仮面ライダー1号秘話(3) ~1号ライダー本郷猛こと藤岡弘、氏が語るライダー撮影秘話! [仮面ライダー1号・その1]
《変身ポーズの秘密》
「藤岡君、変身する時は何かポーズ必要でしょう。こんな感じはどうかな?ちょっと見てて」確か怪我から復帰して、ロケに入って間もなくした頃だったと思う。番組全体のアクションを担当していた大野剣友会の若頭役、高橋一俊(*)さんが藤岡氏の所にやってきて、そのポーズを見せてくれた。
左手を腰に当てて、右手を大きく回転させる、のちに有名になる「変身ポーズ」であった。高橋さんが何からそれを考え出したかと言うと、眠狂四郎の円月殺法だったという。
昭和時代初頭に、大映映画でやっていた眠狂四郎の必殺剣である。眠狂四郎は刀を回すが、ライダーは手を大きく回す。のちに全国の子供達にこのポーズが大流行となった。この変身ポーズをマネして、変身ごっこで遊んだ記憶のある人も多いだろう。
歴史はくり返すと言うが、眠狂四郎から仮面ライダーへと姿形は変わっても、カッコイイ部分は時代を超えて受け継がれていくのであろう。そういう意味では、ヒーローはいつの時代でも普遍的な魅力があるのだ。
(*)1991年に他界、享年49歳の若さだった。
怪我をする前の仮面ライダーは、バイクに乗っている時にベルトに風力を受けて変身するという設定だった。バイクが無い時は、自分が崖から飛び降りて落下しながら、風を受けて変身するのだ。エネルギーが風力だから、そうするほかに無いのだ。
ところが、仮面ライダー2号になってくれた佐々木剛氏は、バイクの免許を持っていなかった。だからバイクで疾走しながら風力を受けて変身する、という設定に無理がある。また毎日放送のプロデューサーからは、『自分の意志で変身できるようにした方がいい』というアドバイスがあったらしい。
そこで2号ライダーから変身ポーズが始まり、怪我から回復した藤岡氏がそれを引き継ぎ、V3の宮内洋氏へと継承されていく。三人のポーズは大体同じだけれど、それぞれが『俺が一番だ』と主張している。佐々木ライダーの変身ポーズには、無駄な力みが無い。
藤岡ライダーの変身ポーズは力み過ぎだと、いつも言われる。宮内V3にはテレが無い。どんな臭い演出でも、平然とこなしてしまう役者根性がある。三者三様の変身ポーズなのである。
《本郷猛は、すべてが自前だった》
今から考えると信じられないけど、撮影当初の本郷猛の衣装はほとんどが自前だった。ダブルの紺色のブレザー姿で大型バイクに乗っているシーンが『何かヘン』と話題になったことがあるけれど、あれも自前の衣装だった。あの頃は、現場にスタイリストなんてついてくれなかった。
他の現場ではどうだったのだろう。当時生田は山奥で、衣装も何もなかったし、撮影はロケばかりだから、スタイリストが来てくれるような環境では無かった。自分で工夫していたのは、ジーンズをはくときに、中にタオルを入れてシワにならないようにしたことだ。
当時の体重は62キロくらいしか無かったから、ウエストでジーンズをはくと、太ももの辺りがブカブカになってしまう。実は仮面ライダーの主役が決まる前は、アルバイト的にモデルをしていたことがある。ファッション誌に登場し、流行の服を着てポーズを取っていた。
その時に感じたことは、モデルさんたちはどんなに衣装に気を配って着こなしをしているか、その執念だった。みんな服が好きだし、自分の体型を考えてあれこれ工夫して着こなしている。ジーンズにタオルを入れるくらい、モデルの世界では当たり前のことだ。
それにしても、あの過酷な撮影を自前の衣装で乗りきるのは大変なことだった。腕時計なんかいくつ潰したかわからないし、靴もすぐに擦り切れてしまう。ベルトも何本も買い換えた。当時はメーカーとのタイアップなんて無かったし、それが当たり前だと思っていた。
唯一「自前の衣装」でよかったと思ったのは、後になって撮影に使った衣装を「開運!なんでも鑑定団(テレビ東京)」に出品した時のことだ。プロデューサーに頼まれてのことだったが、ただの服やベルトに40万円もの値が付いた。
本来は単なる衣装なのだが、撮影の思い出に大切に保存しておいたものだった。今でもヘルメットから衣装まで一式そろっている。これらはみんな、藤岡弘氏の青春の燃焼を見届けてくれた貴重な証人たちだ。
★★★★★★★★★★★★
ウルトラマンでは、科特隊の活動は制服がほとんどだったので、「自前ファッション」で撮影していたのは、仮面ライダーだけだったのではないだろうか。ウルトラマン撮影当時を振り返って語ってもらう話を紹介した時に、『あの時のあれは「自前」だった』という話を紹介した覚えが無いので、撮影環境はウルトラマンの方がはるかによかったものと思われる。
ただし必ずでてくるエピソードとして、『制服の色が派手で、恥ずかしくて一人で街を歩けなかった』はどの隊員の口からも聞かれたが。その点では、「自前の服」を着こなしていた藤岡氏は、モデルもやっていただけに、センス抜群のところを視聴者にアピールすることができたので、とても良かったのではないだろうか。
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「藤岡君、変身する時は何かポーズ必要でしょう。こんな感じはどうかな?ちょっと見てて」確か怪我から復帰して、ロケに入って間もなくした頃だったと思う。番組全体のアクションを担当していた大野剣友会の若頭役、高橋一俊(*)さんが藤岡氏の所にやってきて、そのポーズを見せてくれた。
左手を腰に当てて、右手を大きく回転させる、のちに有名になる「変身ポーズ」であった。高橋さんが何からそれを考え出したかと言うと、眠狂四郎の円月殺法だったという。
昭和時代初頭に、大映映画でやっていた眠狂四郎の必殺剣である。眠狂四郎は刀を回すが、ライダーは手を大きく回す。のちに全国の子供達にこのポーズが大流行となった。この変身ポーズをマネして、変身ごっこで遊んだ記憶のある人も多いだろう。
歴史はくり返すと言うが、眠狂四郎から仮面ライダーへと姿形は変わっても、カッコイイ部分は時代を超えて受け継がれていくのであろう。そういう意味では、ヒーローはいつの時代でも普遍的な魅力があるのだ。
(*)1991年に他界、享年49歳の若さだった。
怪我をする前の仮面ライダーは、バイクに乗っている時にベルトに風力を受けて変身するという設定だった。バイクが無い時は、自分が崖から飛び降りて落下しながら、風を受けて変身するのだ。エネルギーが風力だから、そうするほかに無いのだ。
ところが、仮面ライダー2号になってくれた佐々木剛氏は、バイクの免許を持っていなかった。だからバイクで疾走しながら風力を受けて変身する、という設定に無理がある。また毎日放送のプロデューサーからは、『自分の意志で変身できるようにした方がいい』というアドバイスがあったらしい。
そこで2号ライダーから変身ポーズが始まり、怪我から回復した藤岡氏がそれを引き継ぎ、V3の宮内洋氏へと継承されていく。三人のポーズは大体同じだけれど、それぞれが『俺が一番だ』と主張している。佐々木ライダーの変身ポーズには、無駄な力みが無い。
藤岡ライダーの変身ポーズは力み過ぎだと、いつも言われる。宮内V3にはテレが無い。どんな臭い演出でも、平然とこなしてしまう役者根性がある。三者三様の変身ポーズなのである。
《本郷猛は、すべてが自前だった》
今から考えると信じられないけど、撮影当初の本郷猛の衣装はほとんどが自前だった。ダブルの紺色のブレザー姿で大型バイクに乗っているシーンが『何かヘン』と話題になったことがあるけれど、あれも自前の衣装だった。あの頃は、現場にスタイリストなんてついてくれなかった。
他の現場ではどうだったのだろう。当時生田は山奥で、衣装も何もなかったし、撮影はロケばかりだから、スタイリストが来てくれるような環境では無かった。自分で工夫していたのは、ジーンズをはくときに、中にタオルを入れてシワにならないようにしたことだ。
当時の体重は62キロくらいしか無かったから、ウエストでジーンズをはくと、太ももの辺りがブカブカになってしまう。実は仮面ライダーの主役が決まる前は、アルバイト的にモデルをしていたことがある。ファッション誌に登場し、流行の服を着てポーズを取っていた。
その時に感じたことは、モデルさんたちはどんなに衣装に気を配って着こなしをしているか、その執念だった。みんな服が好きだし、自分の体型を考えてあれこれ工夫して着こなしている。ジーンズにタオルを入れるくらい、モデルの世界では当たり前のことだ。
それにしても、あの過酷な撮影を自前の衣装で乗りきるのは大変なことだった。腕時計なんかいくつ潰したかわからないし、靴もすぐに擦り切れてしまう。ベルトも何本も買い換えた。当時はメーカーとのタイアップなんて無かったし、それが当たり前だと思っていた。
唯一「自前の衣装」でよかったと思ったのは、後になって撮影に使った衣装を「開運!なんでも鑑定団(テレビ東京)」に出品した時のことだ。プロデューサーに頼まれてのことだったが、ただの服やベルトに40万円もの値が付いた。
本来は単なる衣装なのだが、撮影の思い出に大切に保存しておいたものだった。今でもヘルメットから衣装まで一式そろっている。これらはみんな、藤岡弘氏の青春の燃焼を見届けてくれた貴重な証人たちだ。
★★★★★★★★★★★★
ウルトラマンでは、科特隊の活動は制服がほとんどだったので、「自前ファッション」で撮影していたのは、仮面ライダーだけだったのではないだろうか。ウルトラマン撮影当時を振り返って語ってもらう話を紹介した時に、『あの時のあれは「自前」だった』という話を紹介した覚えが無いので、撮影環境はウルトラマンの方がはるかによかったものと思われる。
ただし必ずでてくるエピソードとして、『制服の色が派手で、恥ずかしくて一人で街を歩けなかった』はどの隊員の口からも聞かれたが。その点では、「自前の服」を着こなしていた藤岡氏は、モデルもやっていただけに、センス抜群のところを視聴者にアピールすることができたので、とても良かったのではないだろうか。
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初めまして。
変身ポーズの人気、すごいものがありますね!
by 師子乃 (2020-03-28 15:11)
初めまして。
変身ポーズなぜはやったのか不思議ですね。
by 師子乃 (2021-03-26 00:25)