏;
「あれ取って、ブルース・リーのヌンチャクやればよかった(笑)」

聞き手;
「まだブルース・リーは、出現してませんよ(笑)」

きくち氏;
「僕の後、ウルトラマンレオに入ってた二家本チャンが、ヌンチャクやってましたね」

聞き手;
「こうずーっと見て来て、この回はちょっとやること無くなったぞって感じでしたね。このあとまた傑作が生まれてくるけど、ちょっとインターバルって感じ」

きくち氏;
「そうですね。背景があまり変化しない岩場みたいな所だと、映像的にもあまり面白くないのかもしれませんね」

◆◆◆怪獣役者;遠矢孝信氏の証言◆◆◆
当時はもうきくちさんは結婚されてて、健康管理面では奥さんの力が大きかったんですが、僕は独身だったんで、食事は出前でした。

いつも二人前頼んでもらってました。あとは先輩から、例えばレモンを切って砂糖をかけたっものとか、ニンニクのしょうゆ漬けとかを作った物をいただいてましたね。ダンガーの頭のコブをもぎ取るのは、きくちさんのアイデアです。ふたりで立ち回りの打ち合わせをしてるうちに、そうしようということになったんです。


★★★★★★★★★★★★
新マン初期の怪獣たちは池谷仙克氏のデザインによるものだが、ストーリー未定のまま、怪獣だけ先に描きあげるケースがあったようで、このダンガーやゴルバゴス、シュガロンもそうであった。

ダンガーの頭についているソーセージのような形のコブはライオンのたてがみから発想されたとのことで、ライオン怪獣として描かれていた。口から出ている一本キバと両の手の一本爪が、コブと同様に特徴あるデザインになっている怪獣であるが、今ひとつ印象が薄い感が否めない。

南隊員に焦点を当てたストーリーとして、池田駿介氏が記憶に残る作品として挙げているので、もう少し何とかならなかったかと思う。

この回の脚本を担当した伊上勝氏といえば、言わずとしれた『仮面ライダー』のメインライターを務めた方であり、平成ライダーシリーズの脚本家・井上敏樹氏の実父である。この『怪獣島SOS』以外に『宇宙戦士その名はMAT』も脚本執筆をしている。


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